ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
その日の深夜、俺の家に訪れたのは……魔王サーゼクス様だった。
後序でにアザゼル先生。
「序で扱いするな!…今日は真剣な話なんだよ」
「ホントっすか?」
この人はどうも胡散臭いからなぁ。
ま、半分だけ信じとくか。
サーゼクス様は俺、木場、朱乃さん、そしてリアスを自分の前に座らせて正面から切り出した。
「先日も話した通り、イッセー君、木場君、朱乃君の三名は数々の殊勲を上げた結果、私を含めた四大魔王と上層部の決定の下、昇格の推薦が発せられる」
おっと、此間の件か。
まさかこんな直ぐに来るとは思ってなかったぜ。
しかも悪魔になってまだ一年も経ってないのに……まだ実感が湧かないよなぁ。
「さて、昇格の話になるが、木場君と朱乃君は中級悪魔への昇格試験を受けてもらいたい。そして――――」
そこで一旦言葉を切ると、サーゼクス様は何故か俺の方を向いた。
何か、嫌な予感がするんだけど………。
そしてその予感は、的中した。
「イッセー君、君には上級悪魔の試験を受けてもらおうと思っている」
…………は、
「はぁぁぁぁぁ!?」
告げられた内容が信じられず、俺は驚きのあまり大声を上げる!
「ちょ、待ってください!百歩譲って昇格試験は分かりますけど何で俺だけいきなり上級悪魔試験を!?」
「うむ。イッセー君の驚きも最もだ…順を追って説明しよう」
未だ混乱から抜け出せない俺の前で、サーゼクス様はその経緯を語り始めた。
「本来であれば昇格のシステム上、君も中級悪魔試験の筈なのだが、君の場合は功績が下級悪魔にしては大きすぎるんだ。堕天使コカビエルを倒し、神であるロキを退け、京都では『禍の団』を撃退した。更には人間界や冥界でファントムから住民を守っていたと言うのと、先日のレーティングゲームで天龍であるドライグと融合し、魔王に匹敵する力を見せつけた。それを見た上で、中級悪魔では君自身をいざという時に動かし辛いだろうという判断なんだ」
「いざという時…?」
「例えば冥界に直接『禍の団』の様なテロリスト集団が襲撃した際、上級悪魔であれば己の判断である程度の行動は可能だが、中級悪魔では下級悪魔の時よりは融通は聞くがそれでも行動が制限される。結局は魔王や大公の指示がなくては動けない場合も多いんだ。……悪い質問をしてしまうが、君は指示があるまで待機と命じられてる間に、無作為に目の前で傷つく人達を見ている事が出来るかい?」
「……」
……そんなの、無理に決まってる。
「だが上の指示なしで勝手に行動した際は厳しく批判される。それに――――」
サーゼクス様の後を引き継ぐ形で、アザゼル先生が口を開いた。
「お前の存在を恐れ、疎んじてる連中も存在する。だからこそ、お前を上級悪魔に昇格させる事で行動の制限をなくし、いざという時の報復に対してもスムーズに対処出来る様にするんだよ」
「え、俺…疎んじられてるんですか?」
初耳だぞ。
『…成程。旧体制に固執してる老害共か』
「そっ。血統こそ全てだと未だに傾いた考えしか出来ない奴等にとっちゃ、低い血筋――――人間からの転生悪魔であるお前の存在は、何よりも許しがたいもんだ。だから連中がちょっかいを出しても守れる体制を整える必要がある」
「どう言う事っすか?」
詳しく説明プリーズ。
「下級悪魔のままだと、連中から何かしらの報復を受けた際、現魔王派である上層部やサーゼクスも介入や擁護がし辛い。そんな事をすれば一悪魔の一眷属に魔王が肩入れするのかって、連中からすれば格好の叩き材料を与えちまう」
「……つまり、主から独立した上級悪魔であれば、ある程度の擁護が出来るって事ですか?」
「掻い摘んで言うとそうなる。…まぁ上役の何人かも、お前の冥界での人気ぶりを利用して、体の良い下働きとして確保したいってのもあるだろうがな」
「はぁ…」
聞いてる限りじゃ結構な陰謀が渦巻いてる昇格試験って事か……木場と朱乃さんは違うだろうけど。
如何したものかと内心思っていると、今度はサーゼクス様が再び語り始めた。
「イッセー君、君はまだ若い。大人の陰謀や政は、我々大人達の仕事だ。君は難しい事を不必要に考えなくても構わない。ただ君自身の意思で動いていけばいい。それが何であれ、私達は君の味方だ」
「サーゼクス様…」
…………悩んでても仕方ない、よな。
『悪魔である以上、遅かれ早かれお前は昇格するんだ。それが早まったって考えればいいだけだろう』
「そうだな。………サーゼクス様。リアス・グレモリー眷属の『兵士』として、受けさせていただきます」
「うむ、そう言って貰えるとありがたい。木場君と朱乃君はどうだろうか?」
サーゼクス様は二人にそう問いかける。
「リアス・グレモリー眷属の『騎士』として、謹んでお受けいたします。此度の昇格のご推薦、誠に有難う御座います」
「私も、グレモリー眷属の『女王』として、お受けいたします。この度は評価していただきまして、誠に有難う御座いました」
二人も受ける気満々だな!
これなら心細くないぜ!
「うし、話も纏まった所でお前ら。来週冥界で昇格試験に参加だ」
「ら、来週!?」
早すぎるだろ!?
「中級悪魔の試験は確か……レポート作成と筆記と実技でしたわよね?実技は兎も角、レポートと筆記試験は大丈夫かしら」
「筆記、レポート…かぁ」
その辺は俺が一番苦手な部分だぞ……!
冷や汗が流れるが、ふと気になったので質問してみた。
「そう言えば、上級悪魔の試験も概ね同じなんですか?」
「上級悪魔の試験にはそれに加えて戦術試験があります」
そうグレイフィアが教えてくれた。
戦術か……まぁ眷属を率いる以上はそうなるよな。
『実技は問題ないだろ。戦術も……まぁノリで何とかなると思うが、一番の問題は筆記とレポートだ。何せお前馬鹿だからなぁ』
「うるせぇ!分かってる事一々言うな!」
そんなのは俺が一番よく知ってるわ!
何せこのオカ研メンバーの中じゃ一番テストの点数悪いからな!
『自慢するところかソコは』
「そういやお前、こないだの数学のテスト……ギリギリ赤点免れた点数だったな」
「いや~、危ない綱渡りっすねぇ!」
「笑いながら言う事か!他の教師陣も言ってたが、お前の場合得意不得意が明確すぎんんだよ」
そう言われると自覚はある。
文系は得意だけど、理数系になると俺はてんでダメになる。
『数学なんざ公式覚えりゃイチコロだろ』
「その覚えるのが複雑すぎるんだよ」
「イッセー様、ご安心ください。私達が出来る限りサポートを務めさせていただきます」
「だから大船に乗ったつもりでいなさい」
「あらあら、では私も一緒に勉強ね」
「僕も協力するよ」
「皆…!」
やっぱこういう時持つべきものは仲間だよな!
「さて、話が纏まった所で、私は一旦北欧へいったん帰ろうと思います」
と、そう言ってロスヴァイセさんが立ち上がった。
北欧に?ナンデ?
『身売りするのか……』
『悲しい女だ、いくら男が出来ないからと言って……』
コラお前ら!
聞こえる声量で言うんじゃない!
「どっちも違います!!イッセー君!飼い主なんですから躾を怠らないでください!!」
「や、俺が言っても黙るタイプじゃないっすよ此奴ら」
『『人をペットみたいに言うなこのゲロ吐きバージン!!!』』
「なっ!わたすだって、好きで処女やってるんじゃねぇって!!」
ほ、方言出とる!
そしてロスヴァイセさんにまた一つ新しい渾名が増えた。
「…コホン。一度北欧に戻り、『戦車』の特性を高めようと思います」
あー…つまりパワーアップの為って事か。
リアスの様子を見るに、どうやら知ってたみたいだな。
見る限り攻撃面は申し分ナシだから……となると防御の方か。
「自ら伸ばしたい点があるのなら、断る理由はないわ」
「有難う御座います。あ、それと学園の中間テストの方は既に作成済みですのでご心配なく」
「…あ"-。そういやこの季節はそうだった!」
またロクに勉強してねぇぞ!
どうするよ!?
「レイヴェル、例の件を承諾してくれるだろうか?」
「はいっ、勿論ですわ!」
突然のサーゼクス様の問いに、レイヴェルは元気一杯に快諾した。
い、一体なんぞや?
「実はレイヴェルにイッセー君のアシスタントをしてもらおうと思っていたのだよ」
『所謂マネージャーか』
ま、マネージャーか……そういやそんな話してたような、してないような。
「イッセー君はこれから忙しくなるだろう。人間界の学業でも、冥界での興行でも。今はグレイフィアがグレモリー眷属全体のスケジュールを管理しているが、それでも限界がある。それならば、今のうちからイッセー君にはマネージャーをつけるべきだと思ってね。そこで冥界に精通し、人間界でも勉強中のレイヴェルを推薦したのだよ」
まさか本当にマネージャーが付こうとは……一気に有名人って自覚が湧いて来たぞ。
あ、でも待てよ。
「レイヴェル、本当に良いのか?」
「へ?」
「如何したイッセー」
「いや、レイヴェルって本来ならフェニックス家の賓客でしょ?それを一個人の俺の為にそこまでしてくれるのは、なんか申し訳ないって言うか……や、別に頼りにならないって言ってるわけじゃないんすけど……良いのかなって」
俺がそう言うと、先生は呆れたように溜息を吐いた。
「お前ホントに肝心な所でニブチンだな」
「は?」
「とにかく、お前はそう言う事気にしなくていいんだよ。本人もやる気なんだし、それで十分じゃねーか」
「そうですわイッセー様。これは私自身の意思で努めたいと思っているのですから!」
そ、そう言われると照れるな……。
「そう言う訳だ。早速で悪いがレイヴェル、昇格試験についてイッセー君をサポートしてあげてほしい」
「分かりました!このレイヴェル・フェニックスめにお任せください!必ずやイッセー様を昇格させてみせますわ!早速、必要になりそうな資料などを集めてきます!」
そう言うとレイヴェルは早足に部屋を飛び出していった。
『青春だな』
『…青臭すぎる』
「それが青春ってもんさ。それより小猫、油断してると大好きな先輩がレイヴェルに取られちまうz…いって!」
「煽るんじゃねーよ」
ただでさえこの二人どうもピリピリしてるんだから……って、あれ?
「………」
とうの小猫ちゃん本人は何も答えず、心ここにあらずな状態だった。
一体どうしたんだろ、小猫ちゃん……。
発情案件までもう少しか…ここのイッセーは年下には興味ないが、はてさて