Road to ポケモンマスター ~カントー地方編~   作:鍋奉行Lv5

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決勝の組み合わせはレッド対イエローに決定した
だが、イエローの様子に会場はどよめいていた


セキエイ大会~揺らぎ~

その頃…、トイレでは蛇口から勢いよく流れる水の音が鳴りっぱなしだった

そこへゆっくりと扉が開き、レッドが顔を覗かせる

 

イエロー

「レッド…さん?」

 

レッド

「これでも飲んで気持ちを落ち着かせな?」

 

ミックスオレを投げ渡す

 

イエロー

「えっ?」

 

レッド

「いいからっ!まずは整理するんだ。喋るのはそれからでいいさっ!」

 

イエローは、それをゴクリと一口喉に通す

 

イエロー

「あのぉ…決勝戦、お互い頑張りましょうね!?」

 

レッド

「…そんな事を聞きに来たんじゃない。

俺は、お前の身に何が起きてるのか全く知らない…、心配なんだよっ!

よかったら話してくれないか?」

 

イエロー

「はい…。」

 

イエローは包み隠さず、事情を話した

抑えられない感情、制御できない自制心…、何もかもを。

 

レッド

「そういう事だったのか…。」

 

イエロー

「分かっているんです、このままじゃいけないことも!!

でも、どうしようもないじゃないですかっ!!

…気がつけば、目の前にいるのはボロボロになった僕のポケモン。

無茶な戦いをさせてしまったのも、全部自分の責任だって分かってるのに…。

僕の心と体が1つにならないんです!」

 

レッド

「なぁんだ、そこまで理解してるんなら迷う必要はねぇよ!!」

 

イエロー

「…え?」

 

レッド

「今のお前は、ポケモンを思いやりすぎるんだ…!

ポケモンを傷つけちゃいけない、安心安全で丁寧なバトルを求めすぎてるんじゃないか?

だから、もう一人の人格…つまりは勝利だけを思うお前の人格がそれを許さねぇんだよ、きっと!」

 

イエロー

「僕自身が、僕の邪魔をしていた…?」

 

レッド

「あぁ!んで、心優しいお前はもう一人のお前に気持ちを全て委ねちまい、顕にさせることで結果、戻った時に今のお前が納得のいかない試合になっちまうんだ!」

 

イエロー

「じゃあ…、どうすれば!?」

 

レッド

「悪いが、これ以上は俺の口から言えねぇよ。

今、お前は自分自身に課せられた試練の中にいる。それを自分で乗り越えなければならないし、他人を頼りすぎちゃいけねぇ。

俺は、ヒントを与えるだけだ!笑」

 

イエロー

「僕が答えを出す…。」

 

レッド

「へこたれるなって!!

俺だって、ここに至るまで何回も大きな壁にぶつかってきたさ!

…でも、それを乗り越えた時、成長できた。

それなら、お前だって乗り越えれば必ず強くなる!!って事だ、じゃ俺は入場ゲートに行くわ!」

 

イエロー

「(いつもレッドさんやグリーンさんの後ろをついてばかりいた僕が、あと一歩で追い越せる所まできてるような気がするんだ…!

ここを乗り越えなければ、僕は一生憧れの方を越えることなんてできない…!!)」

 

レッド

「あっ!後な、俺は勝ちにこだわるお前でも、優しすぎるお前でも、どちらで挑んでこようが本気で相手になるから…なっ!!

ただ、欲を言えば…"素直"なお前と闘いたいってのが俺の気持ちだ!」

 

そう言い、レッドはトイレから出ていった

 

イエロー

「素直な…僕?

(僕は、共に過ごした仲間と一緒に試合を楽しみたい!そして、レッドさんを…!!)」

 

イエローは洗面器の鏡で自分を見つめ直し、平手で"バチンッ"と気合いを入れ、飲みかけのミックスオレを一気に飲み干した

 

一方、入場ゲート付近…

頬にくっきり涙の跡を残した一人の男が立っていた

 

レッド

「よぉ、最後まで観てたぜ…パープル。」

 

パープル

「はぁあ~!めっっっちゃ悔しいぜ~っ!!!

決勝で強くなったレッドと闘いたかったのになぁ。」

 

しばらく無言の状況が続き、パープルは会場出口に向け、歩き出す

 

レッド

「観ていかねぇのか?」

 

パープル

「観た所で俺には何の得にもならねぇしよぉ、まぁた涙が浮かんできちまうっての!!

それなら、いっそ1分1秒無駄にしないで、今からすぐにでも修行して強くなってみせるぜ!」

 

レッド

「そうか…、それなら止めねぇよ。

なら最後に一言だけ、いいか?」

 

パープル

「何だ?」

 

レッド

「俺が今ここに立ててるのは、紛れもなくお前のおかげだよ。

あの時、お前に負けていなかったらここに俺はいねぇ…、感謝してる!」

 

パープル

「真顔でお礼なんてすんなよ、恥ずかしいだろ!」

 

レッド

「またバトルやろうぜ?俺はいつでもマサラタウンで待ってるからよ!…なっ、ライバル!?」

 

パープル

「…っ!!…あったりめぇだよ!!

決勝、絶対勝ってこいよなっ!!」

 

レッドは入り口へ…

パープルは出口へ…また、1人のトレーナーの大きな挑戦に幕が閉じた

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