東方裁縫録   作:甘夏缶詰

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第六話:月に酔うもの、月を忌むもの

 

【月面移住計画、重大発表!?】

 

『先程、御三家の一家当主、××様より、月面計画についての重大発表がありました。えー、まずはVTRをご覧下さい。』

 

▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

 

 

街角に取り付けられた巨大ディスプレイにテロップが流れ、そんな声が聞こえてくると、道行く人は皆足を止める。

 

 

私もその中の一人であり、良さそうな場所にあった手すりに腰掛け、お茶を竹筒から飲む。

 

 

フェムトファイバー等の現世では作れていなかったものは作れる癖に、ペットボトルや缶ビール、煙草やゲーム等は一切作られていない。

 

そういう発想が生まれないのだろうが、いかんせん不便である。

 

 

 

『“穢れ”。それは、生物の本来永遠とされるべきである生の営みを阻害する、邪悪なる概念である。』

 

 

 

モニターには、ほんの数秒ほどの画面の暗転ののち、少し更けた50代程の人物が画面に映し出され、低い声で語り出す。

 

 

 

 

『だが我らはそれに抵抗する手段を見つけた。×月×日、我らは希望の新天地、月へと向かうのである。』

 

 

『だがそれを認めぬと襲ってくる妖怪も御万といるだろう。ならば諦めるのか?いや、断じて否である。綿月家の協力の下、神の御力を、知慧をお借りし、我らに栄光在らんことを祈るのである。』

 

 

 

 

どこぞの洗脳宗教っぽく聞こえなくもないこの台詞は毎度の決まり文句のようなもの。重大発表はこれからだ。

 

 

 

『さて、この中には、地上に残ろうという考えの者もいるであろう。だが、先日ある事実が発覚した。』

 

 

『我らが月へと出発して間もなく、この地球を隕石が襲うというのだ。既に決定事項であり、避けようのない悲劇である。』

 

 

 

悲壮感と哀れみの籠った顔で大袈裟に振る舞って見せる男。

 

だが実際の所、こいつはそんなこと微塵も感じてなどありゃしない。心の内にあるのは、自らの提案した月移住を批判した奴等への勝利感による愉悦と言った所か。

 

それだけではない。きっとこいつが決定事項と言ったと言うことは、その隕石は何か仕組まれているか、もしくはこいつの用意した紛い物の、それでいて威力は本物以上の隕石であろう。

 

 

「・・・・・悪魔め。」

 

 

私はそう呟いて、その場を後にする。

 

こいつの言葉を最後までまともに聞いていたら、頭がどうにかなりそうだ。

 

『ーーーーーーーーーー!!』

 

スピーカーから聞こえてくる男の声は欲にまみれていて、穢れていた。

 

穢れ等について見極めるのは神の十八番であるため、声で穢れているかを判断するなんて朝飯前。だからこそ、男の穢れに満ちた声は変に頭に突き刺さる。

 

「穢れを払う何て言って、一番穢れているのは誰なんだろうねぇ。」

 

私は少しクツクツと笑いながら、神社へと来た道を引き返した。

 




よくわからない。

深夜のノリで書いた。

次回辺りで人妖対戦る。主人公は地上に残ると言うか、何か神でも妖怪でも無差別に最終的に殺されにかかられて取り残されるかな。

ネタバレスマソ。
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