ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
ドライグ『アナザーウィザードいるって事はお前もうウィザードじゃねぇんだから良いだろ』
イッセー「マジかよ!?これ並行世界にも影響してんの!?」
上級悪魔の試験会場は中級悪魔の試験会場とはまた別の場所にあるそうで、俺はレイヴェル先導の下、試験会場まで移動してきた。
「ここが上級悪魔の試験会場ですわ」
「随分人が少ないな……」
「恐らくですが十にも満たない筈ですわ、今回の試験は」
「木場も言ってたけど、やっぱり上級悪魔の昇格って限られてるんだな」
さっきよりも疎らになったフロアを眺めていると、レイヴェルも同意するように頷いた。
「…では、私は一旦戻りますわ。試験が終わり次第、お迎えに上がりますので」
「おう」
上級悪魔の試験は中級悪魔試験より内容が多いため、終わるのも遅い。
だから一旦、レイヴェルとはここでお別れだ。
「この日までありがとな、レイヴェル」
「と、当然ですわ!私はイッセー様のマネージャーですので!」
「ここまで支えてくれたんだ。悪い結果は出さないから、期待しててくれよ」
「――――はいっ!イッセー様、ご武運を!」
レイヴェルと別れて、俺は試験会場へと入っていった。
『駒王学園の大学部みたいだな』
確かに、何か既視感があると思ったら、大学部の講堂に似てるな。
試験番号は……『4』か。
『不吉だな』
『落ちるな』
落ちるとか言うな!
何て突っ込みつつ席に腰掛けると、周りのヒソヒソ話が聞こえてきた。
「おい、あれって…」
「あぁ、グレモリー眷属の赤龍帝だ…まさか飛び級で受けるって噂がホントだったなんてな……」
滅茶苦茶噂されてるな……噂されるのは好きじゃないんだよなぁ。
『そりゃお前は冥界じゃ有名人物だからな。お前が望む望まないにも構わず、噂されるんだよ』
いやー、有名になりすぎたな……。
っつーか、俺含めて四人だけで、その中で更にハブられるとか……混じってやろうか?
『辞めとけ、他の受験者のプレッシャーになるぞ』
やっぱり?……と、試験官のお出ましか。
試験官の先導の下、レポート用紙を提出し、その代わりに試験用紙が配られる。
「では、試験を開始してください」
よーし、やってやるぜ!
ーーーー
「あー……くっそぉ」
試験は無事終了……とは言い難い。
『まさか魔王少女レヴィアたんの第一クールのボスキャラの名前が出てくるとはな』
ホントだよ…何だあの試験!
って言うか、お前ら煩過ぎるだろ!
『『えぇ?』』
えぇ、じゃねーよ!『やれ間違ってるぞ』とか『合ってるだろ』とかならまだ良いけどな、最終的には喧嘩までしやがって!
俺のテストの間まで喧嘩はやめてくれよ!
『『だって此奴が……』』
喧嘩してたくせにこんな時まで息合わせるなよ。
他の問題は一応手ごたえはあるから良いけども。
「受験番号4番、お入りください」
お、俺の番か。次は試験官とのチェス対決だ。
俺は出てきた受験者に声を掛けてみた。
「よっ、どんな感じだった?」
「ぅえっ!?……いや、どんなって、って言うかそれ他の受験者に聞くのか?」
「まぁ、同じ受験者なんだしさ」
「んー、まぁそんなに気張る必要はないかな。ま、あんたも頑張れよ」
「おうさ」
そんな言葉を交わして、俺は試験室に入室した。
「失礼します」
どうぞ、と言われて入ると、中には眼鏡の美人さんがいた。
「ようこそ、兵藤一誠さん。本日は私が戦術試験の担当をさせていただきます」
「あ、はい。宜しくお願いします」
用意された椅子に腰かけると、机にカップが置かれた。
見れば紅茶だった。
「此方の試験では気軽に望んでいただいても構いませんよ。こうしてお茶を飲みながら、ね」
「じゃあお構いなく」
俺はお茶に口を付けると、試験官のお姉さんから試験の内容を伝えられた。
チェスでの対局、ただし勝敗は問わない。
曰く、ここで見るのは駒の動かし方、つまりは有効な戦術の確認と言う事らしい。
「そしてチェス終了後はあちらのテーブルにて、口頭試問を行います。あのテーブルに様々な地形のフィールドを映し出しますので、私が出した条件下で、あなたがどう行動するのかを聞かせてもらいます。簡単に言えば、レーティングゲームのシミュレーションのようなものです」
「成程……」
ここも事前に説明を受けた通りだな。
『ここで俺の出番だな』
『馬鹿の後を馬鹿が引き継いでどうする。ここは俺が出るのが最良手だ』
どっちも却下!!
「質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
「では、試験を開始します」
ーーーー
「あー……精神的にきっつい」
戦術試験も終えた俺だったけど、どっと疲れた……。
チェスに関しては何とか勝てた……けど、あのお姉さんめっちゃつえぇわ。
何度も危ない場面があったし、策略に嵌りそうにもなった。
リアスとレイヴェル、それにソーナ先輩に感謝だな。
『口頭試験も問題はないだろ。お前に関しては実戦経験が他と比べて多すぎるからな』
うん、そこは淀みなく。
結構突飛だけど結果に結びつく行動を言った時には驚かれたけど。
『いよいよ最後か。……無様な姿だけは見せるなよ』
『問題ないだろ、相棒の場合は』
うっし、時間だな……俺は立ち上がって屋外の試験会場に向かう。
すると後ろに見知った気配が。
「…レイヴェルか?」
「はい、良く分かりましたね」
「おう、まぁな。で、どうしたんだ?」
「そろそろ試験も一時間で終わりですわ。ですからお迎えに上がりました」
マジで?もうそんな時間か。
「実技試験は受験者同士で競い合いますが、上級悪魔試験では受験者が少ないので、すぐに終わりますわ」
「俺含めて4人だもんな」
っと、そろそろ行かなきゃな。
「じゃな、行ってくるぜ!」
「はい!最後まで油断なさらずに!」
屋外闘技場に来て、軽くストレッチをしてると、あっという間に試験官がすぐに来た。
「実技試験は中級悪魔試験と同様でシンプルなものです。受験者の皆さんで戦闘をしてもらいます。対戦相手はクジによって決めてもらいます。戦闘は総合的な戦闘力を見るので相手に負けたとしても合格の目はなくなりません。出来るだけ良い試合をするようにしてください。ルールは持てる力で相手と戦ってもらいます。武器の使用も許可していますが、相手を死亡させた場合は失格となります。事故による死亡は我々試験官による審議によって是非が決まります」
いい試合ってなんだよ。
『要するに相手を甚振ったり嬲ったりするなって事だろ』
あー、じゃあ俺は問題ないな。
そんな事を思いつつくじを引いた………結果は『1』だ。
まさか最初とは……。
『『落ちたな』』
お前ら試験受けてる奴の目の前で堂々と落ちたなとか言うな!!
って言うかなんだよ落ちたなって!!
突っ込みながら対戦相手と共にフィールドに立つ。
審判の人が俺達の間に立つ。
「受験者両名、準備は宜しいですね?」
俺と相手は同時に頷く、そして――――
「では……始め!」
手を振り下ろしたと同時に、対戦相手が開幕早々行動に出た!
炎と氷の獣を生成し、こちらへと放ってくる!
「うおっ」
俺はそれを飛んで躱すと、向こうもそれを呼んでいたのか、俺に向けて手を翳していた。
刹那、光と共に――――魔力のレーザーが放たれた!
「っ!」
俺はイチかバチか、拳にオーラを集中させ、そのままレーザーの帯へと突貫!
「無謀な真似を!」
そう相手の声が聞こえてくるが……俺の拳は勢いを失うことなくレーザーを2分割しつつ下へと降りていく!
そして地面に着地していた俺は――――無傷だ。
「なっ――――」
「フィナーレだ!なんつっ…………」
冗談めかして決め台詞を挟みつつ、ストレートを決めると、対戦相手は会場の壁を突き破って飛んで行った!
「「「………」」」
シーン、と静まり返る会場。
試験官までポカーンとしている。
因みに俺もポカーンだ。
『あーあ』
『落ちたな』
いや、そういう意味!?
暫くして我に返った試験官が、慌ててぶっ飛ばされた男性を追いかけていった。
マジで、フィナーレになっちゃった……俺、特に力も込めてないんだけど。
「神器無しであれとか……もうチートだろ……」
「インチキめいた強さも大概にしてほしいわ……」
インチキじゃねーよ!!
FGO第一部、無事終了しました。