ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
イッセー「何でペニーワイズ風なんだよ。明らか流行に乗っかったなお前」
ドライグ『だって俺達今回一切出番ないんだぜ?』
イッセー「なにぃ……(脚本見る)マジでねーじゃん!!」
ドライグ『だからこう…せめて前書きで目立とうと思ってな』
イッセー「気持ちは分かるけどよ、態々下水道にまで入るなよ。臭いぞ」
ドライグ『言うなよ。俺だって臭いの耐えてんだから』
イッセー「じゃあ入るなよ!!」
ヴァーリ「彼等は何をやっているんだ……」
アルビオン『私の……ドライグが………ッ!』
ヴァーリ「ドンマイ」
MAGIC140『欠落せし希望』
昇格試験から二日が経過した昼頃。
僕、木場祐斗とグレモリー眷属はグレモリー城のフロアの一角にいた。
グレモリー城は慌ただしさの中にあった。
理由は、現在冥界が危機に瀕しているからだ。
旧魔王のシャルバ・ベルゼブブの外法によって生み出された『魔獣創造』の超巨大モンスターの群れは冥界に出現後、各重要拠点及び各都市部への進撃を開始。
フロアに備え付けられた大型テレビではトップニュースとして、進撃中の巨大な魔獣が映し出されていた。
テレビにもそれら全ての様子が克明に報道されており、奴等はゆっくりと一歩ずつ歩みを止めずに新睨視続けている。
そして厄介なのは、これらの魔獣達は進撃をしながらも小型のモンスターを独自に生み出している点だ。
魔獣の体の各部位が盛り上がり、そこから次々と肉を破って小型モンスターが誕生していっている。
大きさは人間サイズだが、兎に角数が多く、一回に数十から百体近くの規模で生み出されているようだ。
奴等は通りかかった森、山、自然を破壊し、そこに住む生き物も食らい尽くしていく。
新劇先の町や村の住民は今のところ最小の被害で避難できているようだが、町村そのものは丸ごと蹂躙されていった。
奴等が通り過ぎれば、そこには何も残らないと言う凄惨な状況だ。
余りに異形な生物――――これが上位神滅具の一つ『魔獣創造』が生み出した悪鬼のごとき異形……同じ創造系の神器を持つ者として、畏怖するだけばかりだ。
その異形の中でも群を抜いて巨大なのが、冥界――――魔王領にあるリリスに向かっていると言う規格外の魔獣だ。
人型であり、他の魔獣よりも一回り以上も上回る巨体を有しており、画面越しでもその強大さが窺えてしまう。
一際巨大なその魔獣を冥界政府は『
これらはアザゼル先生がルイス・キャロルの創作物に因んでつけたものだった。
テレビの前で『
黒い翼を広げ、真正面から、あるいは側面、背面からほぼ同時攻撃で魔力の火を撃ち込んでいく。
周囲一帯を覆いつくす質量の魔力が魔獣に放たれていく。この強力な攻撃を繰り広げる迎撃チームは最上級悪魔とその眷属だ。
普通の魔獣ならばこれだけの攻撃を受ければまず間違いなく滅ぼされているだろう。
だが――――
『何と言う事でしょうか!最上級悪魔チームの攻撃がまるで通じておりません!!』
戦慄しているレポーターの声が聞こえてきた。
そう、テレビに映し出されていたのは――――最上級悪魔チームが放った強大な攻撃をまるで意に返さない魔獣の姿だった。
……僕達が疑似空間で魔獣を攻撃した時と同様だった。
ダメージを負っているようには見えているが、それは体の表面だけだ。
致命的な傷は一切加える事が出来なかった。
迎撃に出ている各最上級悪魔チームはどれもがレーティングゲームで上位のチームだ。
そんな彼等でも効果のある迎撃が出来ずじまいだった。
次々と生み出される小型のモンスターを壊滅させるだけで手いっぱいと言う状況でもあるのだが……それを加味しても巨大な魔獣達の堅牢さは圧倒的だった。
各魔獣達の迎撃には堕天使が派遣した部隊と、天界側が送り込んできてくれた『御使い』達、ヴァルハラからは戦乙女のヴァルキリー部隊、ギリシャからも戦士の大隊が駆け付け、悪魔と協力関係を結んだ勢力からの援護を受けている。
それによって、現状最悪の状況だけは脱している。
だが、問題は山積していた。
一つはこれよりも強大な『
昨夜、レーティングゲーム王者であるディハウザー・ベリアル率いる眷属チームが迎撃に出たのだが……あの『
『
その事実は衝撃的なニュースとして冥界中を駆け回り、民衆の不安を更に煽る結果となってしまった。
誰もが「あの王者とその眷属が出撃すれば強大な魔獣も倒れるだろう」と内心で信じ切っていたからだ。
皇帝ベリアルとその眷属の力は疑いようのないものだ、万全の態勢の僕達グレモリー眷属でも勝てやしないだろう。
それ程のものだ――――それ程のものでも無理だったのだ。
…もう一つの問題は、この混乱に乗じて各地で身を潜めていた旧魔王派がクーデターを頻発させている点だ。
恐らく、この魔獣軍の進撃は彼らの計画通りの事であり、それに合わせて現在各都市部で暴れまわっているのだろう。
そちらの迎撃にも冥界の戦士達が派遣されており、悪魔世界は混戦の一途をたどっていた。
さらに言えば、この混乱によって冥界の各地で上級悪魔の眷属が主に反旗を翻したという報告も既に此方にも届いていた。
無理矢理悪魔に転生させられた神器所有者がこれを機に今までの怨恨をぶつけているのだろう。
先生風に言えば神器のバーゲンセール状態、かな。
冥界の存亡をかけた戦いに各地のクーデター、更には冥府の神ハーデスや禍の団による襲撃にも警戒をしなければならない。
「『
――――この声は。
僕が顔を向けるとそこには、ライザー・フェニックスがいた。
ちょうどこの間に戻ってきた部長も、驚いた様子だ。
「ライザー…」
「ようリアス、それに木場祐斗。兄貴の付き添いでな、序でにこっちにも顔を見せたって訳だ。……アイツはまだ、戻ってきていないのか」
アイツ……それが誰なのか分かっている部長は沈痛そうな面持ちで頷いた。
アイツとは、イッセー君の事だ。
この騒動を起こした張本人、シャルバ・ベルゼブブに拉致されたオーフィスを奪還するためにイッセー君はあの疑似空間に残ったのだが……僕達の元に戻ってきたのは、四つの魔法の指輪だけだった。
……指輪だけが戻ってくると言う状況だったが、龍門から少し強いサマエルのオーラが感知されたため、恐らくはシャルバとの戦闘中にイッセー君はサマエルの呪いを受けたのだろう、と先生は推察した。
そして――――その後に、白い魔法使いがやって来たのだ。
ーーーー
「…兵藤一誠は、召喚に応じなかったようだな」
そう言った白い魔法使いは、硬直していた僕達に構うことなく、魔方陣の中央に置かれていた指輪を拾い上げ、魔方陣を展開させ何かを調べていた。
「……そう言う事か」
そして小さく呟いてから、先生の方を振り返った。
「彼はサマエルの呪いでは死なんだろうが……龍門を使ってこの指輪が召喚されたと言う事は、恐らくは別の理由で死んでいる可能性がある」
「っ!」
白い魔法使いが告げた残酷な真実に、先生は目を見張る。
「だが」と、白い魔法使いはこうも言った。
「その場合だと彼の中にある悪魔の駒も同時に召喚されるはずだ。彼ほどの意志を持つ者ならば、駒だけでも応じる可能性は高いからだ」
「――――じゃあ!」
「だが、希望的観測は捨てる事だ」
アーシアさんが期待を込めて白い魔法使いにそう言うが、彼はそれを否定する発言をした。
「確実な情報もない時ほど、希望的観測が外れた際の絶望は並大抵のものではない。ゲートであれば、強大なファントムが生み出せるほどのな」
「イッセー君の生存を、諦めろと言うんですか…!?」
「……」
白い魔法使いは、無言だ。
「…お前、イッセーの生存を知ってるんじゃないのか」
「――――さぁな」
先生が睨みつけて尋ねるが、白い魔法使いはどこ吹く風と言った様子だった。
更に彼は、いけしゃあしゃあとこんな事を言いのけた。
「元よりここで死ぬのであれば、その程度の存在だったと言う事だ」
「っ!貴方は、イッセーの師ではないの!?自分の弟子のイッセーが行方不明になっているのよ!!」
「…勘違いしているようだが」
白い魔法使いは、激昂した部長に視線を向けた。
「私は彼の師ではない。ただ魔法使いになるのかと導いただけだ。そして彼は私の手を取った……それだけの関係だ。力を与えているのも、私の個人的な事情に過ぎない」
「……っ」
「…そうだな」
白い魔法使いは、先生に指輪を投げ渡した。
「龍門とはドラゴンを強制的に呼び出す召喚術だ。その指輪がドラゴンの力を宿している以上は召喚反応に応じるが、兵藤一誠がドラゴンではないのだとしたら、その召喚術には反応しない――――ドラゴンでは、無いのだからな」
――――どういう、意味だ?
僕達は全員、白い魔法使いが言ったその言葉の意味を、理解出来なかった。
「その指輪は持っておけ。私には無用の長物だ」
「……待て」
指輪を嵌めようとした白い魔法使いを、先生が呼び止めた。
「…それはイッセーがサマエルの力が通じないのと、関係があるのか?」
「……答えろっ!!」
アザゼル先生の質問に、白い魔法使い暫し無言だった。
だが数秒後に、こう言ったのだ。
「――――それを知ってどうする?動き出した運命はもう決められた道へと進むだけ、今更止める事など出来はしない。彼は自らに宿るドラゴンを諸刃の希望だと知った上で、その力に手を伸ばした。その先にある結末が何だったとしても、彼は引き返せない、お前達に止める術はない。……そう言う事だ」
《テレポート・ナウ》
「っ、待て!!」
アザセル先生が止めるのも空しく、白い魔法使いはその場から消えていった。
ーーーー
あの時の白い魔法使いの言葉の意味は分からない。
でも、何故かその言葉は僕の脳裏にずっと残っていた。
「…おい、どうした?」
「っ、す、すいません」
いけない、深く考えるのは今は止そう。
「…心配する気持ちは分かるが、今は目の前のこの問題をどうにかする。アイツだって、そう言う筈だろう」
「…そうね」
あれから僕達は、グレモリー領に魔獣達が現れたと聞いて、すぐさま戻ってきた。
そこからは部長の指示の下、グレモリー領に住む住民を避難したり、小型の魔獣を倒したりした。
少し手古摺りはしたけど、サーゼクス様の奥様であるエリス様の協力もあり、何とか沈静化したんだ。
その後も何か起こる事を危惧して、部長は殆ど寝ていない。
ついさっき部長は、領民の人達を治療していたアーシアさんに休憩を言い渡してきたばかりだ。
アーシアさんの回復能力はこの有事では貴重な存在だ。
特にフェニックスの涙が少ない今の状態だと得に。
一応は負傷者の回復は片付いたので、部長はアーシアさんを優先的に休ませ、他の眷属の皆にもそう命令を下した。
でも部長本人は、部長のお父様から休むように言われても頑として休もうとしなかった。
「…リアス、焦る気持ちは分かるがな、あまり根を詰めるな。肝心な時に動けなくなるぞ」
「そうは言っていられないわ。…こういう時は、何だか眠りたくないの」
「…全く、変な所で強情なのは変わらんな」
説得は無理だと察したのだろう、ライザー氏は溜息を吐いた。
「良いかね、レイヴェル?逸る気持ちは分かるが、今は十分体を休めなさい。ここで体を壊してしまっては、元も子もないからね」
フロアに二つの影が現れた。
一人はレイヴェルさんで、もう一人の方は――――見覚えのある男性だ。と言っても、テレビでだけど。
フェニックス家の長兄にして、次期当主――――ルヴァル・フェニックス氏だ。
端正な顔立ちであり、ライザー氏のような不良青年の様子とは真逆の、きちんとした貴族と言った出で立ちだった。
ゲームでもトップ店内に入ったこともある方であり、近々最上級悪魔に昇格するのではと噂されている。
「ルヴァルさん」
「リアスさん、丁度良かった。貴女にこれを」
ルヴァル氏は部長に近付くと、懐から小瓶を数個取り出して、部長に手渡した。
「これは……」
あれは、フェニックスの涙だ。
「これを貴女方に渡すついでに、妹の様子も見に来たのです。こんな非常事態ですからね、涙も各迎撃部隊の元に出回りこれだけしか用意できませんでした。将来有望な若手である貴女達に申し訳なく思います」
「…いえ、これだけでも十分ですわ」
「そう言ってくれると助かります。――――もうすぐ私は愚弟を連れて、魔獣迎撃に向かいます」
フェニックスの兄弟も迎撃に出るのか……確かに不死身のフェニックスは前線の心強い戦力となるだろう。
「…悪かったな、愚弟でよ」
ライザー氏がぼそりと決まりが悪そうに呟いた。
それにすかさず反応したルヴァル氏のチョップが命中した……。
「いってぇ!?」
「愚弟が失礼致しました。…それはそうとリアスさん、少し休まれてはどうですか?グレモリー眷属の主である貴女が倒れられては有事の際に大変です」
「お心遣い有難う御座います。……ですが、今この状況で休んでなどっ」
「ダメですよ、リアス」
そう強がる部長の元にやって来たのは――――エリス様と、グレイフィアさんだった。
お二人共戦闘服に着替えており、もうすぐ出撃するのだろうと見て取れた。
「グレイフィア…お義姉様も」
「その様な顔色で強がってもダメです。体を休めるのも重要なのですよ?今はゆっくり休めて、これからの有事に備えなさいな」
「……はい」
エリス様に説得された部長は、「申し訳ないのだけれど、少し休んでくるわ」と言って自室に向かっていった。
「助かりました、エリス様」
「いえいえ。あの子ったら、何時まで経っても強情っぱりなんだから。ねぇグレイフィア?」
「はい。…少しは休められると良いのですが」
…そう相槌を打つグレイフィアさんは、何時も通りの冷静な様子だった。
……イッセー君の一番の恋人であった彼女の心中は、恐らくは僕達以上なのだろう。
でも彼女はそれを表に出さず、現状の解決を図ろうとしている。
「…あの馬鹿の正妻殿があぁなんだ。お前らがへこたれててどうする?」
…そうだ、ライザー氏の言う通りだ。
イッセー君が教えてくれたじゃないか、どんな時だって希望は捨てるなって!
「お前はもう少し言葉遣いの教養を学ぶべきだな、ライザー。……我が家としても、レイヴェルを赤龍帝君の眷属にしていただきたいのでね。まぁ、それはこの騒動の鎮静後にゆっくり話させてもらいたい」
…イッセー君はあぁ見えて結構目敏い所がある。
恐らくはフェニックス家の意向にも気づいていたのかもしれない。
「…レイヴェルの今後をどうするかだが、今はここに置いてくれないだろうか?折角、仲の良い友人も出来たようだからね。小猫さんとギャスパー君だったかな?連絡用の魔方陣越しによく二人の事を話してくれていた。とても楽しそうにね」
「はい、レイヴェルさんは僕達がお預かりいたします」
僕の一言に、ルヴァル氏は笑んだ。
「ありがとう。では行くぞ、ライザー。お前もフェニックス家の男子ならば、業火の翼を冥界中に見せつけておくのだ。これ以上、成り上がりと馬鹿にされたくはないだろう?」
「分かっていますよ兄上。じゃあな木場祐斗、くれぐれも無茶はするなよ」
そう言って、フェニックスの兄弟はこの場を去って行った。
「では、私達も行きましょう」
「はい」
次いでエリス様とグレイフィアさんも退出しようとする。
「グレイフィアさん」
「何でしょうか?」
僕はグレイフィアさんを呼び止める。
止まったグレイフィアさんに、僕は魔方陣が描かれた紙を渡した。
これはイッセー君の使う魔方陣だ。
その紙には彼の魔力が籠められており、有事の際には彼の使い魔であるティアマットさんとフェンリルの二匹を呼べるんだ。
先生が指輪に残っていたイッセー君の魔力を抽出し、この紙に描いたのだ。
一応部長も所持しており、残るはこの一枚だけ。
「いざという時は、これでイッセー君の使い魔を呼び出す事が出来ます」
「…分かりました。有難く受け取らせていただきます」
グレイフィアさんは微笑んで、その紙を懐に仕舞い込んだ。
イッセー君、君の力で、君の愛する人の希望を、守ってあげてくれ……!
冥界のとある郊外にて。
「…さて、少しばかり様子を見に行くか」
多数の小型魔獣の屍の上に、白い魔法使いは悠然と立っていた。
《ディメンジョン・ナウ》
白い魔法使いは眼前に手を翳すと、魔方陣が展開。
その魔方陣の中には、万華鏡のような世界が広がっていた。
「……」
白い魔法使いは体を光らせながら、その魔方陣を潜っていった。
後に残ったのは、灰色の羽根だけであった。
ドライグいないからなんか調子が狂いますねぇ