ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
よー皆、イッセーだ。
俺達は今日も今日とてオーディンの爺さんの護衛だ。
まぁこんな最強の爺さんに護衛なんているか?と思うかもしれないが、北欧のVIPだからな。
今は空飛ぶ馬車で移送している。
他の皆も翼を出して飛んでいる。
「ふぁーあ…」
「眠たそうね、イッセー」
「すんません……」
俺の間抜けな欠伸に、部長は苦笑いを零す。
けど、こうやって悠々と観光なんて、爺さんも肝が据わってるよなぁ。
と、その時、何やら目の前から大きな力を感じた。
『ッ!?』
その気配を感じて、俺達は臨戦態勢をとる!
この気配、オーラは…………まさか!
『そうだ相棒。この力は――――神だ』
左手の宝玉から響くドライグの声。
その声音には何時ものふざけた感じが一切ない。
……まさか、久しぶりにまともなドライグが見れるなんてな。
『相棒、ティアマットを呼べ』
分かってる!
俺は魔方陣からティアを召喚する。
「悪いティア。急に呼び出して」
「構わんさ。それほど、事態は急を要するのだろう?」
ティアも目を細めて虚空を睨む。
「さぁ………良からぬ事を始めようではないか!」
空間を引き裂いて現れたのは、一組の男女。
男の方は紫色のローブを身に纏い、女の方は全身真っ黒で日傘を差している。
どちらも凄まじいプレッシャーだ。
「これはこれは…北欧の神ロキ殿にヘルヘイムの女王ヘル殿。こんな所に何ようかな?」
へ、ヘルヘイム?
あの女、オーバーロードなのか?
『違う。北欧に於ける地獄だ』
あ、そうなのね。
「お初にお目にかかる堕天使の総督殿!如何にも!我はロキ!用があるのは勿論……我らが主神、オーディン!」
大仰なリアクションでロキは馬車を指さす。
すると、馬車からオーディンの爺さんが出てきた。
「ワシに何か用かのぉ、ロキ?」
「…何故、他の神話体系と手を組む?我ら北欧は他からの力添えはいらぬではないか!それを……何故貴殿は馴れ合おう等と愚かな選択をする!?」
「馴れ合いではない。手を取り合おうというのじゃ。それにのぉ、黄昏を起こせば、その先にあるのは破滅じゃ。そんなもんはつまらんて」
「……本気か?」
「如何にも」
それを聞いたロキのオーラが大きく変わる。
明らかなる、殺意のオーラだ。
「…ふ、ふっはははははは!!!それを聞いて安心した!そうであるなら我は何の躊躇も持たずに―――貴殿を殺そう」
――――ッ!?
俺達は、突如として起こった現象に目を見開いた。
ロキの肉体は薄暗い紫色一色になり、更にその肉体の上に装甲が現れる。
眼は赤く染まり、頭部も鋭く天辺に尖り出した。
つまりは――――変身したのだ。
『フハハハハハハハハ!!!見よ、この美しき肉体!我は今、あらゆる者を凌駕する力を手にしたのだ!!』
「この感じは………ファントムッ!!」
そうだ――――以前戦ったコカビエルの時と同じ現象だ!
それに何より、体の中央には魔宝石が!!
「お主も本気のようじゃな。まさか異形に身を変えてまで黄昏を起こそうとはのぉ」
『当然!!』
「ちぃ、厄介な隠しだねをもってやがったな……!」
アザゼル先生が舌打ちする。
『……ん?この魔力』
するとロキは、今度は俺の方を向いてきた。
『……そうか。貴殿が噂の魔法使いか!』
「…そうだって言ったらどうすんだ?神様」
《ドライバー・オン!プリーズ》
俺はウィザードライバーを顕現させる。
『数多のファントムを倒してきたその実力、少しばかり拝見させてもらいたい……ヘル!』
「…はい、お父様」
ヘルは日傘を虚空に翳した。
すると――――何もなかった空に大きな歪みが現れ、そこから数多くの魔物が現れた!
「ヘルはヘルヘイムの存在する数多の魔物、亡者を使役する。お前ら!特にイッセー!気を抜くなよっ!!」
『はい!!』
「変身ッ!」
《シャバドゥビタッチヘンシーン!フレイム・ドラゴン!ボー、ボー、ボーボーボー!》
いきなりドラゴンスタイルで行かせてもらうぜ!
《コネクト・プリーズ》
《コピー・プリーズ》
俺はウィザーソードガンをコピーで複製し、二刀流の構えを取ると、そのまま魔物の群れ目掛けて切り込む!!
「おらぁぁぁぁぁっ!!」
その怒号を皮切りに、他の皆も魔物に攻撃を加える!
「ぶっとべぇぇぇぇぇ!!!!」
『『キャモナシューティングシェイクハンズ!フレイム・シューティングストライク!ボーボーボー!』』
《Transfer!》
更に倍加で底上げした力を譲渡し、巨大な火の玉で魔物共を消し飛ばす!
「聖魔剣っ!」
「デュランダル!聖牙大天衝!!」
木場とゼノヴィアの騎士コンビは、まずゼノヴィアが一撃の元に消し飛ばし、残った魔物を木場が確実に仕留めていく!!
「こ、小猫ちゃん!今だよっ!!」
「…ていっ!」
次いでギャスパーと小猫ちゃんの一年生コンビ!
ギャスパーは神器で魔物を停めると、それを確実に小猫ちゃんが仙術を併用した拳で殴っていく!
「滅びなさいっ!!」
「雷光よ!!」
部長と朱乃さんの二大お姉さまは、大質量の滅びの魔力と雷光のコラボレーション!
一瞬で数多の魔物が消し飛んだ!
「小賢しい虫けら共がっ!!」
「おらおらおらおらおらぁ!!!!」
「アーメンよ!!」
「消えろっ!!」
「持っていきなさい!!」
先生達も全くもって負けてないぜ!
「…まぁ、なんとお強い殿方ですこと」
ヘルは何故だか此方をウットリした眼差しで見てくる。
な、何だ…?
「私…ゾクゾクしてきましたわ……ッ!」
すると、その昂ぶりに答えるかのように魔物はまた現れてしまう!
『…ほぅ、ヘルをときめかせるとは……予想よりやるではないか!』
「うるせーよ!」
好きでときめかせる訳ねーだろ!!
『それでこそ……ワイズマンが目を付けているだけのことはある』
「……ワイズマン?」
『そうだ。かの日食の日に多数のファントムを創造し…そして!貴殿が魔法使いとなる要因を生んだ男だっ!!』
『っ!?』
それを初めて聞いたであろう部長達は驚きを隠せないでいたが――――俺は何故だか冷静だった。
「……なるほどな」
『んん?』
……いや、冷静ってのは間違いだ。
俺は自分でも驚くぐらい声に怒りがにじんでいた………ッ!!
「そいつが………あの地獄を生み出しやがったんだなッ!!!!」
《チョーイイネ!スペシャル・サイコー!》
俺は激情のままにドラゴスカルを具現化、その口腔内にありったけの魔力を込める!
「お前をぶっ飛ばして、そのワイズマンの居場所を吐かせるっ!!」
《Explosion!》
力を解放して何時も以上に力を集中させる!
『素晴らしい殺気…いい具合にファントムの力を引き出せているようだな!だがその魔力……些か危険だな』
ロキは不意に手を翳すと、何やら術式を発動した。
刹那――――力が抜けていく感覚が襲い掛かった!
「――――ぐっ!?」
な、何だ一体……!?
『コイツ……俺の魔力を吸収している!?』
ドラゴンの一言は、まさに正解だったようだ。
俺の魔力はあっという間に奪われ、変身まで解除される!
「……くそが、ぁ!!」
俺はドラゴンの翼を生やして何とか体制を整える。
『フフフ……良いぞ、その憎しみに満ちた瞳!だが、貴殿の憎しみの根本にある感情は……恐怖。違うか?』
「っ!?」
俺はロキの一言に――――何も言い返せなかった。
違う、と言おうにも、口が金縛りにあったかのように動かなかった。
『ふむ、あのサバトの儀式では数多の人間がファントムへと生まれ変わり死んだと聞く。その唯一の生き残りたる貴殿は人が人ならざる者へと変貌して行くのを見届けたと言うことか』
「……ろ」
その一言一言は、確実に俺の心に刺さる。
『人がファントムへと変わるのを防ぐ為、貴殿はただ戦い続けていた訳か』
「…めろ」
苦しいはずなのに、耳を塞いで座り込みたい気分なのに、俺は力なくも立ち上がった。
『つまりだ。貴殿は希望が絶望に変わる瞬間を嫌悪している訳ではなく、人が死んでいく瞬間に恐怖している訳だ!そして――――いるはずもない者達に許しを請いている!』
最後のその一言が決定的となり、俺は――――吠えた。
「やめろぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
《Welsh Dragon Absolution Breaker!!!!!》
ロキの言葉をかき消すように、俺は一気に極手を発動する!
『苦しいか?だが、そんな貴殿も救われる――――己が手でな』
飛び出そうとブースターをかけた俺を制止するかのように、ロキは手を翳した。
「あの術式…………赤龍帝!その光の飲まれるな!!」
『もう遅い!!』
オーディンの爺さんの一言で動くよりも速く、妖しい光が俺を包み込んだ――――
~~~~~~~~~~~~
暗い……………只管に暗い、暗黒だらけの空間。
今俺は、そんな真っ黒な場所にいることが分かった。
『ドライグ…?ドラゴン…?』
だけど、そこには俺以外に誰もいなかった。
『……そうだ。ロキをっ!?』
出口を探そうとした時、俺は何者かに足を掴まれた。
『なっ――――』
振り払おうとした時、俺は固まった。
その顔は――――
『―――――死ね』
あの時、サバトで死んだ人の一人だ。
俺の隣で、ファントムになった――――
それを皮切りに、闇からどんどんと人が作られていく。
その顔のどれもが、サバトで死んでいった人達。
全員、絶望した表情で、怨嗟の言葉を吐いていく。
『死ね』
『憎い…』
『羨ましい、妬ましい………お前だけが、生きてるなんて』
『お前なんて……』
あ、あぁ……………………………
『『『『『『『生きる資格は、ない』』』』』』』
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木場side
ファントムとなったロキの閃光がイッセー君を包み込んだ後、イッセー君は微動だにしなかった。
「ロキ…貴様、何を!?」
『慌てるな。時期に効果は現れるであろう』
勿体付けた様な態度。
だが次の瞬間には、イッセー君は漸く反応を見せた。
「あ、あぁ…………………」
『相棒?』
ドライグが声をかけるが――――
「あぁあぁあぁああぁあぁあぁあぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
まるで何かに苦しむかのように、頭を抱えて叫び出した!
「イッセー君!どうしたんだい!?」
「イッセー!しっかりして!」
僕や部長が気になって近づくも、イッセー君は全く反応を見せずに籠手からアスカロンを取り出した。
何をするのかと思っていたら――――
ドシュゥッ!!!
僕たちは、言葉を失った。
何故なら、イッセー君は…………
「ぐっ………がはっ………!!」
自分自身に、アスカロンを突き刺したのだ。
それと同時に、イッセー君の鎧も霧のように消滅した。
『クククク、アッハハハハハハハハ!!!これは愉快だ!まさか自らに龍殺しの聖剣を突き刺そうとは!!それほど貴殿の闇は、罪の意識は深かったのだな!!』
僕達は呆気に取られていたものの、ロキの哄笑で我に返った。
「イッセー君!?そんな事止めるんだ!!」
尚も自分の体に深くアスカロンを差し込むイッセー君を止めるべく羽交い絞めにする!
が、イッセー君はそれでも突き刺そうともがく。
「イッセー君!イッセー君!!」
「ぐ、はっ!!!………ごめん、なさい………ごめん、なさい……!!」
イッセー君は血を吐きながら、譫言の様に謝り続けている。
一体どうしたんだ!?
「……ごめんなさい、イッセー」
それを見ていた部長はイッセー君の腹に魔力を込めた掌底を当てて気絶させる。
……今のイッセー君は構わず刺そうとするだろうから、英断といえば英断か。
「ロキ、お主……」
『そう。お察しの通り、彼に精神の闇を幻術として掛けたのだよ』
「ですが、それは北欧では禁忌に指定されている筈です!何故貴方がそんな術を!?」
『一介のヴァルキリーが口を出すか……まぁ良い。そこの赤龍帝も死にぞこなっているのは気の毒だ。せめて楽に逝かせてやろう』
ロスヴァイセさんの質問には答えず、ロキは手を高く掲げた!
『我が呼び声により馳せ参じよ!愛しき息子よ!!』
アオォォォォォオォォぉォォォン!!!!!!
天にも届きそうな遠吠えが聞こえた瞬間、僕達は寒気がした。
今までに感じたことのないプレッシャー…………これはっ!?
「マジかよ……あの野郎!!」
アザゼル先生が苦虫をかんだ表情で見つめる先には、一匹の巨大な狼。
美しい銀の体毛に覆われたその狼は、見る者全てを威圧するプレッシャーを放っていた………ッ!
「良いかお前ら…絶対にアイツに手傷を追うな……」
「…何なの?あの動物は……」
「お前らも名前ぐらいは聞いたことはあるだろ……奴は、
――――ッ!?
フェンリルだって!
「神をも殺す魔狼………!もし、その力が本当ならっ」
『本当だ、リアス・グレモリーよ。我の息子の牙はあらゆる神をも穿つ。さぁフェンリルよッ!死にかけのその男の喉笛を一思いに噛み切ってやれ!!』
――――来るッ!!
「木場!!イッセーを馬車まで引き上げろ!!今のイッセーの状態だと、一発でアウトだ!!!」
アザゼル先生とティアマットが僕の前に立つ!
特にティアマットは龍王の姿になる!
「行け、木場!アーシアに回復を急がせるんだ!!そのままでは、イッセーが……」
――――ザンッ!!!
その言葉が言い終わらないうちに、ティアマットの蒼穹の鱗に爪が食い込んだ!
鮮血が迸り、ティアマットは苦悶の声を上げる!
「ぐおおおおお!!?」
「ちぃ!!」
今度はアザゼル先生が殿を務め、無数の光の矢を放つ!
だがフェンリルは神速のスピードで動くと、一瞬で僕との距離を詰めてきた!!
「木場!!」
「祐斗っ!!」
……こうなったら!
僕は聖魔剣のシェルターを作り、何とか持てるスピードを出してフェンリルを突き放す!
フェンリルはそれを咆哮だけで砕いていき、更に迫ってくる!!
『無駄だ!フェンリルにもファントムの力がほんの少しだが追加されている!貴殿の剣では足止めにもならん!!』
「たとえ、そうだとしても!!!」
僕の友達は、絶対に守ってみせる!!
せめてイッセー君だけは守ろうと、体を盾にしようとした時だ。
「彼を倒すのは、俺だ」
《Dvide Field!!!》
突如としてフェンリルが何やらもがき苦しんでいた!
そしてよく見てみると、フェンリルのいる空間一帯が歪んでいる………!?
「これは、一体……」
僕達が呆気に取られていると、
《シックス!ファルコ・セイバーストライク!》
今度はロキ目掛けて魔力で構成された六匹の隼が飛んできた!
『…小賢しい!』
歴は腕を振るうだけでそれを掻き消す!
今のって………
「兵藤一誠は無事か?木場祐斗」
「おいイッセー!どうしたんだよ、血塗れじゃねーか!!」
全身白の鎧とライオンを思わせるマスクをつけた金色の戦士が颯爽と佇んでいた。
イッセー君のライバル、白龍皇・ヴァーリと、魔法使い・ビーストこと、立神君だ。
『ほう!白龍皇に古の魔法使いか!これは珍しいタッグだ!』
「お初にお目にかかる、悪神ロキよ。我が名はヴァーリ。貴殿を葬りに来た」
『…良い殺気だ!成程、今代の二天龍はどちらも面白い!!――――だが、ここまで混戦状態になってしまっては興がそれるというもの。また近いうちに相手になってやろう』
「よろしいのですか?」
『あぁ。それに、あの男への良い土産もできた』
ロキの手に浮かぶのは、紫色の魔力の塊。
恐らくは、イッセー君から吸収したものだろう。
『では我が主神オーディンよ。また会談の日にお邪魔させていただく!!その時こそが真なる黄昏だ!!!!』
ロキは指を鳴らして魔方陣を展開すると、それをヘルとフェンリル共々潜って行き、最後にはいなくなった。
「アザゼル……」
「分かってる。会談は絶対に守ってみせる………が、今はイッセーだ。アイツには聞きたい事が沢山出来ちまったからな…」
次回、D×Dウィザード
ドライグ『お前達には、知る権利がある』
イッセー「俺は……あの時死ぬべきだったんだ…ッ!!」
ドラゴン『お前の根底にあるものは……変わっていない筈だろう?』
MAGIC65『暴かれた真実』
グレイフィア「私や…他の皆様も、そうでしたから。他の誰でもない、兵藤一誠に、救われたんです」
なんか次回予告ですんごいネタバレかましちゃった気が………(;´Д`)