ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
「アーシアが安心してお嫁に行けねぇんだよぉ―――!!!!」
《Welsh Dragon Balance Breaker!!!!》
俺の雄叫びに応えるかのように鎧が装着され、力強いオーラが放出される。
そのオーラを見てか、グレンデルはにんまりと笑みを深める。
『ハハッ! ちびっ子ぃ癖にしちゃ中々のオーラの強さじゃねーか!! こいつは想像以上に楽しめそうだぜぇぇ!!』
『相棒、奴と――――邪龍と戦う時は微塵も情けをかけるな。容赦なく殲滅しろ』
そ、そこまでなのか?
『それだけ厄介でしつこいんだよ、邪龍と言うのはな』
『言うじゃねぇかよ、ドライグちゃんよぉ。天龍なんて煽てられて天狗になってると思ってたが――――気が変わったぜ。テメェは一対一でぶっ潰す。手ぇ出すなよ』
「…良いでしょう」
了承して、ローブの男は後方へと下がる。
一対一か……俺は皆の方を振り返る。
「今、この場においての最大戦力はイッセー様です。ただし、危険と判断すれば即座に介入します。宜しいですね?」
「あぁ。…ソーナ先輩は、それでも良いですか?」
「…グレイフィア様の仰る通り、この場であの邪龍と張り合えそうなのはイッセー君と、ティアマットさんです。……ティアマットさんは、宜しいのですか?」
「あぁ」
ティアは俺に近付くと、鎧を軽く小突いた。
「向こうがタイマンを挑んできてる以上、私が介入するつもりはない。だがグレイフィアの言う通り、危険であれば直ぐに介入させてもらう。……存分にやってこい」
「…分かった。無様な負けっぷりは、見せないようにするよ」
俺は軽く笑うと、改めてグレンデルと向き合う。
「そんじゃま、ご指名通りにタイマンと洒落こもうぜ。――――邪龍さんよぉ!!!」
《Welsh Dragon Absolution Breaker!!!!!》
俺は極手を発動、先程よりも強い力を感じながら、一気にグレンデルへと突っ込む!
『おほっ! 良いじゃねぇかよォォッ!! ドラゴンの喧嘩ってのは、真正面からの殴り合いにかぎるからよォォォッ!!!!』
「ォォオオオオオッ!!!!」
俺の拳とグレンデルの拳がぶつかり合い、空間を震わせる!
体格の差で圧し負けた俺だけど、直ぐに気持ちを切り替えて懐へと飛び込む!!
《Wizard Promotion!! Land Dragon!!!!!》
「くらえぇぇっ!!!」
ドゴンッ!!!!!
けたたましい打撃音を響かせつつ、グレンデルは仰け反りながらも持ちこたえた。
『――――随分けったいなパワーアップだな、おい。ドライグ、これテメェの力じゃねぇな?』
『…だとしたら?』
『……良いね、良いねイイね良いじゃねぇかァ!!!! ちんけな人間に宿ってるから前よりは大した事ねぇと思っていたが――――良い意味で悉く期待を裏切ってくれるじゃんよォォォォオッ!!!!』
グレンデルは哄笑を上げながら息を大きく吸い込み――――ドラゴンの十八番、巨大な火炎弾を吐き出した!
「火には火……じゃなくて水!だな!!」
《Wizard Promotion!! Water Dragon!!!!!》
俺は各砲門に魔力をチャージ、そしてそれをイメージにより――――水流に変化させる。
「ファイナルレスキューッ!!!」
《Full Blast Burst!!!》
凄まじい勢いで放たれた水流は火炎弾と激突し、消火しながら一直線にグレンデルへと向かう!
『しゃらくせぇっ!!』
グレンデルは翼をはためかせて水流をかき消すと、図体に合わないスピードでこちらへと向かってくる!
「何つースピードだ!?」
『簡単に潰れてくれるんじゃねーぜ、ドライグちゃんよぉッ!!!』
グレンデルは笑いながら眼下にいる俺へと容赦なく拳を振り下ろしてくる!
《Wizard Promotion!! Hurricane Dragon!!!!!》
『ッ!?』
拳が迫る直前に魔龍進化を発動し、グレンデルの眼下から消える!
『相棒、奴の鱗の硬さは邪龍の中でも指折り付きだ。この形態ではダメージソースにならんぞ』
「だったら!」
《Wizard Promotion!! Land Dragon!!!!!》
俺は空中でフォームチェンジ、グレンデルが気付くよりも早くに俺に掛かる重力を倍加させ落下する!
《Maximum Solid Break!!!!!》
「ラァァァァァアッ!!!!」
『――――ッ!?』
落下スピードに加えての重力負荷も乗った拳の一撃を食らい、グレンデルは地に叩き伏せられる!
この空間そのものを揺らしながら倒れ伏すグレンデルはしかし――――何事もなく立ち上がった!
『ヒャーハハハハハッ!!!! 今のは中々効いたぜ小僧、ドライグ!!! それにしても面白れぇ力だ! 次に何が出てくるか全く分からねぇ、だが――――滅茶苦茶滾って来るぜぇぇぇ!!!』
っ、今の一撃でも奴の闘争本能を更に煽っただけかよ……こいつ、タフとかそういう次元じゃねぇ!
『奴は元々あんなのだ。頭のネジが一本もハマっちゃいない、ダメージを受けるのすら楽しむイカれたドラゴンだ』
「だからってぶっ飛びすぎだろっ!?」
戦慄すら覚える俺を余所に、グレンデルは嬉々としてこちらへ突貫してくる!
『ヒャーッハァァァァァアッ!!!!』
「くそったれぇ…っ!!」
巨体に似合わぬ敏捷性を見せながら拳打や蹴打を放つグレンデル。
しかもその隙を縫うように尻尾をファンネルみたいに縦横無尽にしならせて突っ込ませてくるから、まるで油断できない!
「ドライグ、あれをやるぞ!」
『応っ!!』
俺は拳を天に掲げ、希望への詠唱を紡ぐ!
「『――――我ら、目覚めるは、覇の理を超越せし赤龍帝なり!! 赤き不滅の力と決して折れぬ信念抱き、天道を征く!! 我ら、古からの力と信念受け継ぎし龍の戦士となりて!! 汝の絶望を払い、永久の希望となる事を誓おうーーーー!!!!!』」
《Infinity Hope Dragon Evolution Drive!!!!!!!!!!》
俺達の身を包むダイヤモンドの如き殻を破り、銀と水色の戦士となる!
『ハッハァ! 今度は水色に銀か!! 随分と他の色に染まるもんだな、ドライグちゃんよぉ!!!』
『「赤以外の色と言うのも悪くないもんだぞ、案外――――なッ!!!」』
笑い声をあげるグレンデルに構わず、ドライグは挨拶代わりに一発グレンデルの顔面に打ち込んだ!
『グッ……ヒャハハハハァ!!! さっきよりも断ッ然強くなってやがる!!! テメェ等コンビ、いや…トリオは何処まで楽しませてくれんだ!!?』
「『生憎だが、お前を楽しませるつもりはないし――――お前の楽しみもここで終わらせるッ!!!』」
俺は翼を展開させ、一瞬でグレンデルへと肉薄し、一発叩き込む!
『ゲハッ!!』
「『まだまだァ!!』」
グレンデルが俺の姿を捉える前に移動、一撃叩き込み、また移動!
曹操との戦いでも見せた、質量を持った残像攻撃だ!
「『オォォォォォォォオッ!!!!』」
『ちょこまかちょかま、鬱陶しいってんだよォォ!!!』
グレンデルは蚊を追い払うように剛腕や尻尾を振るうも、それは俺の残像を悉く霧散させるだけに終わる。
《Infinity Boost Charge up!! B----------------------oost!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》
『残像諸共燃えちまいなァァァアッ!!!』
まどろっこしく感じたグレンデルは、先程より広範囲に広がる火炎放射を放つ!
『「どうする相棒!!」』
決まってる――――このまま突っ込むぞ!!!
舐めるように襲ってくる熱量に鎧は焦げ焦げになってなりながらも再生され、遂にグレンデルの眼前へと辿り着いた!
『マジかよ!! お前、最っ高じゃねーかァァ!!! そういう馬鹿は、俺ァ大好きなんだよォォォォ!!!!』
「『だったら喜んで受け取りやがれ、龍拳!!!!!』」
籠手に宿るアスカロンの力も含めて倍加させた、全身全霊の力を叩き込む!!!!
ドゴォォォォオンッ!!!!
フィールドをつんざくほどの轟音が響き渡り、グレンデルは青い血反吐を吐きながら再び地に伏せる!
ドシン、と音を立ててフィールド全体を揺らす中、俺は肩で息をする。
「『ハァ、ハァ……鎧がなかったら消し炭だったぜ』」
『……グハハァ』
「『!?』」
小さく聞こえたその笑い声に、俺はギョッとする。
まさか――――そう思う俺の眼前で、グレンデルはゆっくりと立ち上がったのだ。
さっきよりも息は荒くなっており、吐き出した血反吐も多いのに……まるでダメージが通っているように見えないっ!
『いてぇな!! 最高にいてぇ!!! けど良いパンチじゃねーか!! まさか一瞬でも意識が飛んじまうとはよッ!! グハハハハハ、ヒャーハハハハハァ!!!!! これだよ、この痛みだ!! 痛みを味わえば味わうほど、生きてるって実感を俺にくれやがるっ!! さぁーて、こっからが本当の殺し合いだッ!! 俺とテメェ、どっちが木っ端微塵になっておっ死ぬか、勝負と行こうじゃねーかァァァァァ!!!!!!』
何だ此奴……何なんだよ、此奴は!?
『「今の一撃を受けて尚嬉々として立ち上がるってのか……!? イカれた野郎めっ!!」』
ドライグすら僅かに語尾を震わせて嫌悪の言葉を吐き捨てた。
それに構わずグレンデルはにんまりと笑むと、腹部を含ませる!
「『っ!!』」
『でもなぁ、その前に予定変更だッ!! テメェ等全員ぶっ殺死決定ィィイッ!!!!』
だが目の前の邪龍は俺ではなく――――俺の仲間達へと火炎弾を複数吐き出した!!
「『テメェ!!』」
「…やはりこうなったか。全員、散会しろっ! 距離を取りつつ、遠慮せずに攻め立てろッ!!」
ティアはまるで落ち着き払ったように全員に指示を出し、ドラゴン形態になって火炎弾を魔法攻撃で相殺させていく!
「行きなさいっ!!」
「――――フルバーストッ!!」
ティアの攻撃が奴の火炎弾を相殺したのを見越して、朱乃さんの雷光龍とロスヴァイセさんの魔法攻撃のフルバーストがグレンデルの身体に突き刺さるように命中する!
「――――匙!」
「了解です!」
ソーナ先輩が操る水によって全身水浸しになったグレンデルを、匙の黒炎が縛り上げる!
そこへ朱乃さんが放った雷光龍がグレンデルに食らいつき、奴の肉体を焼き焦がしていく!
『ファーブニル、合わせろッ!!』
『了解。アーシアたん、守る』
ティアが地面に手を付くと、グレンデルの足元から大規模な火柱が立ち、グレンデルの肉体を更に焼き尽くし、ファーブニルが目を光らせると、火柱から金色のオーラが立ち込め、瞬間――――大爆発がグレンデルと周囲を覆った!
龍王同士のコンビネーションに悔しくも、胸が熱くなった!
ちゃんと報酬分の仕事をするファーブニルに、此奴にならアーシアを任せても大丈夫か、なんて一瞬でも考えてしまったのが更に悔しいけどな!!
「「最後は――――私達だ!!」」
声のした方を向けば、ゼノヴィアとイリナが二人で莫大な光剣を握り締めていた。
『「量産型の聖魔剣とデュランダルを共鳴させているのか」』
周囲の空気を焼き焦がすほどの熱量を誇る光の剣を、勢いよく振り下ろし、黒い煙を上げるグレンデルを容赦なくぶっ飛ばした!
あの力と剣速……破壊と天閃のエクスカリバーの力も相乗させてるのか、けどすげー規模だな。
って言うかそれよりもだ!
「『テメェ、そっちからタイマン仕掛けて来た癖に何で仲間に攻撃しやがったんだ!?』」
グレンデルは俺の問いに、血を吐き捨ててから大きな口元を厭味ったらしく吊り上げる。
『ハハ、わりぃわりぃ。俺ぁぶっ殺すのが好きだからよぉ。ああやって適度に殺しを入れておかねぇとテンション維持が出来ねぇんだよ。けど失敗しちまった。ゲハハ、テメェの仲間も結構強いじゃねーか!! しかも俺の不意打ちにも対応しやがった! まるで俺がこうするのを予想してたみたいじゃんよぉ、ティアマットちゃん?』
『ドライグ以上に頭の狂ったお前の言葉を真に受けるドラゴンがいると思うか? こうなるだろうと予め予想は立てていたさ』
『ゲハハァ、良い冴えっぷりだなオイ! それでこそ……ぶっ潰し甲斐があるってもんだぜっ!!!』
この野郎、何処まで狂ってやがんだ…!
『さぁーて、第二ラウンドと行こうじゃねーか、赤龍帝……いや! 光の龍帝ちゃんよォォ!!!』
「『――――ッ!?』」
グレンデルは哄笑を上げて翼を広げると、俺に向かって飛び立とうとしたが――――奴の体の動きが、不意に止まった。
原因はよく見なくとも分かる。奴の足を黒い影のようなものが包み込んでいたせいだろう。
『…あの吸血鬼の小僧と同じ力を感じる』
「『まさか……』」
ドラゴンの指摘にハッとなって、闇の根源に目を向けるとそこには――――
「『ギャスパー……!』」
周囲に不気味な闇を生じさせるギャスパーの姿があった。
ギャスパー本人の意識はないのか、全身に力が入っておらず、その赤い双眸が妖しく輝いているだけで、まるで人形のようにも見える。
『「あれがあの小僧の隠された力か……」』
ドライグ、お前はどう思う?
『「…過去に吸血鬼に相対した事のある赤龍帝はいたが……あれほど異質な力を持ってはいなかったはずだ。あれは――――次元の違う、化け物の類だろう」』
「『化け物……』」
そうこうしてる内に、ギャスパーから広がる闇は、この空間すら飲み込もうとしていた。
が、全員が言葉すら出せない状況の中で嬉々とする者がいた。
『…あんだ、そりゃ。あれもやって良いのか……良いんだよな!? こんな闇を操る奴は過去にもいやしなかった! 出鱈目に強いクソガキが沢山じゃねぇか!! 良い時代に蘇れたもんだぜっ!!』
こいつ、まだ戦おうとして……!? 俺はギャスパーを庇おうと動き出す前に、それに待ったをかけるかのように、
《チェイン・ナウ》
漆黒のウィザードが発動した縛る魔法によってグレンデルの動きが止められた。
「――――グレンデル、そこまでです」
『あぁっ!?』
「実験は成功、と言えるでしょう。本来ならば木場祐斗もここにいればより良い調査が出来たのですが、十分です」
『何だ何だ何だァ!! せっかく気分がノッて来たってのに止めんじゃねーよッ!! こっからが! ぶっ殺しってやつだッ!! ぶっ潰し合いをさせやがれってんだッ!!!!』
グレンデルは俺達のみならず、ウィザードにも敵意をむき出しにして吠える。
が、ウィザードはそれに応じる事なく、冷たくこう言い放った。
「――――また、骸と化したいのですか? あなたはまだ調整段階なのです。これ以上無理をすれば……分かっているでしょう?」
それを聞いたグレンデルは不服そうにしながらも、敵意を抑える。
『……チッ、ったく敵わねぇな。それを盾にされちゃあよ。止めるしかねぇよ』
……骸? どういう事だ? 滅びたのに復活した……でもそれは、何か限定的な術によるものって事なのか?
ウィザードは水晶のような魔宝石を懐から取り出すと、小さく頷く。
「…あなたに良い報告です、グレンデル。白い方で大分苦戦しているとの事です。今度はそちらに行きましょう」
『おほっ! 今度はアルビオンかよッ!! たまらねぇな!!』
ウィザードの報告に、グレンデルは口元をにんまりと釣り上げた。
「『白い方って――――ヴァーリか!』」
『おい』
と、不意にグレンデルが俺を指さした。
『クソのドライグ、根暗のヴリトラ、それにパンツのファブニール、ティアマットちゃん。お前らとの遊びはまた今度に取っておいてやる。そん時はあれだ、確実に殺すから。楽しみにしとけよ、ゲハハッ!!!』
『「おめーがクソだよ」』
『パンツと言った方が、パンツ』
『ガキみてーな物言いしたとこでテメェはパンツなんだよパンツ野郎!!』
律儀にファーブニルに突っ込むと、龍門が開き、陣が新緑色の光を放ちながらグレンデルを包み込んでいく。
光が止むと――――グレンデルの姿はもうなかった。
「…ふむ。では、私の方もご挨拶をさせてもらいましょう」
ウィザードはグレンデルが転移したのを確認すると、変身を解いた。
魔宝石と同じ、黒い魔方陣をゲートの様にそいつの身体を通過すると、男の全貌が明らかになった。
「「――――ッ!!」」
その顔――――銀髪が特徴の美青年をみて、俺とグレイフィアは硬直した。
だってその顔は、グレイフィアの面影があったからだ。
「『…あんた、まさかっ』」
「えぇ、考えている通りです。私はルキフグス――――ユーグリット・ルキフグスです」
「「!!」」
その名を聞いて、俺と――――特にグレイフィアは驚愕した。
まるで金縛りにあったかのように、動けないでいた。
その名は――――
「兵藤、どうしたんだよ?…アイツの事、知ってるのか?」
「……グレイフィアの、弟だ」
『!?』
その事実に全員が驚愕の表情を浮かべる。
そりゃそうだろう、グレイフィアの弟は先の時代の戦争以降から行方が分からなくなっているんだから。
その事はこの場にいる全員が知っていた……だからこそこのリアクションになっているんだ。
だけど同時に、一つの疑問に答えを得た。
「……そうか。この街に侵入し、魔法使いの連中を招き入れたのも、地価の列車に細工したのも、アンタだったんだな」
「っ、そう言う事ですか…! 同じルキフグスの者であれば、グレイフィア様と同質のオーラを有している。であれば結界を素通りできても不思議ではない……」
「姉上」
ユーグリットは冷淡な声音でグレイフィアを呼ぶと、未だ硬直しているグレイフィアへと向き直る。
今にも倒れそうなグレイフィアを、アーシアが支えていた。
「あなたがルキフグスの役目を放棄して自由に生き――――赤龍帝の従僕と成り下がるのであれば、私にもその権利はあるのです」
「っ!」
「『っ、おい待て!!』」
その場から去ろうとするユーグリットを、俺は呼び止める。
ユーグリットは俺の方に視線を向けると、淡々と告げた。
「兵藤一誠、貴方との決着はいずれ付けましょう。いえ…つけなければならないのです」
「『どういう意味だ……っ』」
「貴方が希望を照らすのであれば、私はそれ以上の絶望で塗りつぶしましょう。…………ディスペア・ウィザード、とでも名乗りましょうか。以後、お見知りおきを」
《テレポート・ナウ》
そう告げると、ユーグリットは今度こそ消えていった。
ーーーー
暫く沈黙に包まれていた俺達だったけど、フィールドが崩れ出したのを見て我に返る。
『「廃棄寸前だったのと、先の戦闘で大分ガタが来ていたらしい。もう保たんぞ」』
「『ソーナ先輩!』」
俺が呼びかけると、先輩の方は朱乃さんに指示をして転移用の魔方陣を展開させていた。
全員が魔方陣の中央に集まった時、不意にレイヴェルか手元に小型魔方陣を展開し、培養カプセルの方へと放っていった。
魔方陣はカプセルの一つに当たり、一度輝いて直ぐに消えうせた。
「…せめて、これぐらいはさせてもらいますわ」
「成程、そう言う事ですか」
……? 二人は何をしようとしてるんだ?
二人が小型魔方陣を投げて行っている間、俺はグレイフィアへと近づく。
「…グレイフィア」
「……」
グレイフィアは俺の呼びかけにも答えず、上の空だった。……やっぱり、直ぐにショックは抜けないよな。
無理矢理再起させる訳にもいかない、俺はせめて少しでも安心させようと、グレイフィアの手を握る。
やがて転移の光が俺達を包み、地上へと戻って行った――――
このシスコン、この作品ではさらに気持ち悪くなっている……筈です。
これ宣伝する事かなぁ?