ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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今回はイッセー視点ではないです

それと、進兄さぁぁぁぁん!!!


MAGIC19 『進化』

 

イリナとゼノヴィアのシスターコンビとの出逢いから翌日、イッセーは変わらずにリアスとアーシアの3人で学校に通う。

 

だが、その顔は決して晴れやかではなかった。

 

「祐斗……」

「イッセーさん、木場さんは……大丈夫でしょうか?」

「う~ん………こればっかりは、本人が乗り越えるしかないからな」

 

イッセーの言う通り、これは木場の問題。

彼自身が、復讐心に打ち勝つのを待つしかないのだ。

 

「でも、そんなに心配することはないよ。アイツは……木場はきっと勝つ」

「イッセー……」

「イッセーさん……」

「だから、信じて待ちましょう」

 

イッセーの言葉に、リアスは少し顔が晴れる。

 

「そうね………あの子は私の眷属だものね。主である私が信じない訳にはいかないわ。ありがとう、イッセー」

リアスは微笑むと、イッセーの頬に唇を押し当てた。

 

「ぶ、部長?!」

「ふふっ。今は外だから、ね?」

「むぅ~~!イッセーさん!」

「お、怒らないでよアーシア~!」

 

なんて和気あいあいとしながら、3人は学校の門を潜った。

 

 

~~~~~~~~~~

 

「イッセーさん。これから何処に向かうんですか?」

 

学校が終わり、今日はオカルト研究部の活動もないため、久しぶりの速い帰宅となったが、イッセーは家とは違う方向に向かっていた。

 

リアスは生徒会長のソーナとお茶会だ。

 

「ん?おっちゃんに饅頭買ってこいって言われてな」

「茂さんが、ですか?」

「あぁ。おっちゃん、饅頭好きだからな~」

 

と言っている内に二人は饅頭屋、『松木庵』に辿り着いた。

 

 

 

 

「馬鹿野郎!」

 

ガッシャーン!!

 

入った途端、店の奥から何かを落とす音が聞こえ、アーシアは肩をビクッと震わせた。

 

「はうっ!?」

「大丈夫だぜアーシア。……すんませーん」

 

イッセーは苦笑しながら、アーシアの頭を撫でる。

撫でながらイッセーは奥に声を掛けるが、返ってきたのは怒鳴り声だった。

 

 

「こんな饅頭お客様に出せるかぁ!!」

「す、すみません……!」

「な、何だか凄く怒られてます……」

「ここの親方さん厳しいからな~……すみませーん!」

「ったくよ~、…………………全くスミマセンお見苦しい所をお見せして……って兵藤の坊っちゃん!」

「お久しぶりです、親方さん」

 

現れたのは、如何にも職人と言った風貌の男性と何処か頼り無さげな青年。

この店の店長の和菓子職人松木と、弟子の徹也だ。

 

「一誠君、いらっしゃい!……そちらの子は?」

「えーと、今俺の家でホームステイしてる、アーシア・アルジェントさんです」

「は、初めまして!アーシア・アルジェントと言います!宜しくお願いします!」

「おうおう、可愛い子だねぇ!坊っちゃんもヤるねぇ!」

「ちょ、そんなんじゃないっすよ!」

 

顔を赤くして否定するイッセーだが、若干だが満更でもない様子。

それは無論アーシアもだった。

 

「はっはっは!良いねぇ、若いって!それで、今日はどの饅頭を?」

「えっと、何時ものやつと………アーシア、何が良い?」

「ほぇ?」

 

いきなり話を振られたアーシアはキョトンとする。

 

「饅頭、食べたことないだろ?ここの饅頭は美味いぜ~」

「良いんですか?」

「勿論。好きなのを選んで」

「えっと……では、これで」

 

アーシアが指したのは桜色の饅頭。

イッセーはそれを見て、「これも下さい」と頼んだ。

 

「毎度あり!」

「ありがとうございました!」

 

買い物を終えた二人は松木庵を後にした。

 

 

「イッセーさん」

「ん?」

「ありがとうございます!」

 

アーシアは嬉しそうにイッセーの腕に抱き着いた。

何時もと違う大胆な行動にドキッとするイッセー。

 

「お、おうよ!」

「真っ赤ですよ、イッセーさん♪」

「そ、そんなことはーーーー……ユニコーン?」

 

何とか言葉を返そうとしたイッセーの足を、ブルーユニコーンが突っついて来た為、イッセー達は足を止めた。

 

「どうしたんでしょうか?」

「まさか………ファントム?」

『ヒヒーン!』

「………アーシア、おっちゃんに渡しといてくれ」

「は、はい!」

 

頷くように嘶くユニコーン。

イッセーはアーシアに荷物を預けると、ユニコーンの導きに従って走り出した。

 

 

 

~~~~~~~~~

 

「な、何だよお前?!」

『フッフッフ…………』

 

お得意先の料亭に松木が作った饅頭を運んでいた徹也だったが、途中で怪物に襲われていた。

 

背中に羽が生え、槍を携えた一見鳥にも見えるファントムーーーーヴァルキリーだ。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

『むぅん!』

 

ヴァルキリーは徹也を強引に退かすと、徹也が運んでいた饅頭をめちゃめちゃにしてしまった。

 

「変身!」

《ハリケーン!プリーズ。フー、フー、フーフーフーフー!》

「おらぁ!」

『ぐおっ!?』

 

だが、そこにウィザードHSに変身したイッセーが駆けつけ、ヴァルキリーを蹴っ飛ばした。

 

『お前……ウィザードか』

「お前の好きにはさせないぜ。さぁ、ショータイムだ!」

《コネクト・プリーズ》

 

ウィザードHSはコネクトでウィザーソードガンを取り寄せて、ソードに変形させるとヴァルキリーに斬りかかる。

対するヴァルキリーも槍で応戦する。

 

『はぁ!てやぁ!』

「……ッ!」

『悪いが君の相手をするのは今度だ。私はもうノルマを達成したのでね』

「どういう、意味だ!」

『さらば!』

「うおっ!?」

 

鍔迫り合いをしていた所に、ヴァルキリーは翼を広げ飛び上がったためにウィザードHSは前のめりになる。

 

「てめっ!待てコラ!」

《エクステンド・プリーズ》

 

ウィザードHSは腕をエクステンドで伸ばして足を掴もうとするも、

 

 

『ムダァ!』

「いてっ!?」

 

ヴァルキリーは手にした槍でウィザードHSの腕を斬り払った。

無防備に近い場所を叩かれた為に、ウィザードHSは魔法を維持できなくなった。

 

結局ウィザードHSが痛みに悶える中、ヴァルキリーは去って行った。

 

「いってて~……あんにゃろう!」

 

ウィザードHSは立ち上がって変身を解くと、徹也に向き合った。

 

「大丈夫っすか?徹也さん」

「あ、あぁ。でも……」

 

徹也が向いた先には、ヴァルキリーによってめちゃめちゃにされた饅頭の成れの果てが転がっていた。

 

「どうしよう……親方に何て説明したら…!」

『これは……あの青年を絶望させるためか?』

『……だったら、今ここで去る必要はないだろ?』

『それもそうか……』

 

何故か饅頭をめちゃめちゃにするだけで去ろうとしたヴァルキリー。

イッセーとドライグはファントムの謎の行動に頭を悩ませた。

 

 

 

~~~~~~~~

 

「饅頭が化け物に襲われてない?…………何の冗談だ?」

「ほ、ホントなんです!」

「言い訳は聞きたくない。悪いが、付き合いはこれっきりだ」

「そ、そんな……!」

「……すみませんでした」

「親方……」

「徹也、お前も謝れ」

「…………すみませんでした」

 

だが、饅頭が化け物に襲われて出せなくなった等と信じられる筈もなく、料亭との契約も打ち切られてしまった。

 

「……一応、徹也さんの言ってる事は本当なんです」

「事の真偽は大切じゃない、職人としての信用を失っただけだ」

「そんな……!でも、料亭との契約を切られたら、店を畳まなきゃ……」

「徹也!!」

 

大声で制止され、徹也はビクッとなる。

だが、松木は何も言わずに店の奥に引っ込んでいった。

 

 

「親方………………何とかしなきゃ…!」

 

徹也は何とかしようと決心すると、松木庵を出ていった。

 

 

「…………………」

 

イッセーは相変わらず思案顔だった。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

「此方、美味しい饅頭ですよ!1つ如何ですか?」

 

店を畳ませまいと徹也は外で饅頭を売っていくが、あまり芳しくない。

と言うよりも、この数では焼け石に水と言うことは徹也にも分かっていた。

 

「はぁ…………」

 

溜め息を吐いた所に、

 

 

 

「あの~、少し宜しいでしょうか?」

 

スーツを着こなした眼鏡の男が近づいてきた。

 

「はい……?」

「そちらの饅頭……一口貰えませんか?」

「あぁ、どうぞ」

 

徹也が渡した饅頭を一口食べると、男は感激の声を上げた。

 

「おぉ!何と言う美味しさ!……おっと、自己紹介が遅れてすみません。私、駒王デパートの和菓子担当バイヤーの桐谷と申します。どうでしょう?明日から毎日500個程仕入れたいのですが………」

「ほ、本当ですか!?」

「はい」

 

笑顔で頷く桐谷と言う男に、徹也は希望を抱いた。

これなら、松木庵を閉じなくても済む……と。

 

「早速親方に話しておきます!」

 

 

 

 

 

 

 

「何だと?」

「親方!この話、受けましょうよ!」

 

あの後名刺を貰った徹也は早速松木に話を通した。

だが松木はあまり乗り気ではなかった。

 

「……何かあるんじゃねぇか?話がうますぎるぞ」

「でも、ウチは今そんな事言ってる余裕はないですよ!是非乗るべきですよ!」

「…分かった。明日の朝までには仕上げるぞ」

 

頭にハチマキを巻いた松木はキッチンに入っていった。

後を追い掛けるように徹也も入っていく。

 

 

 

 

 

 

「……どう思う?ドライグ」

『いくら何でも話がうますぎる。まさか………』

「名前は、桐谷………………聞いてみるか」

 

物陰から話を聞いていたイッセーはバイクに乗ると、駒王デパートに向けて走り出した。

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

翌朝、松木と徹也は昨夜に作り上げた饅頭を桐谷のデパートに運んでいた。

饅頭の名前は「きぼう」ーーーー自分達の希望になってくれるからこそ付けた名前だ。

 

「やりましたね、親方」

「へっ、喜ぶのはまだ速いっての」

「その通りです……お楽しみはこれからです」

 

と、饅頭を運ぶ二人の前に現れたのは、桐谷。

 

「あ、桐谷さん!」

「アンタか、ウチの饅頭見込んでくれたのは…………」

「フッフッフ………」

「……な、何か?」

 

だが桐谷は二人を見て可笑しそうに笑い、松木はいぶかしむ。

 

「ホントにそんな上手い話があるとでも?大変ですねぇ、出来損ないの弟子を持つのは……………!」

 

桐谷は眼鏡クイッ、をやるとその姿を変化させた。

それは、昨日徹也を襲ったファントム、ヴァルキリー。

 

 

そう、桐谷の正体はヴァルキリーだったのだ。

 

「き、昨日の化け物!!」

「な…………!」

『昔から言うでしょう?上手い話には裏がある……とね』

「ま、まさか……!」

『嘘に決まってるじゃないですか。それにしても昨日のソレ…………いやはや我々に味が分からないのでね、粘土を食べてるような錯覚を感じましたよ』

 

意気揚々と語るヴァルキリーに、松木はショックを受けたように膝を着いた。

 

『さぁ、さっさと絶望してファントムを生み出してーーーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そんなヴァルキリーに濃密な魔力の塊と銀の銃弾が放たれた。

 

『ぬぅっ!……何者だ!?』

 

それを受けて倒れ込んだヴァルキリーだったが、直ぐ様立ち上がり辺りを見回した。

 

「やっぱお前らファントムはえげつないな。そんな事させるかっての」

 

物陰から現れたのは、ウィザーソードガンを構えたイッセーとリアス、アーシアだった。

 

 

 

『貴様は…………何故分かった!』

「昨日、ちょっとアンタの言ってたデパートに聞いてみたのさ。桐谷さんっていうバイヤーさんはいますか?って」

 

昨日イッセーは駒王デパートに伺ってみたが、桐谷と言う男は半年前程に行方不明でとっくに解雇されてる………と。

 

「本物の桐谷さんは半年前のサバトで亡くなってた…………そこでお前は生まれた。違うか?」

『貴様……儀式の生き残りか!?』

「さぁてね。お前に答える必要はないよ」

《ドライバーオン・プリーズ》

「人の心の優しさを利用して踏みにじるその傲慢さ……万死に値するわ!イッセー!」

《シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

リアスが啖呵を切ると、イッセーはウィザードライバーのバンドオーサーを操作。

「了解です、変身!」

《フレイム・プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

 

生成された魔方陣を潜り、イッセーはウィザードFSに変身。

そのままヴァルキリーに突撃した。

 

『ぬぅ!邪魔をするなァ!』

「やだねっ!部長、アーシア!今のうちに二人を!」

「ええ!」「は、はい!」

 

何とか二人からヴァルキリーを引き剥がした隙に、リアスとアーシアは松木と徹也を連れてその場から離れる。

 

だがヴァルキリーは1つ解せない事があった。

 

『…………何故、絶望しない?ショックを受けている筈……何か他に希望があると言うのか!?』

 

そう、松木は絶望していないのだ。

混乱するヴァルキリーに、ウィザードFSからの攻撃が入る。

 

「へっ、お前にはわかんねぇだろうさ!」

『ぐっ、小癪な……!』

 

歯軋りするヴァルキリーは翼を広げ、空中から攻撃を仕掛ける。

 

「ちっ!……どうする?」

 

腕を伸ばしても距離には限界がある。

策が見つからないウィザードFSに、リアスとアーシアが何かを投げ渡した。

 

「イッセー!」

「受け取って下さい!」

「おっ!?………………完成したか!おっちゃん仕事速いな~」

 

それは、装飾が少し豪華になったハリケーンウィザードリングと、龍と稲妻が描かれた魔法のウィザードリングだった。

 

 

 

 

~~~~

 

先日のヘルハウンドの戦いを終えたとき、イッセーはあるものを回収していた。

 

『魔法石………』

 

それは大きい緑の魔力が宿った石ーーーー魔法石だった。

イッセーはそれを回収すると、ゼノヴィア達との一騒動の後に、この魔法石を茂に渡した。

 

『おっちゃん、これで指輪出来る?』

『んん………この大きさなら二つ出来るな』

『マジで!?』

『あぁ。だけど少し時間が掛かるが………大丈夫か?』

『全然良い!』

 

そして先程完成し、イッセーが知らない間にリアス達に渡されていたのだった。

 

 

~~~~

 

「うしっ!早速使ってみっか!」

 

ウィザードFSはウィザードライバーを操作し、先程のウィザードリングーーーーハリケーンドラゴンリングを翳した。

 

 

 

《ハリケーン!ドラゴン!ビュー!ビュー!ビュービュー、ビュービュー!》

 

途端に凄まじい風……いや、嵐が吹き荒れ、ウィザードFSの身体を包んでいく。

そして風が消えると、ウィザードはその姿を大きく変えていた。

 

 

緑のローブに、両肩の魔法石、更に鋭さを増したような仮面ーーーーウィザード、ハリケーンドラゴン。

 

 

『パワーアッブ、だと……?』

《コピー・プリーズ》

「ハァッ!」

『グガァ!』

 

呟いたヴァルキリーに答えず、ウィザードHDはコピーでウィザーソードガンを増やすと、空中のヴァルキリー目掛けて2丁拳銃の様に蜂の巣にした。

 

『ぐ、おのれぇ………!えやぁぁぁぁぁ!!』

 

ヴァルキリーは怒り狂い、鋭い光弾を放つも、全てウィザードHDの操る風に相殺された。

 

『なっ!』

 

驚くヴァルキリーを他所に、ウィザードHDは赤いウィザードリングーーーースペシャルを爆炎の中、使用した。

 

 

 

 

《チョーイイネ!スペシャル・サイコー!》

 

 

すると、ウィザードHDを包む爆炎を振り払う様にして、背中から鋭いドラゴンの翼が生えた。

 

『き、貴様も空を………!?』

「さぁ、ショータイムだ!」

 

何時もの決め台詞を決めると、ウィザードHDはヴァルキリーを体当たりで吹っ飛ばした。

 

『ぐあっ!………調子に乗るなぁぁぁ!!』

「ふっ!」

 

そのまま二人は空中で壮絶な鬼ごっこを開始する。

ヴァルキリーとウィザードHDの翼がぶつかり合い、周囲の建物を避け、剣を交わす。

 

「おぉッ!」

『ぐはぁ!!』

 

だがウィザードHDは手慣れた様子でヴァルキリーの上を取り、蹴りを入れ込んだ。

 

『貴様、何故そんなに………』

「悪いけど、空を飛ぶのは初めてじゃないんだよね~」

《ルパッチマジックタッチゴー!ルパッチマジックタッチゴー!》

「フィナーレだ」

《チョーイイネ!サンダー・サイコー!》

 

ウィザードHDは二つ目の指輪ーーーーサンダーウィザードリングを使い、ヴァルキリーの周囲を高速で旋回する。

 

『な、何を………………?』

 

訳が分からないヴァルキリーだっだが、突如稲光が聞こえ上を向くと、雷が立ち込めていた。

 

ウィザードHDは更にスピードアップして、発生させた風によってヴァルキリーを上へと押し上げる。

 

『なっーーーーーーーー!!』

 

あれよあれよと言う間に一番上に押し上げられたヴァルキリーは発生した緑色の雷を諸に喰らい、悲鳴を上げることなく爆発した。

 

 

 

「……ふぃ~」

 

地上に着地したウィザードHDは、何時もの安堵の息を吐いた。

 

 

 

~~~~~~~~~

 

「親方、すみません!俺のせいで……」

 

無事にファントムを倒し終えたが、「きぼう」はヴァルキリーによって潰された。

が、

 

「徹也」

「……1つ、無事だ」

松木が饅頭の箱を差し出すと、そこには1つだけ、無事な姿の「きぼう」が。

松木は微笑むと、徹也に言い放った。

 

「これ、作り直して俺の所に持ってこい」

「…え?」

「早くしろ!」

「は、ハイぃぃ!」

 

怒鳴られた徹也は慌てて店へと戻って行った。

 

「良かったら、来るかい?」

「え?」

「宜しいのですか?」

「あぁ。アイツの饅頭、評価してやってくれ」

 

 

 

 

 

「……どうぞ」

 

数分後、作り直した饅頭を松木達に差し出す徹也。

松木達はそれを一口食べた。

 

「……………………美味い」

「…!」

「合格だ、徹也。これで晴れて、一人前だ」

「親方……!」

 

認められた嬉しさで涙を流す徹也。

そしてイッセー達も感想は同じく、

 

「美味いっすよ!」

「はい!凄く美味しいです!」

「うん……これなら、お店を出せることだって出来ますわ」

「い、いやぁ……」

「なぁーに浮かれてんだ!良いか、この店はもう閉店しちまうが、お前は俺の知り合いの所で続けろ!」

「親方……」

「松木庵の味…………全てお前に託したぜ」

「……ありがとう、ございましたっ!!!」

 

 

 

 

「俺が、親方が作れない分まで頑張るよ。俺は親方の希望だからな」

「その通りですよ!それと、徹也さん、また買いに来ます」

「お店が遠くなっちゃうのは残念ですけど………でも、絶対に来ますね!」

「何時でも来てくれよ。腕によりを掛けた饅頭、食わせるからさ!」

 

イッセー達にお礼を言うと、徹也は晴れやかな顔で松木庵を後にした。

 

「イッセー、分かってたの?」

「何がです?」

「松木さんの事よ。徹也さんが、松木さんの心の支えだってこと」

「あぁ~。まぁ、憶測でしたけどね。でも、徹也さんなら、親方さんの希望になってますよ。これからも」

「…………そうね」

「また今度は、オカルト研究部の皆さんと一緒に食べたいですね」

「そうだな!朱乃さんのお茶と合いそうだしな~……って、二人とも。何でそんなにしかめっ面なの?」

「……部長さん。私、お茶の入れ方を勉強します!」

「そうね…………二人で頑張りましょ!」

「???」

『ハァーア、こいつは全く……』

「何だよドライグ!その溜め息は!!」

 

 

 

 

 

 




いやぁ~ウィザードって結構良いストーリーが多いですね
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