ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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いやー、お待たせしました


MAGIC31『ヴァンパイアの指導方』

よぉ皆、イッセーだ。

今は授業参観の翌日の放課後なんだけど、俺達グレモリー眷属は旧校舎一階の所謂「開かずの間」と言われる部屋の前にいた。

 

何でもこの閉めきった扉の向こうに、もう一人の『僧侶』がいるらしい。

 

とは言っても俺やアーシア、そしてゼノヴィアも一切その眷属については聞かされてない。

 

まぁ俺が悪魔になるよりも前にいたらしいけど………

何でもソイツが持つ能力が危険視されて封印されてたんだと。

 

 

以前までの部長の技量では扱いきれない為に封印されていたけど、ここまでで色々な死闘を潜り抜けて来た故に、今ならば大丈夫だろうとの事で解禁されるらしい。

 

 

……もう何つーか危ない感じだよな。

扉に『keep out!』のテープが幾重にも貼られてるし。(おまけで呪術の刻印も)

 

『ドライグ、どんな奴だと思う?』

『さぁね。俺にも想像がつかんよ』

 

俺がドライグと話してる内に封印を解きながらではあるが部長から説明された。

 

「一日中ここに住んでるの。一応深夜には術が解かれて旧校舎だけなら部屋から出ても良いのだけれど……中にいる子自身がそれを拒否してるの」

「それって…………要するに引きこもり?」

 

俺がそう聞くと、部長は溜め息を吐きながら頷いた。

マジかよ…………。

 

「ですが中にいる子は眷属一番の稼ぎ頭なのですよ」

 

へぇー、そうなんだ。

引きこもりで稼ぎ頭とは……ウゴゴ。

 

『と言うとパソコンでの特殊な契約か?』

「そうですわ。中には私たちに会いたくないという人達もいますので、別の形で交渉して関係を持つのです」

 

ネットビジネスは悪魔界にも浸透してんだな~。

……と、気付けば刻印も消え去り、ただの扉となっていた。

 

「どんな人なんでしょうか?」

「アーシアと同じ僧侶だもんな~、仲良く出来ると良いな!」

「はい!」

 

と話してると部長が扉を開けるとーーーー

 

 

 

 

 

 

「イヤァァァァァァッ!!」

 

 

うおっ!?キーボードクラッシャーか!?

何かとんでもない声量での絶叫が聞こえたんですけど!

 

 

けど部長は驚くことなく中に平然と入っていった。

すると暫くして話し声が聞こえてきた。

 

『元気そうで良かったわ』

『な、な、何事ですかぁぁぁ!?』

 

んー、中性的な声だな。

何かスゲー狼狽えてるな。

 

『狼狽えるな小僧どもーーーー!!』

 

やんなくて良いよ!教皇シオンは冥界に帰って!

 

『あらあら、封印が解けたのですよ?もうお外に出ても大丈夫ですのよ』

 

おぉ!朱乃さんの優しい声だ!

だけどーーーー

 

 

 

『いやですぅぅぅ!!ここが良いですぅぅぅ!』

 

 

………………重症だな、オイ。

 

 

 

『相棒、見てみようぜ』

 

そーだな。俺は恐る恐る部屋の中に入ると…………

 

 

 

 

 

「おぉ…………?」

 

 

何と言うか、女の子っぽい飾り付けでビックリ。

だけどカーテンも閉めきられており、如何にも引きこもりっぽい部屋だ。

 

そして何より目立つのが、

 

 

「棺桶…………?」

 

そう、部屋の隅に置かれた大きな棺桶が安置されていた。

何かこの飾り付けとミスマッチだよな…?

 

『何か呪術的な趣味でもあるんじゃねーか?その眷属』

 

もしそうだとしたら仲良くやってける自信ねーよ…。

そう思い部屋を見渡すと、部屋の奥に部長と朱乃さんがいた。

もしかしてそこにいるのかね?

 

 

更に近付いて見ると、そこには

 

 

 

 

「あぅぅ…………」

 

 

月の光に照らされた、金髪の赤い瞳をした女の子がいたのだっ!

か、可愛いっ!!

 

「外国の女の子じゃないですか!!」

『やるじゃねーかリアス・グレモリー!!』

 

俺もドライグも嬉しそうに叫ぶ!

そりゃ嬉しいよ!金髪のダブル僧侶だもん!!

 

「イッセー、その子……見た目は女の子だけれどちゃんとした男の子よ」

 

だが部長は首を横に振りながらそんな事を仰った…………へ?

 

 

「『え、あの部長/リアス・グレモリー、今なんと…………』」

「男の子よ」

「女装趣味があるのですよ」

 

 

 

 

刹那、

 

 

 

 

 

 

 

「『ウゾダドンドコドーン!!!』」

「ヒィィィィィ!!ゴメンなさぁぁぁい!!」

 

俺は地面に手を付いて嘆いた!!多分ドライグもortの態勢に違いない!!

そして俺達の叫びにビックリして悲鳴を上げる女装少年!たがそんな事はどうでも良い!!

 

マジかよ!これで男か!?

何処をどう見たって女の子じゃん!!

 

『相棒!コイツにナニが付いてるか確認しろぉぉぉ!!!』

「おぉぉぉぉ!!」

「ヒィィィィィ!!乱暴しないでぇぇぇ!!」

 

俺は金髪女装少年(仮)の股間に手を当てると…………その容姿にあってはならないモノが付いていた…っ!

 

「これが、絶望か…………!」

『くそぅ……何故神はこう無慈悲なんだ………!?』

 

ドライグ、神様はいねーんだよ……!

 

「オイお前!何で引きこもりなのに女装してんだよ!?」

『そうだそうだ!誰に見せる訳でもないだろうが!何で俺達に無駄に夢を見せたのだ!?』

 

俺達の言い分に女装少年は反論する。

 

「だ、だって、女の子の服の方が可愛いもん…………」

「可愛いもん、とか言うなやぁぁぁ!!!」

『返せ!俺達の夢を!金髪ダブル僧侶を一瞬でも夢見た感動を返しやがれぇぇぇ!!』

「人の夢と書いて、儚い…………」

「『ウァァァァァァァ!!!』」

 

俺達は某ダディヤナザン宜しく絶叫する!!

女の子だと思ったら、実は女装少年でした!なんて笑えるかよぉぉぉ!!!

 

 

「と、所で、この方は誰ですか?」

 

女装少年が俺やアーシア、ゼノヴィアをチラ見して聞くと部長はソイツに説明した。

 

「あなたがここにいる間に増えた眷属よ。『兵士』の兵藤一誠、『騎士』のゼノヴィア、そしてあなたと同じ『僧侶』のアーシアよ」

 

まぁ取り合えずは挨拶をするが、女装少年は「人が増えてるぅぅぅぅ!!」と言って怖がるだけ…………対人恐怖症も発症してるのか?こりゃ大変だぞ。

 

「お願いだから、外に出ましょ?もうあなたは自由なのよ?」

 

それでもめげずに部長が優しく言うが……

 

「嫌ですぅぅ!僕に外の世界なんて無理なんだぁぁぁぁぁ!怖い!お外怖いぃぃぃ!!」

「オイお前」

 

何か腹立ってきた。部長がこんなにも説得してるのに、無理だ無理だって決めつけて……

 

「部長が外出ろって言ってーーーー」

「イヤァァァァァァ!」

 

 

すると一瞬、時が止まったかの様な錯覚を感じた。

それは直ぐに消えたけど、相変わらず女装少年は俺から離れようともがいてる。

 

…………ん、アレ?皆は…って!

 

「何だこりゃ…!」

 

皆、石像になったかの様に動いてなかったのだ!

まさか、今の錯覚が!?

 

「お前、今何したんだ?!」

「ぐぅぅぅ…………って、止まってない?」

 

その子は驚いてるが、俺はそれ以上に驚いてる。

すると全員が再び動き出した。

 

「部長、コイツ今……」

「その子は興奮すると、視界に映した全ての物体の時間を停止させる神器を持ってるの」

 

時間、停止…………?チートじゃん!

じゃあさっきの違和感は、俺達の時を止めたのか…………って、何で俺は動けたんだ?

 

『見た所、その力は格上過ぎる相手や少し上の相手には効かない様だな』

「ってことは、俺には通用しないって事か?」

『あぁ』

「彼は神器の力を制御出来ないので、大公及び魔王サーゼクス様の命でここに封じられていたのです」

 

成る程ねぇ。確かに制御出来ないのに外に出してたらあらゆる時間を止めちまうもんな。

言うまでもなく凶悪だ。

 

 

と、ここで部長は女装少年を優しく抱き締めて、その子の紹介を行った。

 

 

「この子はギャスパー・ヴラディ。私のもう一人の『僧侶』。一応駒王学園の一年生なの。そしてーーーー転生前は人間と吸血鬼のハーフよ」

 

 

 

 

 

何と、新しい後輩は女装趣味を持った吸血鬼だった。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

停止結界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)?」

『ほう、もしやと思っていたが…………中々の上玉だな』

 

あの後どうにかギャスパーを外に連れ出すと、部長からギャスパーに宿っている神器の名前を聞いて、先程までへこたれていたドライグが感心したかの様に呟いた。

 

『だがリアス・グレモリーよ。よく眷属に出来たな…………って、まさかあの』

「えぇ。『変異の駒』よ」

 

変異の駒って…………俺にも使われたアレか。

 

『成る程。だから駒一つで済んだ訳だ』

「どういう事だ?ドライグ」

『ハーフとは言え、恐らくコイツは由緒正しい吸血鬼の家柄だろう。強力な神器は人間としての部分で手に入れている。吸血鬼本来の力も有してるだろうし、恐らくは魔術にも秀でてると見た。とてもではないが、駒一つで転生は出来んだろうさ』

「流石は赤龍帝ね…………全部その通りよ」

 

うへぇ、そんなにスゲーのか。この引きこもり君は。

そしてそのギャスパー本人は部屋から持参した段ボールにまた引きこもってるが。

 

『吸血鬼は家柄によっては人間の魔法使いが使う魔術にも秀でるんだよ。あ、相棒の使う魔法じゃないから』

 

わーってるよ。っつーか俺悪魔だし。

 

「そう言えば、日の光とかは大丈夫なんですか?」

「彼はデイウォーカーと呼ばれる日中活動できる特殊な吸血鬼の血を引いてるの。でも苦手ではあるそうだけど…」

 

そんな吸血鬼いるんだな……。

 

「日の光嫌いですぅぅ!太陽なんて無くなっちゃえば良いんだぁぁぁぁぁぁ!」

 

太陽無くなったら俺達生きて……行けたわ。悪魔は夜行性だしな。

特にコイツは二重でキツいんだろうな~。

 

「……へたれヴァンパイア」

 

おおう、小猫ちゃんの容赦ない毒舌。

もっと言ってやれ!

 

「うわぁぁぁん!小猫ちゃんが苛めるぅぅぅ!」

 

でも言い返さない辺り、自覚はあるんだな。

それだけでも良いと思うぞ、ギャスパー!

 

 

こりゃどうした物かねぇ……………………?

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

さて、部長は朱乃さんを伴って今度開かれる三竦みのトップ会談の会場打ち合わせの為にその場から居なくなった訳だが…………(木場?サーゼクス様に呼ばれてたよ。聖魔剣の事だってさ)

 

 

 

「ほーれ、走れー。でないと一発で昇天だぞー」

「ヒィィィィィ!滅ぼされるぅぅぅ!!」

 

旧校舎にて吸血鬼を追いかける聖剣使いの光景…………どう見ても吸血鬼狩りです本当に(ry

 

「止めんかゼノヴィア!」

《バインド・プリーズ》

「あぅんっ!」

 

俺はギャスパーを追いかけ回すゼノヴィアをバインドで拘束する。

 

「い、イッセー…………これは、俗に言う緊縛プレイなのか///?」

「んな訳あるかっ!!」

 

……まぁ、何故ゼノヴィアがギャスパーをデュランダル振り回して追っ掛けたのかは訳がある。

 

三竦みのトップ会談の会場打ち合わせに行く前、俺達はギャスパーの教育を部長に任されたのだ。

そんでどうしようか四苦八苦してたら、ゼノヴィアが「任せてくれ」と自信満々に告げたので任せたら…………こう言う結末だ。

 

「イッセー先輩、私に妙案があります…………」

 

お、小猫ちゃんが挙手した。こりゃ何か策があるんだな。

 

「うし!じゃあやってみてくれ」

「はい…………」

 

と、小猫ちゃんは懐からビニール袋を取り出すと、中から何かを取り出した…………って、ニンニク?

 

「小猫ちゃん……それ」

「ギャーくん、ニンニクを食べれば、健康になれる…………」

「やぁぁぁぁんっ!ガーリックらめぇぇぇぇ!!」

 

小猫ちゃんはギャスパーにニンニクを見せつけながら延々と追いかけ回し、ギャスパーは必死で逃げる…………これ何てデジャヴ?

 

あーもう!

 

「小猫ちゃん、タンマ!」

《バインド・プリーズ》

「にゃっ!?」

 

全くもう…………

 

「良いかい?部長はあくまでギャスパーの人嫌いを少しでも緩和してみてくれって事で教育を任せたんだぞ。それを度胸付けさせる体で追っかけ回しても、逆効果だろ?」

「うっ…………」

「だ、だが…………やはり先ずは度胸を……」

「その結果があれだろ」

 

俺が指差した先に展開されてたのは、段ボールに再び引きこもったギャスパーと何とか宥めるアーシアという絵だった。

 

「うぅ、皆して僕を苛めるんだ…………もう嫌だよぉぉぉぉ!」

「ぎ、ギャスパー君。大丈夫ですか~?」

「余計に拗らせちゃったじゃんか…………」

「おーっす!グレモリー眷属!」

 

と、そこへ生徒会の匙が現れた。

 

「よーっす、匙」

「よっ、兵藤。解禁された引きこもり眷属がいるとか聞いたからちょっと見に来たぜ」

「おぉそっか。ほーれギャスパー、顔ぐらい見せてやれー」

「きゃんっ!?」

 

俺は無理矢理ギャスパーを段ボールから引っ張り出して座らせると、匙は嬉しそうに叫ぶ。

 

「おー!アーシアちゃんと同じ金髪の女の子か~!羨ましいぜ兵藤!」

「男だけどな」

「…………え?」

「女装野郎だよ」

「ウゾダドンドコドーン!!!」

 

匙も俺達同様膝を付いて項垂れた。まぁ、気持ちは分かるぜ。

 

「どうどう。俺もお前と同じ気持ちだったよ」

「兵藤……!」

 

うん、やっぱコイツとは波長合うわ。

良いダチに巡り会えたぜ!

 

「ってお前は何してんだ?」

「俺か?花壇の手入れだよ。学園を綺麗にするのは生徒会の『兵士』たる俺の役目だからな!」

「要は雑用か」

「…………ハハハ。何を馬鹿な事を兵藤君。雑用等会長が俺に押し付ける訳が…………ハァ」

 

お前も自覚あんじゃねーか…………悪いこと言ったかな?

…………っと、お偉方のお出ましだな。

 

 

 

 

 

「ほぉー、魔王眷属の悪魔達はここでお遊戯してる訳か」

「一応特訓なんだけどな……アザゼルさん」

『!?』

 

俺がその名を言うと、全員臨戦態勢に入った。

アーシアは俺の後ろに隠れ、ギャスパーは木の木陰…………まぁ、コイツがいきなり喧嘩吹っ掛けはしないだろうが、一応は赤龍帝の籠手を展開する。

 

「ん?あんまり驚いてないな、赤龍帝」

「まぁ何となく気配してたからね」

「ひ、兵藤!アザゼルって…………!」

「安心しろよ。格上がいきなり喧嘩する訳ないから……だろ?アザゼルさん」

 

俺の言葉にアザゼルはその通りだと言わんばかりに頷いた。

 

「で、何の用?ヴァンガードならまた今度にしてくれよ」

「や、それはまた後日に…………新しいデッキ組んだから」

 

ほぉ、それは楽しみだ。

どんなデッキでも俺のオーバーロードで焼き尽くしてやんよ!

 

「聖魔剣使いはいねーのか?」

「木場なら留守だぜ」

「何だ。折角来たってのに……っと、そこのヴァンパイア」

「ヒッ!?」

 

アザゼルは木陰に隠れてたギャスパーをジッと見つめた。

まぁ当然ギャスパーは震えまくってるが。

 

「停止結界の邪眼の持ち主なんだろ?ソイツは使いこなせないと害悪になる代物だからな。五感から発動する神器の持ち主のキャパシティが足りないと自然に動き出して危険極まりない」

 

ギャスパーの眼を覗き込む様にして言うアザゼル。

何か、やけに詳しいな。

 

そしてアザゼルは今度は匙の方を振り向いて、匙の神器『黒い龍脈』を指差した。

 

「それ、『黒い龍脈』か?練習ならそれを使ってみろ。このヴァンパイアに接続すれば暴走も少なくなって練習にもってこいだ」

 

へぇ、アレ縛るだけじゃないんだ。

その説明に匙も驚いていた。

 

「お、俺の神器で、相手の神器の力も吸えるのか?」

「ったく、これだから最近の神器所有者は自分の力をろくに知ろうとしないな……。『黒い龍脈』は伝説の五大龍王の一角、黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)ヴリトラの力を宿してんだ」

『ほぉ、ヴリトラか』

 

知ってんのか、ドライグ?

 

『あぁ、奴の力は中々侮れなかったぜ。ま、また今度教えてやんよ』

「それに、成長すればラインの数も増える。そうなりゃ吸い取る力も倍々って訳だ」

 

案外高性能だな…………こりゃ油断してるとヤバイな。

 

「んじゃな。頑張れよ、悪魔君達」

 

それだけ言うとアザゼルは去っていった。

 

 

 

 

そして、アザゼルの言うとおりにしてみたら、本当に暴走も少なく捗った。

まぁふとした拍子に誰かを見ちまって停止させたとかもあったけど。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

んで、次の日の夜。

 

「ギャスパー、出てきてちょうだい。イッセーに連れていかせた私が悪かったわ」

 

ギャスパーの部屋の扉の前で部長が謝っていた。

 

「イッセーと仕事をすれば、もしかしたら貴方の為になると思って……」

『ふぇぇぇぇんっ!』

 

ん?何でこんなことになってるかって?

いやね、大分練習した後で俺がギャスパーを仕事に連れていっても良いか?って頼んだんだよ。

まぁそこまでは良かったんだけど…………森沢さんが予想以上に反応してしまって、俺でさえもビビった。

 

そして森沢さんを一瞬だけ停めてしまった……という訳だ。

 

 

『ぼ、僕は、こんな力いらないっ!だ、だって、皆停まっちゃうんだ!怖がる!嫌がる!僕だって嫌だ!と、友達を、仲間を、停めたくないんだ…………!大切な人の停まった顔を見るのは、も、もう嫌だ……!』

 

そう言ってすすり泣くギャスパー。

 

「困ったわ……またこの子を引きこもらせてしまうなんて…………。『王』失格ね、私」

 

部長は悲しそうにそう呟く。

違う。部長も、ギャスパーも悪くない。悪いのは……俺だ。

 

「部長、ギャスパーの事…俺に再び任せてくれますか?」

「イッセー…?」

「部長この後、サーゼクス様との打ち合わせでしょ?大丈夫です、何とかして見せますから!」

 

俺の申し出に、部長も強く断れなかった。

そりゃこの打ち合わせもとても大切だからな。

 

「……分かったわ。お願いできる?イッセー」

「はい!」

 

部長は微笑んで頷くと、その場を後にした。

 

「さぁーて……ギャスパー!お前が出てくるまで、俺もここを動かないからな!」

 

まぁ色々考えたけど、やっぱこれが一番手っ取り早いだろうな。

そう、座り込み!

 

 

 

…………一時間後。

 

 

ぐっ、中々出てきてくれないな…………。

まぁ座ってるだけじゃ駄目だよな。

 

「……なぁ、怖いか?神器の力が」

『……』

 

俺は返事がないのも無視して語りかける。

 

「確かに力が怖いのは分かるぜ。俺も昔はそうだった……けどな、何時までも怖がってる様じゃ、ダメだ。何時かは、その力を飲み込まなきゃならない。ギャスパー、それは今なんだ」

『…………で、でも、先輩は強いから、僕みたいに弱くないから、制御出来るんです……』

 

強い、か…………。

 

「結構買い被られたな~、俺も。…………ギャスパー、俺は強くなんてないよ。寧ろーーーー弱いと思ってる」

『っ』

 

お、少し反応アリだな。

 

「皆から見たらそりゃ強く映ってる様に見えるんだろうけどな、本当は何時もビクビクしてんだぜ?何時この力に溺れて、ダメ人間になるんだろう……ってさ」

 

ガチャ…………と言う音と共に、ギャスパーが部屋から少し顔を覗かせた。

 

「じ、じゃあ、先輩はどうして、真っ直ぐに立ち向かえるんですか……?」

「んー…………死んだ父さんと母さんが教えてくれたんだ。俺は皆の希望なんだって」

「希望……?」

 

眼をぱちくりさせながらそう呟く。

 

「あぁ。俺が元気に振る舞えば、それだけで皆明るくなれるってな。それにーーーー人が絶望する光景は、もう見たくないんだ」

 

サバトの様な光景は、二度とゴメンだからな。

 

「その希望の俺がへこたれてたら、皆も不安になっちまうからな。皆がいるから、俺は前を向ける」

「……」

「その皆には、お前も含まれてんだぜ?ギャスパー」

「っ……」

 

ギャスパーは驚いた様に息を飲んだ。

 

「だから、俺はお前から逃げない。どんどん頼ってくれよ。これでも実生活じゃ先輩だぜ?お前の怖がる物、全部ブッ飛ばしてやるよ!」

 

俺はギャスパーの頭をガシガシ撫でて、不安を消せるような笑顔で言う。

 

「だから、約束するよ。俺がお前の、最後の希望だ。お前が泣いてたら、一目散に駆けつけるよ」

「イッセー、先輩…………」

 

……べ、別にドキッとなんてしてないからな!

 

「それにさ、俺はお前の能力が羨ましいけどな」

「えっ?」

 

心底驚いたと言う反応…………でも驚くか?

 

「だってよ、停めれるって事はさ、女の子の時間も停めて視姦し放題だろ!?そんでもっておっぱいとか触れたらーーーーうはっ、ヤベェ!…………って、ゴホン!」

 

しまった、つい本音が…………

『何でお前は何時もそっちに行くかねぇ……』

「うるせぇドライグ!……ま、まぁ兎も角だ。例えばさ、鉄骨が人の頭上に落ちてきたとするだろ?お前がその力を使いこなせたら、鉄骨だけを停めれて、その人は助かるだろ?他にもさ、ぬかるんだ道で滑った人を停めて、何とか元の位置に立たせたりさ…………そうやって人助けにも使えるって思ったら、スゴいと思わないか!?」

 

これも俺の本音だ。赤龍帝の籠手じゃ、そこまで人助けには向いてないからな。

 

「……優しいですね、イッセー先輩」

 

すると、ギャスパーは微笑んで此方を見ていた。

 

「僕、一度もこの力を、良い方向に向けれなかったのに…………先輩のお陰で、少しだけ希望が見えてきた気がします」

「へへっ、そっか!それで良いんだよ!要は気持ちの問題だ!」

「……はい!」

 

よーし、良い返事だ!

 

「よーし、じゃあ親睦を深める意味を込めてーーーー猥談でもするか?」

「わ、猥談……ですか?」

「おうよ。まぁ自分の性癖を暴露したりするみたいな軽いもんさ」

 

やっぱ話し合いが一番だよな~。

 

 

 

その後から来た木場も交えて男三人で猥談を始めたがーーーー収穫が一つ。

 

 

 

 

 

木場も意外にスケベだった。

 

 

 

 




この作品を読んでいる方々のどれだけが聖闘士星矢に詳しいのだろうか
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