第九話;天使のような悪魔の姉妹
人間が月に移住してどれ位経っただろうか。
私は現状維持の魔法を掛けた神社で何をするでもなくごろごろと転がっていた。
あの後も原子爆弾が次々に振ってきたり天然物の隕石も降って来るわで地上はボロボロ。高度な文明の跡は消滅し、地上に残っていた人類達は滅亡した。
隕石や原子爆弾が山に落ちてこなくて良かったと本当に思う。いくら私の結界でも直接衝突なら防げるか分かったもんじゃない。
その結果出来上がったのは、辺り一面に焦地と水が広がる中、私の結界の中だけは自然が残っているという不思議な状況だ。
そう物思いに耽っていると、結界の中に大きな生物の反応を捉えた。
いくら自然が残っていると言っても何処にでもしぶとく生える雑草とか季節を問わず見られる常緑樹や生命力の強いものが殆どである。それ以外のものは自然と枯れていく状況下で生きられる生命など少ないうえ、新しい生命は結界に阻まれて入れない為に結界の中に大きな生物は殆どいない。
結界を超えることが出来るのは人間が迷い込んだ場合のみ。そう結界を組み込んであるからなのだが、今の結界の外の状況では人間なんてとても生きていけたものじゃない。
不思議に思って生命反応のある場所に向かう。
そこで私が見たものは、
自然の中で軽やかに遊ぶ二人の天使の姿であった。
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いや、天使と言っても差し支えない容姿ではあったが、その二人は天使では無かった。
可愛い悪魔、幻月。
メイド幻想、夢月。
東方幻想郷にてエクストラボスとして登場する二人の悪魔がそこにいたのだ。
確かに二人は夢幻世界に住んでいるのだから、地上の惨状など気にせず生きていても可笑しくない。だが、問題はそこではなく何故二人がこの山にいるのかということだ。
力量を比べてみるが、二人合わせてもやや私の方が上回る。・・・いや、発狂されたら勝てないだろうけども。
こちらの力の方が強いというのはある程度安心するのには十分過ぎる条件で、私は二人に接触をとることにもう何の躊躇いも無くなっていた。
「そこの二人の悪魔さん。不法侵入はやめて貰えるかな?」
「あら、ここはあなたのテリトリーだったの。ごめんなさい、お邪魔しているわ。」
私がそう話しかけると、幻月が可愛らしい天使そのものの笑みを浮かべ、謝罪を口にした。
「ほら、夢月も謝りなさい。」
「・・・・・ごめんなさい。」
遅れて夢月も謝ってくる。と言うかまだメイド服じゃないのね。
悪魔だからもう少し好戦的だと思っていたのだけれど、そうでは無いらしい。
「別に大したことじゃ無いからわざわざ謝らなくても大丈夫。私はこの山の神様をやっている、雅 時雨。よろしく。」
「私は幻月。で、こっちは妹の夢月。どっちもこんな見た目だけど悪魔よ。よろしくね。」
「夢月よ。よろしく。」
最初はバトルさせようかと思ったけど、私の中の幻月様が好戦的じゃ無かったのでこんなのになってしまった。
不快に感じる人がいたらすみません。