ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
「そうだ、おまえ達に伝えておくことがあったんだ。ヴァーリから情報があってな」
吸血鬼についての話し合いが終わった頃、アザゼル先生が思い出したかのように俺達にこんな事を話し始めた。
「ヴァーリから?」
「あいつが世界中に足を運んで未知のものを探求しているのは知っているな?」
それは知ってる、何でもこの間は絶版になったエロゲの初版を見つけたとか言ってたな。
「いや、それ何処で見つけたんだよ」
「さぁ。所有者は表立って語るなって言ってたみたいで」
「それは気になるが……どうにも旅先で『禍の団』の連中と遭遇するらしくてな」
『禍の団』と?
「それって所謂裏切り者の処罰ってヤツですか?」
「概ねそんなところだ」
まぁアイツら、オーフィスを俺達に引き渡してから『禍の団』からも追われる身になってたし。
元々色んな派閥から睨まれてたからなぁ。
「ヴァーリが探していたのは既に滅んだとされる凶悪な魔物の類いだ。生きているかもしれないという不確かな情報をもとに探しているようだ。それで、だ。その滅んだ魔物、主にドラゴンの生息していた地に『禍の団』の構成員――――魔法使いのグループも来ていたそうだ。遭遇は一度や二度じゃないらしい」
そりゃ物騒な話だな。
でも滅んだドラゴンが生息してた地に『禍の団』か……。
「偶然じゃなさそうですね。まぁ、あいつらなら余裕で撃退できると思いますけど。……そういや、滅んだドラゴンってどんなのがいるんですか?」
「お前が知ってるかは分からんが……有名どころで言えば『
「アジ・ダハーカはゲームとかで聞いた事あるな。主にカードゲームで」
『このバカの発言はほっといて、どいつも超メジャーな邪龍だ。相当危険な奴等だった』
誰がバカだ誰が……お前がそう言うって事は、かなりヤバいんだな。
「そいつらは残虐性が高すぎて封印、退治されちまったよ。他にも北欧のニーズヘッグ、初代ベオウルフが退治したグレンデル、英雄の初代ヘラクレスが試練で倒したラードゥンは伝説の果実を守護していたドラゴンだったが退治されたな。日本だと八岐大蛇が有名だ」
ファンタジーゲームで聞く名前ばっかだな。
「こいつら邪龍に共通するのはどこまでもしぶといってところだな。ヴリトラですら、魂を幾重に刻まれて意識を封じられただろう?」
『それぐらいしないと邪龍ってのは存在を抹消できないんだ。で、邪龍の中でも筆頭格の三匹は頭一つ二つ抜けていた』
ヴリトラですら結構ヤバそうだけど……そいつらはもっとヤバいのか。
生きてなくてよかった、ホント。
「邪龍がヤバいって言われる理由は何なんだ?能力と強さか?…もしかして、二天龍より強いんじゃ」
「それは流石に現役時代の赤白の方が強いだろう」
『訴えるぞ』
分かった、俺が悪かったから左手操って太もも抓るな。痛いから。
『とは言っても、俺やアルビオンですら『邪龍』と戦うのは避けてたよ。一番厄介なのはな、何度倒しても狂ったように挑んでくるところだ。あれは執念深いとか無限コンティニューとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいものを何度かやりあって感じたぜ……』
「誰もポルナレフみたいに語れとか言ってないから。それが『邪龍』の恐ろしさか……」
「何だ一体。滅んだ『邪龍』共を語り合ってるなど、珍しいな」
そう言ったのは何時の間にやらソファに座っていた俺の使い魔こと龍王ティア。
膝上にはオーフィスがいた……俺のプレーンシュガー食べながら。
「地味に久しぶりの登場だな、ティア……」
「そう言うメタいのは受け付けんぞ。ゲフン……力があり、暴れん坊のドラゴンは例外なく滅ぼされる。お前の中の馬鹿一号が良い見本だ」
「あー」
確かに、言われてみたらドライグはアルビオンと盛大な喧嘩をしてたら三大勢力に封印されたんだったな。
『酷い事するよな、全く』
『当時の情勢を考えたら、寧ろ消されて然るべしだったんじゃないのか』
『そんなの可哀想だろう!』
自分で言うな、自分で!
「まぁ、ドライグは馬鹿だし、アルビオンは……まぁ、乙女心の暴走なんだろう。多分、きっと、メイビー」
『なぁ、俺サラッと貶された気がすんだけど』
『寧ろ直球ストレートに貶されたぞ』
「そこの馬鹿二号は実在するドラゴンであれば間違いなく『邪龍』だろう」
『おい、誰が馬鹿二号だこの色ボケ龍王』
じゃあドラゴンも封印される時は四つに魂を分裂されて神器に封印されるんだろうか。
それぞれの神器で火、水、風、土のエレメントを使えるとか?
『人を殺す算段を軽く考えるな』
「でもロマンじゃん」
『訴えるぞ』
痛い痛い、分かったから右手操って耳抓らないで。
「何は兎も角、水面下でテロ集団が何かを企んでいるようだ。また、嫌なことが起こるかもしれないと覚悟だけはしておいてくれ」
『『OK牧場』』
「お前らそんなんだから馬鹿一号二号って言われるんだぞ」
『じゃあ相棒は馬鹿三号だな!』
『寧ろ馬鹿とアホのV3か』
俺達三人トリプルお惚けライダーって喧しいわ!!
ーーーー
翌日の朝、俺は朝練を終えてシャワーを浴びようと浴室に向けて歩いていた。
「…何か、ここ数日でいろんな事が起きてるな」
『フェニックス関係者に接触する魔法使いに、フェニックス家産ではない涙の流出、吸血鬼に聖杯、白龍皇の拉麺小僧に接触する『禍の団』の構成員に魔法使い、か。全て偶然なのかねぇ』
確かに……全部この短い期間に俺達の身の回りで起こっている。
まるで運命みたいに。
「ま、考えても仕方ないか」
巻き込まれるのなら戦えばいい、元より細かい事を考えるのは苦手だしな。
そう思っていた俺の背後から、誰かが飛び付いてきた!
「うわっ!?」
「ヤッホー、赤龍帝ちん!」
「…黒歌、何してんだよ」
飛び付いてきたのは小猫ちゃんのお姉さん、黒歌。
っつーかあんまりくっ付かないでくれ!汗臭いし、何よりおっぱいの柔らかさに興奮しちまうから!
「すんすん……赤龍帝ちん汗臭いにゃん。ひょっとして今からシャワー?」
「お、おう」
「じゃあ一緒に入りましょ!」
「はぁ!?」
な、何でそうなる!?いや、確かに嬉しいのは嬉しいが!
「それに、赤龍帝ちんが私を呼んだ理由、まだ聞かされてないしぃ?だからちょうどいい機会だと思って、ね?」
「…それもそうか。分かったよ」
吸血鬼関連でごたごたしそうだしな、今の内に話しておこう。
そう思ってお互い服を脱ぐと、黒歌はちょっと恥ずかしそうに顔を染めていた。
「何だ?どうしたんだ?」
「…こうして見ると、ちょっと恥ずかしいな…って」
な、何を急にしおらしくなって……ちょっと可愛いって思っちまった。
悶々としながら頭を振ると、風呂場に入り、シャワーを浴びる。
「…でさ、話って、どういう用件なの?」
「……なぁ、黒歌」
黒歌の方を振り返ると、俺は用件を告げようと口を開こうとし――――た瞬間に、風呂場の扉が開いた。
「…イッセー様、黒歌さん?」
「れ、レイヴェル?」
…ここでレイヴェルが入って来たか。
多分気付かなかったか、入ってたとしても女性陣の誰かだと思ったんだろう。
風呂場で会うのは初めてじゃないけど……やっぱり大きいな、レイヴェルのおっぱい!
程よく実ったそれに、しっかりと女性的なラインを描く体!
いやぁ、小猫ちゃんと同年代とは思えないな……いや、小猫ちゃんとレイヴェルを比べちゃダメだな。
小猫ちゃんには小猫ちゃんの魅力があるんだ、反省しなくちゃ。
「ありゃ、白音のお友達のお嬢ちゃんが来ちゃったにゃ。どうせなら一緒にどーお?」
「で、では失礼します……」
嘘ぉ!?あの清楚なレイヴェルが黒歌に誘われたとはいえ一緒の風呂に入って来ただと!?
「さーてと、それじゃ赤龍帝ちん…」
「し、失礼します!」
し、しかも二人に背中を流される事に!これ一体どうなっているんですか!?
『あ、ありのままに起こった事を話すぜ。黒猫の娘と一緒に入る事になったらフェニックス家の娘と一緒に入る事になった……!』
だからそれはもう良いって!
背中を泡立てながら、黒歌は俺に問いかける。
「で、赤龍帝ちん。私に何を言おうとしたの?」
「も、もしかして大事なお話だったのでしょうか?で、でしたら私、出た方が……」
「いや、大丈夫だよ。……黒歌、俺の眷属にならないか?」
俺がそう言った瞬間、風呂場がシンと静まり返った。
振り返ってみればレイヴェルは驚いた顔をしており、黒歌もポカンとした顔をしていた。
「…赤龍帝ちん、それって何の冗談?何時ものジョークより、質が悪いわよ?」
「ジョークで言うかよ。俺は本気だ」
「……私がイエスって、言える立場じゃないのは知ってるでしょ」
黒歌はスポンジを下ろすと、静かに俺にそう言い返す。
「……お前がした事が許されない程の罪だってのは知ってる。けど、お前はそうせざるを得ない事を、以前の主はお前に、小猫ちゃんに強いたのは事実だ。だから、『王』に昇格した時、サーゼクス様に直訴したんだ」
「何を…直訴したのよ」
「お前の罪の減刑だ」
「!」
俺は改めて、黒歌に向き直る。
「主殺しは確かに大罪だ。けどそれと同じぐらい、悪魔の世界で約束事を破るのは重い罪でもある。……俺が主になって、お前を眷属として一定期間監視する。その間何も問題行為を働かなければ、お前を赦す。…まぁ、お前がテロ組織に加担していたことも考えると、暫くは俺の監視下でいなければならないってのはあるけど」
「……つまり、赤龍帝ちんの眷属として活動する=奉仕活動って事?」
「そうだ。…けど、お前がそれを破らずにいれば、小猫ちゃんとも表立って一緒に行動できる」
「!」
小猫ちゃん、その一言に黒歌は目を見開く。
「…まぁ、これは俺の自己満足みたいなもんだ。それを受けるか受けないかはお前の自由だ」
「……一つ、聞いても良い?」
「ん?」
「何で、そこまでするの?……アンタは、私たち姉妹とは関係ないのに、どうしてそこまでして他人の為に動くの?」
……どうして、か。
「別に大した理由じゃないさ。……ただ、ちゃんと面と向かって小猫ちゃんと過ごしてほしい、ってだけだよ。今まで離れてた分な」
「…随分無茶な注文ね」
「今だってしてる事だろ?それまで離れてた事を考えたらそれも罪滅ぼしだ。それに小猫ちゃんには、もう泣いてほしくない……それはお前だってそうだろ?」
「……私も、小猫さんの友人として、小猫さんには笑顔でいてほしいです。でも、それには黒歌さんにも、笑顔でいてほしい…そう思いますし、小猫さんだってそう思ってる筈ですわ。――――姉妹一緒でいるなら、笑顔でいませんと」
それまで黙っていたレイヴェルも、黒歌に自分の胸の内を語る。
黒歌は俯いていたが、やがておずおずと顔を上げた。
「…ちょっと、考えさせて」
「あぁ。良いぜ」
「…でも、ありがと」
黒歌はそう言うと、シャワーを浴びて出て行った。
「…レイヴェル、ゴメンな」
「イッセー様が謝る事ではありませんわ。私はただ思っていた事を言っただけですから」
レイヴェルは静かに微笑む……やっぱ、レイヴェルは頼りになるな。
「レイヴェルが眷属だったら、大助かりだな」
「……イッセー様にとって、私は迷惑ではないのですか?」
「んな訳あるかよ。……レイヴェルには助けられてるからな」
「で、では!」
レイヴェルは意を決したように――――俺の背中に抱き着いてきた!
「れ、レイヴェル!?」
「…私を、イッセー様の眷属として、一生傍に置いてほしいと、言ったら……ご迷惑でしょうか?」
「……」
レイヴェルは顔を真っ赤にしながらも、目は真剣な光を帯びて俺に問いかけてくる。
「……迷惑じゃ、ないよ」
「!」
「まだまだ未熟な『王』で良いなら、けどな」
俺は苦笑いしながら、レイヴェルの顔を見ながらそう言う。
その言葉を受けて、レイヴェルは早口で捲くし立てる。
「わ、私はそんなイッセー様だからこそ、グレイフィア様達と共に支えていきたいと思っていますわ!!だ、だから、私を……」
レイヴェルは意を決したように、俺へと顔を近付けてくる――――と、
ザパーン!!
「我、参上」
浴槽に潜水していたらしいオーフィスが、ゴジラ宜しく急に浮上してきた。
「……何時からいたんだよ」
俺はそう突っ込むしかなかった。
結局レイヴェルスカウトの件は有耶無耶になり、三人で仲良く湯船につかる事にした。
……オーフィスの服が見当たらなかったけど、何でだろうな?
『全裸で来たからだろ』
何であけすけに言うかなお前は!?
関西圏は相変わらずジオウが遅れております……ビデオパスで見れるから良いんですけどね。