ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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はい、アルトじゃあないとぉぉぉ


MAGIC173『クーデターをやられたー』

 

俺達オカルト研究部、ソーナ先輩、真羅副会長、天界サイド(シスター7・グリゼルダさんと天界のジョーカー・デュリオ)の面々が兵藤邸上階にあるVIPルームにて一堂に会していた。

 

ルーマニア――――カーミラ側の本拠地に赴いているアザゼル先生から直通の回線が開いたからだ。

 

「リアス達が…!?」

 

先生から告げられた事実に、俺達は驚きを隠せずに叫ぶ。

 

『あぁ。どうにもツェペシュ側の方で大きな動きがあったらしくてな。ツェペシュ、カーミラ、両陣地の境界線上が一時混乱状態になった。あちらでクーデターが起きたと見ていい』

「…リアスと木場が、それに巻き込まれたと?」

『あぁ…というよりは拘束された可能性の方が高いだろう。こっちからリアスに通信が出来ん。そっちも同様じゃないか?』

 

突然の報告に全員が息を呑む。

朱乃さんが小型の魔方陣を描いてリアスへ通信を送るが……反応はなかった。

 

「クーデター……」

 

……よりにもよってクーデター、しかもリアスと木場があっちに行っている時に起こるとか、マジで最悪だぞ!

 

『昔流行ったSF映画の…』

『それはプレデター』

『ウォースターに所属してた』

『それはデレプタ』

 

お前らもうちょい空気読め!

 

「あうぅぅ……そ、そんな……!」

 

横ではギャー助も顔を強張らせていた…こいつにとっては故郷の一大事だ。心中穏やかではいられないだろう。

 

『しかももう一つ最悪なニュースだ。…カーミラ側の幹部の話では、今回のクーデターでツェペシュのトップが入れ替わったそうだ』

『――――!?』

 

その場の全員が、その報告に表情を更に強張らせる。

 

『つまり、事が終わった後か……』

 

ドライグが神妙な声音で呟いた……予想してたよりとんでもない事が起きてるじゃねぇか!

 

先生は息を吐きながら続ける。

 

『…現在、ツェペシュの当主、つまり男尊派ツェペシュの大元たる王が首都から退避したとの事だ』

「…ツェペシュの王が逃げるだなんて、相当な事が起きた証拠ですわね」

 

先生の報告に、朱乃さんも眉を顰めてそう漏らした。

ソーナ先輩が顎に手をやりながら言う。

 

「恐らくですが、聖杯に関与した件で『禍の団』の介入があったのでしょう。――――ツェペシュは『禍の団』に裏から支配されていたとみて良いと思います」

 

『禍の団』――――ユーグリット・ルキフグスが率いる現『禍の団』が、滅んだ邪龍を連れている以上、生命の理を司るという聖杯を持つ吸血鬼側と繋がっている可能性は、極めて高いだろう。

 

これは俺も報告を受けていて、この見解は先生、ソーナ会長、各陣営の方々の共通してそう考えたとの事だ。

 

『あぁ。裏で『禍の団』が手引きしたんだろうな。それについてはカーミラ側も同意見だ』

 

先生も面白くなさそうにそう言うと、一息おいて続ける。

 

『…元々、吸血鬼の連中はツェペシュもカーミラも他の勢力との接触を避けて、内々に独自の内政を行っていた。だからこそ、『禍の団』もそこに付け入る隙があったんだろう。内部に現政権を疎む連中なんざ、どの勢力にも必ず一派はいるもんだ。聖杯の噂を聞き、そいつらを通して裏からじわじわと侵食していったんだろう』

「…反政府の過激派の動きに気付いても、現政府側は他に助けを呼ばなかったって事か」

『何処までも閉鎖的な連中だな』

 

俺がそう言うと、ドラゴンは呆れたように毒づいた。

 

『…吸血鬼特有の誇りとやらを重んじた結果だろう。奴等の中では自分達こそ至高の存在、他は掃いて捨てるだけの劣等種、だろうからな』

『或いは、聖杯の存在を意地でもほかの勢力に漏らしたくなかった…そんなとこだろう。っつー訳でツェペシュの本拠地が気がかりでな。俺と立神はカーミラの根城からあっちに向かう予定だ』

 

立体映像の先生は、改めて俺達を見回す。

 

『――――お前達を召喚する事になる。てなわけですぐに飛んできてくれ。リアス達と合流しつつ、ツェペシュ側の動向を探らなければならん。お前達の戦力が絶対に必要だ。何せ、ツェペシュの反政府グループ以上に危険な者が関与しているだろうからな』

「言われなくても、直ぐに向かうつもりです! 主を、仲間を絶対に見捨てない――――それが俺達のポリシーですから」

 

俺が拳を叩くと、オカ研部員全員が力強く頷く。

 

『だが、この街に待機している戦力が殆どで払うのは拙い気がするぞ』

『ドライグの言う通りだ。そこは一度襲撃を受けている事を考慮して、こちらに来るのはグレモリー眷属とイッセー、イリナだけで良いだろう。シトリー眷属とグリゼルダ、ジョーカー、「刃狗」の鳶雄はその街に待機してもらう』

 

確かに先生の言う通りだ、同じ愚を犯す事はないだろうけど、もしもと言う事もある。

先生の指示にシスターも応じる。

 

「了解しました。デュリオ、この街へ来て早々で申し訳ないのですが、守備に徹してもらいます」

 

それを聞いたジョーカーは、挙手してこんな事を言ってのけた。

 

「俺が行ってツェペシュの町後とあれた天候で閉じ込めても良いんスけどね、やっぱ駄目っすか?」

『……冗談にしても笑えんぞ。お前の神滅具の事を考えたら』

 

……ごく短い期間の付き合いだけど、この人がイリナ以上に天然と言う事は既に承知の上だ。

あのドライグがツッコミに回るレベルで、だ。

 

「その物言いだと本気でやりかねそうなんすけど」

「貴方は天界と吸血鬼の関係を悪化させる気ですか、全く……」

『文字通りの「ババ」になるな、それだと』

 

シスターがデュリオの額を小突く傍ら、ドラゴンがポツリと美味い事を言っていた……ちょっと「おぉ」って思ったのが悔しかった。

 

『こちらも重要だが、そちらも重要だからな。神滅具の所有者が複数いる以上、そっちとこっちで分散させた方が良いだろう』

「…もしかして、他に神滅具の使い手がいるんですか?」

 

俺の問いに先生は頷いた。

 

『あぁ、ヴァーリが吸血鬼の領内に潜入している。……三大勢力の中では、ヴァーリチームに関しては味方と捉えて良いのではないか?という意見もある。実際最初の会談以外で目立った妨害活動をしている訳でもないし、何より『禍の団』から追われているからな』

「難しい立ち位置っすね…」

 

俺んちにも普通に訪問してるぐらいだしな。

そう思っている俺の横で、ソーナ先輩が挙手した。

 

「いい機会です。グレモリーの皆さん、うちの新人に名を連れて行ってもらえないでしょうか?」

「ベンニーアちゃんと……もう一人ですか?」

 

そう言えばもう一人いるって言ってたな……まだ面と向かって会ってないけど。

 

「イッセー君と対面できるいい機会ですし、何より彼等はまだ悪魔としての戦いが経験不足な面があります。それに今回の一件では、彼等の力が役立つ可能性も高いと思いますので」

『経験値稼ぎか。確かに実践の方が実力ってのは磨かれやすいからな』

 

ベンニーアちゃんは死神だけど……もう一人の方は俺は知らないんだよなぁ。

以前の魔法使いとの抗争の時に見かけた、大男の事なんだろうけど。

 

「ソーナ先輩が言うのなら、構わないっすよ。それに俺の方は眷属がまだいないですから」

 

黒歌は投入できるとして、グレイフィアは依然審問にかけられている。

グレモリー眷属とイリナ、吼介がいる以上は過剰戦力になるんだろうけど、『王』が無防備なのも如何なものだしね。

 

「でしたらイッセー君に彼等は任せます。存分に使ってあげてください」

「はい」

 

これは背筋に力が入るぜ、先輩の大事な眷属に怪我とかさせれないからな。

 

『それで『王』が大怪我負ったら元も子もないだろう』

『ま、あんまり肩肘は張るなよ。レイヴェル、今回は流石にそこに残れ。今回は客分扱いのお前さんが立ち会うには辛い局面だ。いくらイッセーのマネージャーと言ってもテロリストが潜伏するであろう場に連れ出す訳にもいかない。分かってくれるな?』

 

レイヴェルも先生の言葉に素直に頷く。

 

「はい。心配事もありますけれど、兵藤家と駒王学園はお任せください」

 

本当に聞き分けの良い子だよ、レイヴェルは。

厄介ごとに巻き込まれるのはよくあるけど、俺が招いている可能性もある以上、申し訳ない部分が大きいんだよな。

 

それで怪我をさせちまったら、俺はライザーに顔向けできないからな。

 

『それと、イッセー』

「はい」

『この地で散発的に――――ファントムらしき怪物を見かけた』

「っ」

 

…吸血鬼の領内にもいるのか。

 

『…おい、ファントムとは吸血鬼からも生まれるのか?』

『知らん。基本は人間から誕生するのがファントムだ。例の人造ファントムではないのか?』

「…けど、人造ファントムがいるって事は、奴等が関わっている可能性がある。放ってはおけない」

 

それに、解決すべき事態が一つ増えただけさ。必要以上に気に負う必要はない。

 

『――――詳しい事は現地で話す。準部が出来次第、こちらにジャンプしてくれ。カーミラ側に受け入れ用の転移魔方陣を敷く。状況開始だ』

 

 

――――はい!!

 

 

 

ーーーー

 

 

 

ルーマニア・吸血鬼領内にある山奥の更に深淵。

 

 

『さぁ来い――――ウィザード』

 

ファントム・ガルムが、周囲に蠢く影のようなファントムを従えてイッセーを待ち受ける。

 

『…………私が、『赤』となる』

 

それだけでなく、漆黒の魔法使い――――ディスペア・ウィザードもまた、イッセーの到着を今か今かと待ちわびていた。

 

 

 




ちょいシリアスな予感……
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