ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
リアス「ねぇ、あなた本当にイッセーなの?」
イッセー?「な、何言ってるんだよ。俺はイッセーだよぉ」
リアス「じゃあコーヒー淹れてくれるかしら」
イッセー?「ほい」
リアス「…マズっ!!あなたイッセーじゃないわね!ドライグでしょう!」
ドライグ『ちぇ、バレちまったか…まぁ良いや。第139話、見て見てちょー』
リアス「グレイフィア?ドライグがまた馬鹿な事をやってて…」
ドライグ『あっ…』
「―――――我、目覚めるは」
〈始まったよ〉〈始まってしまうね〉
「覇の理を神より奪いし二天龍なり――――」
〈何時だってそうだった〉〈何時だってそうじゃった〉
「無限を嗤い、夢幻を憂う――――」
〈世界が求めるのは〉〈世界が否定するのは〉
「我、赤き龍の覇王となりて――――」
〈何時だって力でした〉〈何時だって愛でした〉
一言、また一言紡いでいく度、理性が流されそうになるほどの力が溢れてくる。
鎧が鋭角的になり、手足も肥大化、更に体内より溢れ出る紫色の魔力に中てられ、鎧に紫の皹が走っていく。
俺は何とか理性が残っているのを確認し、最後の一説を紡いだ。
「汝を紅蓮の煉獄と深淵なる絶望へと鎮めよう――――
《Juggernaut Phantom Drive!!!!!!!》
紡ぎ終えた瞬間、周りの景色が一瞬にして爆ぜ、俺を中心にクレーターが出来上がっていた。
極手の時以上のスパークを迸らせ、俺はサイラオーグさんを見据えた。
『な、何とぉ!!ここで兵藤一誠選手、更なる奥の手を出してきましたァァッ!!…しかし、それにしてはかなり禍々しいです!』
『…あの野郎!!またあの力を……っ!!』
『…あれが、禁じられた力』
溢れ出る紫煙の瘴気を振りまくその姿にアザゼル先生、そしてリアスが言葉を失っていた。
「イッセー、貴方っ」
「…リアス、離れててくれ。今のこの状態じゃ、加減が効かない。君まで巻き込まれてリタイヤしちまったら、本末転倒だ。……大丈夫、そんなに時間は掛からせない」
「……」
リアスは僅かに躊躇いを見せたが、何も言わずに少し離れた場所へ転移した。
…ありがとう、リアス。
「…それは確か、ディオドラ・アスタロトとの戦いで見せた力と聞く」
「えぇ…文字通りの、最後の切り札って奴です。これで、あんたを倒すっ!!」
「っ!」
低く構え、そのまま勢いよくサイラオーグさんへ向けてパンチを放つ!
お互いの拳がぶつかり合い、拮抗状態になるかと思ったが、徐々にサイラオーグさんが押されているのを感じた。
――――よし、行ける!
「ぉおおおおッ!!」
《Wizard Promotion!!Land Dragon!!!!!》
《Juggernaut Solid Break!!!!!》
鎧の色と形状が変わり、左手全体が赤黒い魔力で覆われると、俺はすぐさま力を爆発させる!
拮抗していた右腕のスラスターを吹かせて無理やり押し込むと、力を溜め込んだ一撃を撃ち放つ!
『壊せ…』『全てを……』
が、頭に流れ込んできた呪詛の声に動揺し、中心線からズレてしまった。
「――――ッ!!!」
それでも何とか命中させると、サイラオーグさんはさっきの戦闘以上に大きく後退!
命中した個所を抑え、荒く息を吐いていた。
『サイラオーグ様!』
「…問題はないっ!」
…今ので倒せる訳はないか。
ドライグ、覇龍の持続時間は?
『エルシャとベルザードも協力してくれているお陰で、何とか上手くいっている』
エルシャさんに…ベルザードさんも!?
歴代で最強だった赤龍帝に協力してくれるとは、心強いぜ!
『それも要因の一つだが、単にお前が成長したというのが大きい。だがそれでも数十分が限界だ。それだけは覚えておけ』
分かった。
俺はドライグとの会話を打ち切ると、再びサイラオーグさんへ向けて飛び立つ。
《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!》
「うおおおおおっ!!!」
拳を肥大化させ、そのまま振り下ろす!
だが命中はせず、地面にクレーターを作るだけに終わった。
「はぁあああっ!!!!」
「…ぐ、ぅ!!!」
俺の背後に回ったサイラオーグさんが蹴りを放つ!
素早く旋回しそれを回し蹴りで往なすが、空かさず今度はストレートパンチを放ってくる!
躱しきれないと判断した俺は、周囲の瓦礫を操作し、自分の体に纏わせる。
その一撃で岩の鎧は砕かれたが、俺は何とかノーダメージで済んだ。
「はっ!」
「!」
俺が両手を翳すと、宙に散った岩が全て鋭利な槍に形成された。
そしてそれを全てサイラオーグさんへ向かわせる!
「むぅぅぅうん!!!」
サイラオーグさんは冷静に腕を横にスイングし、岩槍を全て破壊した!
――――そう、そこまでは想定内だ。
《Wizard Promotion!!Water Dragon!!!!!》
「っ!」
腕を横に薙いだ事でがら空きになったサイラオーグさんの体に、魔龍進化で生成された両手の砲撃ユニットを密着させる!
多少のフィードバックは覚悟の上だぜ!
「全弾持ってけぇぇぇぇっ!!!」
《Juggernaut Critical Fire!!!》
「――――がぁぁぁあッ!!!」
チャージした魔力を一気に放射し、サイラオーグさんの体に確実にダメージを与える!
だが、それを受けて仰け反っても尚、サイラオーグさんは踏み止まり、俺に逆襲の一撃を見舞ってきた!
「……おぉ!!」
「がはっ!!!」
想定外の一撃に防御が遅れ、大きく地面を転がる!
何とか痛みを堪えつつ立ち上がる中で、サイラオーグさんも片膝を付いていた。
『す、凄まじいラッシュの応酬です!兵藤一誠選手が一撃を与えれば、サイラオーグ選手がそれを圧倒的なパワーで返す!!まさに一進一退の攻防ッ!!』
『だがイッセーのあの力は何時までも持つものじゃない!アイツも、それは分かっている筈だ……!』
『だからこそ、サイラオーグ選手の余力を自分を律せる時まで全力で削ぎ、後を主に託すという手筈かもしれません』
…まぁ、確かにそれもアリっちゃアリだが、出来るなら倒せるに越した事はない。
『先の一撃を耐えたのも、闘気で防御したからだろう。だがあれは本人の意思ではない、恐らくはあの男の戦闘意欲が、肉体にそうさせたんだろうな』
とんでもない人だぜ、全く……!
藪を突いたら獅子が出てきた、って所だ。
『壊せ…』『破壊を……!』『絶望を……!!』
……うっ!
さっき以上に大きくなった呪詛の声に、思わず頭を抑える。
『…やはり、完全に抑えるのは無理があるか。相棒、もう時間がないぞ』
…分かった。
俺は立ち上がると、既に立ち上がっていたサイラオーグさんと向き合う。
「…どうやら、限界が近いようだな」
「どうします?このまま俺の限界が来るのを待ちますか?」
「そんな無粋な真似はしない。お前の限界の時まで、俺は戦わせてもらう」
「…俺も、自分の限界まで、戦いたいと思います…………サイラオーグさん、行きます!!」
《Wizard Promotion!!Hurricane Dragon!!!!!》
赤黒い旋風を纏い、シャープな姿になる。
吹き抜ける微力な風をスラスターに取り込み、一気に駆け出す!
《Juggernaut Raid Acceleration!!!!!》
「疾風怒涛…駆け抜けるぜッ!!!」
鎧が剣山状に変異し、各部のスラスターを爆発させる!
サイラオーグさんが突き出した拳を躱し、幾重にも切り裂く!
「…ッ!何という素早さ!目で追えんとはっ!!」
「まだまだッ!」
今度は雷を纏い、高速で強襲を掛ける!
肉薄寸前で更に移動、鋭利な装甲をを保った右腕で背中を斬り付ける!
「ぬぅ…!!」
「よしっ、行ける――――」
が、寸前で力が抜け、鎧も通常のものへと戻ってしまった。
「な、何でだよ、ドライグ!?」
『相棒。これ以上は、限界だ……!お前の体が持たん!』
「それでも――――」
それが、命取りだった。
「むんっ!!!!!!」
「――――ッ!!」
殆ど無防備の状態で、拳を食らってしまい、俺は吹き飛んでしまった…………!!!
『相棒、おい!相棒!!!』
ドライグの声が薄っすらと聞こえる中、俺の意識は闇に堕ちていった。
ーーーー
「……ここは」
意識が覚めた瞬間、俺の視界は真っ暗な場所にいた。
ドライグは…いないか。
『…兵藤一誠』
「ん…?」
俺を呼ぶ声が聞こえて振り返ると、そこにはフードを被った集団が。
「……先輩方」
そう、歴代の赤龍帝達だ。
その中の一人が語り掛ける。
『あの男を倒す為には、完全な覇を唱えるのだ…君は、理性を気にしてまだ完全な力を発揮出来てはいない』
「俺にリアス諸共全てを破壊しろってのか…!」
『だが君は勝利の為に覇を求めた……』
痛い所突いてきやがるな……。
思わず口を噤んだ俺に、次々と先輩方が口を開く。
『もう一度、唱えるのだ…』
『貴方の絶望の魔力があれば、完全な勝利を得れるわ…』
『そして全てを、破壊するのだ…』
その言葉のどれもが、深い絶望に包まれていた。
絶望に、ずっと囚われ続けている……。
「いざ迷ったら、君自身の信念を信じなさい」
「…確かに」
以前エルシャさんに言われた事がフッと脳裏を過り、思わず小さく笑った。
「俺は一度絶望した。なら、この歴代の怨念が生み出した力を使うのは当然なのかもしれない。結局逃げても、俺は今こうして向き合ってるしな」
『ならば…』
「――――だから」
俺は、ザっと全体を見渡す。
俺の信念は……
「だから俺は、あんた達が生み出し、受け継いできたこの力を救いたい。そして、あんた達を。それが、俺なりの向き合い方だ」
『我々を…?』
「覇龍を使って、体験したから分かる。この力は…違う絶望を呼び寄せる。絶望が絶望を呼び、永遠に終わらない」
悲しみや怨嗟、更なる戦火も呼び起こす。
それは…
「希望の魔法使いが止めなきゃならない。いや、止めたいんだ。こんな絶望の連鎖を」
『そんな綺麗事を!』
「あぁ、そうだな。……でもな、綺麗事だから、現実にしたいんだろ!そして俺がやるのは破壊じゃない、希望を守る事だ!これ以上、大切な人を悲しませない為に、そして――――あんた達をこれ以上悲しませたくないから、俺は覇を越える!」
『越える…!?そんな事が出来る訳っ』
「出来るさ」
動揺する先輩から、俺は目を背けない。
何が何でも、この絶望から逃げない!
「俺一人じゃ確かに到達不可能だ。でも、俺にはドライグとドラゴン、それに、先輩達もいる。皆がここまで繋いできた力を、絶望から救う」
『……』
「そして、その力を次代へ繋ぐ!…だから、恨みのイタチごっこは、もう終わりにしよう」
辺りの闇が、晴れていく――――全員の目に、僅かな光が宿った。
「約束する。俺があんた達の、希望になる。だから、絶望の連鎖から抜け出そう」
『兵藤、一誠……』
「…まさか、本当に自分の信念通りに動くなんてね」
今度は誰だ……と思ったら、それはエルシャさんだった。
「エルシャさん」
「答えは初めから君の中にあったのよ。でも、君は一度暴走したから、無意識にその答えから遠ざかったって訳♪……流石、希望の赤龍帝だわ」
エルシャさんは俺を抱きしめる。
まるで、礼を伝えるかのように。
「エルシャ、良いか?」
「…ベルザードさん」
エルシャさんは渋々抱擁を解いた。
そして目の前の偉丈夫を見据える。
ベルザードさん。
エルシャさんと並んで歴代で最強の赤龍帝の男性だ。
「兵藤一誠。君は本当に、規格外な赤龍帝だ。ドライグですら手に負えなかった思念すら救ってみせた」
「…俺じゃなくても、きっと出来ましたよ」
「いや、君だからこそ出来たんだよ。絶望を救い、それでも自分の絶望に屈せず、立ち上がってきた君にしか、成しえない事だ」
ベルザードさんの言葉に、俺は胸のつっかえが取れていくのを感じた。
隣に立ったエルシャさんは、優しく微笑んでいた。
「行きなさい、イッセー君。ドライグが待っているわ」
「あぁ。行け――――希望の赤龍帝!」
俺は無言で、前に進んだ。
答えはいらないと思ったから。
ーーーー
「…ドライグ」
気付けば、俺の目に映る景色はバトルフィールドの空間に変わっていた。
『よぉ相棒……随分遅い目覚めだな』
「試合は…」
『…まだ終わってねぇぞ』
そう言われて、俺に耳に審判や観客の喧騒が聞こえてきた。
『ウィザードラゴン、立ち上がりませんっ!!このまま、終わってしまうのでしょうかァーーーーッ!!?』
『ウィザードラゴーン!!』
『立ってー!!』
『頑張れーっ!!!』
子供達の声援も、至極鮮明に響いてきた。
「ドライグ…」
『どうやら、何かに至ったらしいな』
「あぁ…今、送るよ」
俺は自分の考えをドライグに伝える。
果たしてドライグの反応は……
『…ハハッ!おいおい、こんなぶっ飛んだもんに目覚めたのか!!やっぱりお前は面白いぜ!』
「……笑うのは、後にしろよな」
『すまんすまん。――――さぁ、行こうか』
俺はゆっくりと、その場から立ち上がった。
「イッセー!?」
「兵藤一誠……立ち上がるか!」
リアスと、サイラオーグさんのそれぞれ驚愕の表情が突き刺さる。
俺は籠手を出すと、大きく深呼吸をする。
「………………………ドライグ!」
『――――応!』
そして
「『――――我ら、目覚めるは!!』」
籠手から眩い光が放たれる。
それは赤い色ではなく、透き通った水色。
「『覇の理を超越せし赤龍帝なり!!』」
バトルフィールド全体を照らすその輝きは、一説紡ぐごとに大きくなっていく!
『赤き不滅の力と!』「決して折れぬ信念抱き!」
「『天道を征く!!』」
五感がクリアになっていく。
でも、不安はない。
新しい力が、体の芯まで満ち満ちていく!
「『我ら、古からの力と信念受け継ぎし龍の戦士となりて!!!』」
俺の心もクリアになり――――今、一つに!!
「『汝の絶望を払い、永久の希望となる事を誓おうーーーー!!!!!』」
《infinity Hope Dragon Evolution Drive!!!!!!!!!!》
紡ぎ終えた瞬間、ダイヤモンド状のドライグが飛び立ち、俺へと纏わりつく!
まるで原石のように尖った宝石に包まれ、それを振り払う!!
極手の時のような鋭角な鎧、背部に折り畳まれた四対八枚の翼――――そして鎧の色は、透き通った水色。
『な、な、何とぉぉ!!ウィザードラゴンの鎧が、先程とは全く違う色です!!赤ではない、美しい水色ですッ!!!これは一体何事でしょうかァーーーー!!?』
「イッセー、なの……?」
「…進化したというのか?」
「『――――さぁ、ショータイムだぜ!』」
イッセー「最後までいかねぇの!?」
ドライグ『長くなりそうだからだってよ』
次回、(多分)決着!!