ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
イッセー「小猫ちゃん!?間違ってないけど間違ってるよ!いや将来お嫁には貰うけどね!!」
小猫「ですから無問題です……」
イッセー「いや、あのホラ、ね?他の女性陣の目つきがスゲー怖いから……」
梶さん、竹達さん、ご結婚おめでとうございます
「魔法使いってのもいっぱいいるんだなぁ」
メフィスト・フェレスさんとの邂逅から何日か経ったある日の深夜、俺は兵藤家の空き部屋にて山盛りの書類に目を通していた。
「イッセー様、この魔術文字の解読が済みましたわ。読んでくださいましね」
そう言ってまた新しい書類を渡してきたのは、頼れる敏腕後輩マネージャーことレイヴェル。
何の書類かだって?言うまでもないだろ、魔法使いの履歴書だ。
こう言った知識はさっぱりな俺だけど、上級悪魔になった以上、眷属の関係でこういう事務作業とかも経験するべきと判断して、レイヴェルと二人で作業を行っている。
他の皆はリアスや朱乃さんの意見を取り入れながら選考しているんだ。
そう言う訳で二人で頑張ろうと言った時、レイヴェルは凄く嬉しそうにしていた。
「っ、はい!私がイッセー様にふさわしい相手を選び抜いて見せます!!」
いやー、凄く意気込んで作業に取り掛かってくれたからな、俺だって自然と気合十分って訳さ。
「この魔法使いの男性は錬金術において、希少なレアアース、レアメタルの魔術的利用方法を研究されてますわ。こちらの女性は――――」
素人の俺にも分かりやすく噛み砕いて説明してくれるお陰で、俺の頭にも入ってきやすい。
…小猫ちゃんの話だと、休み時間にも人目に隠れて調べていてくれたらしい。
有難い以上に、過労で倒れちゃいそうで心配にもなる。
「レイヴェル」
「はい?何処か分からないところが――――」
「何時もありがとな」
俺は日頃の礼を込めて、レイヴェルの頭を撫でる。
するとレイヴェルは――――
「い、イッセー様って、他人の心が読めるのですか……?」
嬉しそうにもじもじしつつ、何処か恥ずかしそうに尋ねてきた。
「何で?」
「いえ、その……私の我儘なのでずっと言えなかったのですが、あ、」
「あ?」
「……頭を、一度で良いから撫でてほしいな、と………」
――――
「レイヴェル」
「はい……!?」
なんっっっっっって、良い子やァァァァ!!!
俺は万感の思いを込めてこれでもかとレイヴェルの頭を撫でくり回した。
突然の事でレイヴェルは顔を真っ赤にさせてパニックになっていたが、次第に落ち着いていき、そして――――
「…えへへぇ」
何て、こちらを悶え殺す気ですか?な緩み切った笑顔を見せてくれる!
全く――――
『小学生は最高だぜっ!!……ってか?』
いや、小学生じゃねぇから。
「…レイヴェル」
「…はいっ」
俺は佇まいを正して、レイヴェルに向き合う。
「メフィストさんが言ってた事だけどな」
「っ」
俺の言いたい事を察して、レイヴェルは表情を硬くする。
この間の邂逅の際、メフィストさんからこんな話を聞いた。
フェニックスの家のものではない、つまり純正ではないフェニックスの涙が新たに裏取引で売買されている、というものだ。
「はぐれ魔術師」なる一派があの「禍の団」の残党魔法使いと手を組んでフェニックスの関係者に接触しているという事態が相次いでいるらしく、その関係でレイヴェルも狙われるかもしれないと言われたのだ。
「俺はまだ自分が君を守り切れるほど強くなった、とは言えない。やっぱり何処かで油断しちまうことだってある。でも――――」
俺はレイヴェルの肩に手を置いて、安心させるように、自分に誓うように言葉を紡ぐ。
「俺は何があっても、絶対レイヴェルを助ける。絶望しそうになったら、迷わず俺の名前を呼んでくれ。必ず駆けつける、俺がレイヴェルの――――最後の希望になるからさ」
「っ…………」
レイヴェルは暫く沈黙していたが、やがて嬉しそうに俺の手に自分の手を重ねてきた。
「はい……その言葉だけで、私は絶対に何があっても諦めません。それだけの勇気を、イッセー様の今の言葉からいただきました。でも、その時になったら、絶対に手を……掴んでくださいね?」
「……仰せのままに。お姫様」
俺は絶対に――――守り抜いて見せるよ。
ーーーー
とまぁ、珍しく頭を使った場面を見せましたが、それだけだとつまらないので、ここからは特訓パートだ!
同時並行して体も鍛えておかなきゃならんのが厳しい現実なんだよね。
「ふんっ!!」
俺が放った魔力の砲撃を、赤い軌道を描いて躱すのは――――魔王チックな鎧を纏った木場だ。
「ハッ!」
「うおっと!?」
木場は着地すると同時に俺の頭上から聖魔剣の雨を降らせて来た!
すかさず俺は砲身を真上に向けて、聖魔剣を破壊する――――と同時に木場が一瞬で俺の懐へと入り込んできた!
「随分大胆になったなっ!!」
《Wizard Promotion!!Land Dragon!!!!!》
「それ程でもっ!!」
肥大化した拳が当たる寸前で、木場は後方の魔方陣へと瞬間転移する。
転移したと同時に、俺は背後に現れた魔方陣に拘束される!
「ぐぅっ!!」
「ハッ!」
「うぉ!?」
バチバチと電気的なダメージが入ったかと思うと、木場が動かしたての動きに合わせて俺は木場の方へと吸い寄せられる!
そして木場の手元には四大元素の力が宿った一本の聖魔剣――――多分だけど、刀身は龍殺しの聖魔剣か!?
「そうは、行くかよ!!」
俺は両の拳を叩き合わせ、周囲に重力を発生させる。
自分にかかる重力を集中させ、魔方陣の引き寄せる力と相殺させる。
が、木場もどうやらそれを察していたらしく、俺へと向かって無数の聖魔剣と共に突貫してくる!
「…面白れぇ!!」
《Maximum Solid Break!!!!!》
聖魔剣を突き出した木場に合わせて、俺も力を開放した拳をぶつける!
圧倒的な力と反発し合う四大元素の爆発力は、周囲を爆発で巻き込んでいき――――
「やりすぎよ」
「「はい」」
結果、俺と木場はリアスに説教を受けていた。
だって他の皆もいるもん、しょうがないね。
リアスの咄嗟の指示でグレイフィアが結界を張ってくれなきゃヤバかったな……反省反省。
「木場、お前が止めないからこうなったんだろ」
「いや、僕に丸腰であの一撃を喰らえって言うのかい?僕死ぬよ」
「お前一人の犠牲で済むんだからめっけもんだろ」
「こんな特訓パートで言う台詞じゃないよそれ!」
「ふ た り と も?」
「「すみませんでした」」
何時の時代でも、男は女に弱いって決まりなのさ。
「…イッセーと木場はどんどんと強くなっていくな」
「ホント、階段幾つ飛ばしてのパワーアップって感じね」
正座する俺達の傍でそう話すゼノヴィアとイリナ。
「しかも木場、さっきの試合でグラム使ってなかったしな」
「…私は最初に洗礼を受けたよ。ふふ、まさか龍騎士団に格魔剣を持たせるなんてね」
因みに最初に模擬戦を行っていたのは木場とゼノヴィアだ。
とは言えパワー一辺倒の今のゼノヴィアじゃ極手まで会得した木場の相手は厳しすぎたみたいで、最後は龍騎士団によって負けた。
極手は消耗が激しいから、慣れた俺は兎も角、発現させて間もない木場じゃあ負担度も大きいらしく、最後は解除された。
そして暫く休憩を挟んで、俺と模擬戦を行った…っていう流れだ。
まぁ、慣れたっつっても俺でも負担は大きいんだけどね。
何せ《魔龍進化》は極手がデフォだから普段より負担は大きいし。
「お前の場合、その鞘になってるエクスカリバーの能力をある程度でも良いから使えるようになった方が良いと思うぞ」
「うん、僕もそう思うよ。君のパワーに当たったら、龍騎士は勿論、僕だってひとたまりもない。だからこそそのパワーを確実に相手に当てられるように、補助として使える程度にはしておいた方が良いんじゃないかな」
…ゼノヴィアの性格的には破壊の聖剣の能力しか使えていない。
他に有用なのは擬態とか透明の能力か、速度の上昇は……悪くはないけど『騎士』の駒の特性と被ってるし、それは後回しでもいいだろうし。
「ほら、ミミックはこうするのよ。要するにイメージよ。使いこなせさえすれば色んなものに変化させられるんだから」
エクス・デュランダルを借りたイリナが剣を振るうと、刀身がうねうねと変化して、サイズの大きい日本刀の形になった。
流石元所有者、擬態の使い方に関しちゃエキスパートだな。
『よぉし、ここで嘗て七つに分かれていたエクスカリバーのそれぞれの特殊能力について解説しよう!』
いや、いきなり出てきて何?
『暇だから』
……さいでっか。
『まずは
ゼノヴィアが持ってた聖剣だな。だから一番使いこなせているし、パワータイプのゼノヴィアとの相性も抜群だ。
『次に
イリナが持っていた聖剣で、普段は紐状に、戦闘時は日本刀にしてたな。
空港検査にも引っかからない、便利な聖剣だ。
『まだまだあるぜ?
何だその語尾は。……皆さん懐かしの、あのフリードが最初に使っていた聖剣だな。
『つ・ぎ・は…
出だしキモいし解説が俗っぽ過ぎる!
『次の商品はこちら!
何でテレビショッピング風!?お前解説で遊びすぎだろ!!
……この聖剣は魔法が得意な奴の方が相性が良いらしく、そちらに疎い……というか魔力を持っていないか魔法もへったくれも使えないんだけど、ゼノヴィアは習得に難航しているな。
因みに俺と相性の良い聖剣はこれと擬態の聖剣らしい。閑話休題。
『次はァハァ……
何だそのテンションは!?何処の檀黎斗神!?……この聖剣の効果は、エクソシスト中に相手の悪魔や吸血鬼を弱らせたり、祓い師の力を向上出来たり、他にもミサに参加している信仰者に幸運を授けたり…と結構特異な能力が満載だ。
『最後は…
全然天草に似てねぇし女の子云々は言わねぇよ!この聖剣は元々アーサーが所有していたものを譲り受けたんだったな。
アーサーの技量もあってか、伝説のフェンリルすら支配下に収める事に成功したのだが……
「……私はアーサーの様に伝説の魔物を支配できるような才能はないらしい。上手く発動すらしない」
この様に、一番習得に苦労しそうな聖剣なのだ。
まぁアーサーの技量がぶっ飛んでるってのも大きいだろうし、この聖剣の習得は最後になるだろうとはリアスも、ゼノヴィア本人も予想していたからな。
……そう言えばイリナの方はと言うと、天使用に量産されたという聖魔剣を使って独自の戦闘スタイルを確立させようとしている
最近じゃロスヴァイセさんに魔法を習っているらしいし、分類するならテクニックよりのウィザードタイプか?
「このままじゃ、自称剣士になってしまうわよ。ゼノヴィア」
イリナにそう言われて、ゼノヴィアは「くっ!」と呻いて膝を付いた。
だがゼノヴィア的には言われっぱなしではいられないらしく、ある一言で反撃に出た。
「…自称天使め」
あっと……それはイリナにとっては禁句だ。
そう言われるとイリナは怒ったように頬を膨らませた。
「私、天使だもん!ね、イッセー君!幼馴染のイッセー君なら、私が本当の天使だって分かってくれるよね!?」
「そういや幼馴染だったな、俺ら。たまに忘れちまうわ」
『ぶっちゃけクリスマスまで死に設定っつーか』
『たまにそのワード出てきてはまた埋もれてたと言うか』
『それな』
メタい事言うなよ!……あ、ゼノヴィアがそれを聞いて可笑しそうに笑った。
「なるほど、イリナは自称幼馴染でもあったか。そうかそうか」
あーやっちまった。ゼノヴィアにイリナをいじる新しい餌供給しちまったなこりゃ。
案の定、イリナも頬を一層膨らませて、目を潤ませていた。
「天使だもん!幼馴染だもん!!酷いもん!!!」
「やーい、自称幼馴染ぃ」
「何よ自称剣士!脳みそまで筋肉ゥッ!!」
……いやー、ドライグとドラゴンの口喧嘩並みに低レベルというか。
見た目美少女なのに中身が小学生過ぎるわ!
まぁ、そこが可愛いんだけどね。
『『アホだ』』
お前らが言うな。
ーーーー
深夜の駒王町。
兵藤邸を見つめる黒い影が一つ、少し離れた場所から眺める影が一つあった。
『……兵藤一誠』
漆黒のローブに身を包んだそれは、静かに姿を消す。
ローブの切れ端から見切れたそれは――――漆黒に染まった、ウィザードリングだった。
シスコンの季節ですなァ