ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
イッセー「おっぱいゾンビがゲンムのクリティカルデッドに見えた」
ドライグ『でもあれ腐敗能力つきなんだぜ?それに比べたら向こうのはおっぱいって言うだけなんだから優しいよな』
ドラゴン『どっちも気味が悪いわ』
第四試合終了時点で、両陣営そこそこ数が減っている。
此方は俺、リアス、アーシア、朱乃さん、木場、ゼノヴィア、ロスヴァイセさんの七人。
それに対しサイラオーグさんの眷属は、サイラオーグさんとその女王、そして未だ登場していない仮面の兵士の三人。
数では有利だけど、どうなる事やら。
『戦いも中盤を超えようとしているのかもしれません!バアルチームは残り三名! 対するグレモリーチームは残り七名と現在はグレモリーチームが優勢であります!しかし!バアルチームの残りのメンバーが強力です!巻き返しとなるか必見です!』
サイラオーグさんが出張るなら恐らく俺が出る事になる。
問題は…
『例の兵士か』
あぁ、俺達の懸念すべき点はそこだ。
駒の消費は確か七つ……かなりの手練れなのは間違いない。
『ルール上、お前は連続では出られないからな。この後のカードの切り方によっては負ける可能性もある』
……まぁ、こういう駆け引きが好きな人には堪らないんだろうな。
俺は頭悪いからあれだけど。
何はともあれ両「王」がダイスをシュートした。
『バットルドォォォムッ!!』
『…ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ』
超!エキサイティンッ!!!……って何やらせてんだよ!
何度か振り直しが行われた結果、出た数字の合計は――――9。
「あちらが出せるのは女王か兵士のみ。となると女王が出てくると思うわ」
「何で?」
『この試合、出そうと思えば出せた場面もあったろう?だが向こうは頑なに出さなかった。恐らくは安易に試合に打線事情でもあるのだろう』
「そう考えれば、サイラオーグは可能な限りあの兵士を温存するでしょうから」
って事は相手が出す眷属は……
「――――クイーシャ・アバドン。サイラオーグ眷属の女王が出てくるわ」
アバドンって、確か
今もレーティングゲーム第三位の強豪悪魔。
「私が行きますわ」
すると、朱乃さんがそう言って前に出る。
「相手の女王はアバドンの者よ?記録映像を見る限り相当な手練れだったわ」
グラシャラボラスとの戦いでも見たけど、確かに奴さんは強かった。
アバドン家特有の能力『
その『穴』ってのは、聞けば何でもかんでも吸い込んじまうらしい。
物体にしろ、相手の得物にしろ。
「俺が行ったほうが良いんじゃないっすか?」
『確かに。その方が得策かもしれん』
俺とドライグの提案に、朱乃さんは首を振る。
「いいえ。イッセー君は相手の王、サイラオーグ・バアルまで取っておくべきよ。相手の兵士もいる以上、あなたは最後まで控えておくべきだわ。それに、後ろに祐斗君、ゼノヴィアちゃん、ロスヴァイセさん、そしてリアスとイッセー君が控えてくれているからこそ、出来る無茶もあるんです」
…ここまで言われちゃ、止めるのも野暮ってもんだな。
『相棒』
何だドライグ。
『……って、言ってみろ』
………なぁドライグ、前にもそういうの言った気がすんだけど。
あれか、これがデジャブって奴か。
『いいから言ってみろって』
あー、もう!分かったよ。
「朱乃さん」
「どうしたの、イッセー君?」
転移魔方陣に向かおうとした朱乃さんを引き留める。
「この試合が終わったら、俺と二人きりでデートしましょう」
「――――っ」
俺はドライグに言われた事をそのまま伝えた。
すると朱乃さんは……頬を赤く染めて震えていた。
「…イッセー」
「は、はい」
急に呼び捨てにされ、思わず身構える。
すると朱乃さんは、上目遣いで俺の顔を覗き込んでくる。
「勇気を、私に頂戴?」
「え…」
ゆ、勇気?
……無難に、手を握ったりとか、か?
『バーカ。そんなんじゃ生易しすぎるだろ』
『もういっその事唇でも奪ったらどうだ』
この状況でキス?!
マジで言ってんのか?!今だって結構周りからの視線が痛いんだぞ!
『良いからやれって時間ねーぞ』
『You奪っちゃいなYo』
何だその言葉のチョイス!?――――あーもう、こうなりゃやけくそだ!!
「…朱乃」
「んぅ…!」
「「「あぁぁぁっ!!!」」」
破れかぶれでキスをすると、リアス、アーシア、ゼノヴィアから非難の声が上がる!
一分ほどキスをすると、俺は朱乃さんから離れる。
「…これで、良いかな」
「…うん。私、頑張る」
何時になく少女チックな朱乃さんは、決意を新たにフィールドへと向かっていった。
…勇気づけられた、って事でいいのかな?
『相棒……運命から、逃げるなよ』
ふっ、分かってるよ。
俺は背後から紅いオーラが揺らめいているの感じて、その場に正座した。
ーーーー
映像に映し出された場所は無数の巨大な石造りの塔が並ぶフィールド。
そのてっぺんに朱乃さんはいた。
相対するのは金髪ポニーテールのお姉さん。
『第五試合の出場選手、グレモリー側は女王、姫島朱乃選手!バアル側は同じく女王、クイーシャ・アバドン選手!なんと女王対決となります!』
『これまでの試合からサイラオーグは兵士を出来るだけ使いたくないと見える。そうなると出すのは女王。リアスはそれを読んで朱乃を出したってところか。いや、サイラオーグもそれを読んでたかもしれんな』
やっぱそう考えるよな。
まぁ今はこの試合に集中だ。
『やはり、貴女が来ましたか、雷光の巫女』
『不束者ですが、よろしくお願い致しますわ』
物腰は何時も通りだが、映像越しでも気迫が伝わってくる。
朱乃さんマジモードだぜ。
『第五試合、開始してください!』
開始の合図と共に両者空中へと飛び上がった!
お互い一歩も譲らない属性魔法攻撃を繰り広げる!
見た感じではほぼ互角、か?
『あまり大きな差はないな。となれば後は使用者の力量次第か』
ドライグがそう評した時、空中で大爆発が起こった!
『とはいえ向こうの女王は例の『穴』を使っていないからな。油断してた所に攻撃を返されたら不味いぞ』
どのタイミングで使ってくるか……油断は出来ないな。
『やはり、やりますわね。流石は若手最強サイラオーグ・バアルの女王ですわ』
『そちらこそ。過去の情報からもう少し楽な相手だと思っていましたが、油断は出来ませんね』
『ええ。侮ってもらっては困りますわ』
朱乃さんは手を空に翳す。
すると、魔力により構成された暗雲から稲光が迸る。
『雷光よっ!!』
力強い掛け声と共に光を伴った雷撃が降り注ぐ!
だが当たる寸前、アバドンの周囲の空間が歪みだした。
そしてそこには巨大な『穴』が発生した!
大質量の雷光はそのまま、『穴』に吸い込まれ、アバドンに届くことはなかった。
が、朱乃さんは既に次の攻撃に移っていた。
『そこですわ!』
再び天空に稲光が走り、次の瞬間にはフィールド全体を覆うほどの雷光が迸っていた!
『広範囲攻撃か。さて、むこうはどうするのやら』
ドライグがそう言った時、アバドンは『穴』を広げ、更には周囲に複数の『穴』を出現させ、その全てが雷光の乱舞を難なく吸い込んでいった。
『!』
朱乃さんは顔を強張らせた!
対するアバドンは冷笑を浮かべていた。
『私の「穴」は広げる事も複数に出現させることもできます。更には吸い込んだ攻撃を分解して、放つことも出来るのです。――――このようにして』
朱乃さんを囲むように無数の穴が出現した。
そしてそれら全てが朱乃さんに向けられていた!
『雷光から雷だけを抜いて――――光だけ、そちらにお返しましょう』
朱乃さんを囲っていた周囲の穴から幾重もの光の線が迸った――――
「朱乃さん!」
アーシアが思わず声を上げる。
『まさかカウンターに利用するとはな』
ドライグの言葉に俺達は何も返せないでいた。
彼女は基本あの能力を攻撃だけを吸収してその間に自信の攻撃を決めていた。
まさかこんな隠し種があったなんてな……。
「皆、何を打ちひしがれているの」
だが、その中でリアスだけは冷静だった。
彼女はただ一点――――試合の映像だけを睨んでいた。
「朱乃はこの程度で落ちたりはしないわ」
リアスの言葉と時を同じくして、フィールドにも変化が起こった。
朱乃さんに命中した事で巻き起こっていた砂塵の奥から光が溢れ出たのだ。
『な…!』
アバドンが驚愕の言葉を上げるより早く、彼女の腹を一筋の雷光が掠めた!
掠り傷だけど、悪魔にとって光は猛毒!
アバドンは命中した個所を手で押さえて前を睨みつける。
『あらあら、不意を付けたと思ったのですが』
ゆっくりと歩み寄るのは、無傷の朱乃さん!
『おおっーと!!光に包まれたはずの姫島朱乃選手!なんと無傷です!』
実況の声が会場に響く。
そう、光に当てられたはずの朱乃さんが平気とした顔で立っていた。
アバドンが怪訝な表情で聞く。
『あなたは光を浴びたはず。何故、リタイヤしないのです?』
アバドンの疑問に、朱乃さんは事も無げに返答する。
『自分の光程度、吸収出来ない事はありませんわ』
『吸収…!?』
え…どういう事だ?
だって悪魔にとって光は猛毒の筈……。
理解が追い付かない俺の疑問に、リアスが答えてくれた。
「朱乃は以前から光を何とかして無効化できないかを模索していたのよ。ああいったカウンタータイプと相対した時の対処としてね」
「…つまり」
「堕天使の血で光力を弱体化させて、自分の光力で相殺。今回の場合は自分の光力だったから弱体化させて還元させたと言った所かしら」
還元……朱乃さん、何時の間に。
『だが口では簡単に言えるが、並大抵の技量で出来る事ではあるまい。堕天使の力を別方向からアプローチしたって事だな』
すげぇ、すげぇよ朱乃さん!
「…って、まさかリアスは知ってたのか?」
「えぇ。因みに朱乃が驚いた顔をしたのもブラフよ」
「な、何でそんな事を」
「だって……その方がアッと言わせれるでしょ?」
リアスはイイ笑顔で、そう言ってのけた!
『私のイッセー君の受け売りですわ。何もないと思わせてから新しいカードを切る…驚いたでしょう?』
『えぇ、驚嘆に値します。何とも魔法使いらしいモットーですね』
短い会話を終えると、二人は静かに互いを睨みつける。
そして、そのまま動き出した!
朱乃さんはチャージした魔力の砲撃をぶっ放し、アバドンはそれを穴でかき消す!
その隙を掻い潜って、朱乃さんは手元に短い光の短剣を作って接近する!
『接近戦とはっ!』
アバドンの顔が苦渋に満ちる!
木場ほどではないが素早い連撃にアバドンは防戦一方になる。
穴を使おうにも朱乃さんに光は還元されるだけだから、実質封じられたようなものだ。
アバドンは穴を自分に被せるように発生させ、朱乃さんから離れた場所に転移していた!
『今度はこちらからです!』
アバドンはそれぞれ攻撃を両手から発生させると、それを作り出した穴に吸い込ませた!
すると朱乃さんの目の前に不意に先程の攻撃が迫っていた!
『くっ!』
回避が間に合わないと判断したのか、朱乃さんは周囲に雷の防御膜を張った!
『はぁ、はぁ…っ』
大きく息を荒げるアバドンの眼前、制服がボロボロになった朱乃さんが現れた。
『…流石ですね。今のでもリタイヤしないとは』
『私も負けられないので。…どうです?そろそろ終わらると言うのは』
『賛同しましょう。……最後に一撃。それを全力で放ちます』
それを受けて朱乃さんは手刀を形作った手に雷光を、アバドンは手元に魔力を圧縮させていく。
互いに瞑目し、そして――――
『『ハァァァァァッ!!!!』』
お互いの最後の一撃がフィールドを揺らした!
勝者は………
『リアス・グレモリー選手の女王一名、リタイヤです!』
最後のシーン
アバドン「螺旋丸!」
朱乃さん「千鳥!」
ってな感じで