ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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第一回チキチキ!男子メンバーお題討論会!

お題:恋のABC

イッセー「古いなお題が!」
ヴァーリ「A……餡掛け焼きそばか?」
木場「いやどうしてさ」
ヴァーリ「餡の様に二人の仲も熱々になればと思って」
アーサー「上手いですね」
美猴「二重の意味でな」
曹操「いや、もしかしたらア〇ルs」
カイト「もう喋るな」











MAGIC109『Evolution Beast』

 

 

「っ、一体どうしたんだよ!――――吼介ぇ!!!」

 

突然暴走を始めた吼介。

ウィザードWSの制止も聞かず、尚も荒々しく攻撃を繰り出してくる吼介を見て、ガルムは静かに呟いた。

 

『………ウァプラの忌み子、か』

 

 

 

ウァプラ――――その名に反応したのは、リアスであった。

 

「っ、立神君がウァプラ?どう言う意味よ!?」

『…魔力喰い』

「!?」

『……知っているようだな』

 

魔力喰い、その言葉にリアスは顔を強張らせる。

そうこうしている内に、吼介は次なる狙いをガルムに定め、襲い掛かった。

 

「ガァアアアアアアアッ!!」

『…ッ!』

 

手を野獣の爪に見立てて攻撃を仕掛ける吼介。

ガルムはそれを捌きつつ蹴りで吼介を宙へと浮かせるが、吼介は空中で回転しながら体制を整えると、そのままガルムの肩口に歯を立て、噛み千切った。

 

『ッ!!』

「ヴゥゥウウウ………ッ!!!」

 

肩を抑えるガルムの眼前、噛み千切った部位を飲み込む吼介。

飲み込んだと同時に、吼介の肉体に魔力の蒸気が立ち上った。

 

「ガルムの魔力を、喰ってるのか……?」

「ヴぉアァァァァアアアアッ!!!!」

 

まだ足りない、そう言わんばかりに吼え立てる吼介。

とは言え子このままではゲートである中本を守る事も叶わない。

 

「…吼介」

「ガアアアアア!!!」

 

次なる標的をウィザードWSに定めた吼介は方向と共に飛び掛かる。

 

《バインド・プリーズ》

 

すかさずウィザードWSが発動した水の鎖により捕らえられるも、所詮は水。

破られるのも時間の問題だが、ウィザードWSにとっては一瞬でも時間が稼げれば充分であった。

 

《スリープ・プリーズ》

「………っ」

 

水の鎖が破られるよりも早くに次なる魔法を発動、その効果により吼介は眠ってしまった。

崩れ落ちる吼介を受け止めるウィザードWS。

 

「っと………ファントムは逃げたか」

 

周りを見れば、既にガルムもスプリガンもいなくなっていた。

どうやら逃げたらしい。

 

「吼介の事は一先ず置いといて、中本さんでしたっけ?事情を聞かせてもらえますか?」

「あ、あぁ」

 

 

 

ーーーー

 

 

考古学者、中本から事の顛末を聞いたイッセー達。

 

「ファントムから中本さんを守るのも大切だけど……先ずは吼介のドライバーだな」

「ええl。早く取り返さないと、彼の命が危ないわ」

「い、命?どういう事だね?」

 

命という単語が引っ掛かったのか、中本はイッセーに尋ねてくる。

 

「アイツが持っていたドライバーには、キマイラっていう化け物が潜んでいるんです。吼介はキマイラに魔力…要はエネルギーを与えないと………」

「死ぬと言うのか……?」

 

中本の問いに、イッセーは頷く。

それを聞いて、中本はイッセーから目を逸らした。

 

その反応に疑問を覚えたのか、中本に質問しようとするイッセー。

 

「……待て、イッセー」

「吼介……大丈夫か」

「おう、何とかな……それと、お前が言おうとした事は、俺が確かめる」

 

すると、隣の部屋から吼介がやって来た。

眠りから覚めたのだが、足取りも覚束なく、顔色も悪い。

 

「……中本さん。ひょっとして、俺のドライバー盗んだのはアンタか?」

『!?』

 

壁に手をつきながら、吼介はここで衝撃的な質問を投げかけた。

その質問は、先程イッセーが言おうとした内容と全くの一緒だった。

 

「……何の事だい?」

 

一瞬間をおいて出たのは、それだった。

きな臭いものを感じていたのか、イッセーは吼介に続いた。

 

「中本さん、ハッキリと答えてください。このままじゃ吼介は……」

「違う違う違う!……もういい、私を疑うような奴らに守って欲しくなどない!出て行け!ほら、出て行け!」

「ちょっ……!!」

 

息つく暇もなく、イッセー達は研究室を追い出された。

 

 

 

 

 

 

「ありゃ完全に黒だぞ」

「どうしたものかしら……」

 

研究所の外で、これからの事を模索するイッセー。

そのイッセーを尻目に、リアスはとある疑問を吼介にぶつけた。

 

「立神君」

「んあ?」

「貴方は――――追放されたウァプラ家の者ね?」

 

リアスの質問に、吼介は答えなかった。

だがその沈黙は、肯定しているようなものであった。

 

「ガルムが言っていた、忌み子……だっけ?」

「えぇ。以前お父様から聞かされたの。ウァプラには――――突然変異の異能持ちがいた事を」

 

 

 

 

魔力喰い――――それはウァプラ出身の悪魔と、人間の女との間に授かった子が持っていた異能であった。

他者の魔力を自分の意志に関係なく喰らい、それが尽きれば命をも喰らう。

 

 

まだ幼かったその子は、力を制御出来ず、ある日――――ウァプラの領土にいた悪魔の魔力を残さず喰いつくし、命を喰らってしまった。

 

まだ力を制御出来ない子供とはいえ、それにより命を奪われた者達の数は、両手では数えきれないほど存在した。

ウァプラの当主は、その子に能力抑制の呪いを課し、単独行動を一切禁止、父の監視の下で過ごすと言う処分を下した。

 

 

だがそれに異を唱えたのは、他ならぬ父親であった。

 

 

 

『この子の自由を一生許さないと言うのは、体の良い飼い殺しも同然ではないか。それは遠回しに死ねと言っているような物だ』

 

そう言って、彼は息子を連れてウァプラを出走し、妻が住んでいた人間界へとやって来た。

 

 

 

「じゃあ、その子が……」

 

イッセーが静かに呟いたその言葉に、リアスは頷いた。

 

「……だから何だよ」

 

すると、今まで黙っていた吼介が口を開いた。

 

「例え俺にその力があったとしても、今立ち止まる理由にはなんねーよ。早いとこドライバーを見つけないと……」

「これ以上戦えば、貴方はまたさっきのように!」

「…っ!」

 

それ以上は聞かないとばかりに、吼介は速足でその場を飛び出した。

 

「立神君!」

「リアス」

 

吼介を止めようとするリアスを、イッセーが制止する。

 

「吼介は俺に任せてくれ。リアス達には頼みたい事があるんだ」

「え……」

 

 

ーーーー

 

 

研究所から走って数分程度で着く河川敷。

その土手で、吼介は大の字になって寝そべっていた。

 

「…なーにしょぼくれてんだよ」

「イッセー……」

 

そこに、吼介の魔力を探知して追いかけてきたイッセーがやって来た。

イッセーは吼介の隣に座り込むと、口を開いた。

 

「…お前さ、ホントは怖いんだろ?」

「……そんな訳あるかよ」

「ほんっと、嘘付くの下手だな」

 

吼介の嘘をあっさりと見破るイッセー。

暫くの沈黙の後、吼介はぶっきらぼうに吐き捨てた。

 

「…別にキマイラの事じゃねーぞ」

 

起き上がった吼介は、河原を眺めながら口を開いた。

 

「喰われるのはまぁおっかねぇけどよ、俺はビーストになれてワクワクしてたんだぜ?未知への探求心っての?………」

「……」

「お前の言う通りなとこも、まぁあるけどよ……恐いんだよ……。また、魔力を求めて暴走しちまったらって思うと」

 

吼介は胸の内を吐露する。

それをイッセーは静かに聞いていたが、静かに笑いながら、言葉を紡いだ。

 

「そんなに深く考える事か?お前ただでさえバカなのによ」

「なっ!」

「お前が初めてビーストになった時のそのワクワク、まだ覚えてるうちは大丈夫だろ。少なくとも、自分を見失ってないって事だからな。けど……」

 

イッセーは立ち上がって、吼介を見る。

 

「自分が信じられないなら、俺を信じろ。暴走しても俺がお前を止める……そうすりゃ、お前も何時か自分を信じれる様になる」

「イッセー…」

「俺もそう教えられたからな。さて……戻るぞ」

「は?」

「お前のドライバー奪還作戦、決行の時間だ」

 

そう言うとイッセーは不敵に笑った。

 

 

ーーーー

 

 

 

「リアス、どうだった?」

「えぇ、バッチリ見つかったわ」

 

中本の研究所へ戻ってきたイッセーと吼介は、リアス達と合流する。

そしてリアスの手には、ビーストドライバーが握られていた。

 

「おぉ、やったぜ!!」

 

はしゃぐ吼介の様子を、物陰から見つめる者がいた。

 

 

「馬鹿な…いつの間に!?」

 

正体は中本だった。

中本は大慌てで研究室の本棚の裏に隠したビーストドライバーなどを確認したのだが…

 

「あれ?」

 

そこにはビーストドライバーがちゃんと置かれていた。

首を傾げる中本の背後から、

 

 

「やっぱりアンタだったんだな」

「!?」

 

その行動を見ていた吼介達が立っていた。

驚愕の眼差しで、中本はリアスが持つドライバーを見つめ、口を開く。

 

「そ、そのベルトは……」

「偽物ですよ。優秀な職員に造ってもらいました」

 

このドライバーは、イッセーの使い魔であるバイオレットゴーレムが造り出した精巧な偽物である。

ゴーレムの器用さを偶然知ったイッセーは、リアス達にゴーレムに造ってもらうように依頼し、本物の所在を把握しようとしたのだ。

 

「どうしてこんな事を……」

「……わ、私だって、認めてもらいたかったんだ!!」

 

詰め寄ったイッセーに、中本は叫ぶように胸の内を吐露する。

以前自分が発掘した出土品を、自分の手柄を研究所の所長に奪われ、本来なら自分が得ていた称賛を得られなかった事を………。

 

「あの時の無念を晴らしたかった…。今回の発見が、最後のチャンスだと思った。どんな事をしても成果を上げたかったんだ!」

「ですが、だからと言ってやって良い事と悪い事が…!」

「良いんです部長さん……ッ!」

 

そんな中本を庇う吼介だが、その場で力なく蹲る。

 

「吼介!!」

「…参ったな。キマイラの奴、思った以上に腹空かせてやがる」

「こうなったら、貴方の中のキマイラをイッセーが……」

「皆まで言うな!!」

 

吼介を慮って進言したリアスの言葉を、吼介は強い語気で撥ね退けた。

 

「……確かに、遺跡でキマイラに取り憑かれた時、ヤバいと思ったよ。でも俺、同時にワクワクしたんだ。この得体のしれないバケモノは何だ?この不思議なベルトと指輪は何だ?これから何が起こる?どんな事をしても知りたいと思った。それが例え……自分の命を懸けなきゃならねぇってなっても……!」

「立神君……」

「今の中本さんと同じなんすよ…キマイラは俺にとっちゃでっかいチャンスで、俺が考古学者になる為の第一歩なんだ!!」

 

そう言い切ると、吼介は中本を見上げる。

 

「アンタなら分かる筈だ……考古学者の先輩なんだからよ」

「………そう、だな」

 

その答えに中本は静かに、だが力強く頷いた。

 

 

 

 

『良い雰囲気の所すみませんねぇ!!』

 

だがそこに掛かる無粋な声。

と同時に中本へ向けて魔力弾が放たれるが、リアスが寸での所で防いだ。

 

「…ファントム!」

「悪いな、心の支えは消させやしない」

 

イッセーはリアスから受け取った偽のビーストドライバーをスプリガンへとチラつかせる。

それを見たスプリガンは意気揚々と襲い掛かる。

 

『そいつを壊せば任務完了って訳か!』

「壊させるかって言ったろ!」

 

スプリガンの剣を受け止めたイッセーは吼介へと振り返る。

 

「吼介!此奴は俺が下拵えしておく……だから絶対食いに来い!!」

『ゴチャゴチャうるせーよ!』

「お前もな!……変身!」

《フレイム・プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

 

組み付いたスプリガンを魔方陣で弾き飛ばし、イッセーはウィザードFSに変身。

弾かれたスプリガンに息つく間も与えず、

 

《フォール・プリーズ》

「下へ参りまーす!」

『は、のぉおおおおお!!?』

 

穴を広げる魔法を発動し、自分諸共スプリガンを下へと誘導した。

 

「…へっ、言ってくれるじゃねーか」

 

それを聞いた吼介は、本棚に置かれていたビーストドライバーだけを掴む。

 

「此奴だけは返してもらうぜ。…すみませんけど、中本さん頼みます」

「――――待ってくれ!」

 

ファントムの元へと駆け出そうとする吼介を、中本が呼び止めた。

振り返った吼介の目の前には、中本が自ら発掘したものが。

 

「中本さん……でも、これは」

「君は、夢のために自分の命を賭けている。でも、私はかつての無念を晴らそうとしているだけだ。あの時、自分がされたように誰かを犠牲にして!」

「……」

「本当に……すまなかった!」

 

そう言って頭を下げる中本。

それを受けた吼介は、朗らかに笑った。

 

「そんな事、もう気にしてないっすよ!俺のピンチは、俺自身でチャンスに変えるんで!」

「立神君………。だからこそ、これを受け取ってほしい。これは、君が持つに相応しい」

 

吼介は改めて差し出されたそれを見つめ、確りと受け取った。

 

「今度また、一緒に遺跡調査連れてってくださいね…約束っすよ!」

「…あぁ!」

 

快く快諾した中本の返答に笑うと、吼介は今度こそ駆け出した。

 

 

 

 

 

「おらっ!」

『はぁっ!』

 

一方の外では、ウィザードFSとスプリガンの戦いが続いていた。

スプリガンの刺突攻撃を弾き、返す刃でウィザーソードガンの切っ先を突き立てる。

 

『ちぃっ、鬱陶しい……!』

「さぁて、先ずは弱火で軽く焙るか……うぉっ!?」

 

指輪を嵌めようとしたウィザードFSに、火炎弾の雨が降り注いだ。

 

「予定変更だ!」

《エクステンド・プリーズ》

 

ウィザーソードガンのハンドオーサーに指輪を読み込ませると、刀身が鞭のようにしなり、火炎弾を全て打ち消した。

 

「……まーたお前かよ」

『………』

 

ウィザードFSの眼前に立っていたのは、またしてもガルムだった。

心底嫌そうな声を漏らすウィザードFSに構わず、ガルムは襲い掛かる。

 

「はっ、おりゃ!」

『……ッ』

「っ!?」

 

互いの攻撃を往なし続ける両者だったが、ここで突然ガルムの姿が消え失せた。

自分の攻撃が空振りに終わった事に一瞬動揺するウィザードFSだったが、そこへスプリガンの攻撃が迫ってきた。

 

「っ!……ぐぁ!!」

 

それを迎え撃とうとしたウィザードFSだったが、自分の足元の影から爪撃が襲い掛かり、結果両者の攻撃をまともに食らってしまう。

弾かれるようにして地面を転がるウィザードFSから、ビーストドライバーが転がり落ちた。

 

『ハッハッハ!此奴を壊せば……ジ・エンドだ!!』

 

スプリガンが振り下ろした一刀により、ビーストドライバーは奇麗に破壊されてしまう。

ゲートの心の支えを壊したことに喜ぶスプリガンだったが、影より這い出たガルムだけは静かにウィザードFSを睨んでいた。

 

『ウィザード……アーキタイプのドライバーを破壊したと言うのに、何故慌てん?』

「……その答えは」

 

「――――待たせたな、イッセー!!!」

 

ウィザードFSの答え――――吼介が漸く駆け付けた。

その手には先程スプリガンが破壊したはずのビーストドライバーが。

 

『な、さっき俺が壊したはずだろ!!』

「偽もんだよ。ノせられちゃった?」

『小賢しい真似を……』

「本物は食い意地がもっと張ってんだよ……早速だけど、食わせてもらうぜ!」

《ドライバーオン!》

 

腰にビーストドライバーを巻き付け、吼介は指輪をベルトの側頭部へと嵌め込み、半回転させる。

 

「変、身っ!!」

《セット!オープン!L・I・O・N!ライオーン!》

『…行け』

 

変身したビーストに対し、ガルムは魔石を投げる。

忽ち魔石はグールへと変わり、ビーストへと群がる。

 

「…くっそ、やっぱり力が出ねぇ……!」

 

何時もなら余裕ではあるのだが、今のビーストは魔力が枯渇した状態。

グールにすら苦戦してしまうほどに疲弊していたのだ。

 

「……ヴッ」

 

すると、ビーストの体を再び衝動が襲う。

何とか堪えようとするも、その本能はいとも容易くビーストの理性を飲み込んでいく。

 

「ウガアアアアア!!!」

 

理性が朦朧となりながら、ビーストは組み付いてくるグールを一気に薙ぎ払い、その魔力を吸収。

そしてそのまま、今度はガルムへと襲い掛かる。

 

『理性のない状態で、この私を二度も喰らえると思うな……』

「っ、吼介!!」

 

暴走するビーストの腰に組み付き、ウィザードFSは何とか止めようとする。

 

「ドライグ、譲渡だ!」

《Transfer!!》

 

ここでウィザードFSは自身の魔力を譲渡、それによりビーストは僅かだが理性を取り戻す。

 

「……ッ、イッセー」

「…言ったろ。暴走したら、俺が止めてやるって」

『…その様では、また暴走するのが関の山だッ!』

 

そんな二人に、ガルムは容赦なく火炎弾を浴びせる。

何とかそれを躱すと、ビーストは右手に中本から貰った指輪を嵌める。

 

「おいキマイラ……腹減ってんだろ?ここで飢え死になりたくねーんなら……根性出しやがれ!!」

 

ドライバーのスロットに宛がうと、ビースト、吼介の意識は暗闇の中に。

 

 

 

「ここは……」

『いよいよお前の命も消えそうだな』

 

辺りを見渡す吼介の目の前に現れたのは、様々な動物の顔を体の各所に刻む獣――――ビーストキマイラだ。

 

「キマイラ!」

『ようやく見つけた下僕だが、別れの時か』

「馬鹿な事言ってねーで教えろ!こいつは一体何に使うんだよ!?今使えるのか使えねえのか、どっちだ!?」

 

吼介が差し出した石の塊を、キマイラは静かに見つめる。

 

『ほぅ、それを見つけ出したか……。それを使えば、我の力を現実世界で使うことができる。しかし、今のお前が耐えられるかどうか…』

「使えるんだな」

 

吼介を揺さぶるかのような発言を口にしたキマイラだったが、吼介はただ使えるという言葉に嬉しそうに微笑む。

その様子を見たキマイラは、声を荒げる。

 

『聞いていたのか!?己の魔力すら枯渇した今のお前では……』

「皆まで言うな!俺はな、危険な賭けには乗る主義なんだよ」

『魔力を求めて、再び暴走するとしてもか……?』

「――――俺が暴走したら、俺のダチが止めてくれる。俺は、ただ目の前の食事と謎に食らいつくだけだ!」

 

その答えを聞いたキマイラは――――哄笑を上げた。

 

『……フハハハハハ!!己ではなく他者を信じるというのか!』

「俺自身もその内信じる!…それにな、ピンチはチャンスなんだよ。だからお前も付き合え、キマイラッ!!!」

『ふっ…いいだろう!口を開けて待っているぞ!』

 

そう言うと、ビーストキマイラは吠え立てながら吼介の体内へと潜り込む。

 

 

 

「さぁ―――――食事の時間だっ!!!」

 

 

 

 

 

 

《ハイパー・ゴー!ハイッ・ハイッ・ハイッ・ハイパー!》

 

『……!』

『何だぁ!?』

 

突如、ビーストの体から半透明の獣が飛び立った。

スプリガンとガルムが目を見張る中、獣はビーストの体へと纏わりつき、蒼い閃光が迸る。

 

閃光が晴れると、そこに立っていたビーストは大きく姿を変えていた。

黒のスーツは鮮やかなコバルトブルーに染まり、胸部のアーマーは獣の顔を模した物へと変化、腕にも紐状のパーツが追加された。

 

そして、手にしていた発掘品の石部分が破裂し、中からは獣のレリーフが刻まれた拳銃が。

同時に指輪の石も取り払われ、キマイラの顔の指輪となった。

 

ビーストは手にした拳銃――――ミラージュマグナムをクルクルと回し、スプリガンとガルムに突き付けた。

 

 

 

「さぁーて…………一気に喰い尽くすぜッ!!!」

 

ビースト改め――――ビーストハイパーは勇ましく吠えると、ファントム二人へと飛び掛かった。

 

『ただ色が変わっただけで粋がるんじゃねぇ!!』

 

スプリガンは大して気にも留めずに、ビーストハイパーを迎え撃とうとする。

ビーストハイパーはスプリガンの剣を弾くと、腕についた紐――――フリンジスリンガーを振り回した。

 

『なっ、ぐぁ!!』

 

それは簡単にスプリガンの剣を弾き、スプリガン自身の肉体にダメージを与えた。

煙を上げるスプリガンの肉体。それを見ていたガルムは、低く唸った。

 

『貴様、まさか……』

「ハッ!!」

 

ビーストハイパーはミラージュマグナムから魔力弾を撃ち放つ。

何の変哲もない一撃、だがその弾丸はスプリガンを大きく仰け反らせた。

 

『ぬおぉおおおおおおっ!!!』

「効くだろ?何せ、お前の魔力をさっき削らせてもらったからな」

『やはりか……貴様、魔力喰いの力を………!』

 

制御した、と言う言葉は続かなかった。

何故なら、ビーストハイパーの一撃がガルムへ命中したからだ。

 

「お前らファントムは基本魔力で出来た肉体なんだろ?そして、今の俺の攻撃は、魔力を削って、喰う!」

「つまり……」

『ファントム本体に、常にクリティカルを叩き出せると言う事か』

 

ウィザードFSは思わず口笛を吹いた。

まるで叶わない、といった風に。

 

「わりーがもう暴走はしねぇ…………何てったって、俺は絶望を”喰う”魔法使いだからな!俺自身の絶望だって、喰らってみせる!!」

『……ッ!!』

 

駆け出したビーストハイパーの動きを止めるべく、ガルムはメデューサの石化能力を発動させるが、ガルムが視認するよりも早くに、ビーストハイパーの一撃がガルムに突き刺さった。

 

『……ヌゥ!!』

「はっ、おりゃ!!!」

 

ガルムを蹴り飛ばすビーストハイパー。

大きく肩で息をするガルムたちに向けて、ミラージュマグナムを構える。

 

「さぁ、そろそろメインディッシュだ!」

 

そう言ってミラージュマグナムのスロットに指輪を嵌めようとするが、何故だか指輪が上手く嵌らない。

 

「おいおい、これどうやって発動すんだよ!?」

『ッカァ!!』

「おわっ!!」

 

まごついている間に、ガルムの火炎弾を食らうビーストハイパー。

 

「何だよ、キマイラ!協力しろよ!”口開けて待ってる”って言った……あれ?もしや…」

 

キマイラに文句を垂れていたが、ここで指輪の形状に違和感を覚えた。

上へ引っ張ってみると、指輪がスライドして”口が開いた”のだ。

 

「おおー、こういう事かぁ!んじゃ、もう一度ッ!」

 

口の開いたリングをミラージュマグナム背面のスロットにセットすとと、

 

《ハイパー・マグナムストライク!》

 

テンションの高い音声が鳴り響き、マグナム背面の鏡に浮かんだキマイラを模した魔力が背後からビーストと一体化、再度銃口に集束されビーストキマイラの姿を模した強力な魔力弾を放つ。

 

『ッ!!』

『ッ、ギャアアアアアア!!!!』

 

ガルムは咄嗟に影に潜り込み難を逃れたが、スプリガンだけは避け切れずに食らってしまい、大爆発を起こす。

倒したスプリガンの魔力は、ビーストドライバーへと吸い寄せられていく。

 

「ふぅ……ごっつぁん!!」

「ハハ…凄ぇな」

 

 

ーーーー

 

 

後日。

 

「へぇ。じゃあ中本さん、また海外に行ったんだ」

「おう。また発掘調査をやり直すんだと」

 

はんぐり~にて、中本の事を報告する吼介。

あれから中本は再び海外へと旅立っていった。

 

 

『私は、また発掘調査からやり直すよ。思い出したんだ。私の夢は、世間に認められる事じゃない。未知の遺跡の謎を解き明かす事だったと。君を見て、改めて思い出せたよ。本当に、有難う』

 

空港にて、見送りに来た吼介に、中本はそう晴れやかに言った。

 

「また新しい出発か」

「そういうこったな。中本さんなら、またスゲーもん見つけれるだろうしな!」

 

ドーナツを食べ終えると、吼介は去って行った。

 

「夢の為に頑張るのは素敵だけど、生き延びる方法も真面目に模索しなきゃね」

「そうだな」

 

それを見送ったイッセーは、リアスと共に帰路に就く。

帰り道、ふとリアスは気になった事をイッセーに尋ねた。

 

「そう言えば……イッセーの夢ってどんな夢なの?」

「……今は、ファントムを倒す事、かな」

「…………今は?」

 

今、と言う言葉が引っ掛かったのか、リアスは追求しようとするが、イッセーは若干強引に話を逸らした。

 

「さ、早く帰ろうぜ。サイラオーグさんとの試合も近し」

「…そうね」

 

 

 

 

 

 




原作ビーストより盛りすぎな気がせんでもない
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