魔法少女まどか☆マギカ -奇跡の切り札-   作:歌音

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第1話Ω/だってそれは優しいオモイだから

 

 

 

「はいこれ」

 

ほむらは買ってきたばかりの服一式を少女に渡す。

 

「…ありがとう」

 

「礼ならあの男に言うのね」

 

今は部屋の外にいる剣崎の事を思い浮かべて、少女は顔を赤くする。

 

「うっ…」

 

「どうしたの?」

 

「ブラ…胸き…きゃん!」

 

少し理不尽はほむらの一撃は少女の頭に落ちた。

 

 

 

 

 

 

「俺の名前は剣崎一真。よろしくな、二人とも」

 

「…暁美ほむら、よ」

 

「あの…『佐久間かえで』、です」

 

3人はとりあえず自己紹介をする。

 

「まさか本当にいるとは思わなかったわ。仮面ライダー…確か『ブレイド』だったかしら?」

 

剣崎は驚いた顔をしてほむらを見る。

 

「あら、2000万部の大ベストセラー『仮面ライダーという名の仮面』は私も読んだわよ」

 

「あ、わ、私もです」

 

「あぁ、虎太郎の本か…」

 

剣崎が顔を少し陰らせる。

 

「そうか…あいつスゴイな」

 

ほむらはその顔を見て、本の一文を思い出す。

 

 

-彼はとってもお人好しで、バカみたいにまっすぐな…正真正銘のヒーローだった-

 

 

(ヒーロー…か…?)

 

「で、君達は?」

 

「あ、あの…私と、その子も多分…『魔法少女』…です」

 

それを聞いて剣崎の目が点になる。

 

「まほう…しょうじょ…?」

 

「そうよ」

 

ほむらが口を開く。

 

「私達は『キュゥべえ』と契約して、どんな願いでも一つ叶える代わりに、呪いから生まれた絶望を撒き散らす『魔女』と戦う代償を追ったモノ…それが『魔法少女』よ」

 

「魔女?」

 

「…さっきまでの私です」

 

それを聞いた剣崎は目を開く。

 

「どういうことなんだ?なんで魔法少女の君が戦うっていう魔女に?」

 

かえでは口を紡ぐ。

 

「…説明するわ。多分、その子より私の方が説明できる…」

 

 

 

 

ほむらの話す真実はおぞましいものだった。

 

キュゥべえの本当の名は『インキュベーター』という地球外生命体で、本当の目的は魔女を倒す為ではなく、宇宙の寿命を延ばすために、感情をエネルギーに変え、熱力学第二法則に縛られないエネルギーを採取する事。

 

そのエネルギーは、魔法少女となった少女が絶望し魔女となる際に発生する。

 

そして…『魔女』とは『魔法少女』のソウルジェムに穢れがたまった、魔法少女のなれの果てとほむらはいった。

 

「キュゥちゃん…最初から私を騙してたんだ」

 

かえでは顔を沈める。

 

「どうすれば…どうすれば魔女になるのを止める事が出来るんだ」

 

「魔女の殺して手に入る魔女の卵『グリフシード』で浄化しても…いずれは魔女になる。それに、心が堕ちれば急速に穢れは溜まるわ。結局…遅いか速いかよ」

 

「わたし…」

 

かえでは沈んだ声で…

 

「わたし…やっぱり人間には戻れないんだ」

 

「何を言うんだ!?君は人間に戻ったじゃないか!」

 

「いいえ、正確には彼女はまだ人間じゃないわ」

 

ほむらの声が剣崎を否定し、少女の持っている宝石…ソウルジェムをさす。

 

「魔法少女となった時、彼女の魂はそのソウルジェム化している。それがある限り、彼女は『死ねない』けど…それと同時にソウルジェムがないと生きられない」

 

ほむらは気づいているだろうか…自分の声が…

 

「絶対に…逃げられない…」

 

泣き声に近い事を…

 

「ごめんなさい…」

 

泣きながら、かえでが剣崎に言う。

 

「せっかく…助けて…くれ…たのに…ごめん…なさい」

 

 

「どうして…こんな…」

 

剣崎は絶望する。

 

(救えないのか…!)

 

目の前の少女を…

 

(約束したのに!?)

 

 

《フォゥ!僕の力を使う~、ブレイド?》

 

 

「…!」

 

 

剣崎の心に突如、一人の男の声が聞こえた。

 

剣崎は1枚のカードを取り出した。

 

淡く光るカード…ほむらとかえでは身をすくめる。

 

そのカードから…今まで感じた事のない、信じられないくらいの『力』を感じるからだ。

 

 

《僕の力を使えば…出来るよ?でも、その時、君が『化け物』だって知られちゃうね~?》

 

 

カードは嗤う…

 

 

《どうする?正義の…》

 

《そうか…お前を使えばいいのか》

 

その瞬間、カードから、呪いのような怒気を感じる。

 

《…チッ、揺るげよクソが…!つまんねぇだろうが!》

 

剣崎はかえでに優しい笑顔を向ける。

 

「かえでちゃん…君はもう人間だ。これからもずっと…だ」

 

「無理…だよ…だって…願い叶えちゃったから…お母さんの病気…治しちゃったから…」

 

かえでは願いを叶えた時の事をいう。

 

かえでは母親の病気を治すために魔法少女になった、と。

 

しかし、母親の病気は治ったが、今まで蓄積された病魔の後遺症は治っておらず、魔法少女になってしばらくしてから死んでしまったこと…

 

掌を返したように冷たくなった周りの人達…

 

『母親の病気を直すのが君の願いだっただろう?命までは知らないね』

 

と最後の信じていたものまで信じられなくなり、魔女になってしまったこと…

 

「わたし…わたしは、ただ…おかあさんといっしょに…くらしたかっただけ…なのに…」

 

剣崎はそっとかえでを抱きしめる。

 

「大丈夫…これから少しずつ幸せになればいい。君みたいな優しい子は…シアワセになれるんだ」

 

「気休めの言葉なら…やめなさい!」

 

ほむらが剣崎の言葉に激高する。

 

「いったでしょ!もう後戻りできないのよ!人間に…人間じゃ、奇跡は起こせないの!」

 

「大丈夫…」

 

剣崎は立ち上がる。

 

「人間が奇跡を起こせないなら…俺が起こす!」

 

『!?』

 

剣崎の腰部に先ほどとは違うベルト…ジョーカーラウザーが現れる。

 

「君を…」

 

そしてその中心にカードを通す。

 

「助ける」

 

 

《ABSORB》

 

 

 

 

 

剣崎は眼を開く。

 

何もない空間…そこには、三人の人間がいた。

 

しかし、その発する気配は人間ではない…恐ろしいほどに禍々しい力を感じる。

 

「まったく… 言うんじゃなかった!大失態!」

 

『矢沢』が悪態を付く。

 

「まったく…バカをやってくれたものだ。しかし、神聖なるこの地に手を出すモノがいるのは気に食わない」

 

『高原』がサングラスを直す。

 

「『人類の始祖(ヒューマン・アンデッド)』が愚かな事を望んでくれたおかげで、我々の種族が存命している…が、そのおかげで『神の聖地』に手を出す愚か者を招いた。これは排除しなければならない」

 

「そうだね」

 

『キング』はつまらなそうに、

 

「次のバトルファイトの時にちょっかい出されたら面白くないや…そうだ、僕がやろうか?君のカラダを乗っ取って…ジョーダンだよジョーダン。まあ、がんばりなよ」

 

 

「ちっ!まあ、次こそは…フォゥ!」

 

「そう、次こそ…」

 

「次こそ僕が面白くするよ」

 

『世界を支配する。その邪魔をするモノは…』

 

 

 

 

 

「な、なに…!?」

 

「あ、あぁ…剣崎さんが…」

 

そう今の剣崎の姿は…化け物だった。

 

白と黒に別れた体、骸骨のような顔の両側に山羊の骸骨が付いている。

 

山羊の化け物はかえでのソウルジェムを取り上げる。

 

「ふぅぅぅ!」

 

「きゃっ…!」

 

次に怯えるかえでの体を抱き寄せる。

 

「はっ!」

 

かえでの体とソウルジェムが光り出す。

 

 

(SPIRIT)…『人類の始祖(ヒューマン・アンデッド)』がバトルファイトに勝利した、人間の『根源』…)

 

「きゃっ…あ、あれ?」

 

ソウルジェムはゆっくりとかえでの体の中に入っていく。

 

(これを…正しい場所へ…)

 

「そ、ソウルジェムが…」

 

「うそ…」

 

「これでもう大丈夫だ」

 

山羊の化け物から元の剣崎の姿に戻っていく。

 

「ソウルジェムを魂に戻して、君に『吸収』させた。これで君はもう大丈夫だ」

 

かえでは何が起きたか分からないのか…しかし、さっきまでとは違う、自分の魂を自分の体の中から感じ、泣きながら自分のカラダを抱きしめる。

 

「おかえりなさい…わたし…」

 

その言葉に剣崎は優しく微笑む。

 

「あなた…何者なの?」

 

ほむらは剣崎に問う。

 

「俺は…ただの『アンデッド(バケモノ)』だよ」

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

キュゥべえは凄まじい力を感じ、その方角を見る。

 

「今のは…まさかね」

 

知っている力の波動を感じたと思ったが、間違いだとキュゥべえは判断した。

 

「この星が『聖地』な訳がない。だってこの星には…」

 

キュゥべえが感情のない声で…

 

「大量の個別生命体が存在するんだから」

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