ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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休日なのにお金がないのと天気が悪いので連投です


MAGIC40『明日の命、今日の命』

ゲートである及川を取り合うように揉めるヒドラ、ウィザードWD、ビースト。

 

「どけっ!」

「お前がどけよ!」

『えーい、どけっ!』

「うぅーん…………ハッ!」

 

そうしている間に気絶から目覚め、逃げ出す及川。

 

「あーっ!こうなったら……」

《ファルコ!ゴー!ファ・ファ・ファ・ファルコ!》

 

何を思ったか、ビーストはファルコマントを装着し、展開された八角形の魔法陣を潜ると飛翔、及川を小脇に抱え空に。

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「ゲートは預かるぜ!」

「『あっ!!』」

 

そう言って離脱していくビースト。

肝心なゲートを連れ去られてしまったヒドラは、

 

『チイッ…また出直しだ!』

 

舌打ちを残してその場から逃走。

一方のウィザードWDはヒドラを追わずに変身を解いた。

 

「あんのバカマヨネーズ……!」

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、マヨネーズ君がゲートを!?」

「はい……ファントムに嘘を吹き込まれたみたいで」

 

結局足取りも分からないので、イッセーは家に帰りリアス達に報告。

 

『名前で呼ばれてねぇなあのマヨネーズ少年』

『貴様もマヨネーズ呼ばわりしてるだろうが』

「……兎に角、ゲートの人とマヨネーズ君を探さなきゃ。…あら、小猫」

 

そう意気込んだリアスの後に、小猫が帰って来た。

 

「お、お帰り小猫ちゃん」

「……イッセー先輩、これ」

 

小猫は懐から、先程白い魔法使いに渡された黄色い魔宝石を手渡す。

 

「魔宝石!?小猫ちゃん、これ何処で手に入れたの!?」

「あの白い魔法使いが、茂さんにと………」

「…指輪を作れって事か。ま、俺が持ってても仕方ないからな」

 

そう言って、イッセーは隣に住む茂に魔宝石を渡しに行った。

 

「…で、小猫。何かゲートの情報は得られた?」

「それなんですが………」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

都内のBBQ場。焼きあがった焼きそばを器に入れると、たっぷりマヨネーズをかけ、

 

「おぉ……よ~し」

 

それを及川に出す吼介。

 

「ほい。お待たせ」

「いらん」

「あれ?マヨネーズ嫌いな人?」

 

断られた吼介はそれを自分で食べることに。

 

「私を誘拐してどうするつもりだ。金目当てなら見当違いだ」

「んぁ?ああ、違う違う!俺が欲しいのは……あんたの中のファントムなんだ」

「ファントム?何だ、それ?」

「一つだけ教えてくれ。どうすれば、あんたの中からファントムが生まれるんだ?」

「……はっ?」

 

沈黙。

 

「…………や、何か、あんだろ!ほら、あの……呪文とかさ。月の満ち欠けとか?」

「…ハァ」

 

事情を何も知れない及川からすれば、吼介は意味の分からない言葉を並べられている様なものだ。

スケッチブックや画材を抱え、立ち上がる及川。

 

「あ、おい!どこ行くんだ?」

「家に帰る。君の妄想には、付き合ってる暇はない」

「お、おい!ちょっと待てよー!」

 

慌てて及川の後を追い掛ける吼介。

 

 

 

 

家へと帰って来た及川と、それについて来た吼介。

 

「ただいま」

「おじゃましまーす!」

「どうやら、面倒な事に巻き込まれたみたいなんだ。変な奴もついて来るし……すまんね」

「誰と話してんだ?」

 

ここにはいない誰かに語りかける様に話す及川に訝しげながら尋ねる吼介。

すると、吼介が及川の前にはある女性の肖像画を発見した。

 

「誰?」

「妻だよ」

「えっ!?これが奥さん?」

 

どうやら及川の妻の肖像画らしい。

 

「そうだ。妻は体が弱くてな。毎日、絵を描きながら話すのが、私と妻の日課だった」

 

 

 

 

 

『もし、私がいなくなったら……その絵、ここに飾ってね』

『いなくなったらなんて……馬鹿な事、言うなよ』

 

 

 

 

「じゃあ、奥さんは……」

 

事情を察した吼介に、及川は力なく頷く。

 

「ああ。妻が死んでから、私は絵が描けなくなった」

 

そう語る及川の横顔は、

 

「今の私にはもう、何もない。その絵と話す事だけが、私の生きる希望なんだ」

 

吼介の目でも分かる程悲しそうに映っており、吼介は掛ける言葉が見つからなかった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

茂に魔宝石を任せたイッセーはマシンウィンガーを駆り及川と吼介を捜索するも、一向に見つからないでいた。

 

「くっそー、せめてアイツの魔力を探知できたらなぁ…………ん?」

 

と、そんなイッセーの元に昼間なのに蝙蝠が。

 

『イッセー、聞こえる?』

「部長!?……あぁ、使い魔か」

『ゲートの事が分かったわ!名前は及川博さん。結構有名な画家さんらしいわ』

「よく分かりましたね…」

『小猫が地道に聞き込みをしてくれたお蔭よ』

 

それを聞いたイッセーは、今度ご飯を奢ってあげようと決意した。

 

『私も及川さんの家に向かうから、そこで合流しましょう』

「了解っす!」

 

パタパタと去っていく蝙蝠を見届けた後、イッセーは及川の家に向けてマシンウィンガーを走らせる。

 

 

 

 

 

数十分後、及川家のチャイムが鳴った。

 

「あっ、待って待って。俺が出る」

 

及川の代わりに玄関のドアを開ける吼介。

 

「ちわーっす、魔法使いでーす」

 

そこにいたのはイッセーとリアスと朱乃。

 

「あっ、どうも~!魔法使いなら間に合ってますんで、はい。失礼しま…ギャァァァァァ!!」

 

扉をにこやかに閉めようとした吼介に、イッセーは容赦なく、そして迅速に目潰しを喰らわす。

 

「部長、朱乃さん。お願いします!」

「や、やり過ぎじゃない?イッセー」

「大丈夫っす、コイツ馬鹿なんで」

 

激痛に蠢く吼介をイッセーが外に追いやると、リアスと朱乃が「「失礼します」」と玄関に入る。

 

「な、何ですか?」

「及川さんですよね?ちょっと、お話があります」

 

リアスが少し魔力を当てると、及川は催眠に掛かったかの様に静かにリアス達に席を譲る。

 

「どうぞ」

「失礼します。私達は、あなたを守りに来たんです」

 

リアスは及川に掛けた催眠を解き、朱乃と一緒に事の顛末を説明する。

 

 

その間に、イッセーは改めて吼介にゲートの事を説明する。

衝撃の事実を突き付けられた吼介は、激しく狼狽する。

 

「何だと?!じゃあ、何か?ファントムが生まれるって事は……あのおっちゃんが死ぬって事か?」

「そうだ。ゲートが絶望した時にファントムが心の中で生まれ、ゲートの全てを奪って現実に現れる。夢も希望も、その命も奪ってな」

「嘘だろ……」

 

ショックの余り、その場にへたり込む吼介。

 

「ったく、簡単に騙されやがって。お前は中学時代から騙され上手だったっけな。分かったら、もうゲートにファントム産めなんて無理難題吹っ掛けんなよ」

「待てよ!じゃあ、俺はどうなんだよ!?俺はファントムの魔力を食わないと、明日をも知れない身体なんだぞ!」

「ゲートの命は明日じゃない。今、危ないんだ。そして、それはお前もだろ?」

「えっ?」

「明日の命より……まずは今日の命だ」

 

それだけ伝えると、イッセーは及川家の中に戻っていった。

それを見届けた後、吼介は後ろに倒れ込む。

 

「こっちは一応伝えました」

「こっちも伝えましたわ」

「アイツの荷物は……」

「あっ、私が持ってくわ」

 

吼介のザックを持ち、庭へと出たリアス。

 

「何だよ?」

「あなたに言っておきたい事があって」

「んっ?」

「あなた、イッセーはただのお人好しって言ってたけど、それは間違いよ。イッセーはゲートを守る為に、本気で自分の命を懸けてる」

「自分の命を……?他人の為に……?」

「えぇ。…………私達はイッセーの過去は知らないわ。でもゲートを絶望してファントムを生み出すところを、イッセーは見てるのだと思う……。だから人一倍、他人の為に動けるの。この悲劇を止められるのは、魔法使いだけ。だから、俺が戦うしかないって…そう言ってたわ」

「……………」

「他人の為ならどんな危険も顧みない。それはあなたも分かってるんじゃないの?」

 

それを聞いた吼介は頭を掻いて激しく葛藤する。

 

「うぅー、あぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

面影堂では、作業室で削った魔法石を台座にあて確認すると、また削り始める茂。

 

そこにコーヒーを淹れ、運んできた小猫とギャスパー。

 

「……どうぞ」

「こ、これ!サンドイッチですぅ!」

「ん?おぉ、ありがとう。小猫ちゃん、ギャスパー君」

「ふぇ?僕が男って分かるんですかぁ?」

「あぁ。何時もイッセーは君達の事を話してるからね。自慢の後輩だ!って」

「イッセー先輩が…」

「僕達の事を……?」

「うん。だから、自分が情けないとか、そう言うネガティブな考えは持っちゃダメだよ。アイツはリアスさんや君達の強さを信じてるからね」

「……はい!」

「………………」

 

 

 

 

及川邸、肖像画の前に立っているイッセー。

 

「この絵が生きる希望、なんですね」

「ああ……。妻がまだ、そこにいると思うと心が休まる」

「お握り出来たわ」

「おっ!待ってました!」

「及川さんもどうぞ」

「…すまないね」

 

リアスと朱乃が及川の家のキッチンを借り、簡易的な夜食を作り、全員で食べることに。

 

「あらあら、立神君ったらバーベキューをしていますわ」

 

朱乃の言葉に釣られて見ると、そこには肉にマヨネーズをかけて頬張る吼介の姿が。

 

「…随分暢気ね」

「……寧ろ逆だと思いますわ」

「「え?」」

「私だったら……落ち着かなくて、ご飯なんか咽喉を通りませんわ。だって……ファントムの魔力を食べないと明日をも知れない命なんですよね?本当は……怖いから、ああやって気を紛らわせてるとか」

 

朱乃の言葉に納得させられたのか、リアスとイッセーは黙ってお握りを頬張る。

 

その吼介はバーベキューの串を手に、ベルトのバックルを眺める。

 

「どうすっかなぁ……」

 

吼介は先日、ミサに言われた事を思い出した。

 

 

 

『目の前のファントムを食べれば、今日は生きられるかもね。でも新たなファントムが生まれない限り……何れあなたの明日は無くなるわ』

 

 

 

「ああ……確かに、あの女の言うとおりだ。けど、明日の為にゲートを犠牲にするのは、後味が悪いし…かと言って、ファントムを食わないと俺が死んじまうしなぁ……」

 

 

 

 

『明日の命より……まずは今日の命だ』

 

 

 

 

「今日の命…………か」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

翌日。

及川邸の壁から絵を呼び出したゼノヴィアと一緒に外すイッセー。

 

「慎重に頼むぜ」

「あぁ、任せろ」

「何してるの?」

「希望の絵なんで面影堂に持って行こうと思って」

 

丁寧に取り外した絵を包もうとして、イッセーは額の裏に封筒を見つける。

 

「……?」

「イッセー、何をしてるんだ?」

「ん、あぁ悪い。今包む」

 

丁寧に包んだ後、玄関先に絵を出す時、庭に張れたテントの傍らに座り込んでいた吼介と目が合うも、無言のままで去るイッセー。

 

吼介は手にしていた変身リングとは異なる意匠のリングに目を落とす。

 

「何に使うんだろこれ…………」

 

誰に尋ねるでもなく、小さく呟いた。

 

 

 

 

 

及川を連れ面影堂へと向かうイッセー達は、公園の噴水脇を通りかかる。

 

『……相棒、この気配は』

「…………ッ!!」

 

ドライグに言われて噴水の方に目を向けると、

 

 

 

『待ってたぜ。ゲートに魔法使い』

 

そこには最悪のタイミングと言うべきか、ヒドラが立っていた。

 

「寒い中ご苦労なこったな」

『へっ、ゲートさえ絶望させればその苦労も帳消しさ。お蔭でゲートの心の支えも分かったしなぁ!』

「…張り込んでたって訳か」

『すまん相棒、俺も気付けなかった』

「謝んなよドライグ。今ここでコイツを倒せば万事解決だ」

《ドライバーオン・プリーズ》

 

腰のウィザードライバーを顕現させ、ハンドオーサーを操作する。

 

「変身!」

《シャバドゥビタッチヘンシーン!フレイム・プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

《コネクト・プリーズ》

 

ウィザード・フレイムスタイルに変身すると、コネクトでウィザーソードガンを取り寄せる。

 

「皆!及川さんと絵を頼む!」

「えぇ!」

「任されましたわ!」

「イッセーの頼みならば、全力で答えよう!デュランダルッ!」

 

及川の近くに現れたグールの群れをそれぞれ蹴散らすリアス達。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

『チイッ、奴等も悪魔か!』

 

ウィザーソードガンでヒドラに肉薄するウィザードFS。

 

「へっ、あんな雑兵じゃ、部長達に敵わないぜ!」

『ふんッ、ならこうするだけだぁっ!』

 

ヒドラは地面に触手を突き刺すと、それを及川の元に一瞬で移動させ、絵に穴を開けた。

 

「「「「ッ!!」」」」

「あぁっ………」

『ヒャーハッハッハ!後はこれで完成だ!!』

「ぐっ!?」

 

ウィザードFSを強引に引き剥がすと、自身の触手で貫いた絵を手繰り寄せ、力任せにキャンバスを引き裂いた。

 

「なっーーーー!!」

 

それを見て膝を突き、及川の体には紫色の皹が生まれる。

 

「あっ……ああ……」

『ははっ。いいぞ、いいぞ!ファントムを生み出せーーーーぐふっ!?』

 

狂喜するヒドラの顔面に何者かの蹴りが入る。

 

「…………吼介」

 

蹴りを入れたのは、吼介だった。

 

「及川さん!」

「大丈夫ですか?」

 

グールの群れをゼノヴィアに任せ、及川に駆け寄るリアスと朱乃だが、及川の皹は止まらずに、どんどん広がっていく。

 

一方の吼介は、ウィザードFSに近づく。

 

「何しに来た?」

「明日の命より、今日の命だったな」

「おう」

「取りあえず、明日の事は今日は考えない事にした。今日は今日をちゃんと生きる」

 

そう短く伝えると、ビーストドライバーを顕現させる。

 

《ドライバーオン!》

「明日の事は、それからだ。変、身ッ!!」

《セット!オープン!L・I・O・N!ライオーン!》

 

ビーストへと変身した吼介に、更にグールを向かわせるヒドラ。

 

『グール!やれ!』

「じゃあ……ランチタイムだ!」

「んじゃ、召し上がれ」

「牙吠ッ!!」

 

そう吠えると、勢いよくグールの群れに飛び込むビースト。

 

「不味いわイッセーッ!及川さんが!!」

「っ!今向かいます!」

『させるか!』

 

向かおうとするも、グールとヒドラに阻まれるウィザードFS。

 

「くそっ、コイツら……キリがないッ!」

「下がってな嬢ちゃん!一気に片す!!」

《バッファ!ゴー!バッバ・ババババッファー!》

雄牛の雄叫びと共にバッファマントを装着。

 

「前菜纏めて頂くぜッ!!牙吠!!」

 

力強く地面を殴り付けると、衝撃波が広がり一気にグールを殲滅。

グールの魔力は魔法陣と化し、それを喰らうキマイラオーサー。

 

「うしっ!……っと、イッセー!俺がこの人助けるから、ソイツ任せたぜ!」

「おう、任された!!」

『くそっ、離しやがれっ!!』

 

及川からヒドラを引き剥がすウィザードFS。

その間にビーストは及川の側に膝まづく。

 

「悪かったな。俺があの時ファントム倒してりゃ…………今、助けてやっから!」

 

及川の指に庭で眺めていたリングを嵌めると、その手をキマイラオーサーに翳す。

 

《エンゲージ・ゴー!》

「しゃっ……お邪魔しまーす!」

 

展開される魔法陣に飛び込むビースト。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと!……ここがおっちゃんの心の中か」

 

ダイブした先は及川邸の庭先。

病床の奥さんの傍らで絵を描いている及川。

 

そこに入った亀裂を割り、巨大ファントム、バンダースナッチが出現。

 

「うおぉっ!でかっ!」

 

初めて目にしたらしく、巨大ファントムに圧倒されるビースト。

 

「わっ、おおおー!どうすんだこれー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!」

『チィ!』

 

地上では、ウィザードFSとヒドラの交戦が続いていた。

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!ランド・プリーズ!ドッドドドドドン、ドンドッドドン!》

 

ウィザードFSはランドスタイルにチェンジ。

《ドリル・プリーズ》

 

ドリルウィザードリングによりその場で高速回転、地中へと潜り込む。

 

『なっ、何処行きやがった!?』

「イッセーにばかり目が行きすぎだッ!!」

『ぬぉっ!?』

 

不意打ちで放たれたゼノヴィアのデュランダルの一撃を辛うじてかわすヒドラ。

だがその隙をついて、ウィザードLSは高速回転した頭突きを喰らわす。

 

『ぐへぇっ!?』

「うおっと!あー…目が回った」

 

ふらつきながらも着地するウィザードLS。

と、そこへ、

 

 

 

「イッセー先輩ッ!!」

「あ、新しい指輪ですぅぅぅぅ!!」

 

 

小猫とギャスパーの一年生コンビが、茂が今朝完成させたウィザードリングを投げ渡した。

 

「おっと!ナイスパス、二人とも!」

『流石茂殿だ。仕事が速いぜ!』

 

手渡された指輪を嵌めて、ハンドオーサーに翳す。

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!ランド・ドラゴン!ダン・デン・ドン・ズ・ド・ゴーン!ダン・デン・ド・ゴーン! 》

 

砂で構成された龍が旋回し、ウィザードLSに吸い込まれる様に溶け込む。

そこには、マスクがランドスタイル以上に角張り、派手目な黄色いローブを翻すウィザードの新形態、

 

 

 

ウィザード・ランドドラゴンが佇んでいた。

 

 

「改めて……ショータイムだ!」

 

ウィザードLDは地面を掴むと、何と地層毎持ち上げて、ヒドラ目掛けて投げ飛ばした。

 

「ふんぬぉぉぉぉ!!!」

『な、何じゃそりゃぁぁ!?』

 

慌ててかわすも、

 

『ロック・プリーズ』

 

ロックウィザードリングにより召喚された岩を、ウィザードLDは槍状に形成し、撃ち放つ。

 

『ぐあああ!!』

 

まともにそれらを浴びたヒドラは勢いよくぶっ飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

一方、アンダーワールドでは…………

 

「うおーっ!やるしかねえだろぉぉぉ!」

 

ダイスサーベルで向かっていくも、バンダースナッチにはね除けられる。

 

「ぐぁっ!…くーっ!とんだ大ピンチだぜ!だがピンチとチャンス裏表!勝つか負けるか俺次第ってね!来い、キマイラ!!」

《キマイライズ・ゴー!》

 

その時、不可思議な呪文が響き渡ったかと思うと、ビーストの左肩に顕現した魔方陣から、ビーストドライバーに封印されたファントム、ビーストキマイラが召喚される。

 

「しゃっ、行くぜぇぇぇ!!」

『グォォォォォッ!!』

 

背中に乗ったビーストの掛け声にビーストキマイラは力強く吠えると、バンダースナッチ目掛けて駆け出し、その爪を振るう。

その一撃は重く、バンダースナッチは苦しむも、ビーストキマイラは容赦なく噛み付き攻撃を行う。

 

『グギャギャァァァァァ!!!!』

「よーしっ、このままイケイケドンドンだ!!」

 

ダイスサーベルの斬撃で巨体を寸断していくビースト。切り刻まれたかに見えるも、巨体を構成していた節の一つ一つが分離独立しただけ。

バラバラに分離した節々は、独立してビーストキマイラを攻撃する。

 

「うぉぉぉ!?蜥蜴の尻尾かよ!?……なーんちゃって!」

 

驚いていたのも束の間で、ビーストキマイラはこれを、獅子、海豚、猛牛、隼と4つの頭部から放たれたビームで広域攻撃。

 

残った節は再度合体するも、先程より断然小さい。

 

 

「さあ、メインディッシュだ!」

 

キマイラの前方に巨大なライオンヘッドが具現化し、向かってくるバンダースナッチを容赦なく頭から噛み砕いた。

 

《グォォォォォッ!!》

 

キマイラの背から降りるビースト。

 

「うわっ!よっと」

 

ファントムの魔力を食べれて満足したのか、ビーストキマイラは吠える。

 

「へへっ……ごっつぁん!」

『グォォォォォッ!!』

 

 

 

 

 

side 地上戦。

 

 

「ハァ!!」

『ぐあああ!!』

 

ヒドラはウィザードLDに巴投げを喰らい、地面に叩き付けられる。

その隙に、ウィザードLDはもう1つの指輪を嵌める。

 

「何の魔法かな~っと」

《チョーイイネ!グラビティ・サイコー!》

 

発動した瞬間、ヒドラの頭上に展開された魔法陣が、そのまま降下していく。

 

『お…重い……!!』

 

すると、ヒドラの体が魔方陣に押し潰されるかの様にのめり込んだ。

ウィザードLDは右手を今度は前に突き出し、徐々に上へと上げていくと、ヒドラの体も上へと昇っていく。

 

「ほいっ!」

 

かと思うと、再び地面に落とされる。

 

『ま、まさかコイツ…………重力を操ってるのか!?』

「おぉーっ、めっちゃ楽しい!」

 

驚愕するヒドラを他所に、ウィザードLDは新しいオモチャで遊ぶ子供の様にはしゃいでいる。

 

『相棒、止めを差してやれ。可哀想になってきた』

「……ちぇーッ。分かったよ」

《チョーイイネ!スペシャル・サイコー!》

 

スペシャルリングを使うと、砂塵が舞うようにしてドラゴンが出現し、ウィザードLDと一体化すると、ウィザードの両腕に巨大な爪が具現化。

 

「おぉー!!カッケー!!」

『お前は子供か』

『う、うぅ…………!』

「うるせぇ!………さ、フィナーレだ!」

 

魔力を込めてダッと駆け出し、一気にドラゴヘルクローの間合いに踏み込むと、力任せにヒドラを引き裂いた。

 

 

「でゃぁぁぁぁッ!!」

『ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

 

新技、ドラゴンリッパーを受けたヒドラは、為す統べなく爆発四散した。

 

 

 

「……ふぃ~うおわっ!?」

「やったな、イッセー!」

 

一息吐くウィザードLDに、ゼノヴィアが飛び付く。

 

「やりましたね、イッセー先輩!!」

「おうよ!!」

 

ギャスパーにサムズアップで応えるウィザードLD。

カッコよく見えるかもしれないが、ゼノヴィアが抱きついてるので、あまり貫禄はない。

 

 

 

 

『イッセー先輩は、どんどん強くなっていく…………他の人達も。それなのに、私は…………ッ』

 

 

 

だが小猫だけは、それを複雑そうな顔で見ていた。

それは隣のギャスパーも、ゼノヴィア相手に困惑するウィザードLDも気付けなかった。

 

 

一方のビーストも、魔法陣から出て来ると、

 

「ふぅ~!何とかなったぜ!」

 

一息吐くと変身を解いた。

 

「よっ、吼介」

「片付いたのか?」

「モチ」

「流石ですわ、イッセー君」

「吼介君も中々だったわ」

 

健闘を讃え合うが、それ所ではないと気持ちを切り替える。

 

「ん……」

「大丈夫ですか?」

 

ここで目を覚ました及川。

だがイッセー達には目もくれず、絵に駆け寄る。

 

「ああっ!あっ……!あっ……!ああっ!私の希望が……」

「……ごめんなさい、守れなくて。でも、まだ希望はなくなっちゃいないです」

 

懐から取り出した封筒を渡すイッセー。

 

「これは……」

「奥さんからの、手紙みたいです。絵の裏に、隠してありました」

 

受け取ったそれを読む及川。

 

 

 

 

「あなたへ

 あなたがこれを読む頃、私はそばにいないんでしょうね。

 でも、悲しまないで。

 私の事を振り返るより、新しい絵をいっぱい描いて。

 私達の家が、あなたの絵で埋まるくらい。

 

 それが、私の希望です。ーーーー由貴子」

 

 

手紙には、そう書かれていた。

 

「奥さんは今も、及川さんの絵を楽しみにしてる。その希望を叶えてやる事が、あなたにとっても希望なんじゃないですかね?」

「ああ……そうだな。その通りだよっ…由貴子、ありがとうっ」

 

静かに嗚咽を漏らす及川を、イッセー達はただ見守っていた。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

「今日はありがとよ、吼介」

 

帰路を歩くイッセーは、吼介に礼を述べた。

 

「俺は責任を取っただけだ。気にすんなよ」

 

だが吼介は恥ずかしいのか、そっぽを向いて答える。

 

「…そう言えば、イッセーが吼介君のアンダーワールドに入って、キマイラを倒せばファントムを食べなくて済むんじゃないかしら?」

 

と、ここでリアスがキマイラの食料問題を解決する最大のアイディアを思い付いた。

 

「……思い付かなかった。ナイスです、部長!」

「確かに、そのキマイラを倒せば、あなたは死なずに済む」

「うし、吼介。手ぇ出せ」

「…………」

 

無言で手を差し出す吼介。

が、イッセーがエンゲージリングを嵌める寸前で手を引っ込めた。

 

「やっぱ無しで!」

「は?」

「男に指輪を嵌めてもらう趣味はねーからな!」

「俺だって野郎に指輪嵌める趣味ねーよ!何で遠慮すんだよ!?」

「それに、俺の中にいるキマイラは強ぇからなあ。返り討ちにしちまったら、後味が悪い。次は、正々堂々と勝負だ!」

 

ドーンと告げる吼介に、イッセーは肩をずらす。

 

「勝負って……」

「どっちが先にファントムを見つけて倒すかな。我がダチ公よ…………さらば!」

 

 

片手を上げ、去って行く吼介。

 

 

 

「……しょーがねぇ。付き合ってやるとしますか!」

「ふふっ、あなたらしいわね」

「そうですわ、イッセー君。今回頑張ったご褒美でデートして頂けますか?」

「マジすか!?喜んでーーーーイテテテテッ!?」

「イッセー、それは私も含まれるわよね?」

「私も頑張ったからな、イッセー!早速子作りと行こうじゃないか!」

「な、何でそうなるんだよ!?」

「……へぇー、子作りねぇ」

「……どういう訳かみっちり聞かせて貰いますわ、イッセー君」

「…………最低です」

「さ、流石イッセー先輩ですぅぅぅ!僕には真似出来ませぇぇぇん!」

「イッセーさぁーん、皆さーん!…………はぅ!」

「あ、アーシアさん。大丈夫かい?」

「アーシアに……木場?どうしたんだ?」

「いや、晩御飯の材料を買っていたら、アーシアさんとスーパーで出会ってね」

「ふーん……アーシア、今日は何作るんだ?」

「えっと、オムライスです!」

「おぉ!…そうだ、木場!ギャスパー!お前らも食ってけよ!」

「じゃあ、お言葉に甘えようかな?」

「は、はい!では頂きます!」

 

何時も通りの騒がしさな、オカ研メンバーであった。

 

 

 

 

 

「第一段階は、完成だな…………」

 

 

そんな彼らを、白い魔法使いが見詰めていた。

 

 

 

 

 

 

次回、D×Dウィザード

 

イッセー「いよいよ冥界か~!」

 

ドライグ『……デカいな』

ドラゴン『あぁ……』

 

アザゼル「やっぱ風呂は良いねぇー……」

 

 

MAGIC41『冥界、突入!』

 

 

ドライグ『俺達出番あるよな?な?な?』

作者「次回をお楽しみに!」

ドラゴン『何も答えないのが怖いな……』

 

 

 

 

 

 




アンダーワールドとの同時進行は長いですねー
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