ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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この辺の英雄派ってTHE・屑ですから書きやすくて楽しいねぇ


MAGIC146『英雄と言う名の悪鬼』

魔王領にある冥界の首都――――リリス。

 

面積は日本の首都東京とさほど変わらない規模だ。

文化、文明の両面でも東京とほぼ同じぐらいで、高層ビル群が立ち並び交通機関も発達している。

 

人間界の発展国の首都と多少の違いはあれど、例外である事に違いはない。

その首都は今、危機に直面している。

 

例の規格外の魔獣『超獣鬼』が接近しつつあるからだ。

もし到達すれば首都は壊滅的打撃を受け、機能を失うだろう。

 

現在はルシファー眷属――――グレイフィアさんを始めとするサーゼクス様のご眷属の方々、そしてサーゼクス様の奥様であるエリス様が『超獣鬼』の相手をされていた。

 

悪魔の中でも最強と称される眷属の方々でも決定打は与えられていない――――だけど、足止めには成功しているみたいだ。

 

 

……丁度首都付近に転移した僕達グレモリー眷属とイリナさんの目の前で、巨大な狼型の魔力の一撃が地形を抉り『超獣鬼』を制止させていた。

 

「あの鎧を纏っているのね、グレイフィア」

 

あの鎧、とはハティとスコルが変化した鎧の事だ。

装着した者の力を存分に高めるフェンリルの力を、女性悪魔の中でも最強と名高いグレイフィアさんが装着すれば、あれほどの力になるのか……。

 

イッセー君、君の正妻は凄いね……そう思いつつリリスの区画の中で一番高いビルの屋上に転移した僕達の背後から、懐かしい声が。

 

「皆さーん!」

 

――――ギャスパー君!

 

「ここにいれば皆さんが来るって堕天使の方々に言われたんですけど、中々来なくて寂しかったですぅ……」

「あー、待たせてゴメンね」

 

涙目なギャスパー君を宥める。

…これでイッセー君を除いたグレモリー眷属が集結した。

 

後は君だけだよ、イッセー君!

 

「ギャスパー、トレーニングの成果、たっぷり見せてもらうわ!」

「はい、ご期待に添えれる様に頑張りますぅ!………あ、そう言えばイッセー先輩は?」

 

……そうか、ギャスパー君にはイッセー君の事は伝わってないんだ。

 

「イッセー君は……」

「…あれ!」

 

僕が詳細を伝えようとした時、小猫ちゃんが何かを見つけたらしい。

 

小猫ちゃんが指さした邦楽では、巨大な黒いドラゴンが黒炎を巻き上げて暴れている姿があった。

 

――――匙君だ!

 

 

全員それを確認すると、翼を広げてその方角へと飛び出していった。

 

 

 

ーーーー

 

 

龍王ヴリトラと化した匙君の姿が見えた場所へと降り立ったその場所は、すでに戦火に包まれていた。

 

「グレモリー眷属!」

 

聞き覚えのある声と気配に引かれてそちらを振り向くと、タイヤが外れた一台のバスを守るように囲むシトリー眷属の姿が。

――――見れば、バスの中には大勢の子供達が乗っていた。

 

「状況は?」

「このバスの避難を先導している途中で英雄派と出くわしてしまいまして……。相手は此方がシトリー眷属だと分かると突然攻撃を仕掛けて来たんです。バスが軽く攻撃を受けて機能を停止してしまったのでここで応戦するしかなくて……会長と、副会長と、元ちゃんが……ッ!」

 

涙交じりでそう言う巡さん……匙君がどうしたって言うんだ!?

 

「っ、あれを!」

 

ロスヴァイセさんが刺した方角――――ショップが並ぶ歩道で、英雄派の巨漢、ヘラクレスに喉元を掴まれてる匙君の姿が!

 

既に匙君の状態は満身創痍、意識も失いかけている状態だ。

その近くの路面にソーナ会長が横たわっており、更に英雄派のジャンヌと戦っている真羅副会長の姿が目に入った。

 

ヘラクレスは匙君をつまらなそうに放り捨てると、事もあろうに倒れているソーナ会長の背中を踏みつけた…!

 

「ぐぅっ!」

 

悲鳴を上げるソーナ会長を意に返さず、ヘラクレスは嘲笑い吐き捨てるように言う。

 

「んだよ、レーティングゲームで大公アガレスに勝ったっていうから期待してたのによぉ。こんなもんかよ」

「ふざけないでッ!子供の乗ったバスばかりを執拗に狙って来たくせに!それを庇う為に会長も匙も実力を出し切れなかったのよ!そうするように仕掛けてきたのは貴方達じゃないのッ!!」

 

真羅副会長が涙を流しながら激昂していた。

普段は会長よりもクールな真羅先輩がそこまで感情を露にするなんて……よほど悔しかったんだろう。

 

そしてその理由は……ヘラクレスが子供達の乗っているあのバスを狙ったから……そんな卑怯な事をして会長と匙君を攻撃したと言うのかッ!!

 

……イッセー君なら迷わずヘラクレスを殴り飛ばしていただろうね。

だけど今は、僕も同じ気持ちだ…ッ。

 

怒りを燃やす僕の目の前で、ジャンヌは聖剣で真羅副会長を突き返して嘆息する。

 

「私はそんな事するのはやめておけばって言ったけど?ま、ヘラクレスを止める事もしなかったけれど――――ッ!!」

 

そういけしゃあしゃあと宣うジャンヌ目掛けて、グラムを振るう。

その一撃は躱されたけど、ジャンヌの背後にあった建物は一瞬にして塵と消えた。

 

「今のはグラム!?……って、その姿は!?」

 

先の一撃がグラムによるものと知ってジャンヌは仰天していたが、僕の今の姿を見て更に驚いていた。

 

…どうやら無意識に極手状態になっていたらしい。

僕の怒りに、神器が呼応したのだろう。

 

「どうやらジークフリートを倒したらしいな!ハッ、こんな奴らに負けるなんざアイツもタカが知れてるって訳だ!」

 

ヘラクレスはそれを見ても特に動じず、ジークフリートを嘲笑う。

どうやら、彼等に仲間意識と言うのは薄いものなのかもしれない。

 

「……兵藤一誠と同質の力を感じる。そうか、君は彼と同じ領域に至ったと言うのか」

 

と、後方から眼鏡をかけた青年が現れ、僕にそう言った。

――――霧使いのゲオルクだ。

 

「……木場君」

 

僕を見ながら、真羅副会長は消え入りそうな声で名前を呼んでくる。

彼女の気持ちは分かる、自分も戦いたいのだろうと。

 

「…貴方達の無念は、僕達が引き継ぎます」

「…っ」

 

……無力な人達を執拗に狙い、本領を発揮できない会長たちを甚振る。

そんな真似を仕出かす彼等が、英雄などと呼べるのだろうか?

 

 

――――否、断じて否だ。

 

 

「君達は英雄なんかじゃない。ただの悪鬼だ」

 

僕は聖魔剣をジャンヌ、ヘラクレス、ゲオルク目掛けて大量に飛ばす!

 

「多いな…ッ!」

 

ゲオルクは魔法で対処しようと試みたが、剣の切っ先が魔方陣に触れる寸前で、魔方陣は霧のように霧散した。

 

「ッ!術式が消えた!?…アンチマジックの類か!!」

 

舌打ちと共にゲオルクは霧を使って剣の大群を消し去っていく!

…その間に、何とか会長と匙君の回収は終えたようだね。

 

「ちっ、今のはブラフって訳か」

「出し惜しみをしている余裕はあるのかい?」

「なっ――――!?」

 

訝しげに僕を見るヘラクレスの巨体を――――魔方陣が拘束した!

 

「何だこりゃ…ガァァアアアアっ!!!」

 

出し惜しみをするのなら構わない――――此方は容赦しないけどね。

 

「うん。木場の奴、随分悪役染みてきたな。あれならウィザードラゴンの幹部役でも箔が更に付くんじゃないか?」

「あれこそ魔王って感じよね!」

 

…正直、これも悪くないかなって思っちゃうね。

 

と思っていると、ヘラクレスは自力で拘束を解いたらしい。けど肩で息をしている……練度さえ上げれば、縛る力も強くなるのだろうか?

 

 

「…ホントを言えばジークフリートに対して試したかったのだが、木場が倒したのなら仕方がない。ここは一つ、イリナの借りを返すのに付き合おう」

 

ゼノヴィアは息を吐いて、剣の切っ先をジャンヌへと向けた。

 

「そうよそうよ!あの時の借りを返すわ!いくら聖人の魂を受け継ぐ人でもあなたはダメダメよ!」

 

……全く同じ動きだ。

いいコンビだね、二人共。

 

「へぇ、あなた達がお姉さんと遊んでくれるんだ。良いわよ、楽しみましょう!禁手化っ!!」

 

ジャンヌは聖剣で形作られたドラゴンを呼び出し、背に跨る。

 

「ついてらっしゃい!」

「「望むところっ!!」」

 

……今のゼノヴィアとイリナさんなら、善戦は出来るだろう。

そう思い、僕はゲオルクとヘラクレスに向き直る。

 

「……さて、質問に答えてくれるかな?何故あのバスを狙った。それ以前に、何故ここにいる?」

 

彼等が態々出向いてまで子供達を襲う理由が分からない。

恐らくはそれが本来の目的ではないだろうけどね。

 

「ふむ、そうだな…まずは後者の方から答えよう。――――見学だ。曹操があの超巨大魔獣がどこまで攻め込む事が出来るか、その目で確かめたいと言うのでね」

 

……ならば、彼はその付き添いと言う事か。

肝心の曹操がいないのは良く分からないけど、今は置いておこう。

 

「で、バスを狙った理由は?」

「偶然、そのバスと出くわしてな。ヴリトラの匙元士郎とシトリー眷属が乗っていたのだ。あちらもこちらの顔を知っている。まぁ、相対する事になってしまうのも否めないだろう?」

 

 

……偶然の相対と言うのか?

 

ヘラクレスは息を整えると、挑戦的な笑みを浮かべる。

 

「俺が煽ったって面もあるぜ?偶然あのヴリトラに出会ってよ。魔獣の都市侵略の見学だけじゃ物足りなくなってきてな。『子供を狙われたくなけりゃ、戦え』って言ったんだよ。――――後は、お前の知っての通りだ」

 

 

……そんなふざけた理由で、戦いを始めたと言うのか?

 

「外道が……ッ!!」

 

怒りの感情と共に再びグラムを抜刀した時、力強い波動を感じた。

 

「……英雄は異形との戦いを望む者達の集まりだと聞いていたが、どうやら外道な連中の巣窟らしいな。しかも、飛び切りの外道がいたものだ」

 

そう言いながら対峙する僕達の間に立った男は、金色の体毛に包まれた巨躯の獅子を従える、純粋なまでの『力』の権化。

 

 

「…サイラオーグ!」

 

部長がその名を呼んだ。

 

「首都で暴れまわっていた旧魔王派の残党を一通り屠ったところでな、遠目に黒いドラゴン――――匙元士郎の姿が見えたのでな。助太刀させてもらったと言う訳だ」

 

 

若手悪魔ナンバーワンの獅子王――――サイラオーグ・バアルはそう言って、ワイルドな笑みを見せた。

 

 

 




相変わらずあまり進んでおりませんが、ご容赦ください

そして未だに出番のない主人公ェ……まぁ次は冥府でのお話なのでやはりありませんが、ちょっとだけ出せたら出します。

…覚えていれば。





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