「神・・・様・・・?」
兵士はいつの間にかそう、口に出していた。
「そう、神様。
・・・・妖怪共は皆、この山神が引き受ける!!
家族を、人類を、同胞を命懸けで守り抜いた勇者達よ!!
胸を張って月へ向かえ!!」
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そこからの戦いは圧倒的であった。
襲い掛かろうとしていた妖怪達は文字通り地面に"縫い付けられ"、動くことすら敵わなくなる。
その戦いの様子はモニターを通じてロケットで先に月へと出発していた者も見ていた。
最後まで地上に残っていた家族を助けられたものは涙を流し、そうでないものは神々しさに目を疑う。
それほどまでに、舞うように妖怪を殲滅していく神の姿は神秘的で、美しいものであった。
神のお陰で妖怪の数が減って来ると、ロケットの発射準備も整ったようであった。
ロケットに乗り込んだもの達は神に感謝の言葉を叫びながら涙を流す。
そんな中、ロケットの微調整の為に最後まで地上に残っていた永琳と、最後まで戦っていた小兎姫は妙な胸騒ぎがすることに気が付いた。
「気のせいよね・・・・小兎姫、全員乗ってる?」
「乗ってるわよー。」
乗員の確認が終わると、間を置かずにロケットは出発した。
人々は神の勇姿を目に焼き付けようと窓へ駆け寄り、永琳と小兎姫は友との暫しの別れの余韻に浸る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーその時であった。
ロケットの外を何か大きい白いものが通過していったのは。
多くの者はそれが何なのかには気づかず、不思議に首を傾げる。
だが、永琳は知っていた。何故なら彼女はそれを開発した張本人なのだから。
「時雨ええええええっ!!!」
永琳がそう叫ぶと同時、外では大きな爆発が起こる。
それこそ、その爆発の巻き起こした暗雲で地上が見えなくなってしまう程に。
地上に取り付けられていたカメラのうち一つは辛うじて原型を留め、その地上の惨状を映し出していた。
それはまさに地獄。
地上へと落とされたのは一瞬で地上を地獄へと変える事の出来る、原子爆弾であったのだ。
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「はがっ・・・・はがっ・・・・」
生きている。いや、【一度死んで生き返った】が正しいのか。
辺りはまさに火炎地獄と言う有様で、今自分の姿がどうなって居るかを想像するだけでも吐き気がする。きっと皮膚は爛れ、グロデスクな事になっているであろうから。
「み、水・・・・・・・・・・・・・・・・」
死ぬ程喉が渇く。喉が燃えているかのようだ。
燃え盛る火に身体を焼かれながら、水を求めてフラフラと飛ぶ。
結界を張っていたのが功をなしたのか、運良く山は燃えていなかった。
結界をくぐり抜け、最後の力を振り絞って川へと向かう。
目的の川に着いた時には喉の渇きはもう限界で、そのまま水の中に飛び込んでしまった。
ーーーーーーここで、もう一度、死ぬ。
再び生き返って、痛みにのたうち回りながらぼうっとした頭でこういう状況で水を飲むと、内臓がどうにかなって死んでしまうのだと言うことを思い出す。
その時には只々水が欲しい一心で、そんな事を考えている余裕も無かった。
「この山だけでも、守らないと」
私は立つ。精神力を一時的に"縫い付け"て。
山に火をうつらせないために、霊力を最大限に使って結界を強化していく。
結界を強化している間にも、火は山の周りで燃え盛り、空からは死の灰が降ってきていた。
結界を強化し終わり、力が抜けてその場にへたれこむ。そして私はその姿勢のまま、火に呑み込まれて姿を消していく町を見守っていた。
永琳達は神力関係の話は聞いていたけれど、時雨が不老不死ということは知らなかった。
それは永琳の不老不死の考えを自分の影響で変えてしまって蓬莱の薬などが作られなくなるのを時雨なりに危惧したから。
あと原子爆弾の表記に不快な思いをされた方がいらっしゃいましたらすみません・・・私なりに原爆体験者の方の話を必死にメモして纏めて考えて書いた結果です。
『不幸を幸運に変換する程度の能力』の不幸指数の説明を活動報告に載せました。分かりにくいかもしれませんが参考程度に。