幼女と青年   作:masiro1130

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おはやっぷーましろだよ。

今回の新作「幼女と青年」なんと、完全オリジナル書き下ろしなのです!
まぁそんな当たり前のことはおいておいて
この作品、私の処女作に当たる作品ですね。

書いてて楽しいものを読んでもらう。
今のところはそれを目標にがんばって生きたいと思います。
それでは本編へ

いらっしゃいませお客様


先にいっとくけど今は冬

闇の中、そこには静けさがあり趣が感じられる。

どこの家にも光はなく動物の一匹もいる様子はなかった。

そう、様子はなかったのだ。

だがそれは確かにそこにあった。

そこにあったと言うよりはそこにそびえたっていた。

コンビ二エンスストア、誰もが耳にした事のある単語だろう。

雨の日も風の日もただそこに存在するそれは皆の心のよりどころでもあったのだ。

さまざまな品が並び、客を飽きさせないための工夫がなされている。

ここはそんなコンビニエンスストアのひとつ。

そこでは一人の純粋無垢な女の子が働いていた。

その女の子に会いにくる客だってもちろんいた。

そんな客の中の一人に若い青年がいた。彼はその女の子の笑顔を守るためだけにこのコンビ二に来ていたのだ。

彼女は決してその青年に好意を抱いていたわけでは無いのだが、心のどこかで青年を気に入っていた。

どこにでもある小さなコンビ二で彼女と青年は出会ったのだ。

それはまるで運命のような出会いであり、必然のような出会いでもあった。

彼女は青年にお勧めの商品を教え、青年はそれをいつも買っていた。

決して毎回必要なものというわけでは無かったが、それでも先ほども言ったとおり笑顔を守るためにどんなものでも買っていた。

日常用品からお菓子まで、時にはなぜ置いてあるのかも分らないきぐるみまでに至った。

そんな毎日がただただ淡々と進んでいく。

互いに明日も会うのだろうという確信に近い思いを持ったまま時を過ごす。

そして次の日に彼女と青年は顔を合わせ笑って見せるのだった。

今日も元気だよ、また来たよ。

そんな言葉を乗せた笑顔を彼女たちは見せ合うのだった。

これはそんな彼女と青年のお話。

彼女たちにとってすればいつもの情景、しかしながらそれは特別な情景でもある。

彼女と青年は本来ならいる立場、着ている洋服の種類が別だっただろう。

だがしかしだ、このコンビ二この場所では彼女が制服を着用し、青年が私服を着用していた。

彼女は若干8歳、世間で言う幼女なのだ。そして青年は19歳の大学生だった。

本来ありえない組み合わせで進む不思議な時間。これはその一部分にしか過ぎない。

それではご覧いただこう。

幼女と青年のコンビ二で繰り広げられる言動を……

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「いらっしゃいませ」

 

すこし甲高いようでそこに可愛げのある声が店内に響く。

その声の届く先には眼鏡をかけた黒髪の青年が立っていた。

彼からは清楚さが感じられるが彼は決して清楚というわけではなかった。

目の前の笑顔を守りたい。彼は確かに彼女と同じで純粋ではあったが清楚ではなかった。

主に心が。

 

「おはよう幼女さん」

 

彼女に挨拶をする彼の顔はまるで夕日のように高揚していた。

その顔はまるで彼女のことを思いすぎているが故にここまで高揚しているのだ。

よくよく聞けば声にも少しの狂気を感じる。

彼は彼女のことを思いすぎていた。

 

「あ、青年さんおはようございます」

 

まぶしすぎる笑顔を浮かべながら彼女は彼に挨拶を返した。

そのまぶしさは太陽よりも明るく彼の心を暖かく照らしていた。

そんな時彼女が口を開いた。

 

「青年さん!今日はサンオイルが半額です!」

 

彼女は片手にもったサンオイルを笑顔と共に彼の前に突き出す。

いっておくが今、この世界の季節は決して夏ではなく、むしろ反対だ。

そう、冬を迎えていたのだ。

ただでさえ毎回このコンビ二で彼女が勧める商品を購入しているのだ。

彼の財布はすでに悲鳴を上げていた。

来年の夏に使えばいいだろう。そんな考えもあるだろう。

しかしだ、彼には友人と呼べる人物は誰一人としていなかった。

故に海などというリア充が大量に発生し、友人とともにナンパするような場所に行く予定はなく

行く気も彼にはなかった。

そんな彼がサンオイルを買ったところでいったいなんになるのだろうか。

財布を圧迫し部屋に飾られたサンオイルになんの意味があるのだろう。

つまりだ、サンオイルなんて財布を圧迫するだけで彼にとってなんの意味をなさないアイテムなのだ。

 

「(しかしだ、幼女さんが勧めてくる商品……そう簡単には断れない。)」

 

彼は考えた。サンオイルを買わずに彼女の笑顔を守る方法を……

周りを見渡せば、数多くの菓子や飲料が並んでいる。

彼の脳は瞬時に活性化し働いた。

 

「(そうだ!暖かい飲み物を買って幼女さんに渡そう。そうすれば笑顔を守れる。)」

 

確信に近い感覚をもった彼はすぐさまホットドリンクのコーナーへ向かう。

そこに陳列された商品には様々な種類があった。

コーヒー・紅茶・ココア・カフェオレ……他にも多くの商品が陳列されていた。

 

「(幼女さんはまだ8歳。ここは無難にココアで……)」

 

彼女のために必死に商品を選び、ココアに手を伸ばした彼の目にとある商品が入ってくる。

それは白く輝き、若干の酸味を持ち合わせた飲料だった。

 

「(ホットカルポス!?)」

 

そう、飲料の名はホットカルポス。

子どもに人気の飲料、カルポスを冬に飲んでもらうため暖かくしたのがこのホットカルポスだった。

甘みのなかに若干の酸味を感じ、体を温めてくれるその飲料を見てしまったからには買う以外の決断は彼の中に無かった。

すぐさまココアからホットカルポスにシフトチェンジした彼はそれを手に持ち彼女の待つレジへと向かった。

意気揚々とレジに向かう彼だったがそんな彼を待っていたのは衝撃的な彼女の光景だった。

レジに突っ伏した彼女は手にしっかりとサンオイルを持ち、いまにも涙を流しそうな表情で彼を見つめていた。

 

「サンオイル……ぐすっ……買わないんですか?……ううっ……」

 

その表情は彼にとって多大なダメージを与えた。

主に心に。

 

「(幼女さんを笑顔にするために……それを使命に僕は毎日このコンビ二に来ていたんじゃないのか!なのに!僕は何も分っていなかった。こんなことをしても幼女さんは喜ばない!)」

 

彼はレジで突っ伏す彼女に背を向けるともう一度ホットドリンクのコーナーへ向かった。

暖かさを残したホットカルポスに目をむけ、彼は少し笑みを浮かべた。

そしてホットカルポスを陳列棚に戻しながら彼は

 

「じゃあなホットカルポス、また幼女さんにお勧めされたら迎えにくるよ。」

 

それだけを呟いた。

呟き終わると、もう一度彼女のほうを向きレジの方へ歩き出し彼女の前に立ち言った。

 

「幼女さん、サンオイルひとつくださいな」

 

それを聞いた幼女は下を向いた。

少し見えるその表情にはもう涙を流しそうな様子は無かったが、そこに笑顔もなかった。

ただただ申し訳なさそうに彼の方を向いた彼女は静かに口を開いた。

 

「ごめんなさい。ちょうど今売り切れちゃいました。」

 

それを聞いた彼は私情のせいで彼女の笑顔を守れなかったという自分への怒りと悔しさという感情を感じたが

それと同時にもう1つの感情を感じた。

これでサンオイルを買わなくてすむ。そしてまだ他の方法で彼女を笑顔に出来るかもしれないという安心だった。

彼はまたもや彼女に背を向けホットドリンクコーナーへと足を進めた。

美味しいホットカルポスを飲ませてあげたい。そんな彼の気持ちの後ろで、彼女はダンボールの中をあさっていた。

そのダンボールは最初に彼女がサンオイルを取り出した時と一緒のものだった。

彼女はその中からあるものを見つけ、ニコニコしながらそれを取り出した。

そしてそれをしばらくの間(しばらくといっても彼がホットカルポスを取っている間だけだが)眺めていた。

全体を眺め終わると、彼女はそれを片手に持ち彼に近づいた。

そして、言った。

 

「青年さん。さっきはごめんね。かわりにこの水中メガネをかいませんか?」

 

その声が彼に届いたのか彼は手に持っていたホットカルポスを棚に戻し彼女のほうを向いた。

そして考えた。

何度も言うが、今の季節は冬なのだ。しかし彼女が勧めてきているのは夏場にプールなんかで使う水中メガネ。

またの名をゴーグル。

そしてこれも何度も言うが、彼には友人がいないのだ。いつもどこでも一人なのだ。

そんな彼がプールなどに行く理由はなかった。

トレーニングで行くなんて人もいるかもしれないが、彼の家には春に彼女に勧められて購入に踏み込んだランニングマシンがあったのだ。

税込み29800円……決して安い買い物ではなかったが、その分彼女の笑顔もまぶしかった。

つまりは水中メガネもサンオイルと同様彼にとってはただの置物だった。

しかしだ。二度とあんな後悔はしてはならない。

彼としては後悔に航海をしているのを公開したくはなかった。

彼はすぐさま彼女に対して笑みを浮かべ口を開いた。

 

「幼女さん、ひとつくださいな」

 

それを聞いたとたん彼女は土砂降りから太陽が顔をだし、人々を照らすような笑顔を浮かべた。

その笑顔は言うならば天使、いや大天使と言ったところだろうか。

それほどにその笑顔は輝いていたのだ。

この笑顔を守るために生きているんだと再確認した彼は財布の中からなけなしの金を取り出し、彼女に払うのだった。

 

「ありがとうございましたぁ!」

 

彼女の元気に満ちた声が響く。

 

「ありがとう、またくるね」

 

何かを悟ったような声で彼は彼女に礼を告げた。

彼がドアの向こうまで消えていくのを見送った彼女は今日もまた彼のために掘り出し物を探すのだった。

 

「明日は何をすすめようかな」

 

陽気に笑う彼女は、今日も彼のことを思い明日を待つのだった。

それは彼も同じことだった。

毎日彼女のことを思い、そして彼女のために尽くし続ける。

彼に限界という言葉はなかった。

金が不足気味なら自分のゲームを売り、翌月からアルバイトを増やした。

すべては彼女のために……

そんな幸せな道を歩んでいく2人の裏で1人の男は笑っていた。

 

「さて、もっと働いてあの青年をからっぽにしちゃいなさい。幼女ちゃん……」

 

その声はただただ暗闇の中に逃げていった。




さて、私の処女作「幼女と青年」一話読んでいただきありがとうございました。
まだまだ欠点が多いかと思われますが、私は一切気づきません。
はい。

誤字脱字、また、不可解な点などございましたら是非ともお気軽にご質問下さい。

それではお客様。またのご来店をお待ちしております
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