――――sideみすちー
顎髭を生やしたおじさん『…戦艦並みの火力と雷巡並の雷撃。さらに艦載機も飛ばし対潜攻撃も可能な深海凄艦…か』
青葉「はい。現状こちらのパラオ泊地の部隊でも対処は可能性ですけど、ここは横須賀鎮守府からの支援艦隊をぜひ送ってもらえると…」
顎髭を生やしたおじさん『送ることは容易いが、こちらも本土防衛の要。そうそう主力を送るわけには……』
みすちー「うっさいわね…建前は良いから早く送ってくれる艦隊のメンツ教えてくれない?」
青葉「司令官っ!?」
通信室にて40代くらいだらうか、胸に勲章をつけたおじさん……横須賀鎮守府提督にて元帥の立場でもある人と、現状を報告していた青葉。
だが、私はそれを気にせず割り込むととっとと答えを出せと言い切る。
それに対して元帥は軽く溜息をつくと。
元帥『…はぁ…こっちにだって顔があるんだぞ。
本土でふんぞり返ってるお偉いさんに対して一応誠意を見せないだなぁ…』
みすちー「そんな建前はそっちで好きなだけ立てて。
こっちには本音だけ送れば良いから」
元帥『…まったく、仲間が傷ついたと思ったら急にやる気を出す妖怪だ。それで、何を望む?』
呆れつつも少しニヤリと笑うと、私が聞きたいことを正確に聞いてきてくれる。うんうん、この人は妖怪だからって偏見持たないし話しやすいから良いわ♪
みすちー「うちが望むのは長門型以上の戦艦2、対潜雷撃対空要因として駆逐2、制空確保のための正規空母2
駆逐は軽巡にしても良いけど、他の変更は却下」
元帥『……正気か?』
みすちー「こっちは電に五月雨ちゃんを鹵獲されかけてるのよ?
最大の戦力で一度潰さないとキリがないわ」
お互いににらみ合うような眼光で見つめ合う私達。
私が言ってることは無茶であることは知っている。
けど、これ以上南方の敵を活性化させたらまずいのは向こうだってわかってるはずだ。
元帥『……条件を3つ付ける。
それを飲むならその条件を飲もう』
みすちー「…条件?」
元帥『1…支援艦隊には副総旗艦、武蔵に横須賀鎮守府秘書艦、吹雪をくわえる。そして、武蔵もしくは吹雪の命令を必ず遵守して、その指示のもと行動すること』
みすちー「げっ…武蔵…?!」
青葉「元帥や大和さんに次ぐ実質のNo.3をですか!?」
元帥の最初の条件に私は早速苦虫を潰したかのような気分になる。
艦隊総旗艦大和、艦隊副総旗艦武蔵。
日本の海上自衛隊…だっけ?
とにかく、日本の軍の中で艦娘が組み込まれるようになってから、元帥に次ぐ指揮権を与えられた大型戦艦。
横須賀鎮守府の提督である元帥以外の全ての提督、所属する艦娘に対し命令権を持ってるから、私も新さんも逆らえない厄介な奴。
大和ならある程度話せるけど……
みすちー「…武蔵じゃなくて大和は?」
元帥『だめだっ。武蔵以外認めない』
みすちー「……わかったわよも~」
やっぱだめか~…長門や大和ならまだいいけど、武蔵は苦手…
堅物だし命令絶対主義だし…
元帥『よし、次に二つ目だが…そちらには作戦の都合で別鎮守府から在籍している艦隊がいるだろ?』
みすちー「え?…あぁ、伊勢や日向達の事ね」
元帥『あぁ。作戦が終わり次第、それぞれの所属に戻ってもらう事になる。問題ないな?』
みすちー「あ、そんな事。それならいいわよ~
元から、この作戦が無かったらもう戻ってる頃だし」
元帥『…よろしい。ならば、最後だが…』
1個目はともかく2個目はそれほどの事でもないじゃない。
まぁ、これなら3個目もたいしたことじゃ―――――――
元帥『―――駆逐艦深「却下」雪の所「断るわ」属を「無茶言わないで」今すぐ「だまれ顎髭」横須賀「あんたには吹雪がいるでしょ」鎮守に戻「浮気や―――」―――最後の言葉それ以上言うと不敬罪で懲罰にするぞ!!!』
みすちー「うるっさいわね!!深雪はもううちの艦隊所属よ!!絶対に横須賀に何て返すもんですかぁぁぁ!!」
青葉「あ、あはは…まだその話終わってなかったんですか…」
恐ろしい剣幕で迫ってくる元帥だが、私も負けじと言い返す。まったく、青葉ももう呆れるほど話してるってのにまだ諦めてないのね!
元帥『だいたい俺はあんな転属届認めてないからなっ!』
みすちー「あんたが認めてなくてもね、寝ぼけてサインしたあんたが悪いのよっ!」
元帥『元は深雪は横須賀第11駆逐隊所属だ!』
みすちー「今はパラオ第6駆逐隊所属よ!だいたいあんた元帥権限にうちに加えたい子全員持って言ってるじゃない!」
速吸もだし、神風も出し、練度が低いやら前線は危険やら理由つけて!
元帥『貴様こそ姑息にどうでもいい書類に混ぜて深雪の転属願い送りつけてきただろ!』
みすちー「だーかーら!気づかずサインする方が悪いんでしょうが!
だいたいあんただって同じの狙って何回も転属願いの書類忍ばせてるでしょ!」
元帥『目には目をと『司令官?そろそろ真面目にお話ししましょうか?』っ…仕方ない。
とにかく、吹雪に深雪の転属願いの書類を持たせておくから、きっちりサインしてもたせろよ』
みすちー「はーい、サインした後ちりも残さず処分してあげるわ」
元帥『(ビキビキッ…)…それでは、三日ほどで武蔵達の艦隊はつく。
到着までの詳しい指示は武蔵からまた通信が来るだろう。吹雪、艦隊への連絡は頼むぞ。あとこれ転属願いの書類だ』
吹雪『は、はい。それじゃあみすちーさん、また後で~…(ニコッ』
後ろで待機していたのだろう。元帥の秘書艦である吹雪が元帥から忌々しい書類を受け取ると、少しこちらに笑顔を向けると通信が切れた。
みすちー「……はぁ、あの元帥も諦め悪いわね…」
青葉「元帥なりに深雪さんの事が心配なんですよ。
もともと、こっちへ配属されたのも電さんとの事があったからですよね?」
みすちー「みたいね…こっちの艦隊の練度が上がって電との事が解決したら戻す気だったんでしょ?
まぁ、私があーだこーだ理由つけたんだけど」
思えばあの頃から彼女に心が引かれてたのかもしれない。
深雪が戻りたいっていえばそれを尊重するつもりではあるけど、今のところ深雪はホームシックに何てなってないし…けど…
みすちー「…たまには吹雪達にあわせてあげないといけないかな…」
妖怪の私には家族ってものがまだよくわかってない…けど、大切なものだってことはわかるし、会えないって事はすごく寂しい事だってわかる。
青葉「そうですね~この作戦が終わったら『第11駆逐隊』として休暇を出してあげたらどうです?」
みすちー「そうね~…」
私が椅子に深く腰掛けると、ぽつりとつぶやいた。
―――――その時だ、朗報と悲報が同時に届いたのは
ろーちゃん「ですって!!(ばたーん」
みすちー「っ!?ろ、ろーちゃん?」
青葉「ど、どうしたんですか!?」
突然ドアを壊す勢いで飛び入ってきたろーちゃんに私と青葉は立ち上がると、彼女のもとに駆け寄る。
全速疾走でもしてきたのだろうか、息も絶え絶えのままろーちゃんは話し始める。
ろーちゃん「たいへ…ですって…っ…!」
みすちー「おちついてろーちゃん。いったい何があったの?」
ろーちゃん「はぁ…はぁ…ひ、響さんが勝手に出撃して…!」
青葉「えぇっ!?いったい何してるんですかあの子!?」
突然の報告に青葉は慌てた様子で大声を上げる。
ただ、私はその言葉に別の意味を見出していた。
あの子が勝手に出撃…響は私なんかと比べられないほど冷静な子よ。
冷静で、取り乱したことなんて1度しか…まさか…
青葉「どうして響さんがそんな事!?」
ろーちゃん「そ、それがお父さん(新)に頼まれた伝言を伝えたら…今お母さん(五月雨)が追いかけて(ぽんっ)…?」
みすちー「…伝えてくれてありがと、ろーちゃん。
後は私が何とかするわ」
ろーちゃん「えっ…あ、けどお父さんからの伝言もあるですって「良いのよ…何となくだけど、内容はわかったらから…」え?」
青葉「わかったって…」
みすちー「青葉はろーちゃんを連れて新さんとこに詳しい事を聞きに行って。
これは大本営にも内密よ。私は響を連れて帰ってくるから、それまでにお願い」
青葉「は、はい…っ!?」
私は、青葉の返事を確認するとゆっくりと飛び上がり窓から一気に飛び出した。
意味があるのかは自分でもわかっていない羽をはばたかせて、1秒でも早く響に追いつくために。