ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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ここが所謂この作品のターニングポイントって奴ですね。

あぁ、早くインフィニティまで行きたいなぁ………



MAGIC70『開戦』

 

 

『……………』

 

時刻は翌日の深夜。

俺達は現在、会談が行われるホテルの屋上にて待機していた。

 

メンバーは俺達オカ研部員とヴァーリチーム、そして堕天使サイドからバラキエルさん、北欧サイドからはロスヴァイセさん。

そんでもって龍王のティアとタンニーンのおっちゃん、吼介の面子だ。

 

「…時間よ。会談が始まるわ」

 

部長の言葉に全員顔が引き締まる。

 

 

それと同時に――――

 

 

 

「小細工無しとはな。恐れ入る」

 

ヴァーリが苦笑いで告げた通り、俺達の前方の空間が歪んだ。

そこを引き裂くようにして現れたのは、ファントム態のロキ、ヘル、フェンリルの悪神一家だ。

 

「おいおい、犬の散歩にしちゃ大仰だな」

『ふ、良いではないか。これ位大仰でなければオーディンは殺せんからな』

「…引くつもりは、ないのだな?」

 

バラキエルさんが確認をとる。

それに対しロキは、

 

『笑止!我は我の為に動くのみ!』

 

不敵に笑い、それを一蹴した。

そう答えたと同じタイミングで、外で待機していたシトリー眷属による転移が始まった。

 

「お父様。これは…」

『構わんよ。パーティ会場への案内なのだろう?』

「さぁてな…。アンタの墓標になるかもだぜ?」

 

そう軽口を叩き合っている内に、転移先の採掘場へと転移が終わったようだ。

 

「逃げないのね」

『貴殿らは嫌が応にも邪魔するのだろう?ならばここで完膚なきまでに叩きのめすだけの事!』

 

部長の皮肉にさして気にするでもなく答えるロキ。

…………これ以上の話し合いは無意味だな。

 

「行くぞ……ヴァーリ」

「無論だ」

 

 

「変身!」

《フレイム・ドラゴン!ボー、ボー、ボーボーボー!》

 

 

 

禁手(バランス・ブレイク)

《Vanishing Dragon Balance Breaker!!!》

 

 

俺は魔方陣を潜り何時もの魔法使いの姿に、ヴァーリは一点の曇りのない純白の鎧を身に纏う!

その姿から放たれる闘気は以前よりパワーアップしていた!

 

「さぁヴァーリ!姿は違うが、ここからは俺達二天龍のショータイムだ!」

「ふっ!」

『ふははははは!!二天龍の競演とは!!なんとも心が躍るぞ!!!』

 

へっ、偉く余裕だな………だったらその仮面を!

 

「「俺達が剥いでやる!!」」

『来るがいい!幻魔宿せし赤龍帝、魔王の血を宿す白龍皇よ!!』

 

俺達が激突すると同時に、それぞれ戦うべき相手ともぶつかり合った!!

 

 

 

 

 

 

「リアス・グレモリー、姫島朱乃。お前達の力は一級品だ。メインは私だが、隙を見出せば遠慮なく攻撃しろ」

「えぇ」

「当然ですわ」

 

龍王ティアマットとリアス、朱乃達の前には無数の魔物とグール、そしてそれを従える漆黒の女王、ヘル。

 

「本当のところはあの魔法使いと戦ってみたかったのですが……龍王最強のティアマットと戦えるなんて、滅多にない経験ですわ」

「ふん、お前のような危険な女をイッセーに近づけさせはしないさ」

「それは残念………では、行きなさい」

 

ヘルの号令に、大多数の魔物達は一斉に襲い掛かってくる。

ティアは手元に魔方陣、リアスは滅びの魔力、朱乃は雷光を迸らせる。

 

「さぁ……私達も、ショータイムだ!」

「「えぇ!!」」

 

 

 

 

 

『グルルルルルルルル………!!』

 

口元から唾液を漏らしたフェンリルが睨むその先には、グレモリー眷属とヴァーリチーム達。

 

「へっ、食い応えがありそうじゃねぇか!変、身ッ!!」

《セット!オープン!L・I・O・N!ライオーン!》

 

吼介はビーストに変身すると、ドライバーからダイスサーベルを引き抜き、構える。

それと同時に他の面子もそれぞれの得物を構える。

 

「良いこと白音。絶対にアイツの爪と牙にだけは触れちゃタブーにゃん」

「……分かっています」

「おいカイト。丸腰のままで良いのかぃ?」

「…俺が最前線に出張るわけではない」

「それもそうか。……危なくなったら使えよ。一々助けてらんねーからな」

「当然だ」

「……来るぞ!」

 

タンニーンの言葉に力強く構える。

それと同時に――――台地が隆起した。

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!

 

 

 

そこから現れたのは長い体躯の、東洋で見られるタイプのドラゴン。

 

「ッ!ミドガルムオルズの量産体か!」

「だが――――引くべきではない!」

「そうそう!纏めてアーメンしちゃうんだから!」

「行くよ………皆!!」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!!」

 

ウィザードFDはウィザーソードガンで連続突きを行う。

ロキはそれを片手間で防ぐが、その間にもう一方のウィザーソードガンで射撃を敢行。

 

『無駄っ!!』

「おりゃっ!!」

 

ならばと今度は上段蹴りでロキを僅かばかり後退させる。

その隙にヴァーリの魔力弾の雨が降りかかる。

 

『フッ!』

 

ロキは不敵に微笑むとその攻撃に向けて手を翳す。

すると刹那――――攻撃が消えた。

 

「っ!」

 

これにはヴァーリも驚きを隠せない。

そしてその攻撃は――――彼らの後方で戦っていた仲間達に降りかかった。

 

「なっ、テメェ!」

 

激高するウィザードFDだが、その攻撃は彼らに命中――――する前にかき消された。

 

「えっ……」

「呆けてる暇があるのか!」

 

その声の主は――――カイトだ。

 

「俺の仲間を嘗めないでほしいな」

『そうか。ならば――――フェンリル!』

 

直接攻撃を仕掛けるべく突貫して放たれたヴァーリの手刀を防ぎつつ、ロキは木場達と交戦しているフェンリルへと指示を出した。

それを実行すべくウィザードFDへと襲い掛かろうとするフェンリル。

 

だが、それは叶わなかった。

 

 

「今だ!」

「にゃん♪」

 

黒歌が笑ったのと同時に地面から鎖が出現、フェンリルを拘束する。

 

『グレイプニルか!しかし無駄な事を!グレイプニルの対策は万全である!!』

「それはどうかな?」

『何?』

 

ロキがフェンリルを見やると、そこでは拘束から逃れようともがくフェンリルがいた。

だが鎖は何時まで経っても引き千切れる事はなく、フェンリルの悲しげな遠吠えが響く

 

 

 

ウォオオオオオオオオオン…………

 

 

 

「フェンリル、捕獲完了だ」

『そうか…グレイプニルをダークエルフ達が強化したのか。そしてそれを貴殿等に教えたのは――――あの愚か者か』 

「あぁ。さて、ヘルの方も防戦一方で、フェンリルは動けない………これが何を意味しているか、分かるよな?」

 

ウィザーソードガンの切っ先を向けるウィザードFD。

しかしロキは臆することもなく笑うだけ。

 

「……偉く余裕だな」

『…いいや?これでも驚嘆しているさ。だが、貴殿等は少し勘違いをしている』

「…何?」

『これだけが我等の全戦力だと思っているのなら………実に浅はかだということがさ!!』

 

ロキはそう言い切ると、天に向かって指を鳴らした。

すると、またもや空間が歪みだした。

 

「何だ?今度は何が来るんだ!?」

 

 

 

そう言い終わったのと同時に――――焔が舞った。

 

 

 

 

 

 

 

『おらぁ!!!!!!!!!』

 

赤い鳥を思わせるファントム――――フェニックスだ。

 

「なっ!ヴァーリ!!」

「ぐぅ………!!」

 

虚を突かれたヴァーリはフェニックスの炎を僅かに受けてしまう。

 

『ふ~、漸く暴れられるぜ!』

 

大剣カタストロフを振るい、好戦的に笑うフェニックス。

 

「くっ……ロキ!」

『そのファントムは貴殿と因縁浅からぬ仲なのだろう?なればこそ、彼の為に最高の舞台を用意したまでの事よ!』

『さぁ魔法使い……俺と遊ぼうぜぇ!!!』

 

フェニックスは以前以上の炎をはためかせると、意気揚々とウィザードFDに襲い掛かった。

 

「ぐっ!?…ヴァ―リ!一人でも行けるか!?」

「…ふ、随分と無理難題だね。だが……やってみよう」

 

ヴァーリは苦笑いを浮かべると、そのままロキへと迫る。

 

『フフフフフ!白龍皇だけで我の相手は務まらんよ!』

 

ヴァーリが放つ無数の北欧の魔術を無効化し、お返しとばかりに極太の魔力砲を放つ。

 

「ちぃっ!!」

《DivideDivideDivideDivideDivideDivide!》

 

ヴァーリは白龍皇の半減の力でそれを半減させ、腕でかき消す。

が、ロキはそれを見越していたのか肩で息をするヴァーリの四方を囲むように魔方陣を展開。

 

「っ!!」

「ヴァー………」

『そぅら!!』

 

バリバリバリバリバリ!!!!!!

 

 

「ぐああああああああああああっ!!!!!」

 

 

けたたましい轟音と共に流れるエネルギーは魔方陣の間を往来し、その間に挟まれたヴァーリに甚大なダメージを与える。

 

「ヴァーリ!」

『おぅらぁ!!』

「くそっ!邪魔すんじゃねぇ!!」

 

フェニックスのしつこい追撃を何とかしのぐウィザードFD。

だが異変は更に起こる。

 

 

 

 

 

 

 

ピシィッ!!

 

 

何かが罅割れる音が響く。

バラキエルが見れば、フェンリルを抑えていたグレイプニルの鎖に亀裂が入っていた。

 

「馬鹿なっ!?」

「強化したはずでしょ!?」

 

ヘルが召喚した魔物の対処に追われていたイリナ達が叫ぶ間にも、グレイプニルの亀裂は大きくなる。

そしてそれだけに留まらず、フェンリルの体も怪しい輝きを放つ。

 

「な、何だ!?」

『言ったであろう?フェンリルにもファントムの力を加えてあると!』

「まさか……」

『その時に偶発的に産まれた姿だ!とくと見せてやれ――――神界獣よ!』

 

 

 

バキィンッ!!!

 

 

そう告げると同時にとうとうグレイプニルが決壊する。

そして今だ輝きを放つフェンリルのシルエットは何と――――立ち上がったのだ。

 

 

『ッ!?』

 

全員が驚いた顔を作る。

やがて光が晴れるとそこには――――

 

 

 

 

「…………………」

 

暗い銀髪を持った長身の美青年がいた。

 

「……フェンリル、なのか?」

「…左様だ」

「ッ!」

 

そう短く答えたと同時に、フェンリルはその爪を側にいた小猫に突き立てようと動いた。

 

「白音っ!!」

「っ!」

 

黒歌が走るも、その間には無数の魔物が。

そしている間にも、フェンリルの爪は小猫の細い体に突き――――

 

 

 

 

 

 

「おらぁっ!!!」

「…ッ!?」

 

刺さる前に何者かによってフェンリルは蹴り飛ばされた。

目を瞑っていた小猫が目を開くと、そこにいたのは、

 

 

「間一髪だったね、小猫ちゃん」

「イッセー、先輩……?」

 

ウィザード・ランドドラゴンだ。

 

『っ!馬鹿なッ……赤龍帝はフェニックスと戦っているはずでは……』

 

ロキが見やると、そこではやはりフェニックスと鍔迫り合いを続けるウィザードFDの姿が。

だがフェンリルを蹴っ飛ばしたウィザードLDもそこにいる。

 

 

 

そしてロキは気づいた。

フェニックスと交戦中のウィザードFDの右手に装備されていたタイマーのような道具を。

 

 

「間一髪……って所だ、なっ!!」

『ぐぁ!?』

 

そう言ってウィザードFDはフェニックスの腕を蹴り上げて、カタストロフを手放させる。

僅かに揺らいだフェニックスが見せた隙を逃さず、ウィザードFDはスペシャルリングで必殺技の体制に移行する。

 

《チョーイイネ!スペシャル・サイコー!》

『っ!!』

「この距離なら、バリアは張れないよなっ!!!!」

『ッ、グアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』

 

零距離で放たれたドラゴンブレスの一撃に、成すすべなく爆発するフェニックス。

 

 

「赤龍帝ちん……」

「言ったろ?守ってやるってさ」

 

一方、小猫が無事な事に安堵の域を漏らす黒歌にそう告げるウィザードLD。

 

「…向こうも片付きそうだしな」

 

ウィザードLDが向いた先では、

 

 

 

「行くぞ木場、ゼノヴィア、アーサー、カカロット、カイト!!」

「うん!」

「荒れるぞ、止めてみろ!!」

「勿論です」

「だーかーら!俺っちはカカロットじゃねーっつーの!!!!」

「光の彼方へと消え去れ!!」

 

剣士達と妖怪と共に風――――否、暴風のごとく暴れ回るウィザード・ハリケーンドラゴン。

 

 

 

そして別方向では、

 

 

 

「くっ………私の僕達が!?」

 

召喚した無数の魔物が凍り付いていくことに焦りを見せるヘル。

そしてそれを行うのは――――

 

 

「アンタ、俺の相手をしたいって言ってたよな?だから、とことん相手してやるぜ!」

「ふふふ、流石はイッセーだ」

「さて、朱乃。私達もこの流れに乗って踊るわよ!」

「当然ですわ!」

 

ブリザードの魔法を使い次々と凍らせていくウィザード・ウォータードラゴンとその後ろから凍った敵を消し飛ばしていく女性陣メンバーだ。

 

 

 

『隠し種を持っていたのは貴殿だけではないということか』

「そう言う事だ!」

 

そう告げたウィザードFDの隣に、いつの間にやら脱出していたヴァーリが降り立つ。

 

「ようヴァーリ。生きてるか?」

「…あぁ、何とかね」

『……だが、フェニックスは不死身だ。それは分かっているだろう?』

 

そう告げるロキと二人の間に揺らめく焔。

それはやがて人型をなしていき、その炎を振り払うように人型は腕を振るった。

 

そしてそこにいたのは、フェニックスファントム。

 

『不死身の俺を、嘗めんじゃねぇ!!』

「……驚いたな。悪魔のフェニックスとは、根本から違うのか」

「あぁ……けど、策はあるさ」

 

そう言ったウィザードFDの周りに来たのは、それぞれのドラゴンスタイルのウィザード達。

 

「ヴァーリ、アイツは俺がやる。もうちょっとだけ、あの神様相手に粘れるか?」

「……俺一人では少々分が悪い」

「………そうか」

「なに、戦えない訳ではない。それに、一人で戦うつもりはない………カイト!」

 

ヴァーリはここで魔物と戦っていたカイトを呼んだ。

それを聞いたカイトは一瞬で二人の元に駆け付けた。

 

「何だ?」

「俺と共に暫くロキを相手取ってもらいたい。出来るか?」

「……随分と無茶な注文だな、リーダー」

 

口ではそう言っているカイトだが、臆する事無くロキの眼前に立ちはだかった。

 

『ふん…たかが人間一人増えたところで、我と戦えるとでも?』

「その慢心は自分を殺すことになる。――――それに」

『?』

「俺の仲間は貴様が思っているほど惰弱ではない。このカイトもな」

 

ヴァーリの言葉が終わった瞬間に、カイトの手元には何かが握られていた。

 

 

赤を基調とした鋭利な三又。

それはまるで十字架のようだった。

 

 

「…………ハァッ!!」

 

訝しむロキに構わず、カイトはそれを天高く放り投げる。

勢いよく回転するそれに、何やら光の粒子が集まってくろ。

 

「一体何を…」

「見ておけ、兵藤一誠。あれが――――銀河の龍だ」

「!!」

 

 

 

カッ!!!

 

 

十字架を核として集まった光は、とある生物を模っていく。

 

 

 

『――――我が身に宿りし、闇に輝く銀河よ』

 

 

カイトの口から紡がれる言霊により、そのシルエットは鮮明になってくる。

 

 

 

『――――幾年層の闇の彼方より、高らかに唄え』

 

 

細い腕、群青色の爪、同じく群青色の装甲のように具現化した鱗。

 

 

 

『――――遥かなる時を遡り、暗黒を照らす(ひかり)と共に』

 

 

 

光り輝く翼を広げるその威容は、あらゆる影を照らさんとばかりに輝く。

 

 

 

『――――我が血肉になりて、未来に向かい吠えよ』

 

 

 

万物を睥睨するその瞳は―――――まさしく銀河そのものだった。

 

 

 

 

 

 

光輝なる銀河星龍(エタニティ・ブライト・ドラゴン)―――――――光子極化(フォトン・ブリッツ)ッ!!!!』

《Photon Alchemist Balance break!!!》

 

 

 

 

 

GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!

 

 

 

龍が高らかに吠えたのと同時に、その姿が一瞬にしてカイトへと纏わりつく。

 

 

カイトの四肢を覆っていく青白い光を放つ鎧。

それはやがて全身を覆うと、最後には先程のドラゴンを思わせる兜が装着される。

 

そして,背より生える光を放つ翼。

 

 

 

 

「……随分と待たせたな」

 

そう言って地面に降り立つカイト。

それを見たロキの声は、歓喜に震えていた。

 

『フ……ハハハハハハハハハッ!!!まさか、こんな少年にあの伝説の銀河の龍が宿っていようとは!!なんという幸運だ!!』

 

その様はまるで新しい玩具を買ってもらえた子供のようだった。

そしてそれは、ウィザード達も同じである。

 

「さぁ、行くぞ。カイト」

「……あぁ」

『フッ、ならば見せてみよ!その伝説の力を――――』

 

その言葉が言い終わらないうちに、ロキの肉体に粒子を放つ刃が食い込んでいた。

 

『な、に……?』

 

何が起こったかも分からないロキは唯々呆然とするばかりであった。

 

「今の俺は…………誰にも捉えられん」

『ば――――』

 

再びロキが口を開いた瞬間、カイトはロキの視界から姿を消す。

と同時に、立て続けにロキに襲い掛かる衝撃。

 

 

カイトがその姿を見せたと同時に、ロキの体には無数の切り傷が。

 

「………例え、神であってもな」

 

 

 

 

「すげぇ……」

 

その目にも捉えられない高速――――否、神速に、ウィザードFDは目を見開くばかりだ。

 

「さて、俺も行かせてもらうよ。君は君に出来る事をしたまえ」

「…おう」

 

ロキの元へと飛び出したヴァーリを見送ると、ウィザード達はフェニックスと向き合う。

 

「部長達は?」

「大丈夫だ。力は譲渡してある」

「ヘルの魔物も随分と減ってきたからな」

「厄介なのはフェンリルだけど…………木場達を信じるしかねぇな」

 

ウィザード達の視界の端では、人間の姿をとったフェンリルと戦い、ヘルの魔物を片っ端から消していく仲間達の姿が。

今すぐにでも加勢に向かいたい気持ちを抑え、ウィザード達は武器を構える。

 

「さぁて、フェニックス……待たせたな」

『…俺と初めて戦った時の事を覚えてるか?』

 

それを聞かれたウィザードFDの脳裏には、無残に目の前のファントムに敗れる自分の姿がフラッシュバックした。

 

「……あぁ」

 

彼自身、その時の戦いは忘れられない出来事だった。

今思えば、このファントムと戦わなければ、こうしてウィザードラゴンの力にも手を伸ばしていなかったのでは?と思うほどに。

 

『あの時テメェに負けた時の衝撃は今でも忘れてねぇ。ムカつくと同時によぉ……俺は嬉しかったぜ。何せ、俺を初めて殺した相手なんだからよぉ』

 

フェニックスはカタストロフを担ぎ、語り続ける。

 

『あれ以来俺はずっとテメェとの戦いを望んでた……。だが、ワイズマンはそれを認めてくれなかった。チマチマ絶望させていくのは、俺は苦手なんでな。……俺は、派手に暴れればそれで良かった!』

 

強い語気と共に、フェニックスの周囲には焔が揺らめく。

 

『あの神様には感謝してるぜ?こうやってテメェと戦える機会をくれたんだからよぉ!!』

「…………だから、無関係の人達を襲ったのか?」

『ハッ!俺は俺のやりたい様に暴れただけだ!それで誰が傷付こうが、俺の知った事じゃねぇ!!さぁ、思う存分やろうぜ………指輪の魔法使い!!!』

「…………良いぜ。お前が二度と暴れられないように、ボッコボコにしてやるよ」

『……ウォオオオオオオッ!!!!』

 

フェニックスは力強く駆け出すと、力任せにカタストロフを振るう。

それを受け止めるウィザードLD。そしてその合間を縫うように、空中を滑空するウィザードHDが蹴りを叩き込む。

 

『そんなもんが効くとでもッ!?』

《バインド・プリーズ》

 

ウィザードHDを叩き落そうと身動ぎするフェニックスを封じるべく、ウィザードWDは氷の鎖で縛りあげる。

 

《ビッグ・プリーズ》

「ッ!!」

 

フェニックスの炎で氷が解けるよりも早く、腕を巨大化させたウィザードFDがフェニックスを叩き潰す。

が、その手の下から炎が溢れ、何事もなかったかのように復活するフェニックス。

 

『言っただろ?不死身の俺を……………嘗めるなぁぁぁぁ!!!!』

 

先程よりも激しくなった焔を飛ばすフェニックス。

空かさずウィザードWDが前衛に出る。

 

《ディフェンド・プリーズ》

「全員譲渡頼むぞ!!」

「「「ラジャー!!」」」

()T()r()a()n()s()f()e()r()!()

 

赤龍帝3人分のオーラが譲渡され、ウィザードWDの発動した魔法が強化される。

大きな質量となった氷の壁はウィザード達に届く寸前で、炎を打ち消した。

 

「………やっぱチマチマやっても仕方ない、か」

《ファイナルタイム!》

 

このままでは埒が明かないと判断したウィザードFDはドラゴタイマーのレバーを押すと、ウィザードライバーを操作する。

 

『相棒、お前……』

「大丈夫だって。コカビエルの時よりは、マシだろうからさ」

 

これから起こるであろう出来事を懸念するドライグの諫め、ドラゴタイマーが付いた右手を翳した。

 

 

 

 

《オールドラゴン!プリーズ》

 

その瞬間、ウィザード達は魔方陣と共に浮かび上がった。

そしてフレイムドラゴンを中心に、他のドラゴンスタイルがそれぞれの色を投影した魔力に戻り、ウィザードFDに還元されていく。

 

 

風と共に現れる翼、土煙が巻き起こり装備される強靭な両爪、水飛沫と共に噴き上がる様にして顕現する尾、そして燃え上がる炎の如く飛び出るドラゴンの胸部。

 

 

その姿は、嘗てコカビエルとの戦いで見せたスペシャルラッシュなるスタイルに非常に似通っていた。

だが、今回のその姿は以前のそれとは比較して明らかに巨大な装備となっている。

 

 

「全てのエレメントを一つに…………これが最後の希望だッ!!!」

 

 

 

以前よりも安定して全エレメントの力を開放した、この戦いのためにイッセーが発見していた形態。

 

 

 

 

ウィザード・オールドラゴン

 

 

 

『へっ!ただてんこ盛りになっただけじゃねーか!!』

 

フェニックスは背中から焔の翼を展開すると、ウィザードADに向かう。

 

『そんなんでこの俺を倒せるわけ―――――』

 

フェニックスの言葉は、それより先を紡ぐ事はなかった。

何故なら、ウィザードADのオールドラゴヘルクローによって、引き裂かれていたからだ。

 

『――――ガァァアアアアアアアアッ!!?』

 

一瞬遅れて苦悶の声を上げるフェニックス。

だがウィザードADは容赦しない。

 

フェニックスの周囲を拘束で旋回する事で緑色の竜巻を形成、その中にフェニックスを閉じ込めると、オールドラゴスカルから放たれる火炎放射で焼き尽くす。

 

『グウウウウウウウ………!!ちょ、調子に乗ってんじゃ』

 

ねぇ!と続けて剣を振りかぶろうとしたフェニックス毎、冷気を帯びたオールドラゴテイルで打ち据える。

それと同時にカタストロフも砕け散った。

 

『ッ!?ありえねぇ!ありえねぇ!!この俺様が負けるとでもぉぉぉ!?』

 

怒りが沸点を超えたフェニックスは、鳥型の焔をウィザードAD目掛けて撃ちまくる。

それに対しウィザードADはオールドラゴヘルクローを地面に突き立てると、地面をひっくり返す勢いで振り上げた。

 

台地を隆起させながら迫る双撃その攻撃をかき消し見事にフェニックスの両腕に命中、彼の両腕を切り飛ばした。

 

『ッ!?…………だがな、俺は何度だって蘇る!蘇る度にテメェのその力だって超える!!』

 

自身の力を圧倒するウィザードADの力に気圧されかかるが、何とか自分を奮い立たせ、ウィザードADを挑発する。

 

「分かってるさ。だからこそ………お前を倒すつもりはない」

『……は?』

 

ウィザードADの言葉に呆気に取られるフェニックス。

その隙を逃さず、ウィザードADは一気にフェニックスの懐に肉薄する。

 

『!』

「お前に……フィナーレはない」

 

そう言った後にフェニックスの顎にアッパーを喰らわせて空中に打ち上げた後、ウィザードADは足元に魔方陣を展開する。

 

「永遠に死と再生を繰り返せ…………ハァッ!!」

 

空中に飛び上がると、1回転してフェニックス目掛けて右足を突き出す。

そして足元に展開されていた4色の魔方陣はそれぞれウィザードラゴンとなり、フェニックス目掛けて突進する。

 

『なっ――――!?』

 

吸い込まれるように消えていったウィザードラゴンの幻影は魔方陣となるが、それはフェニックスを拘束する枷でもあった。

空中でもがくフェニックスだが、どうやってもその魔方陣は消えることはなかった。

 

「ハァァァァァァ……………ダアァァァァァァッ!!!!」

 

全エレメントの力を収束させて放つ必殺の一撃―――――「ストライクドラゴン」はフェニックスを捉え、彼を天高く蹴り飛ばす。

 

 

『グアァァアァアァアァアァァアアアアアアアアアアアアッ!!!!?』

 

雲をも突き破ったフェニックス。

だがその勢いは留まらず、遂には成層圏を超え――――宇宙へ。

 

そしてフェニックスは身を焦がすほどの熱を感じ、背後を振り返ると、最後にウィザードADの言葉の意味を悟った。

 

 

 

 

そこにあった物とは―――――太陽だった。

 

 

 

 

 

そして漸く勢いが落ち着いたフェニックス。

だがその肉体は太陽へと収まり、その熱量によってすぐに体が焼失する。

そしてすぐに蘇り、また焼け死ぬ。

 

これこそが、ウィザードADの策だった。

太陽という永遠の牢獄へと葬る…………これが不死身のフェニックスを葬れる唯一にして絶対の方法だったのだ。

 

 

『…ば、かな……!こ、の……俺、が…!』

 

ボロボロの腕で、眼前に広がる地球の光に手を伸ばすフェニックス。

だがそれは消え、そしてまた復活。そして消える。

 

 

 

彼はもう2度と、その光を手に収めることは――――出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………言った筈だ。お前に、フィナーレは訪れない」

 

天を仰ぎ、誰に言うでもなく呟くウィザードAD。

 

 

 

 

『ほぉ………素晴らしい力だ!赤龍帝!!!』

「ッ!?」

 

ゆらりと姿を現したのは、ヴァーリ・カイトのタッグと戦っていた筈のロキ。

 

「ロキ………!!」

 

 

 

そしてその背後には……………倒れ伏す二人の姿が転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

次回、D×Dウィザード

 

 

ロキ『もう終わりだ!貴殿等は――――よく頑張ったよ』

 

ヴァーリ「この白龍皇……ヴァーリ・ルシファーを嘗めるな」

 

イッセー「御免………皆………」

 

 

MAGIC71『消えない希望』

 

 

???「君も希望の魔法使いなんだろ?だったら……こんな所で倒れるのは早いと思わないか?」

 

 

 

 

 

 




なんだか見辛い文章に仕上がってしまった………申し訳ない(´;ω;`)ウッ…
そしてフェニックス戦をサラリと流すことになってしまった非力な私を許してくれ……m(__)m

フェンリルの擬人化はヴァンガードの神界獣 フェンリル(紙は銀髪)を思い浮かべてください
カイト君の鎧は輝光士パラディオス+銀河眼の光子龍を足して二で割った感じです(絵心ないので書けません……すまぬ)

それと第七章完!みたいになってますがまだこれからです。
果たして会談は成功するのか?イッセー君は死亡フラグを振り切れるのか!?

振り切れるように皆様脳内で『Leave All Behind』を流してください


ではノシ



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