―――――side過去話、みすちー視点
みすちー「どうしたの雷…もしかして、やっぱどこか怪我を?!」
雷『違うって!怪我はどーこもしてないわよ?』
みすちー「じゃあいったい…」
雷『えっと、意見具申です。
私は1人で大丈夫だから、皆で敵主力艦隊を責めてくれないかしら?』
………え?
みすちー「ちょ、一人で大丈夫って、何言ってるのよ!
あなた武器がもう吹っ飛んでるんでしょ?!」
雷『大丈夫よ!艤装の主機はきっちり動いてるし!
それに、別にこのまま一緒に突撃するわけじゃない。さっきまでの海路を一人で戻るだけよ~』
みすちー「だからって…」
電『ま、万が一だってあるのですよ!』
今までそんな事した事無いのに、いくら一度通った海路だからって…
私が雷の意見に頭を悩ませていると、雷が真面目な声で話しかけてきた。
雷『…お願い司令官。私だけがこんなことなって足を引っ張りたくないの…
折角電たちと頑張って道を開いたんだし…』
電『そ、それはそうですけど…皆はどう思ってるのです…?』
響『…私は反対だよ。万が一があるのに、一人で帰還なんて』
暁『わ、私は…司令官の指示に従うわ…怖いのは怖いけど、ここで引くのは悔しいし…』
伊勢『私もどっちかと言えば反対だけど…最後の判断は提督に任せるかな~』
日向『私も伊勢と同意見だ』
深雪「あたしは…雷に賛成かな。
悔しいって気持ちわかるし…」
それぞれが意見を出す中、最終的に私に判断を任せていく。
私が必死に答えを出しかねていると、再度雷の声が聞こえてきた。
雷『…そんなに心配なら、司令官と深雪が迎えに来てくれる?』
みすちー「っ…私が?」
雷『うんっ♪司令官なら強いし、きっと大丈夫でしょ♪』
おそらく満面の笑みを浮かべて言ってるであろう雷の姿が想像できて、私は自然と笑みを浮かべる。
そうね…雷が心配なら自分から迎えに行けばいいじゃない。
みすちー「…そうね。よし、雷以外の5人は敵主力艦隊に向けて出撃。
雷は進んだ航路をたどって帰還。私と深雪が道中まで迎えに行くわ」
雷『了解っ!それじゃあ、後でね司令官』
みすちー「えぇ…よし、深雪すぐ出撃準備して。いくわよっ!」
深雪「了解!」
私は通信室から出て行く深雪を見送ると、窓から雪が降る景色を目にした。
―――――side過去話、雷視点
雷「よしっ。それじゃあ、私は一足先に帰還するから後は任せたわよ」
電「ほ、本当に大丈夫なのですか…」
雷「もう、ちょっとはお姉ちゃんを信用しなさい。
動くだけなら問題ないんだから」
電が心配げな顔でこちらに話しかけてくる。私は安心させるように電の頭を撫でるとそう言った。
もう、電はいつまでたっても心配症が治らないんだから…
響「…私はまだ反対なんだけどな」
雷「何よ、さっき『ピンピンしてるよ』って言ったのは響じゃない」
響「それとこれとは違う。
…本当に大丈夫?」
じっとこちらを見てくる響、どこかその眼には不安が入り混じっている気がする。
もう…妹が妹なら姉も姉かな…
雷「大丈夫だって~ただ元の基地に戻るだけでしょ?
それより、5人こそ私が抜けたぶん辛いんだから、無理しちゃダメなんだからね?
特に暁は」
暁「わ、わかってるわよ!……って、何で私だけ名指しなのよ~!?」
暁の不満の声にドッと皆から笑い声が広がる。うん、これなら大丈夫♪
さ、あまり遅くなってもだし、そろそろ行こうかな…
雷「じゃあ行くね~先に基地に戻っておいしいご飯作っておくし~
伊勢さん、日向さん、3人をお願いしますね~」
伊勢「任された!雷を気を付けてな」
日向「無茶はするなよ」
雷「了解です!」
私はきっちり敬礼をすると、主機を動かし基地の方向に向けて進みだした。
……厚いくもの中、一機の艦載機から監視されていることに気づかないまま…
―――――side過去話、みすちー視点
雷の単独帰還を受け入れてから数分後、私と深雪はすでに敵がいなくなった海域を突き進んでいた。
みすちー「ほんと、拍子抜けするほど敵がいないわね」
深雪「だなぁ…それだけ電たちが頑張ったんだよ!」
みすちー「そうね。帰ったらうんとねぎらってあげないと」
空がどんよりと曇りだし、ちらちらと雪が降り続けるAL海域。
わずか数時間前まで深海棲艦に占拠されていたとは思えないほど静けかえった海を進むなか、私は違和感に気づいた。
みすちー「ねぇ、敵がいないのはわかるとして、いくら何でも残骸が少なすぎない…?」
深雪「え?…そう言われてみれば、ほとんど海に沈んだのかな?」
みすちー「…それならいいんだけど…まさか深海棲艦が死んだふりなんてするわけないし…」
深雪「それは無いだろ~今まで横須賀にいたときも、そんな利己的な行動する深海棲艦何て一度も見たこと無いぜ?」
みすちー「…それなら良いけど…」
深雪「心配性だな司令官は~」
深雪のいう事ももっともだが、私はどこか不安に駆られだしていた。
野生の直観か、妖怪として生きてきたからこその経験か、普段なら気にもしないような点に不安を感じ取っていった。
―――――そして、それは現実となって私達に襲い掛かってきた―――――
………っん………
みすちー「っ…砲撃音?どこから?」
深雪「え?あたしは聞こえなかったけど…」
みすちー「こっちに向けて撃ったものじゃないからよ。別の方向に向けてだけど…っ!」
深雪「あ、司令官!!」
私は一気に飛び上がると、雲に入る手前で停止して周りを見渡す。
所々小島が点在するこの海域、徐々に天気が悪くなっていく中…見逃せないほどの動く点が見えた。
―――――たった一人の少女を囲むように動く敵の姿を―――――
みすちー「―――っ!?雷!!!」
深雪「っ!?司令官…!?あぁ、もうっ!!」
私は空から一気に急降下すると目に見えた場所に向けて突き進んだ。