ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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前回の戦闘シーン、デスティニーかストフリをイメージしていただければ幸いです。
ちょっと分かり辛いですけど……


MAGIC152『英雄になろうとした者、英雄である者』

 

 

「随分派手にやられたな、曹操」

 

よぉ、イッセーだ。

あ、因みに今のは俺の台詞じゃなくて、俺のライバル、ヴァーリだ。

 

崩れたビル群の窓から入って来たヴァーリは、痛みにのた打ち回る曹操を見下ろしていた。

 

「…その様子では呪いを受けたな。感想はどうだ?」

「ふふ……原稿用紙一枚も書けないよ………。君のライバルは…最高だな」

 

曹操の言葉に、ヴァーリはキザっぽく笑った。

 

「お前にはやらんさ。――――何故、覇輝は失敗した?先程使ったのだろう?」

 

それは俺も知りたい。っていうかもし成功していたらどうなってたのか。

 

「…覇輝は聖書の神の意志が関係する。亡き神の意志はこの槍の持つ者の野望を吸い上げ、相対者の存在の大きさに応じて、多様な効果、奇跡を生み出す……。それは相手を打ち倒す圧倒的な破壊で会ったり……相手を祝福して心を得られるものでもあった。――――だが、赤龍帝に対する覇輝の答えは静観、しかも聖槍の光の一部を彼の中へと送り込んだ……この勝負は、赤龍帝の勝ちであり、槍は俺の野望よりも兵藤一誠の夢を見たいと言う事だ。……もし聖槍が俺の野望を見届けたいのなら、聖槍はここで俺を回復させるか、もしくは絶大な力を発動させただろうからね」

 

……つまり、聖槍が俺の勝ちを認めたって事か?

それを聞いたヴァーリは、可笑しそうに笑った。

 

「ここに来てその聖槍はお前でなく、兵藤一誠を選んだのか。だから言っただろう?手に負えなくなるうちに俺達を倒しておくべきだったと。結果この様だ。……やはり、無限と成りし赤龍帝を倒す権利を持つのは俺だけのようだ」

 

ヴァーリの皮肉に、曹操は自嘲するだけだ。

 

「……俺が倒したかったんだけどな」

「お前らな…本人を前にそんなホモ臭い会話するなよ」

「「ホモじゃねぇよ!!」」

 

息ピッタリだな!しかも曹操、お前死にかけの癖に随分鋭いなツッコミが!!

 

「あぁ、そうだな。兵藤一誠を倒すのは俺だ」

「僕の友達は人気者だね」

「流石は我がライバル!」

 

えぇい、むさ苦しさが増した!

 

華だ、女の子の華やかさを俺にくれ!!野郎の熱い視線なんざいらねぇんだよ!!

 

『暖かい眼ェ』

『そぉい』

『アァァァァァアッ、眼がぁぁぁあっ!!!』

 

気持ち悪いぞドライグ!後ドラゴンよくやった!!

 

「…二天龍、獅子王、聖魔剣……流石にこの状態では分が悪すぎるか。いや、分が悪い以前に、このままじゃ俺は死ぬな……君達にちょっかいを出した時点で、俺の運は尽きていたのかもな………」

 

曹操がそう言った時、目の前に見覚えのある影が現れた。

 

「…ゲオルクか」

 

眼鏡の魔術師、ゲオルクだ。

片目と片足を失い、左足も黒く変色していた…………随分ボロボロだな。

 

何があったんだ?…後で木場に聞いてみるか。

 

「…帰還しよう、曹操」

「……その前に、一つ聞きたい――――兵藤一誠」

 

んあ?曹操は俺に向かい、こんな事を聞いてきた。

 

「君は…ずっと俺の語った英雄像を否定してきた。……だからこそ、君に聞きたい。君にとって、英雄とは何だ?」

「英雄……?」

 

いきなり何を聞いてくるんだ此奴は…………とは言え、このまま此奴に変な英雄論拗らせて襲われても面倒だしな。

 

「…お前、英雄って自分が名乗るもんなのか?勝手に英雄って名乗って、他人に迷惑かけてテロ行為して、それが本当に英雄ってヤツなのか?テレビの中のヒーローがそんな事してるの見たのか?それに――――誰かから一度でも『英雄だ』とか『ヒーローだ』って、呼ばれたのか?」

「……いや」

「……俺が思うに、英雄ってのはさ」

 

俺は瓦礫に腰掛けると、足元に落ちていたウィザードラゴンのソフビを拾い上げる。

表面に着いた埃を拭って、俺は続ける。

 

「自分から名乗るもんじゃないし、もっと言えば自分から望んでなるもんじゃない。……これは俺が好きなヒーロー番組の台詞なんだけどよ、「英雄ってのは、英雄になろうとした瞬間に失格」ってのがある。お前が言う超常の存在に挑むってのは、ただの結果だ。超常の存在に挑まずとも英雄だって称えられてる人なんていくらでもいる、それこそ虚構の、番組の中でも、そのヒーローは確かに誰かにとっての希望になってるんだよ。それにお前の中には、超常の存在に挑んだ後のビジョンがあるのか?」

「………」

 

曹操は俺の質問に何も答えられないでいた。

 

「明確なビジョンがなくて、ただ自分より強大な存在に挑みたいなら、ゲームでもしてろってのはそう言う事だ。唯の承認欲求で動いてたのは、お前もどこかで気づいてたんじゃねーのか?……ま、この台詞もその場しのぎの皮肉だったんだけどな」

「……英雄の血を引くあまりに、そこに拘り過ぎた。いきなりアウト、って訳だ」

 

曹操はそう言って力なく自嘲した……お前もその番組見てたんだな。

 

「……曹操」

「……俺達はどうやら、前提から間違っていたようだ。英雄という言葉の意味を履き違えていた時点で…………」

 

ゲオルクは曹操の手を取ると、転移魔方陣を発動させる。

 

だが――――

 

 

 

 

『……このまま、生きて逃げようなどとは都合が良すぎる英雄だな』

 

俺達の後方から響く低い声と共に、曹操とゲオルクに向けて何かが投げつけられた。

 

「うっ……ジャンヌ!!」

 

曹操がその名を叫んだ通り、その正体は俺がさっき倒した英雄派の女剣士、ジャンヌ。

その息遣いはかなり荒く、俺との戦いで負った傷とは違う傷や焦げた跡が体の各所に出来上がっていた。

 

ガルムはただ無表情で曹操とゲオルクを見下ろしていた。

 

『…良くやってくれた、英雄派。お前達のお陰で、器の完成度が更に増した。……もう、お前達に利用価値はない』

「…ッ!」

「っ、ゲオルク!」

 

ゲオルクは曹操を後ろに突き飛ばすと、ガルムに攻撃を加えようと片手を突き出す……だがガルムは冷静に、ゲオルクの腕を掴んだ。

 

「ぐっ!!」

『…そこまで死に急ぐか』

 

ガルムの腕が輝きを放ったかと思うと――――けたたましい爆音が響いた!

 

「――――ッ!!!」

 

声にならない悲鳴を上げるゲオルクの片腕は……跡形もなく吹っ飛んでいた。

 

今のは……ヘラクレスの神器に似てる?

そう思っていたら、曹操は顔に激情の浮かばせて立ち上がった。

 

「お前……ヘラクレスを、喰ったのか…ッ!!」

「「「!?」」」

 

曹操の怒声に、俺達は度肝を抜かれた。

人間を、喰ったのか!?アイツ、ファントムだろ!?

 

『……』

「…ゴフッ!!」

 

だがガルムは曹操の怒り様に構うことなく、ゲオルクの胸を躊躇なく貫いた……。

 

「ゲオルク!!」

 

曹操が駆け寄るが、ゲオルクは何も答えない…いや、答えられなかった。

 

それより早く、ガルムはゲオルクを喰らったのだ。

 

耳障りな咀嚼音を鳴り響かせながら、ガルムは挑発するかのようにゲオルクの眼鏡を吐き捨てた。

 

「ガルム……貴様ッ!!」

『……』

 

怒りで体を震わせながら、ガルムを睨み付ける曹操……ガルムはそれをどう捉えたのかは不明だが、今度は背中から腕を六本も生やした!

 

「……ジークフリートも、喰ったのか!」

『…元より用済みの存在だ。死んだところで誰も嘆きはしまい』

「ォォォオッ!!!」

 

曹操は怒り狂いながらガルムへと特攻を掛ける…ってバカ!アイツ今の自分の状態を分かってるのか!?

ガルムは六本の腕に魔方陣を展開させ、曹操へと魔法攻撃を仕掛けた!

 

「この攻撃……ゲオルクのかっ!」

『……フン』

 

先程より動きが鈍くなっている中、曹操は何とかガルムの魔法攻撃を凌いでいく……が、曹操が膝を付いた瞬間、足元に魔方陣が展開された。

 

「曹操、逃げろっ!!」

 

ガルムの攻撃だと察した俺は曹操に叫ぶが、魔方陣から這い出るように腕が生え、曹操を拘束した!

 

『死ね…』

「――――ッ!」

 

曹操を拘束してた腕と魔方陣が光を放ち、一瞬の内に爆音が轟いた!

 

だが――――

 

『……逃げたか』

 

ガルムが言った通り、そこには僅かな血痕の後はあるが、誰かが死んだとは思えないほど閑散としていた。

もしかして、爆発する寸前に逃げたのか……?

 

『…まぁ良い』

 

ガルムはさして気にした風でもなく、その場から立ち去ろうとした。

 

「おい待て!」

『…』

「…何でアイツらを殺そうとした」

 

ガルムは俺の問いに立ち止まると、振り返る事無く告げる。

 

『…奴らは既にテロリストの身だ。なのに何故気に掛ける?塵芥以下の命だ、散ったとしても誰も気に留めまい』

「…悪人だからって、命を奪うのは間違ってるっ!!」

『甘いな』

 

ガルムは俺を振り返ると、感情の籠ってない声で続けた。

 

『あのような奴らが今ある世界を腐敗させ、生まれ変わっても尚同じ愚行を繰り返していく……そのような奴らにかける慈悲など必要ない。ならば一思いに命を奪ってやるのがせめてもの慈悲だ。……それに、英雄派は十分な責務を果たした。それが済めば切り捨てる算段だったのだ。貴様が気にする必要はない』

「…テメェ、それ本気で言ってんのか」

 

俺の怒りを無感情に見据えるガルムは、背に烏のような翼を生やす。

 

こいつは他のファントムとは違う、何の感情もなく、作業の様に淡々と人を殺してる……今まで見たファントムの中でも、感情らしいものが窺えない。

 

……ワイズマンもそうだけど、こいつも不気味だ。

何を考えてるのか、全く分からない――――。

 

 

でも、だからと言って人の命を奪うこいつ等を、許す訳にはいかねぇ!!

 

『…元より人間に守るべき価値などない。新世界創造の暁には全ての生命は淘汰される。奴らは一足先に淘汰されただけだ。……十分な量のエネルギーは確保できた。それだけでも奴等にも価値はあった。……塵芥にしては立派な働きぶりだった、とでも言っておこう』

「ッ、待て!!」

 

俺が駆け寄る寸前で、ガルムは風と共に姿を消した――――

 

 

 

 

ーーーー

 

 

「……」

 

ガルムが去っても尚、俺の中にはやり場のない怒りが燻っている。

 

「…気に病むな。曹操もまともな終わりを迎えないだろうと分かっていただろうからな」

「……おぅ」

 

此奴なりに気を使ってくれてるのは分かる、だからこそ俺も後味の悪さを無理やり消した。

 

「…サンキュー、ヴァーリ」

「君の気持が整理できたのなら、これで心置きなく君に宣戦布告が出来るというものだ」

「え?」

「グレートレッドと通じたのだろう?ならば真剣に、赤龍神帝に挑む前に、君との決着をつけないといけないからね」

 

……ハハッ、ホントに此奴らしいな。

 

「あぁ、来いよ。まぁ何時でもってのは困るけど」

「安心したまえ。俺も拉麺の名所を巡ったりエロゲをしたりで多忙なんでね」

「お前普段何してんの?」

 

何か他のメンツが此奴の趣味に付き合わされてる残念な人達に見えて来たんだけど。

 

「…ヴァーリ、皆こちらに来ています。予定通り、一暴れしてきましたよ」

「そうか、すまんな」

 

お、アーサーお兄さんのご登場だ。

サルにカイト、ルフェイちゃんに黒歌とフェンリルもいる。

 

「サルって言うなぃ!!」

「良く聞こえたな!結構距離離れてんだろ!」

「誰がお義兄さんですって?」

「言ってない言ってない!!」

 

どんな聞き間違いですかそれ!?

けどアーサーは俺のツッコミをスルーして、木場に視線を送っていた。

 

「――――木場祐斗。聖魔の王に覚醒した貴方が、私が探し求めていた聖王剣コールブランドの相手として最も相応しき剣士です。ヴァーリが兵藤一誠と決着をつける時、私も貴方との戦いを望みましょう。それまではお互い、無病息災を願いたいものですね」

「……えぇ、その時は」

 

木場は不敵な笑みを浮かべてそれに応じた。……あの魔王チックな鎧な事か。

 

「そういやお前、ジークフリートを倒したのか?」

「うん」

 

木場の腰には、ジークフリートが持っていた魔剣群を腰にぶら下げていた。

まぁあの力、パッと見だけどすげぇ力だったからな。

 

『お前の極手と同じだろう』

「…そっか。お前も至ったんだな」

「君に比べたらまだまだだけどね」

 

こりゃホントにうかうかしてられないな……。

 

「さて、俺も眷属を待たせているのでな。そろそろお暇させてもらおうか…近いうち、お前の昇格祝いをせねばな」

「…合格、してますかね?」

「お前ならば余裕であろう」

 

サイラオーグさんはにかっと笑ってそう言って背を向ける。

 

「…サイラオーグさん、有難う御座いました!」

 

俺が礼を言うと、サイラオーグさんは手を上げて応え、そのまま窓から飛び降りていった。

 

「……ハァァァーッ」

 

…全部が済んだ、そう思った俺は、自然と崩れ落ちた。

 

 

『イッセー!?』

 

 

皆が俺の名前を呼ぶ声が聞こえたのを最後に、俺の意識は徐々に落ちていった――――。

 

 

ーーーー

 

 

冥界の魔獣軍の殲滅に成功した事を俺、アザゼルの元に届いたのを切っ掛けに、この緊張状態も収束しつつあった。

 

サーゼクスもその報告を聞いて、安堵したかのように元の姿に戻った……本当は、あっちが元の姿なのかもしれないけどな。

 

《ハーデス様、神殿内の死神の大多数が……氷漬けにされております》

《……貴様の仕業か、ジョーカー》

 

死神の一人の報告に、ハーデスは危険な視線をデュリオに送った。

…当のデュリオ本人は、特に意に介さずに自分の肩を揉んでいた。

 

「いやー、これぐらいはしないとミカエル様に怒られてしまうんで。怪しそうな気配の死神さんだけ氷漬けにしようと思ってたんすけどね。めんどいんで、まとめて凍らせちゃいました。いやー手際が悪くてすいません。アーメン、ってね」

 

ハーデス相手にも飄々とした態度は崩さない……しかし、強い。

 

これが天界の切り札、ジョーカー・デュリオの実力か。

 

とは言え、ハーデスの横やりだけは阻止できた。これは大きい戦果だ。

肉がないから分かり辛いが、相当悔しがっているんだろうな。

 

「サマエルの件は追々追及させてもらうぜ。何せ一人だけとはいえ、英雄派の主要メンバーを生きて捕縛できたからよ」

 

……ジークフリートとヘラクレスは、ガルムによって食い殺されたと聞いていたが、ジャンヌだけは何とか生きていたらしい。

だけど一人だけでも生き証人がいるんだ、これは美味しすぎるぜ。

 

「ハーデス殿、これで失礼します。今回は突然の訪問、誠に申し訳なかった」

 

サーゼクスは丁寧に非礼を詫びるが、その直後に強烈なプレッシャーを放った。

 

「それでもあえて言わせていただく。――――二度目はない。次はあなたを消滅させる」

《……ファファファ、良い目をしよるわ。ああ、よく覚えておこう》

 

その楽し気な笑みが消えない事を欠片でも祈っとくぜ、骸骨ジジイ。

 

 

 

 

 

『奴の消息を捉えました』

『首尾は?』

『魔力による暗示をかけております。……これでウィザードは』

『…あぁ。最後の仕上げだ』

 

薄暗い洞窟の奥、天蓋の奥に悠然と立つワイズマンの背後には、ガルムと別のファントムがいた。

鳥のような東部に、鋭い薙刀のような得物を持つファントム。

 

――――名をレギオン。

 

最近まで姿を消していた、特殊な力を持つファントムだ。

 

『レギオンの制御は任せる。……私は冥府に向かう。メデューサにはゲートの探索を行わせている、例の石の錬成も怠るな』

『御意』

 

首を垂れるガルムを一瞥して、ワイズマンはその場から転移していった。

 

 

 

 

 




真司が出ると言う事はもしかして、蓮も出るのかな……(映司の例もあるし)
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