ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
タンニーン『螺旋のストライクバースト!!』
アルビオン『旋風の、ヘルダイブ・スラッシャー!!』
よう、皆。イッセーだ。
直樹君の事件から2日が過ぎたんだけど………
木場の様子がどうにも変なんだ。
つってもおっちゃんの家で聖剣が写っている写真を見て以来、妙に呆然とすることが増えた。
まるで考え事をしているかのような立ち振る舞いをしていて、それで最初のほうは部長も気にかけていたけど、とうとう木場は悪魔家業にまで影響を及ぼしたらしく、結果昨日は部長に怒られた。
だけど木場はそれでも相変わらずだった。
どうしたんだよ、木場………
~~~~~~~~~~
バチンッ!
次の日の夜、工場跡地の外でそのような乾いた音が響く。
頬を叩かれる音……叩かれたのは以前は俺だったが、今回は俺じゃない…木場だ。
はぐれ悪魔討伐に訪れていた俺達だけど、木場は何時もの冷静さを欠いてミスを犯し危うく全員殺られてしまう所だったんだ。
後から遅れてやって来た部長に状況を説明して今の状態に至る……というわけだ。
「今ので目が覚めたかしら? 祐斗、あなたが行った独断行動がどれだけ危険なものだったか分かっているかしら? 相手のはぐれ悪魔はA級クラスの危険指定のはぐれ悪魔だったのよ。イッセーがいてくれたから大事には至らなかったけど、下手をすれば誰かが傷ついていたかもしれないの」
「……………」
部長は本気で怒っていて、厳しい口調で木場にそう言うが、木場は無表情で無言のままだ。
『アイツ……考えすぎて逆に顔に出てないな』
……確かに。
ドライグの言う通りだけど、俺には木場がそこまでになる程の事情が分からないんだ…。
「すみませんでした。自分一人で何とかできると思いましたが、結局イッセー君がいなければ僕は何もできませんでした。今日のことは全面的に僕が悪いです……だから今日はもういいですか?」
っ、コイツ……!
淡々と、そして何処か面倒くさそうに部長に言い放ちやがった!
部長はそれを見てもう一度掴み掛かろうとしたが、俺は部長を止めた。
多分、今の木場に言っても意味がない……そう感じたから。
「イッセー、離しなさい。私は祐斗に言わなければいけないの」
「今言っても逆効果です。こいつのことは俺に任せてください……………木場」
「……何だい」
俺は背を向けて去ろうとした木場を呼び止めた。
木場は面倒くさそうに振り返った。
「木場……お前本当にどうしたんだよ?何時ものお前らしくないぞ」
「僕らしくない…………?ふふっ、可笑しな事を言うね。僕は何時も通りさ…思い出したんだよ」
「……?」
「僕はそもそも、部長のために悪魔になったんじゃない。僕は僕の目的のために悪魔になった……」
『聖剣、か?』
「…………流石は二天龍の一角、だね」
木場はドライグの言葉を肯定して、その手に一つの魔剣を作った。
木場はそれを某世界の破壊者みたく撫でた。
『相棒の幼い時の写真に写った聖剣を見たお前の瞳を見た時点で察しはついたがな』
「お前……聖剣を、恨んでるのか?」
「そうだよ、僕はこの世で最も聖剣を嫌うーーーーその中でも僕はある剣を嫌悪していてね。僕はそれを壊すために生きている」
木場は手に持っていた魔剣を消して、雨の降る空へと顔をあげた。
「僕は復讐のために生きている。僕はね、許さない……そう、聖剣を」
そしてその名称を―――言った。
「僕はエクスカリバーを許さない」
……その言葉が嫌に俺の耳に響いた。
こいつ…木場の憎悪、全てが篭ったそれだけの言葉で、鳥肌が立った。
本気だ、木場は……本気で復讐のために生きている。
『復讐か…………下らんな』
だがドライグは木場の思いを一蹴した。
それを聞いた木場はかつてない程に……まるで別人の様に激昂した。
「貴方に何が分かるっ!?何も知らない癖に、僕の憎悪を、理解しての発言なのか!?」
『あぁ、それを聞いて、理解した上で言った迄だ。俺は復讐者の末路を見てきた。歴代の赤龍帝にも復讐者は存在したが…………どいつもこいつもろくな死にかたをしなかった。復讐に取り付かれたままだと、お前自身を亡くすぞ、小僧』
「……っ!それでも、僕は止まらない…止まるわけにはいかないんだ!!」
ドライグの言葉にも耳を貸さず、木場は雨が降りしきる中、その場から去っていった。
イッセーside out
~~~~~~~~
木場side
僕は雨にうたれてながら夜中の道を歩いている。
傘の代わりなんか、神器を使えば創れるけど、でも今の僕の沸騰した頭を冷やすには丁度いい。
……ろくな末路、か。
僕はさっきドライグに言われた事を思い出した。
『そんな事……分かっているさっ』
分かってはいる……でも、あんな言われ方をされると、其れまで復讐を糧に生きてきた僕自身を否定された様な気がした。
『……イッセー君』
彼には、きっと憎悪なんて、憎んでいる物なんてないのだろう。
彼の笑顔には、裏表がない……様に見える。
でも、それが良いんだ。
彼に、復讐なんて似合わない。
「…………!」
僕は魔剣を創造し、それを構える。
何故なら、路地裏から突然、神父服を着た男が現れたからだ……だけどそれの様子はどこか違った。
すると神父服の男はふらつきながらその場で倒れる。
「死んでる……」
そう、既に息絶えていたんだ。
そして体には、至るところに致命傷になりえる急所を的確に突いた後があった。
……ここまで的確なら、死ぬのに苦しみすらなく死ねるだろう。
でも、誰がこんなことを…僕がそう思った時だった。
「あらあら、そこにいる美男子君は悪魔君ではあ~りませんか!おひさっすねぇ~……っといっても話すのは初めてでありんすけど!ぎゃははは!!」
…こいつは、アーシアさんの件で堕天使側についていたはぐれ神父!
フリード・セルゼン!
…………まさかこいつがこの神父を?
「いや~、ほんとここに来なけりゃ死ななかったんスけどねぇ?まあ来たからには仕方ないでございますから?せめて苦しみを与えないように殺してあげたんでありますよ~!きゃはは!僕チン、天才?」
相変わらず、下種な笑いだね。
だけどちょうど良い。僕はいらついていた所だ。
「まさかまだこの町にいたとはね……でも悪いけど、今の僕は機嫌が悪いんだよ」
「ははは、こりゃ怖いですわ!正直、悪魔を殺すことは今となってはどうでもいいんすけどぉ?でもこいつの試し切りに付き合ってくれるんなら、ご協力お願いしまぁ~っす!!あ、拒否権はないので、悪しからず!」
……この男、以前と少し何かが違う。
この男が悪魔のことをどうでもいいと言うだろうか……でも今は関係ないか。
僕は魔剣をもう一本創りだした時だった。
「……その剣、一応は名称を聞こうか」
…僕はフリード・セルゼンの握る剣の輝きとオーラを見て、自分の中のどす黒い部分が現れる。
ーーーーあれはッ!間違いなくそうだ!
「お察しのとーり!最強の聖剣、エクスカリバ~~~っす!さぁて、おまえさんのその魔剣っぽい剣と、俺様のエクスカリバーの力、どっちが上かを試させてもらうですぜ?ひゃはは!!」
エクスカリバーッ!!
木場side out
イッセーside
俺は木場と別れたあと、家に帰って風呂に入り、部屋でごろごろしながら考え事をしていた。
すると部長とアーシアが俺の部屋に来て、木場のことで話があると切りだした。
そして俺とアーシア、部長は同じ部屋で今は話を聞いていた。
「……聖剣計画?」
部著の口から語られたその単語、それは木場の過去の最も大きな出来事のことだった。
聖剣計画と呼ばれる事件のこと。
部長の話によると、それは教会サイドで行われていた聖剣、特にエクスカリバーを扱える子供育成するための計画のことだった。
数年前まで当たり前のようにあったその計画は、悪魔にとっては究極の兵器ともいえる聖剣を人為的に操れる人間を創るための計画。
そう、それだけの計画なら良かった……のに、部長の口から更に言葉が続けられる。
「でも祐斗はその計画での成功なんてものにはならなかった……いいえ、言い方が悪いわ。その計画に置いて、成功者なんか一人もいなかったの」
「「…………」」
俺とアーシアは黙って部長の話を聞く。
「そして、誰一人として成功者を出さなかったその計画の果て、祐斗達は処分という形で全員が殺された……不良品というレッテルを張ってね」
「……ッ!そんなこと、主がお許しになるわけが!」
……アーシアが泣きそうな表情でそう言う。
そりゃあ、信じられるわけないよな。
少し前まで自分のいた世界で、そんな非人道的なことが起こっていたことに。
「でも事実なの……嫌悪するわ。ただ勝手に計画のために子供を使って、それが失敗だったからって全てを処分という形で毒ガスで殺す……許せないわッ!」
部長は悔しそうな表情を浮かべながらそう言った。
それは俺も同じだった。
エゴに、欲望に取り付かれた人は時として悪魔以上に残酷な事を仕出かす。
そういう意味では、人は化け物だ。
…………ファントムと、同じように。
聖剣計画はそれの成れの果てだ。
人の欲望が渦巻いて、子供の未来を奪い、そして殺した。
…………なんてデジャヴだ。
サバトと、何ら変わりない。
「祐斗はね……唯一、命かながら施設から逃げたの。私が祐斗を発見した時には既に毒ガスを多く吸ってしまったから、雪が積もる森の中で息絶えた……私はその時に祐斗を悪魔に転生して生き返らせた…だから彼は唯一の生き残りだと思うわ」
「木場……」
生き残り、仲間だった者のための復讐……あいつが生きる意味っていうのはそれなんだろう。
それが、死んでいった他の子供達との繋がり……言い換えれば、希望…。
でもあいつもグレモリー眷属の一員だ。
放っておけるわけがねえ。
「……もうこんな時間だわ。イッセー、そろそろ寝て明日の朝に備えた方が良いわ」
部長は俺にそう言って……
制服を脱ぎ始めた。
な、何を言ってるかわかんねぇと思うが(ry
「ちょっ!?部長!何やっているんですか!?」
「何って……最近、私はあなたの体の温もりを肌で感じないと眠れないのよ。今日の朝だって裸で寝てたでしょ?」
「だからって年頃の女の子が男の前で簡単に脱いじゃイカンでしょ!っつーか合宿の時のネグリジェ!アレ着てくださいよ!!」
ホント朝起きたら裸は勘弁してほしい…………思春期の童貞にはキツいんだよ、色々と!
だけど時既に遅く、部長は既に下着姿になっていて、そしてそれを見ていたアーシアは顔を真っ赤にして頬をぷくっと膨らませる!?
な、何かスゴいこと言いそうな予感が…………!
「部長さんだけずるいです!私だってイッセーさんの温もりが欲しいです!」
アーシアちゃんんん!?
別に対抗して脱がなくても良いから!
「ならアーシア、貴方はイッセーの右側よ。私は左側、これでどうかしら?」
「はい!それでいいと思います!」
俺に発言権は!?
ちょっとは俺の意見も聞いてくれよォォォ!!
この後何とか食い下がって下着だけでも着けて寝てもらうことになったけど…………どう考えても寝れる訳がねぇ……。
『どうすんだ、相棒』
…………取り敢えず、トイレで発散するわ。
かれこれ二週間ぐらい自家発電してないし……。
『童貞は悲しいねぇ……』
うるせぇ!!
~~~~~~~~~~
朝…………。
結論から言おう、寝れるかボケぇ!!
だって左向けば破壊力抜群のスタイルを誇る部長、右向けば控えめだけど健康的なスタイルのアーシアと一緒に寝れるかよォォォ!!
まだ裸じゃないだけマシだけどさ…………!
そんなせいか、何時もより早くに目が覚めちったよ。
ドライグは呑気に寝てるし…………良いよなぁドライグは。
「コンビニ……行くか」
俺はバイクに跨がって近所のコンビニへと向かった。
「あーっ!アレは!!」
…ん?何だ?
こんな朝早くに近所迷惑な……。
まぁ俺には関係なさそうだから、無視してコンビニに向かった。
それが新たな波乱の幕開けとは知らずに……。
「もうっ!幼馴染みを無視するなんて~ッ!」
「……アレが、君の幼馴染みなのか?イリナ」
「そっ。いつか話した、兵藤一誠君よ。……ゼノヴィア」
次回、D×Dウィザード
イッセー「お、お前は……!」
木場「君らの先輩……かな?」
イッセー「アーシアの優しさを知ろうとしないお前らや神様は大馬鹿野郎って事だよ、優しさの欠片もねぇシスターさん?」
MAGIC18 『一触即発』
ドライグ『これで決まりや!』
イッセー「何で関西弁?」
さぁ、漸く次回でシスターコンビ出ます