ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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曹操「この戦いが終わったら、俺…童貞を捨てるんだ」
ジーク「曹操。果たして風俗のお姉さんとの性交は捨てたと言えるのだろうk」
曹操「何だって良い!捨てれるチャンスだ!!」
ジーク『外れ引いたら多分ファントム生み出すんだろうな』


MAGIC139『終幕、そしてーーーー』

 

高速で駆け抜けつつ周りの死神を諸共発生したソニックブームで切り飛ばして駐車場に駆けつけると、色々とごった返していた。

 

「うぉ!おいイッセー、さっきの衝撃お前か!?」

 

ソニックブームを躱してそう聞いてくるアザゼル先生に、俺はサムズアップして答える。

 

「はい!ちょっと本気出しました!」

「アホ!加減を考えろ!!さっきの衝撃だけで死神半分ぐらい怯んだから一網打尽出来たけどよ!」

 

倒せたなら結果オーライだな!

俺は先生の抗議を無視して、ザっと周囲を見渡す。

 

リアスと朱乃さんのお姉様コンビは危なげなく死神を殲滅しており、黒歌と小猫ちゃんの姉妹ペアwithレイヴェルも…大丈夫そうだな。

 

木場と剣撃を繰り広げるジークフリートに――――さっきからアザゼル先生と高速戦を繰り広げるなんかヤバそうな死神。

 

「アイツは……」

『確か最上級の死神……名は、プルートだったか』

 

それを眺める俺に、先生が教えてくれた。

 

「イッセー!此奴等は俺達がオーフィスと結託して同盟を脅かそうと理由づけて襲ってきやがった!」

「はぁ!?何だよそれ!?」

 

何だその根も葉もない嘘は!?

突然の告白に唖然としたそんな俺に――――

 

『赤龍帝、覚悟!』

「ん?」

 

一瞬の隙を狙ってか、周りの死神よりワンランク強そうな奴等が得物を振りかざして襲ってきた。

 

「さぁ赤龍帝、まずは彼らの洗礼を受けてもらおうか」

 

木場の聖魔剣を受け流しつつそう言うジークフリート……指示したのはアイツか。

 

「よ…っと!」

《Blade!》

《Engine!Jet!》

 

俺は特に動くでもなく、アスカロンから発生させた高速の斬撃を見舞う。

それを躱そうとするが……躱すモーションを見せた時点でそれは命中し、死神全員が霧散した。

 

うん、見て何となく思ってたけど、弱いな。

サイラオーグさんとか曹操とかと比べると。

 

「なっ、中級クラスの死神を一撃で……ッ!?」

「余所見とは余裕、だねっ!」

「ッ!!」

 

ギィン!!

 

目の前の光景に驚愕していたジークフリートに、木場は容赦なく刃を突き立てる!

それを寸前で防ぐが、ジークフリートは大きく後退する!

 

「爆ぜろ!」

「っ、ちぃ!!」

 

木場はジークフリートが後退した場所に聖魔剣を創り出し、すぐさま爆発!

それを跳躍して躱すが、それを追いかける様に新たな聖魔剣が追走してくる!

 

「――――ノートゥング、ディルフィング!」

 

ジークフリートは回転してそれを薙ぎ払い、着地……した瞬間に切り込む木場!

 

「…へぇ、以前より速くなっているね。これは少し本気を出さないといけない、かなっ!?」

「っ!」

 

ジークフリートは背中から腕を四本生やし、新たに得物を握り締めて木場に襲い掛かる!

 

「バルムンク!!」

 

ドリル状のオーラを纏った魔剣から禍々しい螺旋状の波動が放たれ、木場へと向かう!

 

「っは!」

 

木場は手に平らな魔剣を創り出し、その波動を受け止める!

禍々しい波動は木場の手に握られた剣に吸収されていく!

 

木場はその魔剣を地面に刺して、すぐさま龍騎士を生み出し、ジークフリートに嗾ける!

 

「ダインスレイブ!!」

 

横薙ぎに放たれた魔剣の一撃から巨大な氷の鋭い柱が生まれ、龍騎士達を貫いていく!

 

「どうやら君の技量は、この龍騎士団には反映できないらしいね」

「流石だね、確かにその通りだ。ならば――――周りの物を利用すれば良い!」

 

龍騎士の一人がその言葉に反応し、先程木場が突き立てた魔剣を握り、ジークフリートに振りかぶる!

ジークフリートはそれを受け流そうとしたその時、魔剣からさっきと同じ禍々しい波動が放たれた!

 

「これは――――ッ!?」

 

そうだ、これって……

 

『先程のバルムンクの一撃か。あの魔剣で吸収して、溜め込んでいたのか』

 

螺旋状の嵐は大地を抉り、ジークフリートはそれを受けて体勢を崩す!

その反動か、龍騎士と魔剣が崩れ去るが、その甲冑の中から何者かが飛び出し、ジークフリートを斬り落とした!

 

「馬鹿な……では、先程の君は………ッ!?」

 

驚愕の眼差しで木場を見やるジークフリートだったが、龍騎士に指示を送っていた木場が、煙のように消えうせた。

……幻術か。

 

「さっきの僕は幻術ですよ。魔力で作り出した、ね。僕は竜騎士の甲冑を身に纏って、貴方が油断するのを待っていたんです」

「何時、入れ替わったんだ……!?」

「さっき龍騎士を生み出した時、ですよ。貴方がたはまず相手の弱点を把握してから攻める――――その手法を利用させてもらった」

 

自分の不得手すら利用したのか……やるじゃねぇか!

ジークフリートは自分の過失に怒り心頭と言った感じだが、それ以上の驚愕も顔に張り付けていた。

 

「…このダメージ。まさかとは思っていたが、君は龍殺しの力を得たとはっ!!」

 

…え、龍殺し?

アイツ、そんな剣持ってたっけ?

 

『いや、恐らくは――――』

「えぇ。…これは龍殺しの”性質”を持たせた聖剣。あなたの神器が龍の性質を持っている以上、この力には抗い様がない」

「…龍殺しの聖剣、魔剣は神器で創り出すのが一番困難だと言われているんだけどね……まさか君がそこまで至っていたとは。見事、と言う他あるまい」

 

自分で創り出した……アイツ、どんどん強くなってるんだな。

こりゃ俺もうかうかしてられないな!

 

「いや、イッセー君に比べたら全然だよ」

「俺の考えを読むな!!」

 

何時の間に読心術とか学んだんだよ!?

 

「…赤龍帝、イッセー君との修業は僕を際限のない世界まで誘ってくれる。今度、彼とのトレーニングを受けてみたらどうかな?……ただし、毎回三途の川を見る覚悟はしておいた方が良い。イッセー君は手加減してくれないからね」

「おう。殺すつもりで行くぞォ」

「それは魅力的だが……まずはこれを退けてからだ」

 

ジークフリートの周囲に霧が発生し、そこから夥しい数の死神が現れた!

 

『ほぉ、物量で圧そうと言うのか。確かに悪くない考えだ。だが――――』

「”俺達”がいるって言うのは、こういう事が出来るって分かってるよな?」

 

宝玉から銀色の光が溢れ出る!

 

「ちょうどさっきの童貞野郎との戦いで不完全燃焼だったんだ――――」

『そうだな――――』

 

 

「『ぶっ潰す』」

 

俺は手を大きく突き出し、希望への詠唱を読み上げた!

 

 

「『我ら、目覚めるは!覇の理を超越せし赤龍帝なり!!』」

 

『赤き不滅の力と!』「決して折れぬ信念抱き!」

 

「『天道を征く!!』」

 

 

「『我ら、古からの力と信念受け継ぎし龍の戦士となりて――――汝の絶望を払い、永久の希望となる事を誓おう!!!!!』」

《Infinity Hope Dragon Evolution Drive!!!!!!!!!!》

 

 

俺達の魂が溶け合い、一つとなっていく!

詠唱は銀の輝きを放つ鎧となり、霧に包まれた駐車場を隅々まで照らしだす!

 

「それが噂の――――『無限女王』と言う奴か!!」

《Wizard Promotion!!Water Dragon!!!!!》

 

ジークフリートの感嘆の声を無視し、俺達は魔龍進化を行う。

 

《Infinity Boost Charge up!!》

《B----------------------oost!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》

 

魔力が最大限まで高まり、やがてそれらは鎧の増設された全砲門へと集約する!

ジークフリートはハッとなって止めようとするが……少しばかり遅い!

 

「っ、不味い!止め――――」

「『おせぇっ!!吹っ飛びやがれぇぇぇぇええ!!!!』」

《Infinity Full Burst!!!》

 

狙いを目の前の死神に集約させ――――一気に撃ち放つ!!

 

 

 

ドオォォォォォォォォォオンッ!!!!

 

 

 

暴力的、なんて生易しい程の一撃は駐車場にいた死神を全て消し去り、残ったのはジークフリート、ゲオルク、プルートとかいう死神だけになった。

 

「『いやぁ、ちょいと本気出し過ぎちゃったかな』」

「はっはっは!おいイッセー、後でちょいと説教だな。ま、それは兎も角――――ジークフリート、ゲオルク、これにてch」

「『チェックメイト、だぜ!!』」

「俺の台詞取るな後なんだその溜めは!!」

 

ビシッと指さす俺に突っ込む先生。

だがそんなボケにも突っ込む余裕もないのか、ジークフリートは肩で息をしながら口を開いた。

 

「…相変わらずとんでもない火力だな。サマエルの力を直接受けたとは思えない」

 

…はは、まぁ実は結構無理してるんだけどね。

気を抜けば倒れる事必至だぜこりゃ。

 

『「流石の貴様等でも限界が近いようだな。こっちは俺達やアザゼルもいる。これで本当のフィナーレだ」』

 

そうドライグが言った時――――

 

 

バチ、バジッ!

 

 

この空間に快音が響いた。

 

『「おいおい、この期に及んで新たな参入か?」』

「いや、これは――――」

 

おいドライグ、向こうも知らなさそうだぞ。

 

次元に穴を開けてまでこの場に乱入してきた人物は――――

 

「『シャンプーハット…だっけ?』」

『「違う違う。ノーパンしゃぶしゃぶだ」』

「どっちも全く掠ってねぇ!!シャルバ・ベルゼブブだ!!」

 

あ、それだ。

もうめんどくせぇからシャンプーハット付けてノーパンしゃぶしゃぶやってる奴で良くないか?

 

「相変わらず癪に障る能天気さだな、赤龍帝。それに――――ヴァーリ」

 

俺と、ホテル上階の窓際にいるヴァーリを睨み付ける。

…何で此奴生きてんだ?

 

話を聞いてた限りじゃ、俺が暴走して発動した覇龍で死んだ筈だろ?

 

そう思っていると、ジークフリートが一歩前に出た。

 

「…シャルバ、報告は受けてはいたが……まさか、本当に独断で動いてるとはね」

「やぁジークフリート。貴公等には大変世話になった、礼を言おう。お陰で傷も癒えた。……オーフィスの『蛇』を失い、多少パワーダウンしてしまったがね」

「能書きは良い。ここに来た理由は?」

「なぁに。宣戦布告をと思ってね」

 

……あの野郎、何企んでやがる?

 

シャルバが醜悪な笑みを浮かべてマントを翻すと、そこから一人の少年が姿を現した。

 

あの子は確か、京都でも見た――――確か、レオナルド少年だったっけ。

 

『「あぁ。だが見た限り、操られているな」』

 

やっぱりか!けどあの子も英雄派所属の筈なのに、何で旧魔王派のアイツと一緒に?

 

まぁ、操られてるからなんだろうけど……。

 

と思っていると、ジークフリートとゲオルクは驚愕している様子だった。

 

「…レオナルド!」

「シャルバ、その子を何故ここに連れてきている?いや…何故貴様と一緒にいるのだ!?レオナルドは別作戦に当たっていた筈だ!連れ出してきたのか?!」

 

面食らったかのように叫んだ二人を前に、シャルバはいけしゃあしゃあと言ってのけた。

 

「少しばかり協力してもらおうと思ったのだよ――――こんな風にね!」

 

シャルバは手元に魔方陣を展開させ、レオナルドにそれを近付ける。

魔方陣に描かれた悪魔文字が高速で動き出すと、レオナルドの口から悲鳴が漏れ出た!

 

「うわぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁあああああっ!!!!!!」

 

絶叫と共に苦悶の表情を浮かべるレオナルドの影が――――どんどん広がってきている!?

あの野郎、一体何仕出かしたんだ!

 

その場で空中に浮き始めたシャルバが哄笑を上げる!

 

「フハハハハ!!『魔獣創造』はとても素晴らしく、理想的な能力だ!!しかも、彼はアンチモンスターを作るのに特化していると言うではないか!英雄派の行動を調べ上げ、人間界で別動隊と共に動いていた彼を拉致してきたのだよ!!」

「他の別動隊はどうした…!?」

「無論、抵抗されたので殺させてもらったよ!!それでは作ってもらおうか!現悪魔共を滅ぼせるだけの怪物をッ!!!」

 

現悪魔を、滅ぼす……!?此奴何言ってんだ!?

 

だがレオナルドの影から、巨大なものが生まれていくのを見て、俺はそれが何なのかを悟った。

 

規格外の図体に頭部、大きすぎる腕、そしてそれらを支える圧倒的な脚!

 

『「悪魔を滅ぼす魔獣を、創造させたのか……!!」』

 

ドライグが低く唸った。

ホントにこんな怪獣サイズの魔獣を生み出せるのか、これ!

 

『「いや、恐らくはあの術で所有者のキャパシティを無視して作らせてんだ!あんな事をさせたら、あの少年は壊れるぞ!!」』

 

な、マジかよ!?

だけどそうしてる間にも同じ図体の魔獣が次々と生み出されていく!

 

そしてその魔獣達の足元に、転移用の魔方陣が出現した!

 

「ハハハハハハ!!今からこの魔獣達を冥界に転移させ、暴れてもらう予定なのだよ!!これだけの規模のアンチモンスターだ、さぞかし冥界の悪魔を滅ぼしてくれるだろう!!」

「『っ、させるか!!』」

《Engine!Jet!》

 

俺はそれを阻止しようと高速の斬撃を放つのを皮切りに、全員が攻撃を放つが表面を多少消し飛ばす程度のダメージしか与えられない!!

 

「『…うっ』」

 

俺はがくりと膝を付いた。

思ってたより、無理をし過ぎたか……!

 

皆の攻撃も空しく、魔獣達は消えていった。

その魔獣達が消えた途端、白い空に断裂が生まれ、空間の軋む音が響いてきた!

 

「ちっ、装置がもう持たん!シャルバめ、所有者のキャパシティを超える無理な能力を発動させおって!!」

「…頃合いか。レオナルドを回収して一旦退こう。プルート、貴方も――――っ」

 

ジークフリートはそう言いかけた口を噤んだ。

理由は、その死神本人がいない事に気付いたからだ。

 

「…成程、シャルバを陰で支援したのは……あの骸骨神の考えそうな事だよ。嫌がらせの為なら、手段は選ばないと言う訳だね。あんな一瞬だけの雑な禁手だなんて、どれほどの犠牲と悪影響が出るか分かったものではない。僕達はゆっくりとこの子の力を高めようとしていたのだが……これでは、赤龍帝ドライグの言った通り………」

 

そう漏らすと、二人は気絶したレオナルドを回収して霧と共に姿を消した。

逃げ足の速いこって……って!

 

「『うぉっ!?』」

 

俺に突然魔力の塊が放たれた!

それを弾いて飛ばし、飛ばされた先を見ると――――シャルバが後衛のメンバーに、特にヴァーリに向けて集中的に攻撃を加えていた!

 

「どうしたどうした!?ご自慢の魔力と白龍皇の力はどうしたのだヴァーリィィィィッ!!!所詮、人と混じった雑種風情が、真の魔王に勝てる道理などないっ!!」

 

そう聞くに堪えない笑いを上げるシャルバの姿に――――俺は疲労を無視してシャルバを殴り倒した!

 

 

理性じゃない、ヴァーリを……俺のライバルを馬鹿にしたその言葉に、本能が反応していた。

 

「がふっ!?…赤龍帝ッ!!」

「『真の魔王……?他人の力を借りてまで、魔王を偉そうに語ってるんじゃねぇよ。三下ッ!!』」

「フッハッハッハ!!!そうだ、貴様は魔法使いであったな!希望を守る、などと化け物の分際でそう嘯いていたな!!貴殿が大切にしている冥界の子供も我が生み出した我自身の呪い――――魔獣共によって全滅だ!!!貴様の大切にしている希望を、根こそぎ根絶してやる!!!!ふぁはははははははははっ!!!!!」

 

……此奴、もうマトモじゃねぇ。

完全に頭のネジが飛んでやがる!

 

だが……今の言葉は、絶対に看過出来ない……いや、出来る筈がないっ!!!

 

「ハハハ、私が欲するものはまだあるっ!!」

 

怒れる俺の追撃を躱しつつ、シャルバはオーフィスの方に縄状の魔力を絡みつかせる!

 

「ハッハァ!情報通りだ、今のオーフィスは私でも捕らえやすい程不安定な存在だと!このオーフィスは真なる魔王の協力者への手土産だ!それと、パワーダウンした私に『蛇』を再び与えてもらおうかっ!!」

「『っの野郎……!!!』」

 

更に怒りを湧き立たせる俺だったが、そうこうしてる内にフィールドの崩壊は進んでいく!

 

「もうこのフィールドは限界よ!今なら転移も可能だから、魔方陣を展開するにゃん!!それで皆で、ここからおさらばするよ!!」

 

黒歌が魔方陣を展開し、そこにリアス達が集う。

傷を負ったヴァーリは、アーシアが傷を癒していた。

 

だけど、俺はそこから動かなかった。

いや、まだそっちに行くつもりはない。

 

「イッセー!何をしてるの!?早く!!」

「悪い、リアス」

 

俺は呼び掛けてくるリアスに、ちょっとした我が儘を言う。

 

「『俺、オーフィスを助けてくる。だから先に行っててくれ』」

 

その我が儘に、全員度肝を抜かれていた。

 

「それなら僕も一緒に!」

「一人だけ格好つけても仕方ないのよ!?」

「『カッコつけて言うかよ』」

 

俺は二人の申し出を遮り、頭だけ振り返る。

 

「『皆この戦いで疲労してるだろ?俺だったらまだ何とかなるし、このままあの野郎を放っておく訳にはいかないし、オーフィスを誰か分かんねぇ奴に渡す訳にもいかない。皆はあの魔獣共の脅威を冥界に伝えてほしいんだ』」

 

それにアイツは、希望を根絶する――――そう宣いやがった。

それだけは、絶対に許すわけにはいかない!

 

「もう限界にゃん!今飛ばないと転移出来なくなるわ!」

「『もうあれこれ言ってる暇はない!!早く!!!』」

「…兵藤一誠」

 

先に行くように促す俺に、ヴァーリが口を開いた。

先生に肩を貸してもらっているヴァーリは、相当調子が悪そうだ。

 

「『安心しろ、お前の分まで殴ってやるから』」

 

それを聞いたヴァーリは、口の端を笑ませた。

 

「…イッセー!後で龍門を開いてお前とオーフィスを召喚する!!だから、絶対に死ぬんじゃねーぞ!!」

「『勿論っすよ』」

 

それに……俺の脳裏に、銀髪の愛しい人が浮かび上がる。

 

 

俺はあの人を、皆を残して死ぬつもりはない。

 

 

「『じゃあ、グレイフィアには上手く言っておいて下さい』」

 

それだけ告げて、俺はシャルバの方へと突っ込んでいった!

 

 

 

ーーーー

 

 

…さて、カッコつけて言うかよとか言ったけど、完全にカッコ付けだよな。

ドライグ、今の俺の状態はどうだ?

 

『「結構ギリギリだぞ」』

 

やっぱり?

 

『「だが、例えどんな状態でも行くんだろう?」』

 

当たり前だろ、オーフィスは――――俺の大切な友達だ。

 

『「無限の龍神を友呼ばわりするなんざ、世界中探してもお前だけだろうな。……相棒」』

 

…あぁ。いつの間にか俺の目の前には馬鹿みたいに笑っているシャルバがいた。

シャルバは俺に視線を向けると、不快そうに顔を歪める。

 

「…ヴァーリならば兎も角、貴殿のような天龍でも悪魔でもない化け物に追撃されようとは……何処までもドラゴンは私を馬鹿にしてくれるッ!」

「『化け物ぉ?お前だっておんなじだろ。狂気、復讐、憎悪……色んな感情に飲み込まれた理性のない悪魔、お前も俺と同じバケモンだ』」

「黙れ!!」

 

そう言った俺に対し、シャルバは指を突き付けた。

 

「この私を追撃するのは何が目的だ!?貴殿も真なる魔王の血筋を蔑ろにするのか!?それともオーフィスに取り入る事で力を求めるのか!?天龍の貴殿の事だ、腹の底では冥界と人間界の覇権を狙っているのだろう!?」

「『……あー、悪いけど今アンタが言った事に、俺は何も興味ない』」

 

俺はバッサリと言い切る。

 

「『俺がここに来たのは、オーフィスを取り戻すためだ。後序でにアンタを倒す。希望を根絶してやる、そう言ったからな。そんなアンタを放っておく訳にはいかない』」

 

俺の言い分に、奴は嘲笑を浮かべる。

 

「それがどうしたと言うのだ!?当然なのだよ!偽りの魔王が統治する冥界で育つ悪魔など、害虫以下の存在に過ぎない!!成熟したところで、真なる魔王である私を敬う事もないだろう!!そんな塵屑共は、滅んで当然なのだ!穢れのない冥界が破壊と言う想像によって蘇のだ――――ッ!!!」

 

長ったらしい妄想をほぼ聞き流していた俺は、シャルバを殴り飛ばした。

 

「『わりぃな。……アンタの醜い妄執は聞き飽きたッ!!』」

「……真なる魔王を何度となく殴るこの不敬!!!万死に値するぅ!!!!」

 

激昂したシャルバが手を突き出すと、何もない空間から大量の蠅らしきものが現れ、俺の周囲を取り囲んだ。

 

「消え去れッ!!!」

 

吠えるシャルバは、大量の蠅を操り、幾重もの円陣を組ませ、そこから極太の魔力の波動を無数に撃ち出してきた!

 

それらは全て命中し、俺の姿は爆炎でかき消された。

 

「は、はははははっ!!見たか、真なる魔王の力を――――」

《Wizard Promotion!!Land Dragon!!!!!》

「―――――ッ!!!!」

 

その光景を見て狂喜を浮かべるシャルバの腹に、一撃叩き込んだ!

深く食い込んだ拳によって、シャルバの体はホテルの外壁に叩きつけられた!

 

「『おいおい、これが真なる魔王の力か?』」

 

俺は――――無傷だ。

掠り傷一つ付いちゃいない。

 

『「まぁ、こんな程度だったらそりゃ他人の力に頼りたくもなるよなぁ」』

 

ドライグもそうシャルバを煽る。

 

 

例えオーフィスの蛇があったとしても、此奴の攻撃なんかに、俺達は絶対に屈しない。

 

他者を駒のように扱い、見下し、それでいて他者の力に媚びる。

そんな野郎に――――

 

「『俺達が負ける訳ねぇよッ!!!!ド三流がぁ!!!!!!』」

 

体勢を立て直そうとするシャルバを重力で引き寄せると、持てる力を全て奴に叩きつける!!

吹っ飛ばされようとも、奴の体は重力で再び引き寄せ、そしてまた殴る!

 

《Infinity Solid Break!!!!!》

「でりゃあぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「がぁぁああああああっ!!!!」

 

最後の一撃を叩きこむと、奴の体を突き抜けた衝撃で周囲の空間が震える!

 

それと同時に、俺の鎧が通常のものに戻った。

 

「これ以上は、限界か……」

 

けど、これでもう終わりだろう……。

 

 

「…この私を、魔王を舐めるなァァァ!!!」

 

と思っていたが、寸前でシャルバは踏み止まった。

血みどろの形相でこちらを睨みながら、手元に魔方陣を展開、そこから一本の矢が飛び出た!

 

それを掴もうとするが、それは俺の右肩に刺さった。

今更こんな物で…!そう思い引き抜こうとするが、途端に俺の体がぐらりと揺れる。

 

肩を通して、全身に流れるついさっき感じた嫌な感触を思い出した。

 

この感じ、まさか……サマエルか!

そう思っている俺の前で、シャルバは愉快そうに笑う。

 

「フハハハハハハハハッ!!!!苦しいであろう!?当然だ!!その矢の先端にはサマエルの血が塗り込まれている!!ハーデスから借り受けたものだ!ヴァーリに使おうと思っていたが、まさかゴミのような貴殿に使う事になろうとは、計算外であったぞ……!だが、これで形勢逆転だ!ここで死ぬが良い――――」

 

 

ズボッ!!!

 

 

そう言って手を振りかざしたシャルバの眼前で、俺は矢を何事もなかったかのように引き抜いてやった。

 

「な………!?」

「……わりぃな。どうやら俺はサマエルの力に耐えれる体質らしいんだわ」

 

絶句するシャルバに向けて、そう言い放ってやる。……とは言え、流石に二度も受けたとなると、疲労の度合いがかなり増しているな。

腕とか鉛みたいに重いぞ……!

 

「ば、馬鹿な……有り得ん、有り得んっ!!全ての龍にとって呪いであるサマエルの血をその身に受けて、何故健在なのだ!!?」

「知るかよ。…テメェのせいで却って疲労が増したけど、この状態でも、十分倒せる」

 

そう言い切った俺は、再びシャルバの腹にボディブローを叩き込む!

何度目かも分からない血反吐を吐くシャルバの首元を引っ掴んで、頭突きを浴びせる!

 

「ぎゃああっ!!!?」

赤龍帝の聖剣(ウェルシュ・エクスカリバー)ッ!!!」

 

痛みにのた打ち回るシャルバを蹴り上げ、手刀による斬撃を見舞う!

宙に浮かび上がり鮮血をまき散らすシャルバの体に、蹴りを食らわせ、吹っ飛ばす!!

 

「がぁぁぁあっ!!!!……お、オーフィスよ!『蛇』だ!あの『蛇』をもう一度私に寄こすのだ!!そうすれば私はもう一度前魔王クラスの力を得られる!!さぁ!!!!」

「今の我、不安定。力を増大させるタイプの『蛇』、作れない。それに――――」

 

絶望したシャルバを見つつ、オーフィスは珍しく怒りを感じさせる声音で言い放った。

 

「例え『蛇』作れたとしても、イッセーに迷惑をかけたお前に、『蛇』を与えるつもり、ない」

 

……最後の頼みの綱にも見放されたな。

 

オーフィスとシャルバの間に、俺は立ち塞がる。

シャルバは震えながら俺を見上げる。

 

「テメェは冥界の子供達の笑顔を、希望を奪おうとした。だからこうして無残に這い蹲ってる。誰かの希望を踏み躙り、ただの恨み辛みで笑顔を奪おうとするテメェは――――ここで俺が消し飛ばすッ!!!!!!」

 

俺は右拳を引き、持てるオーラと魔力を全て集約させる。

赤と紫の力の渦が周囲を迸り、拳が光り輝く!!

 

シャルバは逃げようと翼を広げて飛び立つが――――

 

 

「ここまでしておいて、今更逃がす訳ねぇだろ!!!砕け散れっ!龍拳(ドラゴニック・フィスト)ォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!」

 

背を向ける外道に向かって、俺は拳を突き出す!

 

莫大なエネルギーの塊は並行世界で顕現したドライグとドラゴンがフュージョンしたドラゴンの形になると、シャルバを飲み込んで大きく爆発する!!

 

 

こうして狂乱の悪魔――――シャルバ・ベルゼブブは消滅した。

 

 

 

 

 

 

「……はぁっ」

 

拳を突き出したポーズを解くと、俺はそのまま崩れ落ちる。

そこへ、拘束が解けたオーフィスがやってくる。

 

「イッセー、何故、我を助けようと?」

 

徐々に意識が朦朧としてきたが、俺は何とかその質問に答えようと口を開く。

 

「…何でって。この前、俺を助けてくれたじゃんか。それと、アーシアとイリナを守ってくれた。そのお礼」

「イッセーが礼を言うべき事じゃない」

「じゃあさ、こう言えばいいか?――――友達だから」

 

その言葉に、オーフィスは目を丸くした。

…へへっ、やっぱこういうとこは、可愛いよな……。

 

「オーフィス……今更だけどさ、何であいつ等に手を貸したんだ?」

「グレートレッドを倒す協力をしてくれる、そう約束したから。我、次元の狭間に戻り、静寂を得たい。でも、もう次元の狭間に帰る力、無い」

 

…あの時と、全く変わってないな。

 

俺は鎧を解いて、オーフィスを抱き寄せる。

 

「それだったら……俺の家に来い。一緒に住もう」

「…でも我、イッセー達に迷惑をかけた。今更、イッセーの傍には、いられない」

「…それがなんだよ」

 

ぽんぽんと、オーフィスの頭を軽く叩く。

 

……あ、やっべ、結構フラフラだわ。

だけどどうにか、俺は言葉を紡ぐ。

 

「お前がいたいって望むなら、俺がその居場所を、お前の静寂を守ってやる。…まだまだ半人前、だけどな。…オーフィス、俺達の仲間は誰も、お前の自由を、静寂を奪ったりはしない。皆、良い人達ばっかりだから、さ………」

 

だんだん下がっていく瞼。

意識も闇の底に沈んでいく、そんな感覚。

 

『おい相棒!こんなところで寝るな!!もうじきアザゼルが龍門を開く!!こんなところで寝たら、風邪を引く以前にお前でも死ぬぞ!!』

 

ハハッ……ドライグ、お前って奴は。

 

あー、ダメだ。もう、声を上げる気力も……。

 

 

 

『相棒!おい、相棒!!聞こえてるのか!?おい!!!!』

「イッセー?」

 

何度も俺を呼ぶ相棒の声と、俺の名を呼んだ友達の声が聞こえたのを最後に――――俺の意識は、消えていった。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

僕――――木場祐斗の眼前では、アザゼル先生と元龍王のタンニーン様協力の下、召喚用の儀式が執り行われていた。

 

「召喚用の魔方陣の用意が出来た。――――龍門を開くぞ」

 

先生がそう告げると、魔方陣が輝きを増していく。

 

中級悪魔の昇格試験センターにある転移魔方陣フロアに、今僕達グレモリー眷属と、その関係者が集合していた。

 

アザゼル先生が地下の一フロアにドラゴンを呼び寄せる魔方陣を描き、龍門を開いてイッセー君を呼び寄せようとしている。

魔方陣の作成には、小猫ちゃんのお姉さん、黒歌さんも協力してくれていた。

 

 

あの疑似空間から脱出後、僕達はイッセー君を呼び寄せるだけの魔方陣を描ける場所に移動し、龍門による強制召喚を執り行う事となったんだ。

 

元龍王のタンニーン様を早急にお呼びして、イッセー君の眷属であるティアマットさんと協力してもらった。

勿論、白龍皇であるヴァーリもサマエルによる呪いのダメージに耐えながらも、魔方陣の隅で待機していた。

 

……あの後、疑似空間から転移された規格外のモンスター達は現実の冥界に出現し、各都市部に向けて進撃を開始した。

すぐさま悪魔と堕天使の同盟による迎撃部隊が派遣されたのだが……規格外の大きさに加え、凶悪な堅牢さに手を焼いているところだった。

 

他にも色々な事が起きているのだけれど、魔獣による被害が深刻化する前に、僕達が動かなければならない。

 

――――イッセー君、君の力が必要なんだ。

君の希望を守る力、今こそ使わないといけない……冥界の首都では、君の登場を心待ちにしている子供達が多いんだよ!

 

だから、帰ってきてくれ!!

 

 

「――――うし、繋がったぞ!」

 

先生がそう叫ぶと、巨大な魔方陣に光が走る!

先生の持つファーブニルの宝玉が金色に光り、ヴァーリと彼の仲間であるカイトさんの体もそれぞれ白と水色の光を発し、タンニーン様の体も紫色に、ティアマットさんの体も青く光る。

 

力強く光り輝く魔方陣はついに弾けて何かを出現させようとした。

 

そして、閃光がこのフロア全体を包んでいく。

 

 

……やがて光が止み、僕達は魔方陣の中央に視線を向ける。

 

 

 

――――そこにあったのは、四つの指輪だけだった。

 

 

 

「…………え?」

 

呆然とした声は、誰が発したものか分からない。

そこに召喚されている筈のイッセー君はおらず、彼の使う――――ドラゴンスタイルの指輪だけだった。

 

 

誰も言葉を発せないでいると…………。

 

 

 

 

 

「…兵藤一誠は、召喚に応じなかったようだな」

 

 

この場の空気を裂くように、何者かの声がした!

僕達は直ぐに声のした方角――――後ろを振り返ると、

 

 

「……お前は!」

「……」

 

そこには、イッセー君を魔法使いへと導いた存在――――白い魔法使いが、立っていた。

 

 

 

 




今回はここまで!次章の予告を少しばかり


――――魔法が、力がなくとも……貴方は、皆の希望になれる………!


「イッセーは絶対に生きている……そう信じているから」――――紅髪の滅殺姫・リアス・グレモリー

彼女達は信じる、愛する人の生存を

「君は言ってはならない事を、言った……ッ!!!」――――リアス・グレモリーの『騎士』・木場祐斗

騎士は至る、極の座へと

「兵藤一誠は…この拳を受けても尚、立ち上がったぞ」――――獅子王・サイラオーグ・バアル

「皆まで言うな……テメェ等は、俺達がぶっ倒す!!」――――古の魔法使い・立神吼介

獅子は吠える、獣は唸る

「魔法がなきゃ、俺は……誰の絶望も照らせないんだよッ!!」――――希望の赤龍帝・兵藤一誠

彼は喪う、そして実感する



『お前と少し語らいたいのだ――――兵藤一誠』――――ファントムの首魁・ワイズマン

『誰かを守ろうとする心……良い。実に良いッ』――――ファントム・レギオン

『この俺を甦らそうとは……本当に貴様は面白い!』――――絶望の幻魔龍・ウィザードラゴン

幻魔は語る、幻魔は震える、幻魔は――――称える


「俺は、絶対に諦めない……この命がある限りっ!」


――――第十二章:補習授業のウェルシュインフィニティー

《ウェルシュインフィニティー!プリィィズ!!》



……はい、と言う訳で漸くインフィニティー登場となります。お待たせして申し訳ありませんでした!
ですがどうやら普通のインフィニティースタイルとはちょっと違うようですが……それは次章にて明らかになっていきます。お楽しみに!

ドライグ『因みに予告とはちょい違うものになるかもしれないからそこんとこヨロピク~』
ドラゴン『今度は俺が死ぬのか……』
ドライグ『いや、まだ相棒死んだって訳じゃねーから』

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