Road to ポケモンマスター ~カントー地方編~ 作:鍋奉行Lv5
そこで待っていたのは、四天王ワタルとオーキド博士だった
レッド
「どうして2人がここに…!?」
オーキド
「驚くのも無理はない。
じゃが、どうしても伝えておかなければならないことがあったんじゃよ!
レッド…、君がポケモンリーグで優賞した、このタイミングでのぉ。」
ワタル
「レッド君、君は今焦心苦慮してるはずだ…。
チャンピオンリーグへの挑戦だけでなく、他のことにもね?」
レッド
「え?」
ワタル
「ここまで言えば、ピンとくるんじゃないかい?」
レッド
「…親父の件ですか?
もしかしてワタルさん、あなたが俺の…」
ワタル&オーキド
「はっはっはっ!!」
ワタル
「いや~、君の想像力には毎回驚かされるねっ!!
例えそうだとしたら、誇らしいよ。
でも、残念ながら違うんだなぁ。
…ほら!もうそろそろ恥ずかしがってないで自分から説明してくださいよ?」
すると、奥からもう一人歩いてくるのが分かる
白のTシャツ、短パン小僧が履くような短いパンツに無精髭を生やした中年の男性が下駄を履き鳴らしながらやってくる
レッド
「(ホームレス…!?)」
オーキド
「ほれ、父親らしくせんかい!
久し振りの倅を前にして、うじうじしとる場合じゃないぞ?」
???
「オーキドさん、俺ぁ緊張しちまって何言えばいいか…。」
オーキド
「そんなもん、自分で考えておけ!!笑
思ったこと…、率直に話せばええんじゃないか?」
???
「はい…。
レッド、大きくなったな。テレビで見るよりもでかく感じるぜ。
誰だって顔してるな…そりゃあ、こんな格好じゃ、疑われちまっても仕方ねぇよな。
長いこと待たせちまったな、お前の父親…炎児(えんじ)だ!」
レッド
「俺の親父…、本物なんだな?
…逢いたかったっ!ずっと!ずっと待ってたんだからっ!!」
レッドは炎児の汚れたシャツもお構い無しに抱きつく
シャツが涙を吸い、濡れていく
炎児
「そんなに泣くんじゃねぇよ!
男だろ?…男だったら…うぉぉ!!」
オーキド
「親子そろって…、よく似ておるじゃないか!」
ワタル
「長年の思いが一気に込み上げてきちゃったんだよね。
さぁ、炎児さん、レッド君に言わなくちゃ!
直接呼ぶのが恥ずかしいからってわざわざ手紙を僕に書かせたんだから…!
自身の今と、そして過去の話を。」
炎児
「そうだな。
レッド、色々とぶつけたい気持ちがあるだろうが、今は我慢してくれ?
家に帰ったら母ちゃんと3人で団欒しようや?」
レッド
「…ったく、我が儘な親父だぜ。
へへっ、わかったよ。」
炎児
「どこから話そうかなぁ…、あれは俺がオーキドさんからポケモンを戴いた日に…」
オーキド
「そんなにも遡らんでもいいじゃろ!!遠回しにしたところで、無駄話がほとんどなんじゃから。
ほれ、あそこからでええんじゃないか?チャンピオンリーグで…」
炎児
「いや、まずはワタルとの出会いからだな。
あれは俺がまだ駆け出しのトレーナーだった頃、旅の途中で出会った新人トレーナー…それがワタルなんだ!
聞けば俺より年下で、挨拶から何もかもが丁寧な奴でな。
完全に見下してたんだが、こいつが強いのなんのって!!」
ワタル
「僕もあんな強いトレーナーに出会ったのは初めてでしたよ!
勢いだけかと思ってたんですけど…、何よりポケモンを信頼していた!!」
炎児
「そして俺達は会う度にバトルを重ね、やがて、ライバルとして意識しあうようになっていた!」
レッド
「親父とワタルさんがライバル!?」
炎児
「そっ!お前とグリーンみたいな関係だ。
こいつ、人前では良い子ちゃん振るんだけどよぉ、俺と競り合う時だけはむきになっちまってなっ!!」
ワタル
「それは…炎児さんが大人げないからでしょ~!?」
レッド
「へ~、あのワタルさんでも熱くなるのかぁ。ちょっと見てみたいかも!」
ワタル
「レッド君まで~!!
親子で僕をいじらないでよねっ!?」
炎児
「だが、こいつの才能ってのは、やっぱりその辺のトレーナーとは比じゃなくてな!
やがてカントージム本部の目に止まってスカウトされ…、そのまま一気にかけ上がり、歴代最強四天王の称号を手にした!!
それから欲張りやがって…その後にジョウト地方のチャンピオンの座にもつきやがったらしいじゃねぇか!」
レッド
「(そんな人に初対面で噛みついてしまったなんて、くぅ~っ!トレーナーとして恥ずかしいぜ。)」
オーキド
「ワタル君は今でも全国のトップを走り、ポケモントレーナーの憧れなんじゃよ。
ただ、そんなワタル君でも勝てないトレーナーが横にいたっ…!」
ワタル
「15年前のチャンピオンリーグ…僕を含めた四天王は、1人の男に一掃されてしまった。」
レッド
「まさか…それって!!」
レッドは炎児の方を振り向く
炎児はピースをして、ニタァ~と笑う
オーキド
「このだらしない男からは想像できんが、その実力は本物じゃ!」
レッド
「待てよ…、親父はどうしてチャンピオンになったのに、こんな人生転落みたいな姿になってんだよ!!
それに親父がチャンピオンだなんて話、これっぽっちも耳にしなかったぞ!?」
炎児
「やっぱ変だよな?
でもなレッド、お前…、どうしても目の前にやりたいことがあったらどうする?
それが、栄光の名を持っていたとしてもだ。」
レッド
「何が言いたいんだ?」
炎児
「俺はな、チャンピオンに就いてから、毎日忙しい会議だったり、本部から送られてくる業務を日々こなしていた。」
ワタル
「はは…チャンピオンってのは意外と多忙なんだよね。
休みをもらえるのも珍しいし。」
炎児
「ある日思ったんだ、俺がやりたいのはこんな事じゃねぇってな!
いくらチャンピオンっていう輝かしい肩書きがあっても、束縛された生活には耐えれなかった。
俺がしたいのはポケモンと旅をすることだ!!
強いトレーナーと闘って、自分が育てたポケモンがどれだけ通用するのか!
見たこともないポケモン探すために、前人未踏の地に足を踏み入れたりと…、一生の内ではやりきれないことだらけなこの世界で、やれるだけやりたい!
俺にとっては毎日が"挑戦"でありたいんだっ!!」
レッド
「だから、チャンピオンを辞めたのか…。
自分の道を曲げない為に、栄光を捨ててまで。」
ワタル
「尊敬しちゃうよね!
僕はそんな炎児さんだから、競い合いたくなるんだ!!
ライバルに敬意を抱くのも可笑しな話かもしれないけどさ…、多分彼以外に僕のライバルは務まらない。」
オーキド
「カントーの頂点がここまで立てるのは、滅多にないのぉ。
世間が知ったら大騒ぎじゃ!」
レッド
「そうだよ!どうして皆はこの事知らないんですか?」
オーキド
「炎児は1週間も経たずにチャンピオンを辞めてしまったから、もともと知ってる人は極少ないんじゃよ。
この事はカントー地方都市伝説級の事項となってしまったからのぉ!笑」
炎児
「そして、その年お前が生まれて、俺は旅立った…!母さんに全てを託してな。お前に聞かれても極力知らないフリをしていてもらうよう頼んでもいた。
お前がチャンピオンの子供と知ったら、変な責任感じちまうんじゃないかと思ってな。
それからと言うもの、ワタルと度々接触することで、色々近況は聞いていたさ。
ロケット団壊滅を始め、リーグ制覇、父親らしいことはしてあげれなかったが、これだけは言わせてくれ…、これからも己とポケモンを信じ、ブレる事なく芯の太い男に育ってくれ!!」
オーキド
「心配せずとも、レッドならお前の遺伝子を受け継いでおるよ!」
レッド
「それでも、俺はチャンピオンリーグに挑戦するべきか迷ってる…。
ワタルさんと戦ってみたい気持ちもあるけど!…もし、現状に戻れない事態が起きたら!!」
ワタル
「…。」
炎児
「何だ、そんな事で迷ってるのか。
だったらよ、俺とポケモンバトルでもするか?」
レッド
「え…?」
炎児
「ポケモントレーナーなら語り合いはポケモンバトルでするもんだろ!?
そしたらよ、見えなかった新しい部分も拓けるかもしれねぇ!
俺はお前の父親だ…、胸ならいくらでも貸してやるよ!?俺の熱い胸でよければだがなっ?」
レッド
「そんなら1つ…親に甘えて、その胸借りるとするかなっ!!」
レッドの父親、炎児は元・カントーのチャンピオンだった!
そして、モヤモヤした悩みはバトルで振り払うしかないと、いざ…勝負!!