日ノ本四重奏   作:黄昏翠玉

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朱里とアレンの友人

朱里とアレンには、こちらの学校へ来るときに丁度置いてきた形になった友人がいる。名は、真白叶。

アレンが冬士に会わせたくない、と思っている人物でもある。

だって面倒ごとにしかなりそうにない。

なんでそのように思うのかと言えば、叶の性格は、初対面の人間には分かり辛いのだ。

アレンにとっては朱里についての唯一の相互理解者にして、朱里狂信者と評するのはあれだけだと言わしめる存在でもあるのだ。

朱里狂信者、とは実に的確に彼を現した言葉ではあるが、朱里はその事実を諫めつつも見守っているだけである。

 

アレンは息を吐いた。

結局、朱里にはああ言ったが、うまくいかなかったというべき結果と相成ってしまったのである。

「どうしよう……影山ぁ、ごめんよぅ……」

「お前がそんな言い方するとちょっと引くわ」

「ひでぇ!」

アレンはいつの間にか来ていた冬士に言葉を返した。

「別に、そいつとのエンカウント時にお前がいりゃ何とかなるだろ。今日は勇子もいる」

「うん……そう、だよな」

アレンから冬士に、叶についての説明はしっかりしておきたい。昨日しておけばよかったのだが、朱里に知らせたのも昨日、他にも仕事があったために身動きは取れず今の時間となってしまった。

「神成、しばらく影山借りる!」

「またあんた下手打ったわね!」

「またとか言われるほどしくじってねえ!」

アレンが言い返したのに対して冬士が呟く。

「いや、今のたぶんカマ」

「えっ」

「勇子のあれ、テキトーだぞ」

「……今度からこれをネタにいじられるとか?」

「いや、弄るのは俺だけど」

「鬼!」

「鬼ですが」

「そこじゃない!」

アレンは控室に冬士を連れ込んで、叶についての説明を始める。

「はぁ、とりあえず。今日来るのが確定してる真白叶。こいつ、たぶん女装してくるから」

「また変なとこから説明始めたな」

「そうじゃねえ、お前女子に当たってるだろ、だから叶が来たら俺が行くから、俺が動かなかった女子に当たってくれ」

「なるほど」

女装してるのは確定か、と冬士が問えば、アレンは小さくうなずいた。

「趣味、だしな」

「目が泳いでる」

「だって俺でも女にしか見えないのに……!」

「つーか、見鬼なんだから分かるだろ」

「そうだけど!」

ああもう、とアレンは髪をぐしゃぐしゃにかき乱し、話す内容を決めたようで顔を上げる。

「影山、俺が怖いのは、叶が“呪い”を使うことなんだよ」

「……蠱毒タイプじゃねえだろ。純粋なあれか、丑の刻参り系の」

「アレのもっと簡易版。でも、アイツそれの解呪法一切知らないんだよ。だから怖い」

ああ、そういうことかと冬士は納得したように小さくうなずいた。

そして、口にしてみせる。

「つまり、俺がそいつが放った呪いを打ち返すのが怖いわけだな?」

「はいそうです! チクショー俺じゃお前に打ち返されても落としどころ無いわ! お前に返されたら大抵の陰陽師死ぬわ!」

「だろうな」

冬士はニヤリと笑う。

「なら、下手に俺に呪詛をそいつが吐かないようにしとくんだな」

「影山も手伝ってよ……」

「何で呪ってくる相手の心配をせにゃならん」

「いろんな意味で嫌な予感しかしないからだ!」

結局アレンがいろいろ説明をした結果として、冬士は今回ほとんど裏方で過ごすことになった。

勇子にも一通り説明したのだが、勇子は渋い顔をした。

「そいつ、冬士に合わなかったら最後まで残ってそうね」

「う……可能性ある」

「……まあいいわ。いざって時は助っ人放り込むから」

「うん、助かるわ」

勇子の言う助っ人が誰なのか、アレンは大体分かっていた。

まあ、普通はその人を連れてくるよなあと言うべき人。

それにしても、と、アレンは息を吐いた。

「もうちょっと仕事減らしてよ……」

「何言ってるんだ、冬士に迷惑を掛ける可能性がかなり高いんだから、これくらいは当然だろ、アレン」

「いやいやいや、冬士のスペックおかしいよ!」

ハイスペックな人間が抜けると穴が大きくなるものだ。朱里とアレンは冬士が抜けた分――つまり朱里がいる時間帯は冬士は調理班へ行ってしまうのだ――のために全力で立ち回ることとなったのだった。

 

 

 

 

 

<勇子サイド>

今日私は基本的に休みなので、写真集の方を見に行くことにした。

さーて、生成写真集の売り上げはどうですかな。

玲ちゃんたちに任せていたんだよね。

「やっほー」

「あ、勇子ちゃん」

「どんな感じ?」

状況を尋ねると、玲ちゃんはニヤリと笑った。

「大繁盛でっせ」

「昨日分は完売したしねー」

「マジか」

「今日分ももうあんまり残ってなくてさー」

玲ちゃんがもうあんまり冊数の無い写真集を示して見せてきた。

――1冊600円というぼったくりなんですがねー?

ちなみに120冊くらいしかない。

ぼったくりをそんなに買っていくのか。

違うな。

影山家の皆様が買ってるのか。

「買っていくのって、どんな人たち?」

「同い年の子たちも結構買っていってるよー」

「でもなんか、撮影者めっちゃ聞かれるよね」

あ、分かった。

朱里ちゃんだわ。

朱里ちゃん目当ての子たちだわ。

こんなところでも集客に貢献する朱里ちゃん、恐るべし。

冬士は今日はいろいろ覚悟がいる日だって聞いてたけど、大丈夫かな。アレンの奴、冬士に何かあったらただじゃおかないからな。

 




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