艦これ~真空鎮守府~   作:西木野 嵩真

1 / 1
1話

日本の本国から南にかなり行ったところにある「真空鎮守府」。

南方海域奪還の最前線として、活躍するこの鎮守府に、後に語りつがれる伝説が起きようとしていた。

 

「ふう、空母の建造依頼を出しておいたが、そろそろだな…誰が来るのだろうか。」

提督室の椅子に座っていた提督は、デイリーで秘書艦をしていた電に話しかけた。

「すごく楽しみなのです。これで、南方海域奪還の目標が、さらに前進するのです!」

提督は、嬉しそうに語る電を微笑ましそうに見ながら、提督室の通信機の所に座っている大淀に指示を出した。

「大淀、今すぐみんなを工廠に集めてくれ。着任式だ。」

 

『提督より連絡前。鎮守府内にいる艦娘たちは至急、工廠に集合せよ。繰り返す…』

「新しい仲間が増えるネー!楽しみデース」

「楽しみっぽい〜」

「そうね、仲間が増えるのは心強いわ」

「私も楽しみです!」

工廠には、鎮守府にいる艦娘が揃っていた。

「今、鎮守府にいるのはこれだけか。

よし、これより新たな仲間の着任式を行う。

これにより、さらに戦力が大きくなる。

よし、それじゃ、開けるぞ・・・・・・」

そう言って、提督は建造室のドアを開けた。

「・・・・・・オゥッ!?」

しかし、そこにいたのは皆の期待を180度覆すものだった。

「あ、あれは…!」

「ヲ級なのです!」

「ヲ?」

怪物のような帽子を頭に乗せ、黒いマントを羽織り、ステッキのようなものを持っている。その姿は、空母ヲ級そのものだった。

「司令官!敵が!」

「提督ゥ!危ないデスから下がってクダサーイ!!」

ヲ級を見つけた彼女たちは、提督を庇う様に前に立つと、一瞬で武装をし、攻撃態勢に入った。

「第一攻撃隊、発艦始め!」

「全砲門ファイヤー!」

「電の本気を見るのです!」

全員の攻撃が、ヲ級めがけて飛んでいく。

「ヲ、ヲ!」

「まて、戦闘中断!」

しかし、ヲ級への攻撃は、届く前に提督によって、止められた。  

「…ッ!どうしてよ!?」

「司令官?」

「どうしたデースカー?」

「早く攻撃しないとマズいっぽい~」

攻撃を止められて驚いている彼女たちに、落ち着いた口調で、提督は言った。

「もしかして・・・今回の建造で着任したのは・・・ヲ級なんじゃないか?」

提督の予想もしなかった言葉に、彼女たちは動揺した。

「…な、何を言っているの!

今はそんな冗談を行っている暇はないわ!」

しかし、その動揺もつかの間、彼女たちは、提督の言葉に意見し始めた。

「ありえないっぽい〜」

「そんなことあるんでしょうか?」

提督は、冷静な口調なまま言葉を続けた。

「オレもそう思うが・・・・・

ヲ級がここまで接近したなら間違いなく戒厳令が敷かれるはずだ。

それがないということは、それしかないだろう…」

「『私は攻撃なんてしないよ!』」

そのとき、じっとヲ級を見ていた電が、ぽつりと呟いた。皆の目線が電に向く。

「どうしたの?電ちゃん」

「ヲ級がそう言っているのです」

「電お前、ヲ級の言葉が分かるのか!?」

「何となくですが、分かるのです。」

驚いた様子で問う提督に対して、電は自信無さげに答えた。

「そうか…では電、ヲ級の世話を頼めるか?」

「はいのなのです!」

「宜しく頼む…みんなも、それでいいか?」

一呼吸おいて、提督は、ほかの艦娘にも尋ねた。

「私はテートクがいいならオッケーデース!

「夕立も大丈夫っぽい。吹雪ちゃんは?」

「私も構いません!司令官。」

「よし、ではこれで解…」

「待ってよ!!?」

提督の声は、瑞鶴の声によって遮られた。

「私は認めないわ!

コイツは深海凄艦なのよ!?

敵なのよ!

一緒に生活なんてできる訳ないじゃない!」

瑞鶴は一気にまくし立てる。

「Oh…瑞鶴、落ち着いてくだサーイ」

皆が宥めるも瑞鶴は収まらなかった。

「みんなは忘れたの!?翔鶴姉ぇはコイツらに沈め…」

「ッ瑞鶴!!!」

それまで黙っていた提督はその言葉を聞いて表情を変えた。

「…ッもう知らないわ!!」

そう言って瑞鶴はどこかへ行ってしまった。

「忘れるわけないだろ…!」

工廠には重い空気が漂っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。