ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
「おらっ!!」
開戦早々俺達へ向けられた攻撃を拳で弾くと、俺は足に力を込めて駆け出す。
「なっ、鎧も纏ってないのに何てスピードだッ!?」
「くそ、さっさと迎撃を――――ゴフッ!?」
驚く奴と迎撃しようとする奴で分かれる中、俺は迎撃しようとした奴に狙いを定めて拳と蹴りで沈めていく。
はぐれ魔法使いの集団が瓦解し始めるのも、恐らくは時間の問題だろう。
「はっ!!」
『ガルルッ!!』
『ガゥ!!』
グレイフィアの攻撃が魔法攻撃ごと奴等を飲み込んで爆発したかと思えば、ハティとスコルが防御の構えを取っていた集団に突撃し、容赦なく牙と爪を突き立てていく。
神をも滅ぼすフェンリルの牙――――弱体化して力が落ちているとはいえ、その力は凄まじく、防御魔方陣をまるで紙を引き裂くように何事もなく突破していく。
はぐれ魔法使いが次々と鮮血を散らせて倒れていく中、二匹は猛然と駆けて行く。
「確かに実力はあるようだが……粗が多すぎる。もう一度基礎からやり直せ」
龍王ティアは指パッチンで複数の魔法術式を解除し、更に展開していた魔方陣から自分の攻撃を送り込み、連中を束にして倒していく……一人強さの次元違くね?
なんて思いつつ雑魚掃討と変わらない事をしているが……流石に人数多すぎねぇか?
「死ねぇッ!!」
「冗談だってのッ!?」
炎熱の刃を砕いて、ドラゴンショットを直接叩き込む。
別の集団に吹っ飛び、隊列が崩れたところに再びドラゴンショットを叩き込み、爆発させる!
『随分多いな』
『これだけ集まっても雑魚には変わらんだろう』
けど、油断は禁物だ。
何処に伏兵を潜ませてるか分からないからな――――と思っていると、魔法使いの後方から黒い影が飛び出してきた!
「ッ!……お前はっ」
『お前が噂の、指輪の魔法使いか』
そう至近距離で聞いてくるのは、大剣を俺に振りかざす幽鬼のような異形の剣士――――いや、この魔力は……ファントムか!
「何でファントムがここに!?」
『なに、人間達の首魁に頼まれたまで。それに……人を斬れば斬るだけ、俺の剣は至高のものになっていく』
「ほざけっ!」
俺は足を使ってファントムから距離を取るが、奴は周りの魔法使いを気にせずに魔力で太くした刀身を振り回した。
『俺の剣の、錆となれ』
「…はぐれの連中もお構いなしかっ!」
魔力の刃に触れて消滅する魔法使いに一瞥すらせず、ファントムは俺に剣を突き立てていく!
俺もアスカロンを籠手から出し、奴と切り結ぶ!
『こいつ、強い…ッ!』
『呵々、中々の手前。お前の血肉と命――――貰い受けるぞ』
「ッ!!」
大剣らしからぬ高速突きを弾いたかと思うと、ファントムは大剣を分割させ、細身の双剣にして此方へと再び斬りかかる!
『迎撃は――――間に合わないかっ!』
迎撃を諦め、防御に徹しようとした俺の後方から――――新たな参入者が現れ、ファントムを斬り飛ばした!
見覚えのある波動を放つ剣を方で担ぎ上げた参入者は、俺へと振り向いた。
「ふぅ、ギリギリセーフだな」
「…中々カッコいい登場じゃねーか、ゼノヴィア」
参入者の正体は、ゼノヴィアだった……って、ゼノヴィアがここにいるって事は。
「イッセー、会長から預かってる通信機だ」
「…レーティングゲームの時に使ったやつか」
俺はそれを受け取って耳に入れると、ソーナ先輩から通信が入った。
『イッセー君、ご無事ですか』
「はい、まだ生きてますよ」
『軽口を叩けると言う事は、まだ戦えますね』
勿論ですよ……と、戦場を改めて素早く見渡すと、匙にシトリー眷属の『騎士』巡さんが突撃していっていた。
『噂の聖剣使いの悪魔か……』
「む、そう言えばお前もいたのだったな。ファントム」
『お前の命も斬らせてもらおうか』
ファントムは手にした双剣……今度は曲がりくねった曲刀を振りかぶり無数の光波をとばしてくる!
だがその寸前で、割り込んできたのは『戦車』の由良さん!
「広がれ、我が盾――――『
由良さんの言葉に応えるように盾から輝きが広がり――――巨大な光の盾となって、ファントムの攻撃を全て防いだ!
『何かどっかで見た事あるなこれ』
『あれだ、ロード・キャメ…』
「言うな」
怒られるぞ。
『ほぉ、全て防いだか。良い盾だ』
「スゲェなそれ。神器か?」
「あぁ。アザゼル先生からいただいたものだ」
先生から?……って事はこれ。
『えぇ、イッセー君の思ってる通り、これはアザゼル先生が開発した人工神器です。――――効力は精霊と契約し、それを盾に宿らせる事が出来る盾です』
『精霊……つまり宿らせる精霊によって能力が変わる盾か』
『はい』
防御の盾と『戦車』はベストマッチだし、何より盾自体も堅牢そうだしな。
特製とか見合ってるから想定以上の防御力が得られそうだ。
「けど兵藤の一撃には耐えられんだろうな」
「俺サイラオーグさんみたいなパワーを普段から出せる訳じゃねーぞ……っと、今はファントムだな」
「「あぁ」」
改めて俺達はファントムへと向き直る……が、当のファントムは剣を背中に背負って、魔方陣を自分の足元に展開させた。
『すまぬな、お前達の命は今度斬らせてもらう。呼び出しを喰らった故に』
「何……?」
『赤龍帝、聖剣使い、そしてそこな盾使い――――中々粒が揃っている。呵々、次に会えた時が楽しみだ。……我が名はベルセルク。以後、お見知りおきを』
ファントム――――ベルセルクは転移する寸前、ゲートであった人間の姿に戻り、不気味な笑みを見せる。
その顔は――――天城カイトに非常に似通っていた。。
「呼び出しって…いや、今はあのファントムよりこの戦いを制そう」
「そうだな。気になる所ではあるけど――――先輩、俺は何をすればいいですか?」
『そうですね。では――――』
会長の指示を受けて、俺は戦場へと再び戻っていく。
「兵藤!」
俺は宙を飛びながら、黒炎の牢獄に魔法使いを閉じ込めていた匙の元の急降下する。
『ほぉ、連中の魔法力を吸収してるのか』
「待たせた!」
「そんなに待ってないって!早速だけど頼むぜ!」
「おっしゃ!」
俺は群がる魔法使いの連中をドラゴンショットで吹き飛ばしながら匙が伸ばしていたラインを掴む。
ラインは魔法使い共とロスヴァイセさんを繋いでおり、吸い上げた魔法力がロスヴァイセさんに流れ売って仕組みだ。
そこへ――――力を譲渡する!
《Transfer!!》
譲渡した瞬間、繋がっていた複数のラインが大きく脈動し、先程以上に魔法力が吸い上げられ、ロスヴァイセさんに流れていく!
魔法力を吸い上げられた魔法使いたちは次々と昏倒していく……敵の無力化と味方の強化を同時に行ったって寸法だ。
リアス――――次にソーナ先輩と戦う時は、もっとうまく搦手を使わなきゃ駄目みたいだぜ。
俺はソーナ先輩の戦術に舌を巻きつつ、俺は匙と背中を合わせる。
「随分腕を上げてんじゃねーか」
「…お前に言われるとなんか嫌味にも聞こえるな」
「嫌味じゃねーよ」
「分かってるって」
そう軽口をたたき合っていると――――連中は何故か降参と言わんばかりに手を上にあげた。
突然の事に、俺達は疑問に包まれる。
「……リーダーからのお達しでな。お前達を通せって」
「何?…どういうつもりだ」
「どうだも何も、俺達の負けって事だ。さぁ行けよ……けど、赤龍帝、ヴリトラ、デュランダル使い、雷光の巫女、癒しの聖女、ヴァルキリー、ミカエルのA、赤龍帝の『女王』、ティアマット、あんた達は確実に来いってさ」
連中の視線の先には、転移用の魔方陣が現れていた。
「…会長、どうします?」
「……裏はあるでしょうが、行きましょう。私達の目的は、塔城さん達の救出ですから」
会長はそう言うと、通信用の魔方陣を展開させる。
「ここにいる魔法使いの一団は捕らえます。上で待機している方々を呼びますので」
「な、俺達も捕まえるのかよ!?ただの冗談だろ!?『禍の団』の術者だけで――――ッ!?」
俺はそんなふざけた事を抜かす魔法使いの一人を――――殴った。
「…冗談だと?お前らからすればゲーム感覚で襲撃したんだろうけどな、それに巻き込まれた一般人はどうなる?これからもこの恐怖が消えるまで怯えなきゃいけない、そんな力のない生徒達を絶望に晒して冗談……?ガキみてぇな理屈こねるのも大概にしろ…ッ!!」
俺は呆然とするそいつを睨み付けると、先に進むために背を向ける。
やっぱ俺って、バカだな……。
大分端折りました、許してつかぁさい。
ベルセルク
大剣を扱うファントム。
普段は各地を放浪しながらゲート以外の人間や強者を、「強くなるため」に斬り殺す、他のファントムとは少し血色の違うタイプ。
それ故にゲートを絶望させる事は面倒だと言ってそちらに関してはメデューサやガルム達に丸投げしている。が、別に絶望させたくないというわけではないので、その方がより自分が高みに目指すのに近くなるのであれば嬉々として行う、根っこの部分は他のファントムと変わらない外道であり、幼子と言った弱者を斬るのも平然と行う。
人間としての姿は、天城カイトに似通った青年。