ケッコンカッコカリ   作:割烹着みすちー

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26話

―――――sideみすちー

 

 

 

 

鎮守府を飛び出し大空に飛び上がる私の体。

すぐに下は海面だけになると、数分もたたないうちに青髪長髪の五月雨ちゃんの姿が見えた。

 

みすちー「五月雨ちゃん!」

 

五月雨「え?どこから声が…あ、みすちーさん!」

 

みすちー「響は私が連れ帰るわ!

五月雨ちゃんは戻って!もう夜になる!」

 

すでに日はほとんど隠れ後半時間もしないうちに暗闇に包まれるだろう。

いくら鎮守府正面海域っていっても、一人では危険すぎる。

私は五月雨ちゃんに空から旗艦するように命令する。

 

五月雨「け、けど響ちゃんが…!

私が先に伝えちゃったから…」

 

みすちー「良いからっ!

事情も全部後で聞くから、すぐに戻って!」

 

五月雨「…わかりました…」

 

五月雨ちゃんが引き返すのを確認して、私はさらに空を駆ける。

だいたいだが響の進んだ方向には想像がつく。

時間からしても、空からなら必ず見つけれるはず…!

 

みすちー「いたっ!響っ!!」

 

響「っ…!!(ジャキッ」

 

みすちー「っ…何のつもりよ?」

 

私が一気に急降下して響の進路をふさぐと、彼女は艤装の10㎝高角砲をこちらに向け構える。

私も反射的に手のひらを響に向けると、すでにわかりきっている質問を彼女に向けて問いかけた。

 

響「…言わないとわからないのかい、鳥頭さん?」

 

凍えるような眼でコチラを見つめる響。2年前にも見たその冷たい目に私は一瞬たじろぎそうになるが、ここで引くわけにはいかない…

 

みすちー「…出撃命令何て出てないわよ?

今すぐ戻ってくる」

 

響「断る」

 

間髪入れずに言葉を返す響。

その気持ちは痛いほどわかるが…何時もの彼女からしたら明らかに目が曇っている。

なら、それは絶対に止めないと。

 

みすちー「…あなた一人で何ができるのよ?」

 

響「っ…」

 

みすちー「何時も冷静なあなたが単独特攻して、まさか誰も止めに入らないとでも?

そんな事が分からないほど頭に血が上ってしかも一人。沈みに行くようなものだわ」

 

響「………」

 

みすちー「……お願いだから戻って…

これは命令じゃなくてお願い…電たちをこれ以上悲しませないで…」

 

響「っ…司令官…?」

 

始めは、気丈に気丈にと言おうとしていた私だったが、徐々に以前の事を思い出し瞳が潤みだす。

今まで心の奥に閉じて我慢していたことが、一気に現実となって私に襲い掛かり、目から滴がこぼれだした。

 

みすちー「…あなた望む通り…電との約束も守るために…このチャンスは逃したくないの…だから、お願い…!」

 

堪えきれなくなり、私は響に向けていた右腕がゆっくりとおろされただ肩を震わせ涙を流しつつお願いする。

その姿に響の10㎝高角砲がゆっくりと射角を下すと…

 

響「…何だい、司令官が泣いて懇願なんて…指揮官失格じゃないか」

 

みすちー「ぐすっ…元から、こんなバカが提督に向いてるわけないでしょ…」

 

響「違わない…いいよ、戻ってあげる」

 

みすちー「っ…響!」

 

響「勘違いしないで。電のためだよ。司令官なんかのためじゃない」

 

彼女は一言そういうと、すでに日が沈んだ海の上を、鎮守府に向けてゆっくりと進みだした。

私は空に浮かんだままそれに並走するように動き出した。

お互い無言のまま進むなか、響がぽつりとつぶやく。

 

響「…スパシーバー…」

 

みすちー「…響?」

 

響「何でもないよ…約束、守ってよ?」

 

みすちー「…うんっ…」

 

お互い、不死鳥と夜雀は夜の海を進む。

同じ目的のために…

 

 

 

 

 

―――――鎮守府治療室中

 

 

 

 

響の単独出撃から1時間半後、無事鎮守府に戻ってきた私と響は先に戻っていた五月雨ちゃんにお願いし、新さんの病室で集まるようにお願いする。

病室に集まったのは、私、新さん、電、響、暁、深雪、五月雨ちゃん、比叡の8人。

すでに響の単独出撃の噂は鎮守府の中でも広まっていたのだろう、暁と深雪がそろって響に詰め寄っている。

 

深雪「何やってんだよ響!

勝手に出撃してもし敵と会敵してたらどうする気だったんだよ!?」

 

暁「まったく!レディらしからぬ行動だわ!

お姉ちゃん心配させてそんなに楽しい?」

 

響「その…ごめん…」

 

電「まぁまぁ、響お姉ちゃんも反省してるのですから…」

 

流石に二人に詰め寄られては響も強くは言い返せず、ただ謝るだけしかできなかった。

ただ、その理由を二人は知らないから言えるのだ。

…だから、私は響に詰め寄る2人を落ち着かせると、新さんに本題を言ってもらう事にした。

 

みすちー「…新さん、お願いします」

 

新「…あぁ…」

 

五月雨「し、新…大丈夫…?」

 

新「あ、あぁ。喋るくらいなら大丈夫だっ…」

 

新さんはベッドの上から顔をゆっくりとこちらに向ける。

怪我の具合が心配なのだろう五月雨ちゃんが近寄るが、新さんの声もつらそうじゃないしまず大丈夫なのだろう。

ゆっくりと話し始めた。

 

新「…さっきの戦闘でだが。俺は敵艦隊の中であるものを見つけた…」

 

電「あるものなのです…?」

 

深雪「何だよそれ?もしかして、他にもあのレ級クラスが!?」

 

元帥との会話の中で、暫定ながらあの新艦にはレ級という名前が付けられた。

小柄な体で戦艦と雷巡と空母の特性を持った化け物艦。

 

新「いや、そうじゃない…通信障害の間、他の敵艦の姿は見つからなかった…」

 

深雪「ほっ…ん?それじゃあ何見つけたんだ?」

 

新「……………」

 

電「…え?い、電がどうかしたのです?」

 

じっと電の方に視線を見つめる新さん。

それは、ある駆逐隊を表す物。

同じ駆逐隊で現在いる深雪がもっていなくて、電達だけがもっているもの。

 

新「…敵の新型戦艦、レ級…その服に電ちゃん達が持っている特Ⅲ型バッジがついてあった…」

 

電「…え…?」

 

そして、そのバッジを敵がつけていたと言う事実…そこから出される答えは、ただ一つだけだった。

 

電「……雷…お姉ちゃん…?」

 

私達がその想像に至る中、電が1人膝をついて涙を流していた。

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