ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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ライザーおいたわしや……


ドライグ『相棒!久しぶりのライディングデュエルだぜ!?』
イッセー「めっちゃはしゃいでるじゃん」


MAGIC14『俺、殴り込みます!!』

「……………ん」

 

頭に響く鈍痛によって、急激に俺の意識は覚醒した。

ここは……?

 

『家だ』

 

ドライグ………ってそうだ!レーティングゲームは!?

 

『……』

 

 

そう、だったな………俺達、負けたんだったな。

でも、そこから記憶が…

 

『龍化の反動でお前は気を失ったんだ。あのレーティングゲームからもう二日経ってるぜ』

 

そうか……。

 

 

 

「お目覚めですか…?」

 

 

え?

誰……………って、

 

「グレイフィア、さん?」

「はい」

 

な、何でグレイフィアさんが……。

 

「説明いたしましょうか?」

『いや、俺が言う』

 

説明しようとしたグレイフィアさんの言葉を遮ってドライグが口を開いた。

 

『あの後、気絶したお前はこの女に介抱されたんだ』

「…ちょっと待てよ。アーシアは?」

 

アーシアだけじゃない…木場、小猫ちゃん、朱乃さん、それに……部長は!

 

「眷属の皆様は無事に治療を終えています。今、アーシア様が下で水を…」

「イッセーさん!?」

 

…アーシア!

良かった、元気そうだ………ッ!?

 

俺がホッと一息つくと、間髪入れずアーシアが抱きついて来た。

 

「良かった、イッセーさんが目を覚まして…っ!」

「アーシア……」

 

震えながら俺に抱きついて離れないアーシアを見て、俺は頭を撫でる事しか出来なかった。

 

心配、かけちゃったな……。

 

『この二人、お前をずっと心配して交代で看病してたんだぜ』

 

そうなんだ……。

 

 

 

 

あの後、アーシアは下に降りてティアに報告しに、俺はグレイフィアさんに一番聞きたいことを聞いた。

 

「部長は…」

「…リアスお嬢様は、約束どおりにライザー様との結婚です」

「日付は……」

「今日の夜です」

 

今は…夕方!?

こうしちゃいられない!

 

「…どうなさるお積もりですか?」

 

部屋を出ようとした俺にそうグレイフィアさんが静かに語りかけていた。

 

 

……そんなの、決まってる。

 

「…部長を助けに行きます」

「今更貴方が行っても、どうこう出来る物では無いのですよ?」

 

 

………そうかもな。

 

「そうっすね。俺が今やろうとしてるのは、悪魔の未来をぶっ壊すかもしれない…」

「でしたら…」

「でも」

 

決まりとか、そんなのはどうだって良い。

 

「これは、俺の意地です。部長は……助けてって言ってた。泣きながら」

「………」

「未来が大事とか、大人はそう言います。確かに、未来は大事です。けど………たった一人の女の子の幸せを!想いを!踏み躙る社会に、安寧の未来なんてある訳ない!!!」

「…!」

「まずは目先の未来より、今を!今を変えなくちゃ未来なんてわかる訳無いんだ!!」

 

 

…そうだ。未来なんて、何時も真っ暗闇の中だ。

それを知りたいから、俺達は、今を生きてるんだ!!

 

それに―――

 

 

 

「魔法使いは…諦めが悪いんです。だから、助けに行く。俺は部長の、最後の希望だから」

「……」

 

 

 

 

 

 

 

ぐ~…………

 

 

 

なんて力強く語ってたら、突然俺の腹が鳴った。

 

そういや、何にも食べてなかったっけ?ハハ…………しまらねぇなぁ。

 

『お前って奴は……ククッ』

 

笑うな!!

 

 

「ふふっ……」

 

と、グレイフィアさんが静かに笑い出した。

…何か、意外だな………アレ?

 

 

俺、この人の笑顔…知ってる?

そう言えば、初対面の筈なのに、そんな気がしなかったのも……何でだ?

 

 

「さすがです、イッセー様。もしもあなたが弱音の一つでも吐こうものなら、サーゼクス様から叩いてでも目を覚まさせろと言われたのですが……どうやらとんだ検討違いだったのですね」

 

なんて唸る俺に構わず、グレイフィアさんは静かに、だけど何処か嬉しそうに語りだした。

 

「貴方のその強い意志を秘めた瞳…あの時から変わる事無く、寧ろ輝きを増している……だけど、何処か気が抜けている……ふふっ」

「???」

 

な、何だ?

なんか、すげぇ俺の事語ってるんですけど?!

 

『まさか……お前』

 

オイ、ドライグ。何がまさか何だよ?

 

 

「……少々お待ちください」

 

そう言うと、グレイフィアさんは俺の部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

~~~~一分後

 

グレイフィアさんは手にお盆を持って戻ってきた。

何か、良い匂いだな……。

 

「まずは腹ごしらえ……ですね?」

 

そうイタズラっぽく微笑むと、グレイフィアさんはお盆を俺の目の前に置いた。

 

 

……お握り?

 

『…あー!思い出した!!』

 

え、何を思い出したんだよ!?

いきなり大声で叫びやがって!

 

『まぁ、食ってみろ。お前も思い出すだろ』

 

……分かった。

ドライグに言われるがままに、俺はそのお握りを頬張った。

 

 

……この味、知ってる!!

 

俺はがっつく様にお握り三つをあっという間に胃袋に収めた。

そうだ、この人…!

 

 

「冥界で、修行した時……!」

「…漸く思い出してくれましたね」

 

そうだよ!俺がまだ小学生の時、冥界の山で修行してた時に会って、それで、冥界で修行の許可を貰ったんだ!!

 

そして、その時に魔王様に会ってるんだ!

 

 

何でそんな大事なこと忘れてたんだろ…?

その時に、このお握りを貰ったんだ…。

 

『んでお前そん時に……』

 

……うわーっ!思い出したよ!!

俺、その時グレイフィアさんに……!

 

 

『……って、今は冥界に向かうことが先決だろ』

 

そうだった!恥ずかしがるならまたの機会だ!!

 

 

 

 

「イッセー様、これを」

 

するとグレイフィアさんはポケットから一枚の魔法陣を取り出し、俺に渡してきた。

 

「これは?」

「その魔法陣は婚約会場へと続く魔法陣です…そして、魔王様から一言です「妹を救いたくば、会場に殴りこんできなさい」……と」

「…妹云々は置いといて、何で俺に?」

 

ぶっちゃけドライグナビがあれば余裕なんだけどな。

 

『無茶言うな。確かにリアス・グレモリーの魔力探知は出来るが、道筋は知らんぞ』

 

え、そうなの?

何だよー、下手なカーナビより役立たずじゃん。

 

『言ったなテメェ!!』

 

冗談だよ、冗談!

今グレイフィアさんが説明してるだろ!!

 

『相棒、覚えてろよ…』

「冥界の事は知ってても、その道筋は知らないだろうと言う事で」

 

うわー、バレバレじゃん!

さっすが魔王様だな。

 

 

「では、私はこれで……」

「あ、グレイフィアさん」

 

説明を終えたグレイフィアさんは魔方陣で転移しようとしたが、俺はそれを呼び止めた。

 

「はい?」

「…お握り、ご馳走様でした!」

 

俺がそう言うと、グレイフィアさんは目をきょとんとさせ、次には笑っていた。

 

「またお望みでしたら御作りいたしますよ。では、私からも……」

「?」

「リアスの事、頼みます……」

「…モチのロンです!!!」

 

俺が力強く言うと、グレイフィアさんは微笑んで今度こそ消えた。

…結婚会場だろうな。

 

「さて、腹ごしらえも済んだし………行くか」

 

…だけど、その前に、

 

「いるんだろ、アーシア、ティア?」

「ふっ、流石はイッセーだな」

 

まぁオーラで分かるし。

 

「イッセーさん……」

「アーシア、行ってくる……」

「…なら、私も!!」

 

涙を流して懇願するアーシア。

だけど、連れてはいけない………。

 

「…ゴメン、アーシア。だけど、アーシアもまだ万全じゃない……そうだろ?」

「……私は!」

「大丈夫」

 

俺はアーシアを抱き寄せた。

 

「その気持ちだけでも、俺は戦える。約束する、ちゃんと部長達も一緒だ」

「……必ず、部長さん達と、無事に帰ってきてくださいね…!約束ですよ?」

「あぁ……ティア、アーシアを頼む」

「任せろ。イッセー」

「ん?」

「やり過ぎるなよ」

「……善処するよ」

 

それだけ伝えると、俺はコートを着て外に出た。

 

「…頑張って下さい!」

「ま、気楽にな」

「おう!」

 

俺はバイクを吹かし、冥界へと向かっていった―――――!!

 

 

待ってて下さい……部長!!

 

 

イッセーside out

 

 

 

 

木場side

 

 

僕、木場祐斗はリアス部長の婚約会場にいる。

 

 

僕だけじゃない。

 

 

ドレスを着こんだ小猫ちゃんに和服姿の朱乃さん。

僕もスーツを着込んで会場の一角にいた。

 

既に上級悪魔の面々が会場にいて、話をしたり、ごちそうを食べていたりする人もいる。

 

 

 

「…この前のゲーム、拝見させていただきました」

 

…するとそこには同じ駒王学園の生徒で生徒会長、そしてシトリー眷属の『王』、ソーナ・シトリー様がいた。

 

「ソーナ会長」

「……正直、納得できない部分も多いです。ですが負けは負け。それはおそらく、誰よりもリアスが分かっているでしょう」

「あらあら…さすがは幼馴染が言うことは違いますわね」

 

 

ソーナ会長は実際にあのゲームを見ていたのか、僕たちに対してそう話しかける。

それに対し朱乃さんはいつも笑い声でそう言った。

 

 

朱乃さんがあの『女王』に負けたのは、どうやらフェニックスの涙を使われたかららしい。

一度は追いつめ、魔力が尽きたところを涙で回復され、そしてそのまま敗北。

 

 

逆に言えば涙さえなければ負けることはなかったというわけだ。

 

 

「あのゲーム、私は素晴らしいものだと評価します」

「ありがとうございます。でも、お気遣いは無用ですわ」

 

朱乃さんは微笑みながらソーナ会長にそう言った。

 

「……まだ、終わってません」

 

それに続くように、小猫ちゃんも静かに呟いた。

 

 

……そうだ、まだ終わってない。

 

そうだろう、イッセー君?

 

 

 

 

 

すると、僕達に近づいてくる人影があった。

 

「……グレモリー眷属の皆様、少し宜しいでしょうか?」

「確か貴方は……」

「お兄様の眷属で『僧侶』のレイヴェル・フェニックスですわ」

 

 

…そこには金髪のツインロールの髪形をしていて、紫色のパーティードレスを着ているレイヴェルさんの姿があった。

イッセー君なら、ドリル頭とか言うんだろうなと思いながら。

 

「それで…どうしたのですか?」

「…その、この前のゲームのことを謝りたくて―――兄の蛮行、謝罪申し上げます」

 

 

…すると彼女は僕達に頭を下げてきた。

 

 

どういうことだろう。

 

するとレイヴェルさんは頭を上げて、話し始めた。

 

「…お兄様は『王』として勝利を求めました。あの時の様な事も…ですが私はあれが…お兄様の最後の行為がどうしても許せませんの。だから兄に代わって、妹である私が謝ろうと思いまして…」

「あらあら…構わないですわ、そんな頭を下げないでください」

「……ゲームはゲーム。もう割り切りました」

 

するとレイヴェルさんは少し、安堵の表情となった。

彼女は相当、緊張していたみたいだね…これだけの眷属に面と向かって頭を下げれるこの子の芯の強さ。

 

 

正直、あのライザ―・フェニックスの妹とは思えなかった。

 

 

…僕は相手の『女王』と相打ちになり、そしてリタイアして治療を受けている最中、イッセー君のそれまでの戦いを見ていた。

 

正直、唖然としたよ。

 

 

頭以外を龍のものに変えて、彼はフェニックスを、部長を人質に取られるまで圧倒していた。

僕達が思っていた以上に、彼は強かった。だけど、怖かった。

 

 

戦いを、楽しんでいた……。

あの時のイッセー君は、見た目だけでなく、心までもがドラゴンその物だった。

 

 

 

 

そして――――――心底愉しそうに笑っていたんだ。

 

 

 

その戦いを見ていて、朱乃さんと小猫ちゃんも僅かに震えていた。

……それは、僕も同じだった。

 

 

そんな風に、笑ってほしくない………とも祈っていた。

何時もの様に、明るく笑ってほしいと。

 

 

 

「……それで、赤龍帝は、どちらに?」

「「「…………」」」

 

 

 

………イッセー君は、いない。

彼はあの後、まるで死んだかのように眠り続けていた。

 

その反動は、僕達よりダメージが大きいとお医者様は言っていた。

フェニックスの炎より、内的なダメージがデカイ、との診断だった。

 

 

 

だけど―――――――

 

「彼なら大丈夫さ。今はここにいないけどね…」

「イッセー君は、自分を、そして他人を裏切らない人ですわ」

「諦めが悪い………でも、それが、先輩の長所です。先輩は、絶望している人を決して見捨てません……」

 

 

 

その時、あの男……ライザー・フェニックスが炎に包まれながらという派手な演出で会場に登場した。

 

「冥界に連なる貴族の皆様!お集まりいただき、大変うれしく思います……この度、皆様に集まっていただいたのは名門、グレモリー家の次期当主、リアス・グレモリーと、私、ライザー・フェニックスの婚約という、歴史的瞬間を共有していただきたいからでございます」

 

 

……貴方は、ある意味幸せなのかもしれない。

 

彼の、僕らの『兵士』の怒りを、知らないのだから―――――

 

 

「ではご紹介しましょう!わが妃!リアス・グレモリ―!」

 

……グレモリーの魔法陣がライザー・フェニックスの隣に浮かび、そして少しして、ウエディングドレス姿の部長が現れた!

 

部長の表情は硬く、その眼も閉じられており、何時もの活発な部長とは、別人だった。

 

 

 

そしてあれよあれよと演説(下手なサウンドステレオより五月蝿いと、イッセー君なら言うんだろうなぁ)が続いていった………ってアレ?

 

イッセー君………?

 

 

「我々のこの婚約は、悪魔の未来を繁栄させる、礎となり得るでしょう!!」

 

ライザーが手を上げて熱演すると、周りの上級悪魔の方々も嬉しそうに声を上げた。

 

「これは……」

「あらあら」

「遅い、です……」

 

イッセー君、まだ来ないのかい?

 

 

「ら、ライザー様!!」

 

すると、入り口付近から警備悪魔がライザーに近づいてきた。

どうしたんだろう?

 

「何だ貴様?今は大事な…」

「そ、それが…!可笑しな男がバイクで侵入して来て…!」

 

 

 

うわぁーーっ!!

ひぃーーーっ!!

 

 

警備悪魔が言い終わる前に、外から何やら悲鳴が聞こえた。

 

ま、まさか………

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォンッ!!!!

 

「ライダー、ブレェィク!!」

「ぎゃぁぁっ!!」

「のぉぉぉっ!!」

 

僕が何かを予感したと同時に、式場の扉がぶち破られた!!

さらに何人かの警備悪魔が投げ出された!

 

ブゥンッ!!

 

その人物は、バイクを捻りながら止めて一言、

 

 

 

「ギリギリセーフ…………ってとこか?」

 

 

そうその場の雰囲気に似つかわしくないのんびりとした口調で一人呟いていた。

 

「貴様ぁ!何者だ!?」

「てめぇに名乗る名前は無いと言いてぇが、特別に名乗ってやるぜ。鼻毛真拳継承者!」

「誰がボーボボだ!!」

 

その人は、そう呟くとヘルメットを取っ払った。

 

 

 

 

「お、お前は……!」

「チョりーっす」

 

僕らの予想通り、兵藤一誠その人だった。

と言うか、結構古い挨拶だよ、それ………。

 

「オイドライグ!全然受けてねぇぞ!!」

『本気でやりやがったコイツ!ダーッハッハッハッハ!!!』

「てめぇだけは許せねぇ!!」

『おっと。暴力はいけません!』

 

うん、元気そうだね。でも漫才は帰ってからでも出来るよね?

 

「警備兵!取り押さえろ!!」

 

ライザーの叫びで数人の悪魔が取り囲むけど、

 

「へぇ~、随分感激してくれるねぇ………っと!」

 

イッセー君は不適に笑うと、ヘルメットを警備悪魔めがけて蹴っ飛ばした!

そのコントロールは抜群で、一気に取り囲んでた警備悪魔を気絶させた!

 

「へっへーん」

「このぉ!」

「おっと」

「がふっ!?」

 

背後からの奇襲も、鮮やかにかわして後頭部をヘルメットで殴った!

さ、流石に悪魔でもやり過ぎじゃあ……。

 

「さぁてと、ここは一発でかく言っときますか!?」

『イヨッ!!』

 

それに構わずイッセー君は部長を指差すと、高らかに宣言した。

 

 

 

「部長、いやリアス・グレモリー様は俺の女だ!!その艶やかな紅髪も、心も、唇も、処女も!!全部ひっくるめて、俺のもんだぁぁぁぁ!!!!」

 

 

いっそ清々しいまでの変態発言だった………!

 

 

 

木場side out

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

「部長、いやリアス・グレモリー様は俺の女だ!!その艶やかな紅髪も、心も、唇も、処女も!!全部ひっくるめて、俺のもんだぁぁぁぁ!!!!」

 

へっへーん、言っちゃったぜ☆

もうこうなったら大胆なほうが良いだろうしな!

 

「やぁイッセー君」

 

すると後ろから木場達がやってきた。

 

「随分遅い到着でしたわね」

「ヒーローは遅れて来るもんですよ」

 

まぁ、バイク何処に止めようか迷ってたんだけどね。

結局特攻した訳ですけどね。

 

「今度、ドーナツ下さい……」

 

うん、分かった!腹パンよかずっとマシだ!!

 

だからその拳を収めて!!

 

 

 

 

「これはいったい!?」

「リアス殿!いったいどうなっているのだ!!」

 

周りがざわつく中、俺はひときわ目立つ赤髪の長い男性が、ちょうど部長に近づいて行くのを見た。

 

 

……部長と、似ている。っつーかガキの時にチラッっと会ってたっけ。

 

あんまし覚えてないけど。

 

「私が用意した余興ですよ」

「さ、サーゼクス・ルシファー様!?」

 

貴族の一人が慌てた表情と声で、その名を呼んだ。

 

 

「サーゼクス様!このようなご勝手は困り」

「…いいではないか、ライザーくん」

 

 

…魔王様、もといサーゼクス様はライザーの言葉を止める。

 

俺はその様子を見て、立ち止まった。

 

「この前のゲーム、拝見させてもらったよ。しかしゲーム経験もなく駒も半数に満たないリアス相手に、随分と小ズルイ、もっと言えば卑怯な妙手を使ったそうではないか」

「ッ!!………それはサーゼクス様、貴方様はあのゲームを白紙に戻せと?」

「いやいや、そこまでは言っていない。魔王である私がどちらかに肩入れすることは不可能だ」

 

 

するとサーゼクス様は俺の方を見てきた。

 

 

「ならばサーゼクス、お前はどうしたいのだ?」

 

 

すると赤髪のダンディーチックな悠然としている男性がサーゼクス様に話しかける。

恐らくは、部長のお父さん、なんだろうな。

近くには部長に似た女の人もいるから間違いないだろうな。

 

「そこの少年は今代の赤龍帝の力を有しているそうではありませんか。ドラゴンとフェニックス。私はその戦いがみたいのですよ……それにそうしなければそこの彼は止まりませんよ」

 

 

…サーゼクス様がそう言うと、会場の視線が俺に集まった。

 

………分かってらっしゃる。

 

 

「兵藤一誠君、どうやらお許しが出たそうだ。もう一度、君のあのドラゴンの力を見せてくれないか?」

「―――――望むところですよ」

 

俺は赤龍帝の籠手を発動させ、掌を叩いた。

 

 

 

「……いいでしょう。このライザー・フェニックス、これを最後の試練として迎え入れましょう!!」

「勝負は成立……ならば兵藤一誠君、君は勝った場合の代価は何がいい?」

 

 

サーゼクス様が俺にそう言ってくると、途端に周りが騒がしくなった。

た、対価?

 

 

「サーゼクス様!たかだか下級悪魔にそんなことを!」

「お考え直しください!」

「黙れ」

 

 

サーゼクス様の低い声が響く。

その途端、会場は水を打ったかのように静かになった。

 

 

「下級であろうと、上級であろうと悪魔は悪魔だ。こちらは頼んでいる身、ならばそれ相応のものを出さなければ……それで君は何を願う?爵位か?それとも絶世の美女かい?」

 

爵位、それに絶世の美女か………悪くないな。

 

 

『オイ』

 

わーってるよ!!

 

「魅力的ですけど、それは頑張れば得られる。俺が望むのは、部長…リアス・グレモリー様を、自由にしてほしい。ただそれだけです!!」

 

元々の目的もそれだからな。

っつーかそれ以外別にいらねぇ!!

 

『美女に揺らいでたのは、何処の誰かなぁ?』

 

誰だソイツは!この俺自ら逆さ吊りにしてやる!!

 

「いい答えだ。ならば勝ったらリアスを連れて行きたまえ」

 

サーゼクス様はどこか嬉しそうな笑顔でそう言うと一歩下がる。

 

「この前の言葉、忘れていないな?―――決着を着けるぞ、ライザー」

「いいだろう、小僧…お前にフェニックスの力を分からせてやろう!」

 

 

決まりだ…!

だけどその前に……

 

 

「部長」

 

俺は部長の手を取って、右手の指に指輪を通した。

 

「これは……?」

「この指輪に誓います。必ず、貴女を自由にします」

 

それは基本、俺が絶望したゲートに使用する、エンゲージって言う魔法の指輪だ。

効果は、指輪をつけた他人の精神世界――アンダーワールドに入れる。

 

 

今回は――――ただの、約束手形。

だけど、それは必ず救う―――そう約束する指輪だから。

 

 

そう部長に約束すると、俺は急遽用意された戦闘フィールドに繋がる魔法陣から転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘フィールドの中心辺りに俺とライザーは立ちすくんでいる。

今は開始の合図を俺達は待っていた。

 

「小僧、お前の強さ……それは認めよう。だが…!」

 

 

『では、試合を始めたまえ』

 

そうサーゼクス様が告げると、ライザーは不死鳥の炎の翼を広げた!

 

「この間も言ったように、俺もフェニックスの看板を背負っている!!わがフェニックス家に、敗北は許されんのだ!!」

 

……どうやら、敗句は詠み終わったようだな。

 

 

推奨BGM「Trip -innocent of D-」

 

 

 

「お前の背負ってるもんの重さなんて知るか。けどな、そんなプライドごときで部長を傷つけたテメェを!俺はぶっ倒す!!!」

 

俺は力強く踏み込んで、ライザーに駆け出す!

 

 

 

「力も万端!準備はOK!だから俺は今!望む!不死鳥を吹っ飛ばせる力を寄越しやがれドライグ!!いや、ウェルシュ・ドラゴンッ!!!」

『ふっ、良いだろう!ならば思う存分に振るうがいい相棒!!否ッ、兵藤一誠っ!!!』

 

 

 

燃え盛るようなドラゴンのオーラを滾らせ、今!叫ぶ!!

 

 

 

禁手化(バランス・ブレイク)!!!!!」

《Welsh Dragon Balance Breaker!!》

 

 

「さぁ、ショータイムだっ!!!」

 

 

同時に、俺の体に次々に鎧が装着されていく!

そして全ての鎧を装着し、そして俺は地面に舞い降りた!

 

 

「これが龍帝の力!赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)だっ!!!」

 

 

俺は空に浮かぶライザーにそう言い放った!

 

「ば、バランス・ブレイカーだと!?」

 

ライザーは驚愕な表情になっていた。

 

「あぁそうだ。この間は使えなかったが……神滅具(ロンギヌス)の真の力、その身に受けやがれ!!」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!』

 

一気に限界まで強化され、力が数倍に跳ね上がる!!

 

「うらぁ!!」

「ごはっ!?」

 

猛スピードでライザーに近寄り、そのままの勢いで殴り飛ばした!

 

拡散する龍波動(マシンガン・ドラゴンショット)!!」

 

掌からドラゴンショットを拡散させ、地に落ちたライザーに放つ!

 

「ぐぅっ!?何というパワー……貴様、本当の化け物か?!」

「化け物…?だから、俺は悪魔だっつってんだろ!!」

 

牽制のドラゴンショットを放ちながら拳を構える。

お次はコイツだ!!

 

龍牙雷光(ドラゴニック・プラズマ)!!」

「ぐあぁぁぁぁ!!!?」

 

全方位から殴りつける!!

からのぉ!

 

爆裂の龍波動(エクスプロージョン・ドラゴンショット)ォ!!」

「ふ、ふん!その程度…!」

 

ライザーが振り払おうとした瞬間、連鎖的に爆発が起こった!

 

「あ~言ってなかったっけ?それ、ちょっとでも触れたら爆発するって」

「が、はぁ……!」

「苦しいか?けどな……部長のほうがもっと苦しかった!!お前が今味わってるそれより、ずっと苦しい痛みを!!味わってきたんだ!!」

 

ただではたおさねぇ!!

泡吹くまでやってやる!!

 

赤龍帝の聖剣(ウェルシュ・エクスカリバー)!!」

「ぐぉあっ!!」

 

手刀でライザーを切り裂く!

ライザーに接近し、俺はこれでもかと殴り続ける!!

 

「どうした!俺をっ、焼き尽くすんじゃ、無かったのか!?」

「がはっ、ぐほっ、ごはぁ!!」

「何とか言えェ!」

「ぐっ!?」

 

俺は頭突きでライザーを怯ませ、足を掴んで投げ飛ばす!!

ライザーは柱から這い出るも、既にボロボロで、再生力も追いついていない様子だった。

 

俺はそれでも容赦なく、ライザーを殴り続ける。

 

 

「づぅあっ!!」

「ごほっ……!」

 

 

硬化させた拳を叩き込んで、ライザーを地面に叩き伏せた。

直ぐに立ち上がるも、その表情は絶望一色だった。

 

 

 

「安心しろ、楽にしてやる………だったか?」

 

俺は持てる全ての魔力を、左拳に集中させた。

こいつが、ラストアタックだ…ッ!!

 

 

「や、止めろ!貴様、分かっているのか!?この婚約は悪魔の未来のためのものだ!!お前のような何もしらないガキが、どうこうしていい問題ではないんだ!!!」

「確かにそうだな。だが、俺にとっちゃどうでもいい!」

 

俺はライザーの命乞いに近い叫び声を切り捨て、にじり寄った。

 

「俺がやろうとしてる事は、悪魔の未来を壊す最低な事だ。けどな、これだけは言える。……お前なんかが、部長を泣かせるお前なんかが!!」

 

 

 

 

 

 

『イッセー……』

 

 

 

 

「あの人の隣に立つ資格なんてねぇんだよ!!!俺は誓った!あの人が涙を流すなら、俺がその涙を宝石に変える!!あの人が絶望するなら、俺がその絶望を希望に変える!!今俺がお前をブッ飛ばす理由はァ!!!」

 

 

一気に踏み込み、

 

 

「それだけで十分だぁぁぁぁ!!!!」

「ーーーーーーーッ!!?」

 

ライザーの腹部に叩きこんだッ!!!

 

 

 

それを受けて崩れ落ちるライザーに、

 

 

「フィナーレだ、ライザー・フェニックス………!」

 

そう言い放った。

つっても、聞こえてねーだろうけどな…。

 

 

「お兄様!!」

 

すると、ライザーの妹さんが現れ、ライザーを庇う様に立った。

 

「震えてるぜ……?」

「っ」

「安心しろ、もう気は済んだ。ソイツが起きたら伝えといてくれ。文句あるならいつでも来い!ってな」

「あ……///」

 

何故か顔を赤くしたその子に構わず、俺は魔方陣目指して歩を進めた。

 

 

 

 

『相棒……やっぱりお前は最高だ』

 

 

 

……あんがとよ。

 

 

 

 

俺は魔方陣で部長達が待つ場所に戻ってきた。

 

 

俺は鎧を解除し、部長に手を伸ばした。

 

「部長、迎えに来ました……」

 

部長は目に涙をためて、俺の手をとった。

 

「イッセー……!」

 

 

 

 

……ふぃ~。

 

 

 

 

 

戦いを終えた俺は、グレイフィアさんに渡された魔法陣が書かれた紙を掲げた。

すると、何やら頭は鷲なのに、体はライオンみたいな奴が現れた。

 

「これは、グリフォンね」

「へぇ~」

 

これがグリフォンか。

何か、普通だな。

 

「あらあら、うふふ。ではイッセー君が部長をお送りして差し上げたら?」

「えぇっ!?」

 

朱乃さんが面白そうにそんなことを言ってきた!

まじで!?

 

「そうね……じゃあ、お願いできるかしら?イッセー」

 

げ、部長まで乗り気じゃん!?

 

……ま、良いか。

 

「部長がそう仰るなら、喜んで!」

 

俺と部長はグリフォンに跨り、冥界の空を飛んだ!

 

 

「先に部室で待ってるぜ~!!」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~

 

 

「…バカね、イッセー。そんなに傷だらけになって、私なんかの為に……」

「なんか、じゃないです。部長だから、助けたんです」

「ッ!」

 

部長は顔を真っ赤にして、俺から視線を外してしまう。

でも俺の首に腕を巻きつけたまま、抱きしめてくる。

 

「でもありがとう、イッセー…今回は破談になったかもしれないけど、また次の婚約が来るかもしれないわ」

「もし次、そんな婚約があっても、助けを呼ぶなら、俺は何時だって部長をお助けします。だって俺は……」

「…………」

 

 

 

「リアス・グレモリーの『兵士』で、貴女の最後の希望ですから!」

 

 

 

そう言った瞬間、俺は唇に何か柔らかいものが当たっていた。

 

それが何かは最初理解できなかったけど、何故か部長の顔がどアップだった。

 

 

 

………要約:部長とキスしてる。

 

 

 

「ぶ、部長………い、今のって…!!」

 

一分近いキスを終え、俺は錆付いたロボットみたいに声をうまく出せなかった。

 

 

「日本ではファーストキスは女の子は大事にするものなのでしょう?だからあなたにその、あげたのよ―――責任、とらないと後がひどいんだからね?」

「ふぁ、ファーストキスぅ!?」

 

マジかよ!?処女でキスも未経験だったのかよ!!

 

 

 

でも、幸せだぁ………!!

 

 

 

 

「それと私、イッセーの家に住むことにするから」

「へぇ、そっすか!ってえぇぇぇぇえええ!!?」

「当然よ。イッセー、貴方は私の下僕なんだから、 交流を深めないと。ね?」

 

 

 

なんかまた、騒がしくなりそうだなぁ。

 

 

 

 

 

第二章:戦闘校舎のフェニックス・完

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて第2章は完結です

後はちょこちょこ番外編を投稿して、第3章に行きます。

最初はグレイフィアさんとの出会いです(予定)


では!
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