辺りを見て回って分かったこと、それは・・・・
ここが旧石器時代だということだ。
あまりにも突飛で、にわかには信じがたいことである。俺だって知り合いがいきなり、
「時雨!!俺、昨日冷蔵庫の下敷きになって死んだんだ!!そしたらいつの間にか旧石器時代にいたんだぜ!!」
とか言い出したら、知り合いの医者に頼んで精神科への紹介状を書いてもらうレベルだ。
というか、まず冷蔵庫の下敷きになって死ぬって、どこのギャグマンガだよ。
・・・・・・・・・まあ、それで実際死んだんだけどね。
話を戻すが、なぜ今が旧石器時代と断言できるかというと、今見ている景色が原因である。
俺の視線の先には、教科書でみたような服装の人々がその手に尖った石をつけた槍のようなものを振り回してマンモスを追いかけている姿。
・・・・流石に、夢だよな?
出来れば冷蔵庫の下敷きになったことも夢であって欲しいけれど、贅沢は言ってられない。
きっと友達の誰かが勝手に訪ねてきて救急車を呼んでくれたお陰で今、俺は(確実に死ぬけど)まだ生きているんだ。
そうだ・・・・そうだよ・・・・きっと俺はまだ死んでないんだ。
頬をむにーっと力一杯引っ張ってみる、痛い。
両手で顔を叩いてみる、痛い。
・・・・・どうやら夢じゃないらしい。
「嘘だろ・・・・勘弁してくれよ・・・・」
俺はぼんやりと暮れていく空を見つめ、途方に暮れることしかできなかった。
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朝日が体を照らし、意識が覚醒する。
そこでやっと俺は自分が眠ってしまっていたことに気が付いた。
だが、夜、無防備に眠っていたにも関わらず動物に襲われなかったのは幸運と言えるだろう。
状況は一向に変わらない、どころか腹が減るやらなんやらで悪くなっている。
まあ、くよくよしていてもどうにもならないだろう。これくらいの心の広さがないと俺みたいな不幸人間は生きていけない。(大嘘)
顔が洗いたいし、とりあえず水を飲まないと死ぬので、川やら湖やら何かがないか探す。その途中で、服が所々ほつれているうえ、少し大きいことに気が付く。
え?大きい?
俺の体格は小柄なほうで、下手すれば中学生に間違われかねない。
そんな俺の服が、大きい、だと?
確認するべきことができたため、少し早足で水場を探す。
すると案外近くに湖があった。
「・・・・・・」
悪い予感は的中するもの。
予想通り俺の体は縮んでいて、さらに湖に映るのは俺とは似ても似つかない顔。
そう、まるで幼女のような・・・・・
一回目を閉じる。今のは見間違いだ。ありえない。
・・・・・さっきからこんなのを何回も繰り返している気がするが、これってフラグじゃないのか?
もう一度目を開く。やはり湖に映る姿は幼女のまま変わらない。
俺が右手を挙げれば湖の表面に浮かぶ俺・・・いや、黒髪長髪幼女も手を挙げる。
さあ、俺の持てるオタク知識を総動員してみよう。
Q.この状況は?
A.TS転生ですね分かります。
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自分が幼女になっていることに発狂して落ち着くまでに日が完全に高くなってしまった。
暴れたせいで服のほつれは酷くなり、所々は破れてしまっている。
破れたところを指でなぞり、ここが”縫い付けば”いいのに、と考えていると。
「え?」
思っていた通り、そこが綺麗に縫いついた。
不思議に思い、他の破れているところにも指を当てて軽く念じてみると、何もしていないのにそこが綺麗に縫い付いていく。
------”縫い付ける程度の能力”--------
そんな文字が頭に浮かんだかと思うと、その能力の使い方が自然と体に入ってきた。
・・・・って東方かよ!!
自分の一番好きな世界に転生できたことにホクホクしながら、試しに思い付いたことを能力で試してみる。
何ができて、何ができないかというのははっきり分かってしまうので、無駄骨を折ることはない。
「霊力を”縫い付けこる”」
「肉体を生に”縫い付ける”」
「姿を肉体に”縫い付ける”」
この三つを縫い付けることで、セルフ不老不死の完成だ。
この能力は多少難しいことでも、それ自体を縫い付けるのではなく、バラバラにして縫い付ければできるという優れもののようだ。
「霊力を”縫い付ける”」
「魔力を”縫い付ける”」
「法力を”縫い付ける”」
「妖力を”縫い付ける”」
物は試しであったが、ある程度の自身のパワーアップにも成功した。
だが神力だけは信仰がないと身につかないらしく、信仰を縫い付けてみるも無理であった。
・・・・・・・・あれ?この能力ってチートじゃない?(今更)
主人公の能力は
「縫い付ける程度の能力」と
「不幸を幸運に変換する程度の能力」
主人公は自分で二つ目の能力に気付いていない。
二つ目の能力は自動発動型。不幸な目にあえばあうだけ一度に訪れる幸運が多くなる。
主人公の転生という幸運を手にするために今まで生きてきた中の不幸が全て使われたため、不幸ゲージはただいま(女体化分を足して)30。
(動物に襲われなかったのは来てからの不幸)