お久しぶりです。
愚か者は私です
リメイクの方に力入れてたら話が進まなくなる
こちらの話はリメイクの進み具合次第ですが、勇子たちが1年終えたら終了かな、と思ってます。これからも不定期更新ですがよろしくお願いします。
短いけど1話だけです。
大繁盛するクラス出し物、それは良い。
百歩譲って、やたら客足が均等なのも。
勇子はちゃんと気付いていた。
「朱里、この時間調節ってアレンがやったのかしら?」
「ああ。やたら混まないようにって」
アレンの配慮であるということを伝えた朱里は、2日目である今日もまた自分の中学の知り合いたちを相手取ってホールの役目を負っていた。
今日は冬士が抜けてしまう日であり、千夏はホールにずっと入っている。
冬士の分までさばくには千夏並みのがもう1人欲しい!と勇子は声を上げていた。しかしそう給仕能力が高い人物がいるわけもなく、勇子が直々にホール班に回っているのだ。
「勇子、ごめん……」
「あらら、いいのいいの。写真集の販売は玲たちに任せてあるし!」
何事もなければいいとよく言うけれど、そう思っているときに限って何か持ってくるのはもはや陰陽業界では当たり前のことである。
この日は、大輔の調子がすこぶる悪かった。
体調というより、機嫌の方だ。
冬士は無事だろうかと心配をしているのは勇子だったり、大輔だったり、千夏だったり、春樹だったり、犬護だったりする。
この日、犬護は自由時間を楽しんでいた。
その途中で、冬士がベンチで眠っているのを見かけた。傍には昌次郎が居り、昌次郎が冬士の代わりに見回りに近いことをやっているのだと窺い知れた。
犬護は昌次郎が怖いものの、勇子の親戚であることを知っているため、他の皆ほど彼を警戒したりはしていない。いや、物の言い方はアレで冬士を狙っているような口調はどうにかしてほしいところがあるのだが。
犬護は飲み物とたこ焼きのパックを買って昌次郎の前に立った。
「あ?」
「こんにちは」
昌次郎はすこぶる機嫌が悪かった。ピリピリした雰囲気を十二神将ともあろう者が纏うのはいただけないものだ。
「これ、どうぞ」
「……」
昌次郎は犬護の差し出したお茶のペットボトルとたこ焼きのパックを見て、素直に受け取った。ちなみにこれはかなり珍しいことである。勇子が居たら喜んで写真に収めたことであろう。
犬護はそんなこと知らないので、眠っている冬士を見て、その顔色があまりよくないことに気付き、眉根を寄せた。
「――心配か?」
「……はい」
昌次郎の問いに犬護はうなずいた。
「ま、気にすんな。気にしたら呪術は負けだ」
「……そう、ですね」
せっかくの祭りだが、皆で一緒に楽しみたかったなあ、と犬護は思う。皆自由時間がばらけたうえに、冬士と千夏はよりによってあまり近寄らない方がいい状態。千夏がもう少し安定して朱雀を抑えることが出来るようになればなんとかなるのだが。
しかしそんなことは犬護にはどうしようもない。千夏の問題だ。
「ま、犬は犬らしくするこった。負け犬と駄犬にだけはなるなよ、ぶっ殺すぞ」
「狼ですってば!」
犬って言うな、と犬護は噛みついてみせる。昌次郎はゲラゲラと笑い、たこ焼きのパックを開けた。
「そんだけキャンキャン吠えるならまだいい。おもしれえ、お前の庇護者を守るためにせいぜい吠えろ」
馬鹿にされている言い方は気に障るものの、言っていることは概ね正しい。犬護は小さく頬を膨らませてジト目を昌次郎に向けた。
祭時は騒ぎを聞きつけて、霊界から異形がやってくる。祭りごとが好きなのはみんな同じである。酒を持って来いと言わんばかりに、みなこぞって騒ぎに来る。
それらが視えているから見鬼というのは厄介なものである。
「朱里ー、ちょっと休んだら?」
「え、いや、まだいける」
朱里は勇子に休憩をすすめられたが断り、持ち場へ戻る。頑張り過ぎだよー、と他のクラスメイト達からは言われる。しかし、自分目当てで来ている者たちが居ることが分かっているのである。ここで朱里が休むはずがないのである。そもそも、昨日休んだではないかと、朱里はそう思っている節もある。
「まだいけるじゃないってーの。普通は一日ずっといること自体がおかしいのよ? 休むのが悪いって思うなら、アレンにでも言えばいいのに」
勇子は自分の想像と違う文化祭を過ごして来たらしい朱里に同情の眼差しを向けた。何だってそんなにきつい思いをして文化祭をしなくてはならないのだ。
「……」
勇子はこっそりと休憩室へ行き、鳥の式神を飛ばして戻ってきた。
「どうしたの?」
「犬護にたこ焼きと焼き鳥頼んだ」
勇子はそのままシフト表を確認しに行く。朱里の休憩時間がほんの4時間ほどしかないってどういうことだ、と心の中でひとりごちて、人知れず息を吐いた。
感想お待ちしてます。