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世界のバランスが完全に崩れた時、自然作用や生存本能を剥き出しにした人間たちによりさらにバランスが崩壊した。
力あるものは力で、その力を求めるものはそのものに相応の対価で、宗教に縋るもの...
各々がそうだと只管に信じた形で再生していった。
この物語は“財”“法”“力”“宗教”の何れかを頑なに信じ、争い、冷戦を繰り返してきた元、仲間たちの憂いであり、
そして、彼女たちの変わり様に嘆き、姿を消したある人間の沈黙と慟哭である。
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変わり果て、そして再興したその町並みは歩く人々のポリシーでどぎつくも、秩序を感じさせもしていた。
ホログラムからはリーダーたちが推奨する製品や食品、服などが流れていた。
フードをしっかりと被り、サングラスをかけた三人が町並み、人々、ホログラムとを無感動に眺めて人ごみに紛れていった。
完全中立を決め込む情報管理局の管理局長室で映像を流し視ていた女が、その三人に目を止めた。止めざる得ない人物たちだからだ。そして、頭を悩ませ出した。
完全中立であるから規制する事は容易いが、分かりながら警告を流さなかった事で言われない制裁を与えられたくはない。
人間、皆わが身が一番可愛いのだ。
そうなのだが、現在和合はされてないが安定している所にこの映像を流す。
“財”“法”はもとより、“宗教”も“力”ですら感情を剥き出しにし出すだろう。
そう渋い顔させて胃の不快感で更に歪ませた時に、ドアモニタが画像表示された。
<山口真美、武嶋蔦子。非公式、録音規制願い有>
その文章と動画が周りに漂う。
ため息には安堵なのか更に加わったからなのか、取敢えず情報管理局局長の肩書きを持つ女、築山三奈子はロックを非公式解除をし、録音規制を掛ける。これで文章が回ってこない限り開示義務も発生しないし、付け替えの時間も多少稼げる。文章の作成者が“法”であればの話であるが。
「お久しぶりです、築山さん。」
非公式らしく肩書きでは呼んでこない。だからこそ、築山三奈子も武嶋蔦子を肩書きでは呼ばない。
「お久しぶり、武嶋さん」
そう声を掛け、ドリンクタンクから緑茶を取りだし振る舞う。
「局長、私は水にします。」
山口真美は呆れているが、こんな世界になってから生粋の食物や飲み物は希少すぎるのだ。安心安全健康、本物以上だと言われてる合成食品しかないのではないかと一般人は考えてきている。そこに築山美奈子が合成食品ではなく、生粋の割合は不明だが、緑茶を手にしていたら四つのポリシーの何処からかの流しがあったと考える。
だから、山口真美は呆れる。情報管理局副局長の立場としても、かつて姉妹制度で妹だった立場からしても。
「相変わらずですね、真美さん。」
武嶋蔦子はそう笑うが、顔には厳しさを少し出す。
「武嶋さん、非公式にした理由はこれね?」
築山三奈子は武嶋蔦子の表情を察知し、切り出す。早急さが全面に出てしまい、失礼に当たってしまってても戻せないから仕方ないし、気にする仲ではない。
「やはり、映像にも残ってましたか...」
武嶋蔦子は目を伏せ、どうしたものかと考え込む。こんな世界に変わる前は武嶋蔦子は写真を愛し、その写真に活き活きした少女たちを写して日々のモチベーションを上げていた。それは築島三奈子にも山口真美にも言えることだった。
「蔦子さん、映像以外でも?」
山口真美が先を促す。目を閉じたまま答えを武嶋蔦子が口を開く。
「ええ、噂が真密やかに。『屍者の王国』が築かれた、と。」
その答えに築山三奈子も山口真美も少し気を落ち着かせた。
「ああ。毎年何処かで見かけるやつね。」
築山三奈子がその話のタネは分かってると言わんばかりに引き上げる。
「築山さん、その主が映像の人物でも?そして消滅したとその原書の民族が公言していても尚、進化した形で行われてると言われてても?」
武嶋蔦子は緑茶を啜りながら、警戒しろとも言わんばかりの声色で聞く。
「まさか?!そうなれば、“財”“法”ばかりの騒ぎではないわよ?」
慌てだす築山三奈子を山口真美が宥める。その姿を見、武嶋蔦子が柔らかい顔になる。
「取敢えず、お互いに注意をし、次に行われる公式決定会議に報告を出せるか差し替えをするか考えましょう」
そう言い、席を立つ。
築山三奈子も山口真美も武嶋蔦子も考えていることは一緒だ。
(あなたは何故、行方をくらまし、物言わぬ国の主に?かつての仲間で争う今に幻滅してたとしても、引っ掛け回しに戻ったの?)
答えは三人に見つかる訳でも、当の本人に聞く訳にもいかない。
モニタでは先ほどとは違うエリアの映像が映っている。三人の女性の内、一人が映像に向かってかつてでは考えられない表情で笑みを送っていた。