ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
あまりにうるさいもんだから試しに一度戦ってみるかーと思ったらやけにガラの悪いコブラのライダーに追い回されたり蟹っぽいライダーを返り討ちにしたら自分の契約モンスターに食われちゃってたり、白い虎みたいなライダーはサイコパスっぽくてヤベーイな感じでミラーワールド見学してたらガラスの破片握り締めてなんか叫んでる男がいたり何だこの世界は…………と思いながら契約した鮫とその連れの鮫に餌やりしていますが、どうにか私は生き残っています。
あ、後ミラーワールドなのに時間制限なしの真っ黒いライダーには要注意です。
アイツ反則ですよ、無制限で行動できるし強いし、白鳥みたいなライダーもボコボコにしてましたから。
たまに金色の羽根っぽいのも落ちてるんですけどあれ何なんですかねぇ……不思議な世界です、ミラーワールド。
まぁそんなこんなで、皆さんも鏡の前に立ったらデッキを翳して
「変身!!」
と叫びたくなる、そんな珠玉の逸品です
久しぶりの俺視点だぜ!……とお気楽に始められそうもないんだなぁこれが。
今俺がいるのはさっきまででっかいバケモンが跋扈してた冥界、しかもその首都。
そして次元の狭間から帰ってきて掃討して皆の元に行ったらあら不思議!
木場は何か魔王チックな姿になってるし、ギャスパーな何でか寝てるし、しかも俺の目の前にはこの事件の首謀者?…あの魔獣創ったのはシャルバだけど、もういないしこの際全部こいつのせいにしちゃおう!
――――そう、英雄派のリーダー、曹操だ。
「…僅かな間で超えられたというのか。異常なるは、グレモリー眷属の成長率……。ヘラクレスは兎も角、『魔人化』を使ったジャンヌ、ジークフリートまでもがやられたとは……ジャンヌは二度使ったから、その弊害も考えうるが……どうやらゲオルクもやられたみたいだな」
…仲間の心配よりも、仲間がやられた原因を模索してやがる。
まぁ、らしいっちゃらしいか。
曹操の目線が俺の方へと向けられる。……けどそこにあるのは興味の色ではなく、異質なものを見ている、そんな胸糞悪い眼付きだ。
「…兵藤一誠。まさか生きていたとはね」
「誰も死んだ、なんて一言も言ってねーよ」
「シャルバはサマエルの血を所持していたと聞いていた。しかも君はサマエル本体の呪いを受けて間を置かない時間でそれを受けた……なら如何に君と言えど死んだっておかしくない。ヴァーリでも十回は死んでいる密度の濃さだ」
確かに食らったな、俺も生きてたなんて予想もつかなかったけど。
とは言え気絶ってのも楽じゃないんだぜ?何せ頭はいてーし、関節もあちこち錆びついたのかってぐらいロクに動かなかったもんさ。
……そこで俺のバイクに乗って推移を見守っている龍神様の組手で嫌でも体は動くようになったけど。
思い返し見ると俺何で生きてんだ?って気持ちになるよな……とまぁ、そんな俺の心情を知る由もない曹操は、信じられないって顔になっていた。
「どうした?随分驚いてるじゃん」
「驚かずしていられると思うか……?って言うかサマエルの呪いを受けて無事なこと自体イレギュラーなのだぞ?しかもグレートレッドと共に帰還する……グレートレッドと会うだけでも、偶然では済ませられないんだぞ……!」
「知るかよ、そんなもん。……ま、その運のお陰で、俺は今ここにいる。お前達を倒す為にな」
俺がそう言ったと同時に、視界の隅から変な波動が発生した!
黒い靄のような歪みから現れたのは、装飾が施されたローブに、悪趣味な道化師みたいな仮面をつけた奴――――確か、
「……ブルース?」
《プルートですっ!!》
そう、それだ。
突然の乱入者に突っ込まれるというお茶目な一幕もあったけど、何でこんなとこに死神が?
「プルート、何故あなたがここに?」
《…ハーデス様のご命令でして。もしオーフィスが出現したら、何が何でも奪取して来いと》
……んだと。
「テメェのとこの薄ら禿骸骨はとことんまで欲しがりさんだなオイ」
《…何ですって?》
俺がハーデスの事をそう言うと、プルートは濃い殺気を俺へと向けてくれる。
「…これ以上俺のダチに手ぇ出してみろ。……お前んとこの神様でも容赦しねぇ」
プルートも俺の殺気を受けて、臨戦態勢をとるが――――
「それはいけないな。兵藤一誠、悪いがプルートの相手は譲ってもらおう」
空から聞き覚えのある声と共に、俺とプルートの間にまたまた乱入者が入ってきた。
「ふむ、元気そうで何よりだよ」
「まぁな――――ってか、お前に貸したエロゲを返してもらうまで死ねるか。ヴァーリ」
乱入者――――ヴァーリは俺を見て不敵に微笑んだ。
「あぁ、それに関しては少し待ってほしい。今はカイトがプレイ中でね」
「又貸しかよ!ってかお前ら仲間内でエロゲ貸し合うなよ!!しかも俺のだろそれ!!」
「まぁまぁ気にするな」
「借りてる奴の台詞かそれが!!」
しまった、またシリアスブレイクしちゃった!
見ろ、プルートの奴ポカーンとしてるぞ!
「ま、冗談はさておき…」
「さっさと返せ!!」
「その内な……ゲフン。あのホテルの疑似空間でやられた分を何処かにぶつけたくてな。ハーデスか、英雄派か、どちらにするか悩んだんだが、ハーデスはアザゼルと美猴達に任せたし、英雄派は出てくるのを待っていたらグレモリー眷属がやってしまったからね。…つまり、俺の内に溜まったものを吐き出させるのはお前だけなんだよ、プルート」
…あー、ポーカーフェイスだけど、こいつ結構怒ってるな。
フラストレーション溜まりに溜まってるところを見るに、暴れられなかったのがそんなにムカついてたんだな。
《ハーデス様の元にフェンリルを送ったそうですね。神をも殺せるあの牙は神にとっても脅威です。――――忌々しい牽制を》
「いざという時の為に得たフェンリルだ。ここで使わずして何時使えと?」
《よくもほざく。各勢力の神との戦いを念頭に置いての考えでしょうに》
「フェンリル以上の交渉材料はないだろう?」
《…まぁ良いでしょう。しかし、真なる魔王ルシファーの血を受け継ぎ、なおかつ白龍皇であるあなたと対峙するとは……長く生きると何が起こるか分からないものです。あなたを倒せば、私の魂は至高の輝きに達する事が出来ましょう》
…応じた。ドライグ、どっちが勝つと思う?
『さぁな。あの小僧、まだ切っていない札があるだろう?それがどんな代物か分からん以上、何も言えんな』
「…兵藤一誠は天龍と同調し覇龍を進化させたが、俺は違う」
その言葉と共に、ヴァーリの体を特大のオーラが覆った!
「――――歴代所有者の意識を完全に封じた覇龍のもう一つの姿、見せてやろう」
ドウッ!!!
光翼が広がり、魔力が大量に放出されていく。
純白の鎧が神々しい光に包まれ、各部位にある宝玉からは――――
「我、目覚めるは――――律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり」
「っ、これは……」
俺の宝玉がその輝きに共鳴したのか、歴代の白龍皇の意識が流れ込んでくる。
『極めるは、天龍の高み!』
『往くは、白龍の覇道なりっ!』
『我等は、無限を制して夢幻をも喰らう!!』
その声からは恨みや妬みを感じない、その代わりに――――圧倒的なまでの、純粋な闘志が感じられた。
『ほぉ、戦いという意識を通じて、相棒とは違う形で分かりあったって事か』
「…ハハッ、アイツらしいや」
「無限の破滅と黎明の夢を穿ちて覇道を往く――――我、無垢なる龍の皇帝と成りて――――」
ヴァーリの鎧が形状を少し変化させ、白銀の閃光を放ち始めた!
「「「「「汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう」」」」」
《Juggernaut Over Drive!!!!!!!!!》
光が晴れると、白銀の寄りに包まれ、極大のオーラを解き放つ、別次元の存在としか思えない、力の権化がそこにいた。
見ればそのオーラの余波だけで、周囲のあらゆる物体がペシャンコになっていた!
『お前とは別のアプローチで覇龍を昇華させて自分のものにした、しかも己の才覚だけで、だ。相棒、お前のライバルは、つくづく化け物だな』
…あぁ、全身全霊でそれを実感してるよ。
これが、俺のライバル――――ヴァーリ・ルシファー………。
「――――『
《――――面白いっ!!》
ヴァーリのその姿に、怯む事無くプルートは跳躍!
残像を生み出すほどの高速移動を駆使しつつ、赤い刀身の大鎌を振るうが――――
バリンッ!
俺達の眼前で、鎌の刃が呆気なく砕かれたのだ。
特に何の力も込めていないであろう、ただの拳でだ。
《ッ!》
「フンッ!!」
驚愕するプルートに構わず、ヴァーリはアッパーでプルートを上空へと浮かせた!
激しい打撃音と共に空中へと投げ出されるプルートへ向けて、ヴァーリは空いた右手を上げ、開いた手を握った。
「――――圧縮しろ」
《Compression Divider!!!》
《DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!!!!!》
すると、見る見るうちにプルートの体が圧縮された!
縦、横、縦、横……プルートの体はどんどんどんどん体積を減らしていく!
《ッ、こんな、事が………この様な、力がァ………!!!》
「――――滅べ」
信じられないように叫ぶプルートに、ヴァーリは容赦なく吐き捨てた。
その言葉を最後に、目で捕えきれない程に圧縮されたプルートは、完全に消滅した。
この世に存在していたという、欠片の存在も残さずに。
ーーーー
白銀の形態から通常の鎧姿に戻ったヴァーリは肩で大きく息をしていた。
…あの力、現時点では俺達の無限『女王』よりも上だった。
消耗という点では俺より更に悪く、かつバランスは俺の方が上、だとは思うけど…ってかそう思いたい。
なんちゅー進化してんだ、コイツは……!
「……恐ろしいな、二天龍は」
曹操は近付きながらそう評した。
「ヴァーリ、あの空間で君に覇龍を使わせなかったのは正解だったらしい」
「…覇龍は破壊という一点に優れているが、命の危険と暴走が隣り合わせ。今俺が見せた形態はその危険性を出来るだけ省いたものだ。しかも覇龍とは違って、伸びしろがある。……曹操、仕留めれるときに俺を仕留めなかったのが、お前の最大の失点だな」
ヴァーリにそう言われた曹操は、無言だ。
そして程無くしてその視線はまた俺へと向かった。
「一つ確認したい……兵藤一誠、君は何者だ?」
は?
……何を聞きやがるんだ此奴は。しかもお前が首を捻るなよ、それは俺がしたいわ。
「やはりどう考えてもおかしいんだよ。今の君は天龍どころではない、だけど真龍、龍神とも違う。君は一体何なんだ?何者なんだ?」
「…………さぁな。俺は俺だし、何者かって聞かれても、そうとしか言えねぇ。まぁあれだ。難しいこと考えずに、俺は皆のヒーローってやつ…それでいんじゃね?」
曹操は間の抜けた表情となるが、直ぐに苦笑いを浮かべた。
「…成程、そちらの方が分かりやすい」
どうやら納得はいったらしい、曹操は聖槍の切っ先を俺達へと向ける。
「さて、どうしようか。俺と遊んでくれるのは兵藤一誠か、それとも――――」
「冗談言うなよ。お前と遊ぶのは、俺だ」
俺は曹操の前に立つ。……悪いけど、こいつとは俺が決着をつける。
曹操は、俺の獲物だ。
そう思った俺の元に、ヴァーリが歩み寄ってきた。
何だと思っていると、小さい声で聞いてこんな事を訊いてきた。
「奴の七宝、四つまでは知っているな?」
「…あぁ。女の異能封じと武器破壊、それに攻撃の転移と、相手の位置移動だったっけ」
女の異能封じは使えないから、後の六つに警戒すればいい。
「他の三つは、飛行能力の付随と分身生成、最後は破壊力重視の球体だ」
「ほぉほぉ。良い情報収集になった、サンキューな」
ま、後は俺次第って事だな。
「君が自ら相手を務めるとはね」
「言ったろ。あの時後悔させてやるって」
借りは返さなきゃ気が済まないんでね――――だけど、その前に重要な事がある。
「けど、ちょっと待ってくれや」
「ん?」
「お前との戦いの前に、どうしてもしなきゃならない事がある」
《コネクト・プリーズ》
俺は魔方陣からとある物を取り出す、それは小さな紙袋。
その袋には――――はんぐり~、と書かれていた。
俺が中から取り出したのは、プレーンシュガー。
「まずは腹ごしらえだ」
「……は?」
曹操はポカンとして俺を見つめていたが、俺は構わずにプレーンシュガーを頬張る。
「ん~、やっぱこの味だなぁ!」
「…イッセー君、どういう事?」
「あぁ、俺ここに戻ってきてから、って言うかずっと何も食べてないんだよ」
だから腹減っててなー……いやぁ、何時腹が鳴るか冷や冷やしてたよ。
流石にそこまでシリアスブレイクしちゃ不味いしな!
『もう手遅れだろ』
「シャラップ!…………うん、ごっつぁん!!」
二個ぐらい食べて、俺は口に付いた砂糖を舐め取る。
「待たせたな曹操!いよいよ決着の時だ――――ドライグッ!!」
『応っ!!』
俺は左手を掲げ、希望の詠唱を紡いだ。
「『我ら、目覚めるは!覇の理を超越せし赤龍帝なり!!』」
『赤き不滅の力と!』「決して折れぬ信念抱き!」
「『天道を征く!!』」
「『我ら、古からの力と信念受け継ぎし龍の戦士となりて――――汝の絶望を払い、永久の希望となる事を誓おう!!!!!』」
《Infinity Hope Dragon Evolution Drive!!!!!!!!!!》
瞬間、俺の周囲は白銀に包まれ、無限『女王』形態に移行する!
オーフィスとの組手のお陰か、鎧はこの間以上の輝きを放つ!
「『さぁ、ショータイムだッ!!!』」
次回、イッセーVS曹操!
果たして童貞である曹操は、非童貞になった兵藤一誠を倒せるのか!?
倒した先で、曹操は本当の男になれるのか!そしてその決着の果てに、曹操を待ち受けるものとは――――
次回、MAGIC151『英雄とヒーロー』
また来週?会おうぜぇ、チャオ~