ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
曹操「ジーク・ジオンッ!!!(核ぶっぱ)」
イッセー「それが人間のする事かぁ!!」
ヴァーリ「味方だと思っていたが…やはり裏切ったか、曹操!!(巻き込まれた)」
木場「たとえバルカンすら積んでなくとも、僕は剣士だ!最後まで戦うッ!!」
女性陣(一部除く)『男って……』
機体に関しては多分分かると思いまする
「………ここは」
目が覚めると、視界に入ってきたのは知らない天井だった。
周囲を見渡してみると、病室っぽい作りの部屋にいるのが分かった。
って言うか包帯まみれになってるし。
怪我は兎も角、体力が全くない……手に力すら入らねぇ。
「起きたか」
「…サイラオーグさん?」
聞き覚えのある声と気配に横を見れば、そこにいたのは同じく包帯姿のサイラオーグさんだった。
「…ってか、隣のベッドだったんすね」
「偶然にもな。病室なら余っているだろうに。サーゼクス様かアザゼル総督か、体力が回復するまでの話し相手としてマッチングしてくれたのかもしれん」
「…もう流石に戦う気はないっすよ」
俺がげんなりして言うと、サイラオーグさんは「そうだな」と言って苦笑いを見せると、しみじみと呟いた。
「…負けたか」
自分の敗北を再確認するような呟きだが、そこに悲壮感は一切感じられなかった。
「……悪くない。こんなにも充実した負けは初めてかもしれん。だが、最後の一瞬は残念ながら覚えていない。気付いたらここだった」
「俺もその辺が曖昧なんです……でも」
「「最高の殴り合いだった」」
お互いに言いたい事が合致していたのに気付き、二人とも吹き出してしまった。
『何だ、あんなに殴り合いしていたとは思えんほどの仲の良さだな』
「ドライグ」
『あー、魂がないってのに、何だかあちこちが痛むぜ。ま、お前と一つになった影響だろうな』
ドライグの声には疲労の色が滲み出ていた。
擬人化していたら、多分首をゴキゴキ鳴らしていたんだろうなぁ…。
「何か、ゴメンな」
『気にすんな。あんなに良い一撃、受けなきゃ逆に損だ。サイラオーグ・バアル、お前の強さ、確とこの魂に刻ませてもらった』
「伝説の天龍にそう言っていただけるなら、これ以上ない誉れだ……そう言えばなんだが」
「『?』」
サイラオーグさんは首を捻りながら、こんな事を言い出した。
「あの時の最後の殴り合い、覚えていないのは確かだ…だがあの時、俺の精神とレグルスの心が重なったような気がしていた。朧気だが、そんな記憶が薄らと残っている」
『…そいつは気のせいじゃねぇよ』
「え?」
『あの時、確かにお前とあのネメアの大獅子は一つになっていた。相棒が歴代の思念を絶望から救って至った境地に、あの土壇場で一歩だけとは言え踏み込めていた。あれは恐らくよほどお互いを信頼していなければ成しえない境地だ。お前が奴を信じ、そして奴もお前を主として慕っている……あの時の慟哭が、その証拠だ』
慟哭…確かに、あの時のレグルスは、泣いていた。
何か思い当たる節があったのか、サイラオーグさんは感慨深げに言った。
「……そう、か。あれも夢ではなかったのだな」
『無自覚とはいえ、記憶はしていたか。大した男だ』
ドライグが呆れたように言った時、入室してくる人がいた。
「失礼するよ」
紅髪の男性――――魔王サーゼクス様だ。
「どもっす」
「やぁ、イッセー君に、サイラオーグ。本当に良い試合だった。私もそう強く思うし、上役も全員満足していたよ。二人の将来が実に楽しみになる一戦だった」
サーゼクス様は俺達にそう激励の言葉を贈ると、近くの椅子に腰を下ろした。
「さて、イッセー君にお話があるんだ。サイラオーグ、暫し彼と話しても良いだろうか?」
「俺は構いません……席を外した方が?」
「いや、そのままで構わないよ。君もそこで聞いておいて損はないかもしれないからね」
サーゼクス様は、真面目な顔でこんな事を仰った。
「イッセー君、君に昇格の話があるんだ」
……………え
言われた事を一瞬理解できず、ポルナレフ状態になってしまう。
だけどそんな俺に構わず、サーゼクス様は話を続けた。
「正確に言えば、君と木場君に朱乃君だがね。ここまで君たちはテロリストの攻撃を防いでくれた。三大勢力の会談テロ、旧魔王派のテロ、異形となった悪神ロキですら退けた。そして先の京都での一件と今回の見事な試合…加えて、イッセー君はこれまでウィザードとして人知れず人間界の守護や襲われていた悪魔を助けていた事で、完全に決定がされたんだ。――――近いうちに君達三人は階級が上がるだろう。おめでとう。これは異例であり、昨今では稀な昇格だ。」
そう笑顔で言うサーゼクス様だけど………
「……………」
俺は未だに混乱状態から抜け出せないでいた。
そんな俺の左手が、勝手に動いて俺の頬を殴りつけた!
『左ストレートォ!』
「いってぇ!?……おいドライグ!何しやがる!?」
『おー、一体化した影響でこれまで以上にお前の肉体に干渉できるようになったぞ。こりゃ便利だな』
「…もうちょい穏便な目の覚まし方とかあったろ」
『この方がらしいだろ?』
厭味ったらしい良い声でそう宣うドライグだが、すぐにその声音は真面目なものになった。
『だが性急すぎやしないか?確かに今の相棒の実力は上級悪魔クラスだが…まだ未熟な部分も多々あるんだぞ。本気なのか?』
「あぁ。それだけの事を、彼らは示してくれたからね。確かにまだ至らない部分はあるが、将来を見込んだ上でと言う事だ」
『成程な』
マジで本気らしいサーゼクス様に納得がいった様子のドライグ……俺はまだ納得出来てねぇ!!
「え、でも俺は…」
「受けろ、兵藤一誠」
そんな俺にサイラオーグさんは、こう言ってのけた。
「お前はそれだけの事をやってきたのだからな。出自など関係ない。お前は――――冥界の英雄であり、希望になるべき男だ」
「や、随分スケールデカすぎじゃないっすか?幾ら何でも……」
『安心しろ相棒。統治者としちゃまだまだド三流だが、戦闘面ならお前は文句なしだ。いや、もしかしたら中級通り越して上級悪魔に昇格出来んじゃね?』
いや、そんな他人事みたいに言うなよ!!
今一釈然としない俺を見てサーゼクス様は苦笑いされていた。
「詳細は今後改めてそちらに通知しよう。異例ではあるが、キチンとした儀礼を済まして昇格といきたいのでね。会場の設置や承認すべき事柄もこれから決めていかないといけないのだよ。ては、これで失礼させてもらうよ」
それだけ言い残して、魔王様は退室していった。
「昇格、か……」
俺はベッドに体を倒して、ふと呟いた。
「まだ実感が湧かないのか?」
「え、えぇ…いきなりすぎて」
まぁ昇格したくないと言えば嘘になる。
でもそう言うのはもっと後になってからだと思ってた。
「……ま、まだ昇格できると決まった訳じゃねぇし、良いか」
「…随分消極的だな。赤龍帝ドライグのやコリアナの言った通りお前は上級悪魔でも十分通じる実力を持っているのだぞ?」
「だって、先の事は分かんないじゃないっすか。だから今は…」
俺は傍にあった果物籠から、バナナを取り出す。
そしてサイラオーグさんには、リンゴを手渡した。
「腹ごしらえっす」
「……ハハッ、そうだな」
二人して笑った後、仲良く果物を食べるのであった。
「兵藤一誠。リンゴにマヨネーズと言う調味料は合うのだろうか」
「絶対合わないっすよ!?」
ーーーー
アザゼル君視点
「何故に君付けだよ!?」
……と、のっけから地の文に対して突っ込んじまったが、俺はゲームの解説が終わった後、俺は要人用に観戦室の方に足を向けていた。
ゲーム中は解説の仕事で席を外せなかったが、配下からの連絡で「例の者」が要人用の観戦室に姿を現したと一報を受けていた。
要人用の観戦室は個室になっているんだが、今回俺はある要人の部屋へと進んでいた……が、俺が邪魔する前にその「例の者」が部屋から護衛と共に出てきた。
五分刈りの頭に、丸レンズのサングラスとアロハシャツで身を固め、そんなファンキーな姿であるにもかかわらず、首からは数珠を下げていた。
容認にあるまじき格好だが……この野郎が「例の者」だ。
「これはこれは帝釈天殿、ゲームは如何でしたかな?」
「お?よー、正義の堕天使兄さん!イカした試合だったZE!現魔王派と癒着してる堕天使兄さんにとっちゃ『教え子』ってのが勝って良かったンだろォ?グレモリーチーム、ありゃ常軌を逸したメンツが集いすぎだ。並のチームじゃ相手に出来んだろ」
…相変わらず皮肉しか言わねーなこの野郎は!
全勢力のトップ陣でも最高クラスの実力者。天帝。戦いの神『阿修羅』に勝った武神……インドの神、帝釈天!
「訊きたい事がある」
「HAHAHA!ンだよ、正義の堕天使兄さん!俺様でよかったらなんぼでも答えてやンぜ?」
「…神滅具所有者の事を、曹操の事を俺達よりも先に知っていたな?」
帝釈天の配下でもある初代孫悟空が、曹操を知っていた事を俺はグレイフィアやイッセーから報告を受けていた。
そう、此奴は――――曹操の事を幼い頃から知っていた。
帝釈天は俺の疑問に、意味深に笑みを深めながら軽々と言ってのけた。
「だとしたら、どうすンよ?俺様がアイツをガキんちょの頃から知っていたとして何が不満だ?報告しなかった事か?……それとも、通じていた事か?」
……言ってくれたな、この野郎っ!!
「まさかテメェからバラすとはな……インドラッ!!」
俺は怒気を隠さずにその名を呼ぶが、帝釈天は不敵に笑うだけ。
「HAHAHA!そっちの名で呼ぶなんて粋な事してくれるじゃねーの。そんな怖い顔すンなや、アザ坊。それならよぉ、冥府神ハーデスのやってる事なんざ、勢力図を塗り替えるレベルだぜ?」
此奴、ハーデスの事まで……どこまで「通じて」やがる!?
「一つ言っとくぜ、若造。どこの勢力も表面は平和、講和なんてもんを謳ってやがるがな、腹の中じゃあ『他の神話なんて滅べ、クソが!』って思ってンだよ。オーディンのジジイやゼウスのクソオヤジが例外的に甘々なだけだぜ。信じる神が少なきゃ、人間どもの意思を統一できて万々歳だからな! だいたい、てめぇらの神話に攻め込まれて、民間の伝説レベルにまで落とした神々がどれくらいいると思う? ――――神ってのは人間以上に恨み辛みに正直なンだぜ?」
…そんな事は百も承知だ。
どこの神々も建前で協力体勢を呑んでも、腹の中では全く違うことを考えている。
いや、恐らく隙あらばなんて事を思っていても当然だろう。
だがな、今はその建前が大事な時期なんだよ!
勢力図が変われば人間界は簡単に滅ぶんだからな……!
「ま、表向きは協力してやンよ。確かにオーフィス達は邪魔だからな」
オーフィス“達”か……そこに曹操は入ってるのか?
「あ。そーだ。あの魔法龍帝の坊主に言っといてくれ。最高だったぜってな。だがもし、世界の脅威になったら、俺が魂ごと消滅させてやるってよ。『天』を称するのは俺達だけで十分だ」
帝釈天はそう言って去ろうとするが、そこで足を止めた。
「あーそれとよ」
「まだなんかあんのか」
「そうカリカリするなって。滅ぼすっていやぁ、あの赤龍帝の坊主、気を付けた方が良いZE?アイツは下手したら………世界を滅ぼす器になっちまうからYO?」
……は?
「おい、どう言う意味だそれは!?」
「まぁ進んでいく先で明らかになる。それまでは目ぇ離さない方が良いZE?じゃーなー!」
俺の質問に答えず、帝釈天は今度こそ去って行った。
ーーーー
レーティングゲーム後の、文化祭当日。
「一列になってお並びくださーい!」
ウェイトレス姿の愛らしい格好のアーシアが、廊下に並ぶ生徒達を整列させていた。
しっかしすげぇ長蛇の列だな……。
「はーい、こちらは占いの館とお祓いコーナーですよー!塔城小猫ちゃんと姫島朱乃先輩が占いとお祓いをしてくれまーす!」
そしてイリナもウェイトレスの傍ら、各コーナーの呼び出しをしていた。
オカルト研究部の出し物は見るも大盛況だ。
何せ我が部の美少女達に憧れる男子だけじゃなく、女子までもが沢山来てくれているんだ。
「はい、チーズ」
と、喫茶店で写真を撮っているのは、ウェイトレス姿のリアスだ。
ヒーローショーみたく部員と写真を撮れるシステムの導入を俺が進言してやってみたら、速攻で学園中の話題の的になった。
まぁ高嶺の花の美少女部員と一緒に撮れる写真撮影だからな。
『お前は毎晩一緒に添い寝してるがな』
そうだな、ざまーみやがれはっはっは!
何て心の中で呟きつつ、俺は教室の片隅でジュースを飲んでいた。
「ちょっとイッセー君、見てないで手伝ってよ」
と、お化け屋敷を構えた教室から木場がやってきた。
あー、そういやこの時間俺はフランケンシュタインか…。
「いやぁ、実際こうしてみるとさ、めんどくせぇよな」
「主役の言って良い台詞じゃないよ!そう言う学生実際にいるけどさ!」
「いや、イケメン王子のお前一人で事足りるだろ」
「足りないから呼んでるんだよ!」
…はぁ、しょーがねぇか。
俺は重い腰を上げた。
「じゃ、いっちょ頑張りますか」
「とても主役とは思えないや……」
木場の呟きは聞こえないフリをして向かおうとすると、俺の悪友二人が姿を見せた。
「おいイッセー!オカルトの館、何処も入れないじゃないか!」
「友人枠としての特別優待券とかないのか!?」
「ちゃんと並べバーカ」
俺はにべも無くそう言ってやった。
「サイラオーグさんが、ですか」
校舎一階のチケット売り場、休憩時間を利用して、俺は先生からサイラオーグさんの今後の顛末について聞かされた。
サイラオーグさんは俺に負けた事で、上との繋がりを幾つか失ったらしい。
『この時点で手を切るなんざ、相当な馬鹿だろ。アイツはどう見ても将来性十分だぜ?』
「あぁ。だから一部のパイプは残ってる。残った連中はそう言った事はちゃんと理解出来る頭を持ってるって事だ」
「じゃあ、大王家次期当主の座は?」
「そこはまだ変動はない。今回の一軒で大王家がどう動くかわからないが、滅びを持っていないとは言えあれだけの実力者だ。世論もあるだろうし、無下に出来るはずもないだろう」
そっか……ちょっとホッとした。
「サイラオーグさんなら、また上ってきますよね」
「当然だろう。アイツはそれだけの実力を有してる…お前もうかうかしてたら、先を越されちまうぜ?じゃな」
そう言って先生は出し物の見回りに戻った。
あの人、学園祭の総監督なんだよな?
『どう見ても文化祭楽しんでるおっさんだな』
「んなこと言ったらまた突っ込まれるぞ」
と俺が言うと、遠くから「誰がおっさんだ!!」と聞こえてきた!
どんだけ地獄耳!?
「イッセー様、新しいチケットが出来ましたわ」
「ん、おぉレイヴェル。サンキューな」
新しいチケットの補充が来たので売り切れの札を取り払ったら、一瞬にして客が群がった!
お前らはハイエナか!?
「はい、占いの券です」
まぁ、レイヴェル楽しそうだし、突っ込むのも野暮か。
「い、イッセー様…」
「ん?」
レイヴェルがチケットを売りながら言葉を紡ぐ。
「試合、感動しました……。最後、相手選手を抱きしめるイッセー様を見ていたら、私もつい泣いてしまって………」
な、何だ急に…頬も赤くしちゃって……。
俺まで照れ臭くなってきたじゃんか。
「…そんな泣くほどかよ。ただ泥臭く殴り合っただけだぜ?それこそ、お嬢様のレイヴェルには過激すぎるっつーか…」
「そ、そんな事ないと思います!!とても素晴らしい、意地のぶつかり合いでした!…そ、そうですわ!私、打ち上げ用のケーキを作ろうと思っていて!」
「へぇ、じゃあ期待して待っとくよ」
レイヴェルの菓子は美味いからな。
「と、当然ですわ!特別でしてよ!」
「ハハッ、その感じ、何時ものレイヴェルらしくなってきたじゃん。さ、チケット売ろうぜ」
「…はい!」
とは言うけど、お客さんは増えるなぁやっぱり。
「イッセー、裏のお店とかないのか!?」
「親友よ、エッチな写真撮影会は!?」
「よーし、お前ら表出ろ」
俺は拳をバキバキ鳴らして、馬鹿友二人にそう吐き捨てるのであった。
はてさて、そんな学園祭もはや終盤。
現在は校庭でキャンプファイヤーが行われていて、男女が楽しく踊っていた。
『相棒、参加しないのか?』
いや、もう疲れた……。
サイラオーグさんとの戦いの疲れが取れてないのもあるし、今日のお客さんの相手でもうヘトヘトなんだよ。
『まぁそりゃそうか。…かく言う俺も、疲れ取れてないからちょっと寝るわ』
おう、お休み。
俺はなんとなしに部室に戻ってきた……と、先客がいた。
「あら、イッセー」
「よっす」
我らがリアス部長だ。
「お仕事お疲れ様。何だかんだ言いつつ、サボらなかったのは良い事よ」
「どーも。リアスの方は?」
「最高の学園祭だったわ。もう思い残す事はないぐらいよ」
「そっか」
部長の席に座るリアスにそう答え、俺は部長席のデスクに腰掛ける。
「………」
途端に無言が俺達の間を支配する。
視界の端でリアスを見ると、頬が僅かに赤くなっていた……。
…ここは一つ、男を見せるか。
俺はデスクから立ち上がって、リアスへ近付く。
気配を察してこちらを振り向こうとしたリアスの頬を包んで――――
「リアス」
「イッセー……っ!」
唇を重ねた。
一分ほどのキスを交わした後、俺はリアスから離れる。
リアスは何が起こったか分からず、放心状態だった。
「リアス。あの時の約束、果たさせてもらう」
「それって…………」
「君を――――貰う」
俺がそう言ったと同時に、リアスは俺の胸に飛び込んできた。
ぎゅうッと、強く抱きしめ、頭を擦り付けてくる。
「…イッセー」
「うん?」
「貴方には、グレイフィアと言う恋人がいる……でも、私は、貴方が好き。大好きっ」
涙声で震えながら、リアスは俺に告白した。
俺はそんな彼女が愛おしくて、頭を撫でる。
「俺も、好きだ。グレイフィアと同じぐらい、君が好きだ。…………俺、結構欲しがりさんだから、君の全てが欲しい」
「……イッセー」
漸く顔を上げたリアスの顔は、赤く染まり、瞳も潤んでいた。
俺達は徐々に距離を近付けようとした――――ところで、
ガチャ
「イッセーさん、ここですか………・はうっ!イッセーさんがリアスお姉さまと!」
ここでアーシア達の入室かよぉぉ!!
いや、まぁ薄々はこうなるかもと察してたよ!
それにしたって綺麗にフラグ成立しすぎだろ!
「あらあら、リアスだけ狡いですわ。わ・た・し・も」
そこへ空かさず朱乃さんが俺の腕にしがみ付いてきた!
うへぇ、相変わらず凄い柔らかモチモチなおっぱいです!!
「ちょ、ちょっと朱乃!今折角良い所だったのに!!」
「私だってイッセー君と良い雰囲気になりたいんですもの。ねぇイッセー君」
「は、はい?」
「…私、試合で負けちゃったけど、デートは無効になるのかしら?」
ぐっ、そんな捨てられた子犬みたいな目で見つめないでください……!
キュンとしちゃうから!
「や、勝ち負けとかは言ってないし、朱乃さんも頑張ってたから……行きましょうか?」
「!嬉しいっ、イッセー♪」
朱乃さんは嬉しそうに笑うと、俺への密着を更に深める!
「だ、だったら私だって!」
リアスも負けじと、更に強くしがみ付く!
両腕がおっぱいに埋没してるぅ!!
「はうっ、イッセーさんが満員御礼ですぅ!!」
「私達だって頑張ったんだ!デートさせてくれる権利だってある筈だぞ!行くぞアーシア!!」
「…私も、一日中イッセー先輩に愛でられたいです……!」
ちょ、ちょまて君達!
もう満員御礼だって!
「わ、私も混ざるべきなのかしら!?ミカエル様の為に迫って……でも、堕天しちゃうし……如何すればいいのイッセー君!?」
知るかそんなもん!!
それより俺を助けろ!
「うわぁ、イッセー先輩が埋もれちゃってますぅ」
「こりゃ大変だねぇ」
そこの男子!!日よってないで助けろと言うんだ!!
「学生なのですから、慎みのある行動をしてくださいね」
そこで言う事じゃないっすよロスヴァイセさん!!
「皆さん!家庭科室をお借りして、ケーキが完成しましたわ!!」
おおっと、ウェディングケーキみたいなデカいケーキ持ってレイヴェルが入室!
だけどこの状況を見てポカン顔!
「えっと、どういう状況ですか?」
えっと…………カオスです!!
俺はもみくちゃにされながら、そう呟く他なかった。
ーーーー
アザゼル総督視点
お、やっとまともな紹介?じゃねーか。
俺は今冥界にいる。
用事があったついでにシトリー領にある病院に来ていた。
院内の売店で花を物色している体格の良い男は、俺の来訪を見て驚いていた。
「総督殿」
「よっ、打撃王」
サイラオーグだ。
報告ついでにこの男の顔も見たくなって、この病院に足を運んだ訳だ。
「兵藤一誠の調子はどうです?」
「あー、自分が至った境地の試行錯誤を繰り返してるよ。案外上級悪魔目指せるかもな」
アイツは現状で満足したりはしない。
リアス達と出会って、自分の手の届く範囲で力を蓄え、昇華させていく……血統重視の今の悪魔達は、アイツと試合したらどんな反応を見せるのやら。
「楽しみですね。俺も、直ぐに追いついて見せます」
「アイツに伝えとくよ」
イッセーの奴、喜び勇みそうだからな。
と思っていると、サイラオーグの執事が息を切らせて姿を現した。
「サイラオーグ様……」
「どうした?」
執事はサイラオーグの問いに、歓喜に震える声で答えた。
「ミスラ様が………………」
その病室に駆けつけてみれば、担当していた医者や看護婦は口々に「奇跡だ」「信じられない」と漏らしていた。
ベッドを覗けば――――そこには永い眠りから覚めた女性が窓からの風景を見ていた。
サイラオーグはその体躯を震わせ、下の階で購入した花を床に落としながらベッドに近付いていく。
それに女性――――ミスラ・バアルも気付いた。
「…母上、サイラオーグです。……お分かりに、なりますか?」
「……えぇ、勿論です」
子の頬を撫でようとするミスラ氏の手をサイラオーグが取った。
「……私の愛しいサイラオーグ……。…やはり、あの時の事は、夢ではなかったのですね…」
「は…」
「夢の中で……銀色の不思議なドラゴンが、私を外に連れ出したんです………そしてそこには、煌めく龍の様な鎧を纏った人の前で、貴方が倒れていた……あぁ、あの時と同じ、大きな手……」
ミスラ氏はその手の大きさ、そして今までのサイラオーグの歩みを確かめるかのように目を閉じる。
暫くして目を開けると、静かに微笑み、一言だけ続けた。
「…立派に、なりましたね………」
「……っ!」
母親からのその一言で、サイラオーグの目から――――一筋の涙が流れた。
「まだまだ、です……母上。………元気になったら、家に帰りましょう……あの、家にっ………」
…………これ以上は野暮だな。
俺は静かに病室から去って行く。
なぁ、サイラオーグ。
お前は、心の何処かでその一言を聞きたくて、ずっと頑張ってきたんじゃないか?
いや、これは俺の考えで、実際の所は分からない。
……分からなくても良いのかもな。
だけど、お袋さんにとっては、お前が自慢の息子である事に変わりはないと思うぜ?
イッセー……お前なんだろ?
魔法使いに払えない絶望はない……まさか、あんな間近で奇跡を見るとは思わなかったよ。
お前が九尾の御大将に使った魔法と同じのを使ったと言うのは聞いていた。
それがどういう結果を齎したのかは分からないが、サイラオーグの母親は深い眠りから覚めた。
…ミスラ氏が言ってたドラゴン、それはお前の中の希望なんだろう。
何でファントムがそんな事をしたのか分からない。
けど、冷酷だったはずのファントムの心すら変えちまうお前の明るさは、絶対に皆の絶望を払える。
俺は、そう信じてる。お前は、冥界と人間界に無くてはならない――――替えの利かない希望だ。
だから、お前を破滅の器になんてさせやしない。
俺は懐から取り出した手形の付いたバックルと、黒い宝石が付いた指輪を見て、そう決意するのだった。
第十章:学園祭のレグルス・ビースト -完-
覇龍の怨念、そして歴代赤龍帝の残留思念から溢れていた絶望を払ったイッセーにより発現した、覇龍の超越形態。
鎧の形状は覇龍+極手で、鎧の色は透き通った水色。
宝玉の色は銀で、目が眩むほどの輝きを放つ。
覇龍のパワーのみを昇華しており、暴走のリスクもなく、かつ伸びしろのある形態。
イッセーが皆と共に、と強く願った影響で、ドライグの魂と完全な融合を果たしている。
これにより反応速度や身体能力が飛躍的に向上している。
最大の特徴は防御力。
以前までの鎧は魔力の有無により強度が変動していたが、この形態のみイッセー自身の精神力に左右される。
イッセーが諦めない限り、鎧は何度でも再生される――――イッセー自身の「最後の希望」は絶対に挫けないと言う決意が如実に現れた能力である。
攻撃面では背部に施された四対八枚の大型の翼が特徴。
展開時に翼から赤い発光体を八体まで分離させ、それを小型のドライグに変化させ攻撃手段として運用できる。
これらのドライグにはイッセーのスペックが反映されており、(デッドコピーとは言うが)凄まじい火力を有する。
ドライグをファンネルとして解放した際は、スピードが通常時に比べて大幅に上昇する。
この形態の際は、イッセーの体内の四つの変異の駒が一時的に融合しており、イレギュラーな「女王」の駒となる。
その為、ほぼタイムラグなしで魔龍進化を行える。
尚鎧の発現時にはイッセー・ドライグ両名が理を紡がなければ発動しない。
ドライグが風邪でも引いてしまった場合、この形態は使えなくなるし、イッセーが不調の場合でも使えなくなる。
元ネタはインフィニティスタイルとストライクフリーダムガンダム(正しクスィフィアス3レール砲とカリドゥス複相ビーム砲がない。ウォータードラゴンの力を発動すると付け足される)
ドラゴン君は寝てました