ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
……腹筋崩壊太郎、復活しないですかねぇ
リアスが日本を発って幾日かが経過した――――俺達はと言うと、リアス達からの吉報を待ちながら何時もと変わらぬ学園生活を送っていた。
…ルーマニアには無事到着したと聞いてはいるけど、人里離れた山奥とあってか、そこまで移動するのに中々骨を折っているのだとか。
転移使えよと思うけど、許可取ったとはいえそんな真似したら一気に怪しまれるしなぁ……地道に進んでいると言う訳です。
「なぁに小難しい顔してんだよ」
そんな思案に耽っていた俺の頭を小突くのは、悪友の松田。
今は…そうだ。体育だからグラウンドに向かってるところだったな。
因みにジャージ着用だ。悪魔の身とは言え、寒いからね。
「体育は最近だとイッセーの独壇場になるからな。対抗できるのは立神ぐらいだけど、私用で暫く来れないらしいし」
「あぁ。チームを組むなら良いけど、相手にいるとイヤになるんだよな」
松田に続いて元浜もそう嘆息しながらも同意した。
……以前から鍛えてたのと、悪魔になってからの激闘を考えても、俺の基礎体力は此奴等じゃ何も出来ないぐらいに向上してるからな。
これでも結構手加減してるし、何なら日常生活でも極力力まないように気を付けてる身だし…とは言うけど、結局体育は俺の独壇場になる。
『特にサッカーとかな。プロの選手でもお前に適わないんじゃないか?』
バーカ。授業でしか最近じゃ触れてないのに、毎日練習してるプロの選手だと技量で負けるわ。
体力だけが全てじゃないんだぜ、サッカーって。
『だがお前の場合、力技で何とかゴリ押せそうだし』
……否定できない自分がいて酷く情けない。
とまぁこんだけ能力が人間離れしちゃった以上、イヤでも自分が異形の存在だって言うのは自覚させられるのは、複雑な気分だ。
……俺、ちゃんとこいつ等と一生友達でいれるのかな。
何てナイーブな思考回路になりつつもグラウンドが近づいてきた頃、松田が不意に口にする。
「そういえばさ、中学時代に田岡っていたろ?」
「あー、女子の体毛に妙に熱かった奴だ。マニアックだったな」
俺の言った通り、その田岡君は女性に生えてる毛についてかなり早口で語りまくってた男子だったんだ。
かなり濃い趣味してるから、未だに覚えてる……俺にはまだ理解が出来ん世界だけど。
「あいつの兄ちゃんがさ、今度独立して店を持つんだって。でな、一緒に店を立ち上げた仲間が学生時代から仲が良かったマネージャーなんだって」
「ほぉ、女子マネージャーと共に店を立ち上げた…と。男と女の関係も見え隠れしてしまいますなぁ」
「エロゲ脳か」
俺も含めて、だけど。
「まぁ、それは分からないけどよ。学生時代からずーっと支えてもらっていたんだとさ。で、学生の頃から『いつか店をもって独立するから、付いて来てほしい』って口説いてたんだと。そのマネージャーは敏腕で、他の奴等からも色々誘われてたんだけど、田岡の兄ちゃんと一番信頼関係が厚かったからか、付いて行くことに決めたんだってさ」
「ロマンだな。でもいい話じゃん」
……俺にとっちゃ、レイヴェルが俺の企業に付き合ってくれる、みたいなもんか。
『最終的に決めるのは相棒自身だ。あの小娘も、それは分かってるだろうよ』
まぁ、それは分かってるけどよ…………でも、レイヴェルといると、心が安らぐって言うのも嘘じゃない。
俺の行く道に、ずっと付いて来てくれるなら心強いったららないよ……うん、良いよな。
何て当たり障りのない日常の一コマだったが――――そう言うのに限って、脆くも崩れ去るって言うのを、改めて知る事になった。
『相棒』
あぁ、分かってる……招かざるお客さんのご登場だな。
「…おい、見ろよ。コスプレしてる奴がいるぜ?」
松田が指差しした方向には――――フードを被った連中が、こちらへと手を突き出していた。
狙いは…………俺だな。
「松田、元浜……校舎の物陰でも良い、隠れてろ」
「え?」
「ど、どうしたんだよイッセー。そんな怖い顔して……ぇ?」
《スリープ・プリーズ》
事情を呑み込めていない二人を眠らせると、ガルーダ達に物影へと運ばせる。
周りに人影がいないのを確認して、俺は人のいない場所へと駆け出す!
「仲間を庇うか、赤龍帝!」
「ハハッ! 甘っちょろいんだな!」
「だが、協会が出した若手悪魔のランクではもう若手の域を超えていた!破格なんてものじゃないぜ!」
どうやら連中は俺一人が狙いだったらしく、追って来てくれたが……協会?
あいつ等の格好を見れば魔法使いの総本山の協会だろうけど、あのメフィストさんがこんな事をするのは可笑しいし、何より自分に不利益になる。
となると…………例のはぐれ魔法使いか!
ザっと、俺は人気のない構内の敷地で連中と対峙するが…腑に落ちない事がある。
「お前ら、どうやってこの一帯に入り込んだ?」
俺は確認の意を込めて連中に尋ねる……答えは返ってこないだろうけどな。
この領土一帯は三大勢力の同盟圏内で、頑丈な結界も張られている。
身分や素性をばらせば絶対に跳ね除けられるこいつ等が、何でこの場所に……?
『内通者か』
…まさか、敵方のスパイがいるのか?!
「おいおい、さっきから黙りこくっちゃって。俺達はアンタの常識外れのパワーと胡散臭い魔法に挑戦しに来たってのに」
「…ハッ、胡散臭いのはお前らだろ?鏡でも見ろよ」
「何ッ!?」
「乗るな!…安い挑発だな、噂通りの口達者ぶりなご様子で。……ま、挑戦しに来たのは嘘じゃないけど、他にも理由はあるのさ」
一人が指を鳴らすのと同時に周囲に結界が張られ――――新校舎から爆音が響いた!
……待て、確かフェニックス家に干渉する魔法使いがいて、更には白昼堂々と攻めて来た――――ッ!?
「…レイヴェルかッ!」
「イグザクトリー」
「そう言う訳で、あんたは俺達の相手でもしてくれよなッ!!」
そう言うや否や、連中は俺へと魔法攻撃を繰り出す――――――――相手、だと?
俺は拳を横薙ぎにして、迫ってきた攻撃全てをかき消した。
「…良いぜ。やってやるよ」
「へッ、そうこなくちゃッ………!!!」
俺はまず一人目の懐に潜り込むと、遠慮なく拳打を浴びせる。
そいつは木々をへし折る勢い良く叩きつけられ、ピクリとも動かなくなった。
暫くは起き上がれないだろう――――先ずは、一人目。
「……は?」
「…順番を決めろ。誰から先に――――やられるのかをなッ!」
まぁ、そんな暇を与えたりしないけどな。
呆気に取られて攻撃の姿勢に移るのにもたついていた二人目の奴に狙いを定め、腹部にドラゴンショットを押し当てる!
「
「――――!!」
声にならない悲鳴を上げながら、二人目の男は勢い良く地面をバウンドして、倒れ伏した。
内臓と骨が潰れてるから、起き上がれはしないだろう。
「な、何だよその力はッ!?明らかに協会のランク付け以上の力が……」
「知識ってのは、実戦じゃなきゃ身に付かない時もある……その身で味合わせてやるよ。――――爆裂の龍波動ッ!!」
その場から動かず、最後の一人に向けてドラゴンショットを投げ飛ばす。
我に返ったそいつは防御しようと魔方陣を展開させるが――――それは悪手だ。
ドドドドドドドドォォンッ!!!
連鎖する爆音がそいつ諸共魔方陣を包み込んで唸りを上げた。
煙が晴れると、焦げ焦げになった男が地に伏していた。
「次からはもっと倍の人数で来るんだな」
俺は特に一瞥する事もなくそう告げ、新校舎の方へと駆け出した。
ーーーー
「ッ、遅かったか……!」
教室前の廊下。
激しく破壊され、廊下の窓側がぶち抜かれていて、外が丸々一望できるように変わり果てていた。
外気が容赦なく吹き込んでくる。
ここに来るまでも校舎のいくつかの場所が破壊されているのを確認できた。
窓際が大きく消し飛び、校庭にも穴が空いていた……。
『相棒、あの三人がいないぞ』
…そうだ、小猫ちゃん達は!?
辺りのオーラを探ってみるが、まるで気配を感じない……ここにはいないのか?
釈然としないながらも、俺は廊下に座り込んでいた一年生の子に歩み寄り、話しかける。
「大丈夫か?」
その子は世にも恐ろし気な体験をしたかのように体を強張らせていた。……当たり前だ、こんな非日常とは縁遠い普通の子に、この状況が受け入れられるわけがない。
巻き込まれるべきじゃないのに……ッ!
俺が無意識に拳を震わせていると、女の子はまだ呆然としながらも、ぼそりと呟いた。
「…変な人達に、捕まって……小猫さんとギャスパー君とレイヴェルさんが、私を助けるために………」
――――小猫ちゃん、ギャスパー、レイヴェルッ!
「小猫ちゃん達、魔法使いみたいな格好をした人達に光に包まれて、急に消えたんです!」
教室の扉から廊下の様子を伺っていた生徒たちが、俺にそう伝えてくれた。
……人質を取られて、連行されたってのかっ!!
俺は無力さから歯噛みする…………守るって、誓ったのに、あの時と同じだ。
…………いや、怒るのは良いけど、ここで自己嫌悪に浸ってても仕方ない。
俺はやり場のない怒りを内心で滾らせながらも、何とか冷静になろうと息を吐く。
「あの、小猫さん達は……大丈夫、なんですか……?私のせいで、こんなっ……」
「…大丈夫。小猫ちゃん達は絶対に助ける」
俺はその子を安心させるように、そして自分に言い聞かせるようにそう告げる。
ドラゴタイマーはどうしたってツッコミは無しで。
外道でも彼等は人間ですので、まぁメタな理由としては展開の都合上と言う事でご理解していただければ幸いです。
ドライグ『まぁ使ってたら使ってたで間に合いそうなのに目の前で連れ去られるっていう最悪な展開になるだろうしな』
ドラゴン『この馬鹿はまた拗らせるぞ』