ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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最終回が近いってのに……心が踊るなぁ


MAGIC96『投げられた賽』

「拡散する龍波動!」

『ごあああああ!!』

 

手始めに俺はドラゴンショットを拡散させて、周りのアンチモンスターとグールを消し飛ばす!

僅かに生き残った連中は――――

 

 

「消し飛びなさいっ!!」

 

グレイフィアが消し飛ばす!

その煙を掻い潜ってやって来るモンスターを、更にぶっ飛ばす!

 

「肉弾戦も噂以上の程だね、赤龍帝」

「ん?」

 

と、粗方倒したであろうと思っていた俺の前に、腰に何本もの剣を納刀している白髪の男が現れた。

 

「…お前は誰だ、って言う前によ。何かやり辛いんだよな」

「と言うと?」

「今までの奴等は俺達を見下していた連中が多かったからさ。けどお前らは違う。こっちの対策は万全にしてるけど、自分達の策に胡坐を掻く事だってしてない。油断してない奴ほど、手強いって言うだろ?」

 

俺がそう尋ねると、男はクスリと笑った。

 

「君達を見下したりなんてしないよ。君達実力者を見下せるのは最上位クラスの強さを持つ者達か、本当に愚かな連中さ。そして…シャルバ達は明らかに後者。――――俺達は君達を危険な存在だと常に認識しているさ。ヴァーリもね」

「……本当にやり辛いな」

 

油断してくれるならそれはそれで有り難かったけど……こうも言われると、絶対に油断なんてしないだろうな。

俺が身構えていると、男は剣を抜いた。

 

「そう言えば自己紹介がまだだったね。俺は英雄シグルドの末裔、ジーク。仲間からはジークフリートって呼ばれてる。どっちでも呼びやすい方で構わないよ」

「シドの末裔がドラゴンねぇ……」

「うん。別に某錠前ディーラーも某カードゲームの竜皇は関係ないからね?」

『って事は最近アルティメットに転生したとか!』

「僕はアルティメットでもないし、スピリットでもないよ」

『なら要塞と合体した転召持ちの……』

「聖皇ジークフリーデンでもないよ。君達のボケの引き出しは一体幾つあるんだい?」

『今更数え切れるか!!』

「そこ言い切るのかい!?」

 

と、俺達が会話のドッジボールを繰り広げていると、ゼノヴィアが何処か納得した顔つきになった。

 

「何処かで見た事ある顔だとは思ってはいたが……やはりか」

「えぇ。あの腰の魔剣…間違いないわ」

 

イリナもゼノヴィアの言葉に頷いていた。

 

「知ってるのか?」

「あの男は私達の元同胞、悪魔祓いだ。カトリック、プロテスタント、正教会、それら全ての機関で最高峰に位置づけされていた男。腰に帯剣した魔剣を扱う事から、『魔帝(カオス・エッジ)ジーク』――――そう呼ばれていたんだ」

「…教会って言うよりは寧ろ」

『悪魔とかにいそうな二つ名だな』

「……まぁ、そう思うのが普通だよね。僕だって結構複雑だったし」

 

此奴も此奴で苦労してんだな

 

「けど今は、教会にとっては裏切り者――――になるね」

 

そう言ってジークフリートは魔剣の一振りを構えた。

 

 

……魔剣なのは分かるが、何だ?この薄ら寒さは。

 

『…おいおい。随分御大層な剣を持ってやがるな』

 

ドライグ、あの剣を知ってるのか?

 

『……あぁ』

「ここは僕が行くよ。イッセー君」

 

後ろからやって来た木場はそう言うと、一気にスピードを上げてジークフリートに斬りかかった!

対するジークフリートは、そのスピードに合わせて難なく防いだ!

 

「この剣は魔剣帝・グラム。君の聖魔剣だろうと、簡単に防げる」

「……魔剣の帝王。ならば、君自身に刃を当てるまでっ!」

 

そう言って一旦ジークフリートから離れた木場は、虚空から剣を生み出し奴に向けて撃った!

ジークフリートはそれを消し飛ばしながら、木場が予め施していたマーキングから咲く魔剣を躱し尚且つ、高速で肉薄する木場と鍔迫り合いを行う!

 

 

あの野郎、木場のスピードに余裕で付いて来てやがる!

 

「っはは!流石は聖魔剣の木場祐斗、素晴らしい技量だ!」

「よく言うよ!本気を出さずにっ!!」

 

……木場の言うとおり、向こうにはまだ余力がありそうだ。

と思っていたら、先生が戦っていた方角から爆音が轟いた!

 

「ちっ、流石に一筋縄じゃ行かねーか………!」

「いやはや、それは此方の台詞ですよ」

 

先生の鎧には傷が幾つも入っているのに対し、曹操の方は服が汚れている程度だった。

 

「いやー、それにしても貴方方の成長スピードは異常だ。以前までに収集した戦闘データがもう役に立たないとは。これは修行のやり直しが必要だね」

「修行するんだな、テロリストでも」

「当然。いくら超常の力を持っているとは言え、元は弱っちい人間なんでね」

 

 

――――だからやり辛いんだよ。

 

 

 

「曹操、一つ聞かせてもらおう。お前ら英雄派の目的は何だ?」

「なぁに、俺達の活動理由はシンプルだ。俺達は『人間』としてどこまでやれるのか、それが知りたい。そこに挑戦したいんだ。それに悪魔、堕天使、ドラゴン、その他諸々。超常の存在を倒すのはいつだって人間だ。―――いや、人間でなければならないんだよ」

「英雄になるつもりか?……って、英雄の子孫だったな」

「弱っちい人間のささやかな挑戦だ。蒼天のもと、人間のままどこまでいけるか、やってみたくなっただけさ」

 

どうやら本気らしい。

でも…………

 

 

 

「何だよそれ」

 

俺が静かに口にした言葉。

それは小さかったけど、この場の全員の耳に届いたらしく、喧騒が打って変わって静かになった。

 

「?どういう意味かな、赤龍帝」

「……最初から堂々と仕掛けずに、テロ行為なんて回りくどいやり方で挑戦してる時点で、英雄じゃねーんじゃねぇのか?そういうの」

「…言ってくれるね」

「何だよ図星か?お前らのご先祖様は確かに英雄だ……けどな!テロ行為を平然と行い、剰え無関係な九重の母親まで拉致して――――希望を奪っていくのと同じ事やってるお前らが、同じ英雄になれると思ってんじゃ、っくしょん!!!」

 

 

 

――――瞬間、空気が凍り付いた。

 

 

 

『相棒……どうすんだよ、この空気』

「し、仕方ねーだろ!?クシャミなんてコントロール出来るわけ……へっくしょん!!」

「……では君は、英雄とは何かを知っているのか?」

「知らねーよ。俺は英雄になりたいなんて、思ったことはないからな。――――けどな」

 

刹那、俺の周囲に赤と紫のオーラが立ち込める。

 

 

「俺はお前らを英雄なんて思わねぇって事だけだ」

 

俺の言葉に英雄派の奴らは殺気を強くする。

曹操だけは俺の様子を見て少し考え込むような表情をしていたが、ゆっくりと槍の切っ先を俺に向けた。

 

「イッセー、お前…………」

 

先生が何か言いかけたその時、俺達の間に魔法陣が現れた。

見た事ない魔法陣だな……。

 

そして俺達の眼前に現れたのは魔法使いの格好をした、外国の女の子だった。

恰好は普通の学生服だけど……頭には魔法使いのようなとんがり帽子を被っていた。

 

 

 

 

何か最近見た事あるようなフォルム――――何だ、これがデジャヴか。

 

 

「はじめまして。私はルフェイ。ルフェイ・ペンドラゴンです。ヴァーリチームに属する魔法使いです。以後、お見知りおきを」

 

人知れず頭を抱える俺をよそに、女の子は頭を下げた後、ニッコリと笑顔で自己紹介をした………って、ヴァーリの仲間かよ!?

ひぇー、中学生ぐらいなのに!

 

……って、ペンドラゴン?

まさかこの子…。

 

「…お前さん、アーサーの親類か?」

「アーサーは私のお兄様です!何時も兄がお世話になっております、アザゼル総督殿」

 

やっぱりアーサーの妹か!

よく見たら面影があるわ!

 

 

と思っていると、ルフェイはキラキラとした目でこちらに走り寄ってきた。

 

「あ、あの!兵藤一誠さん、ですか!?」

「え、あぁ。そうだけど」

 

俺が頷くと、ルフェイは懐から色紙を取り出してきた。

 

「私、『魔法龍帝ウィザードラゴン』の大ファンなんです!宜しければサインをお願いします!あ、後握手と、写真も良いですか!?」

「え、あ、はい」

 

呆気に取られつつ、俺は勢いに押されるがままサインを書く。

日本語で良いよな?この子は人間っぽいし……。

 

サインを渡した後、俺は一緒に写真を撮り、握手をした。

 

「はわぁ……!一生分の感動です!私、もうこの手を洗いません!!」

「いや、飯食う時は洗った方が良いぞ?」

『『そこかよ』』

 

俺は相棒二人の突っ込みを無視して、ルフェイに尋ねた。

 

「で、君は何しにここに?」

「はい!私はここにサインを貰いに……」

「ゑ?」

「……ではなくて、ヴァーリ様からの伝言を伝えにやって参りました!」

 

伝言?

訝しげに思う俺の横で、ルフェイは変わらず笑顔で曹操に言い放った。

 

「それでは伝えますね!『邪魔だけはするなと言ったはずだ、この性槍野郎』―――だそうです!うちのチームに監視者を送った罰ですよ~!」

「や、最後のそれはホントに言ったのかい!?」

 

 

 

 

ドウゥゥゥゥゥゥゥンッ!

 

 

ルフェイの発言と曹操の突っ込みの後に大きく揺れる大地!

すると大地が隆起し、地中から岩石に包まれた巨人が姿を現した!

 

な、何?!岩石の巨兵か!?

 

「ゴクマゴクか!」

 

先生が叫ぶ!

 

「はい!私達のチームのパワーキャラ、ゴグマゴグのゴッくんです♪」

 

ゴッくん!?何処にそんなユーモラスな要素が!?

寧ろゴッさんと呼ぶべきだろ!

 

『年端もいかぬ少女がゴックン………なんか背徳的じゃね?』

「ドラゴン此奴を黙らせろ!!…で、先生!あの巨人は一体!?」

「あれはゴグマゴグ。次元の狭間に放置されたゴーレム的なものだ。古の神が量産した破壊兵器らしいが、全てが機能停止だったはずだ」

 

ガッツリ起動してるじゃん!

ちゃんと機能停止しとけよ古の神々ィ!……へっくしょん!

 

「いやっはぁ!まさか実物が動くのを生で見れるたぁ……心が躍るな!!」

 

踊らないで!

ゴクマゴクのパンチでアンチモンスターやファントムの類はあっという間に吹っ飛び、渡月橋もあっさり壊れた!

 

「はっはっは!ヴァーリは相当お冠だな!……まぁ、彼が借りていたエロゲを更に借りたまま返してないし、当然かな?」

「おい!!ヴァーリが借りてたエロゲって俺のだろ!!返せこの性槍魔人!!!」

「君までそう言うのか!」

 

曹操は後方に飛びながらゴクマゴクに光の槍伸ばして切っ先を突き刺した!

ゴグマゴグの巨体がその一撃で体勢を崩して、その場に倒れる!

 

 

「なんですかなんですかぁ!どったんばったんおおさわぎしちゃってぇ!!」

 

と、その時、呂律の回っていない大声が辺りに響いた。

って、この声は!

 

「ひとがきもちよくねてるってのにぃ!どこのばかれふか!?こんなにさわぎやがってぇ!!」

 

 

――――ロスヴァイセさん!?

 

「ちょ、先生!あの人酔っぱらってるんすけど!?何があったんすか?!」

「あー、ちょっとやけ酒をな……」

 

何を昼間から飲んでんだよ!!

 

 

「……いいれふよ~、そっちがそのきならぁ!フルバーストじゃあああああああ!!!!」

 

 

ズドドドドドドドドオォォォォッン!!!

 

 

おおい!いきなりブッパかよ!?

何考えてんだ!?

 

炎、光、水、雷などのあらゆる魔法攻撃が町を丸ごとぶっ飛ばした!

あーあ、家屋とか跡形もないぞ!!

 

 

……あ、向こうは眼鏡の発生させた霧で防いでやがる。

 

「おさけはどこじゃああああああ!!?」

「うるせぇぇぇぇぇぇ!!!」

《ハイドロ・プリーズ》

 

俺は酔っぱらいに水を浴びせる!

もう黙ってて!

 

「ちょっと騒がしすぎるな――――まぁ良いか。祭りはこう派手でないとな!諸君!俺達は今夜、この京都と九尾の御大将を使い、二条城で大きな実験をする!ぜひとも静止するためにこの祭りに参加してくれ!」

 

霧が辺り一帯に立ち込め、俺達をも覆っていく。

 

そして視界が全部、霧に包まれた。

 

 

ーーーー

 

 

 

 

霧が晴れると、観光客で溢れた渡月橋の前に俺達は立っていた。

周囲の人達は何事も無かったように観光を楽しんでいる。

 

 

ルフェイとゴグマゴグの姿はない。

霧が晴れたと同時に戻ったのだろう。

 

 

「……祭りだと?ふざけやがって…………!」

 

先生は怒りを隠さずに電柱を殴った。

 

「……母上は、何もしていないのに…………どうしてっ」

 

俺は震える九重の頭を撫でる。

 

 

 

 

英雄派――――お前らの野望、絶対に止めてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……良い具合だ」

 

そう言って先程の戦闘を、魔法陣で眺める白い魔法使い。

 

 

 

その中に映るイッセーの瞳は―――――その身に宿すドラゴンの如く、赤く染まっていた。

 

 

 

 




残るプロトガシャットは、後4つ!
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