ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
スパロー装備のゾンビはアーチャーで、バグヴァイザー(チェーンソー)だったらセイバーとかになるのかな
えー、こんにちは、イッセーです。
「………」
例のVIPルームにオーフィスを招いてから、凄く異様な空気です。
周囲の警戒した視線にも構わず、オーフィスは差し出されたオレンジジュースを啜っていた。
「イッセー」
「ん、どした?」
この空気の中、唯一俺だけが特に警戒せずオーフィスの問いに答える。
オーフィスはプレーンシュガーを食べながら、口を開いた。
あぁもう、砂糖ついてるじゃんか……。
俺がそれを拭うのを待ってから、
「…ハルトと、コヨミは?」
そう聞いてきた。
その質問に、この場の空気が凍り付いた。
「あー……父さんと母さんは、死んじまったんだ」
俺が頬を掻きながらそう言うと、オーフィスは申し訳なさそうに目を伏せる。
「……ごめんなさい」
「良いって、気にすんな。オーフィスが来たときは、まだ生きてたし、知らないのも無理ないって」
「ん…」
励ます意味を込めて頭を撫でると、オーフィスは擽ったそうに目を細める。
その光景を見て、先生からこんな質問が飛んできた。
「…おいイッセー。前から聞こうと思ってたんだけどよ」
「はい?」
「お前、何でそんなにオーフィスと親しげなんだ?」
……そう言えば言ってなかったっけ。
「オーフィス、前に俺の所に来た事があるんですよ。小学生ぐらいの時だったかな…?」
数秒の沈黙、そして――――
『えぇええええええええぇぇぇぇぇえ!?』
皆の絶叫が間髪入れずに響いた。
「な、お前何でそんな事……!!」
「だって聞かれなかったし…」
『いきなり切り出すのも変だろうし、話すタイミング的にも相棒が警戒されかねんからな』
そう、ドライグの言う通りだ。
あの会談の時に言おうとすれば、俺は忽ち今みたいな環境にはいれなかったかもしれないし。
「…ゲフン!まぁそれはまた追々追及するとして……オーフィス、一体イッセーに何の用なんだ?」
「……」
オーフィスはプレーンシュガーを一頻り頬張ってから飲み込むと、俺の方に振り向いた。
「…ドライグ、天龍を辞める?」
……俺の名前じゃなくてドライグを呼んだ、つまり――――
「ドライグに質問してるのか?」
俺の問いに、オーフィスは肯定も否定もせず、ただじっと見つめるのみ。
そしてその沈黙を破るかのように、俺の左手に籠手が出現した。
『…さぁな』
「曹操との戦い、バアルとの戦い、そのどれも、イッセーは異なる進化をした。鎧も、銀と水色になった。我の知っているドライグの力とは、根本的に違う。だから、訊きたい」
『それこそ俺には何とも言えん。まぁ見てて飽きない宿主なんざ、此奴ぐらいだろう。此奴は、今までのどの宿主とも違う成長を続けているからな』
オーフィスは視線を籠手に向け、話を続ける。
「二天龍、我を無限、グレートレッドを夢幻として、『覇』の力の呪文に混ぜた。ドライグ、何故覇王になろうとした?」
『…力を求めた結果だろう。その末がこの様だがな』
ドライグは自嘲気に笑った。
『あの頃の俺はどうしようもなかった。ただひたすら、力を求め続けた。その先の結末なんて考えもせず、多々真っ直ぐに……『覇』以外の力を高める事に、あの時の俺では一生気付けなかった。俺の赤が色んな色になるなんて、予想すらしてなかった』
「我、『覇』、分からない。禍の団の者達、『覇』を求める。でもイッセーは、『覇』を違うものにした。分からない。グレートレッドも『覇』ではない。我も『覇』ではない」
『お前達二人は最初から最強だった、故にわかりゃしないさ。…オーフィス、相棒が幼い頃、お前は既に次元の狭間から抜け出てこの世界に現れた。だからこそ知りたい。この世界で何を得て、そして何をもって故郷に戻りたいと思った?』
「我も質問したい。ドライグ、イッセーと共に何故違う存在になろうとする?天龍、辞める?その先に何がある?」
…………何話してるのか全っ然分かんねぇ。
『兵藤一誠』
『何だ?』
『…此奴、昨日おかしなものでも食べたのではないか?こんな真面目な馬鹿は初めて見たぞ』
お前なぁ……珍しくドライグがシリアスやってるんだからそんな野暮な事言うなよ!
『…質問を質問で返すか。そうだな――――相棒は絶望は求めない。だからこそ、先代から築かれていった『覇』を、絶望を否定した。それを己の望む希望へと変えた。そして、力の権化でしかなかった俺でも、誰かを勇気づけ、励ませる希望になれると言うのを、教えられた。………この、どうしようもないバカにな』
勇気づけ、励ませる希望…………多分、「ウィザードラゴン」の事だろうな。
楽しそうに音声収録をしていたのを思い出して、口元に笑みが浮かぶ。
『相棒が、兵藤一誠が俺の求めた『覇』とは違う存在になろうと言うのなら、俺もそれになってみたい。確かなのは、それだけだな』
「……やっぱり、面白い。ドライグ、イッセー、もっと見てみたい」
オーフィスの表情に変わりはないが、その瞳は興味津々と言った感じだ。
無表情だけど、好奇心旺盛なのは相変わらずだな。
「……つー訳だ。数日だけ、此奴らをここにおいてくれないか?オーフィスは今言った様に、お前を見ていたいだけなんだよ。そこに何の理由があるのか分からないが、見るだけなら良いだろう?」
「良いっすよ」
「即答かい!もうちょっと躊躇うとかしろよ!」
いや、だってオーフィスは自分から暴れるタイプじゃないし。
「それに、血ぃ流さずに終わるならそれに越した事はないじゃないっすか。まぁ英雄派が大人しくなる訳じゃないっすけど……俺は構わないっす」
「…イッセー様が宜しいのでしたら、私も構いません」
「そうね…、私達よりも、イッセーの方がオーフィスの内情には機敏でしょうから。当然警戒はさせてもらうけど、それで良いならこの条件を呑むわ」
グレイフィアやリアスも、どうやら同意してくれるそうだ。
『…貴様は相変わらずイベント要因として事欠かないな』
「だから何度も謝ってるだろ!」
『じゃあ土下座しろ。土下座』
「お前何時もの感じに戻ってるじゃねぇかドライグ!さっきまでのシリアスモードはどうした!?」
『いや、あんまりシリアスやりすぎて肩凝っちまって。だから息抜きに、土下座みせてくれ』
「魂だけの癖して肩なんざ凝るわけないだろ後俺の土下座も安いもんじゃねーんだよぉぉぉ!!!」
『『愉悦、愉悦』』
お前らホント仲良いな……あ、そうだ。
「今受験シーズンだから、勉強の邪魔だけはしないでくれな?」
「分かった」
「赤龍帝ちんのゲームでもやっとくから、無問題にゃん」
また勝手にセーブデータ進めんのか!?内心叫んでいると、そんな俺の眼前にサイン色紙が突き出された。
差出人はルフェイで、もじもじし乍ら、
「あ、あの!この間のバアル戦、とても感動しました!!差し支えなければ、サインを下さいっ!!」
とか言ってきたせいで、肩の力が抜けた。
そういやファンだったっけ、この魔女っ娘。
「りょーかい」
ホントに、俺の周りには変わった奴が多いなぁ。
珍しくシリアスなドライグでした。