日ノ本四重奏   作:黄昏翠玉

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第4話 キャラなんて

 

「アレン。 いったい何してんだよ」

「ごめんなさい」

朱里はアレンを連れて誰も入ってくることができないように結界をアレンに張らせて、生成り集会場の準備室に入った。

そして開口一番これである。

「本当に申し訳ございませんでした」

「…で、なんで冬士を睨んでたんだよ。 冬士に何か気に入らないことでもあるのか?」

「…それが…」

視線を泳がせるアレンに、朱里は小さく息を吐いた。

「…それが、何?」

思い切り睨みつけて問うと、アレンは朱里を見て答えた。

「出会って1カ月そこいらのやつを朱里が呼び捨てにしている事とか親しそうにしているところとか相手が男であることも含めて嫉妬しましたすいません」

「…てめー冬士に土下座して来い!! 犬護には頭擦り切れるまで土下座して来い!!」

朱里はアレンの頭にチョップをかました。

「はい!!」

アレンは半泣きで返事をした。まあ、すぐに出て行こうとするわけでもないのだが。

「…ねえ朱里、確認させてもらっていい?」

「何を?」

「あの倒れた子、矢竹だっけ。 彼、生成りだよね。 種類わかる?」

「…確か山犬。 狼って言ったほうがいいのかな」

「…俺折哉さんに叱られる…!」

顔を両手で覆ってアレンは嘆いた。

「…叱られるだけか…」

「封印かけられちゃうよ!! 俺朱里を守るために封印かけられずにここに来てるのに!!」

「封印されてろ! 犬護みたいな人畜無害な子をぶっ倒れさせて何が楽しい!」

「なにも楽しくございません! すいませんごめんなさい!!」

朱里はハアと息を吐いた。

「…犬護が目を覚ましたら2人で謝りに行くぞ。 冬士にもな。 むしろ冬士には今すぐ行くぞ」

「…うん」

アレンはうなずいた。

 

 

 

 

 

「鋼山さん、鹿池君、どこ行ってたの?」

「ちょっと説教をしてました」

「説教?」

「はい、冬士と犬護にいとこが不快な思いをさせてしまったので」

朱里はそう言って冬士の席に向かう。後ろにいた犬護の姿はない。千夏は紫苑を受け取って撫でていた。

「…ごめん、影山。 睨んだりして」

「本当に、ご迷惑をおかけしました」

アレンと朱里が頭を下げる。冬士は苦笑いをして、朱里の肩をつついた。

「?」

「別にいいんだ。 むしろ対等に見られている感じがしてちょっと嬉しかったくらいだ」

冬士はそう言ったが、嘘だと千夏の目が言っていた。目は口ほどにモノを言う。朱里は舌打ちしたかった。

嘘はいらない。ただ謝罪を受け取ってくれればいいのに。

「それに…鹿池、自業自得だぜ、ドンマイ」

冬士はアレンを見て言った。アレンも顔を上げた。

「へ?」

「…悪いが俺の護法が龍冴先生のとこに走った」

「封印確定ッ…!!」

頭を抱えたアレンを見て、冬士がククク、と低く笑った。

朱里が苦い顔をして言った。

「冬士。 無理はしないでください。 鬼気は漏れてないですけれど、かなり闘気が出てます」

鬼気を抑え込めた代わりに闘気が漏れる、それではいけないだろうといいたいところではあるが、致し方あるまい。冬士はただでさえ強力な鬼を3体も抱えている状態だ。抑えるといっても限界がある。皆が気絶していないだけましだ。

何より、アレンの睨みの原因が嫉妬だったことがやるせない。下らない。そう思っているから余計にこう言ってしまったのだろう。

「…なんだよ、朱里にばれたのか、鹿池」

「言ったからね」

「…じゃああえて言わせてもらうぜ。 封印されちまえ、準1級。 本気で」

「それは嫌!!」

「…」

朱里が呆然となる。冬士とアレンはどこかで会話をしていただろうか?

「…そこでそんなに話すようになったんですか、アレン、冬士?」

「「アイコンタクトで」」

男子ってわからない。

千夏が小さく笑って、席を立った。

「まあ、こんなこともあるってこと」

そう言って朱里の肩に手を掛けた。

その瞬間。

 

ぷっちん。

 

断じてプリンではない。

アレンがキレただけである。

「いやあああああああ!! 朱里に触らないでよおおおお!!」

「!?」

千夏がびくっとなって後ろに飛んだ。その距離、約3メートル。

驚いたのは朱里と冬士も同じで、固まっていた。

アレンがホルダーから符を取り出したのを見て、冬士があわててアレンの手を掴んだ。

「ッ!?」

冬士が手を放した。その手から煙が出ている。

「冬士!」

「あっちぃ…!!」

冬士は苦痛に表情を歪めたが、すぐに言った。

「朱里、あのバカ止めろ」

「ああ」

口調?もうそんなもの構っていられるものか。

「アレンッ!! このド阿呆ッ!!」

ホルダーをはずしてアレンの後頭部に叩き込む。金属製だ、硬い。

「いったあああい!」

「大馬鹿野郎!! 教室で何しようとしてんだッ!! 皆に迷惑がかかることもわかんねーのか!? 馬鹿なの阿呆なの考えなしなの!?」

「朱里ひどい! もう正気に戻ったから!! 呪符ホルダー痛い!!」

まだガンガン叩きつけ続けている朱里だった。

「…はっ…」

ようやく手をとめた朱里は、皆が呆然としているのを見た。アレンは半泣きだ。

「…ったく!! アレンのせいだー!」

「ごめん、ごめんなさい! 呪符ホルダー痛い!」

またアレンを叩き始める朱里。冬士がさすがに止めに入って、アレンの頭にはたんこぶが10個程度で済んだ。

「…痛いです」

「だろうな」

冬士は苦笑いしてアレンを見た。

「…ねえ冬士、さっきかなり高度なアイコンタクトの跡が見て取れたんだけれど」

勇子が言うと、冬士はうなずいた。

「そこはもう鹿池本人から説明してもらってくれ」

「やります説明しますだから封印だけは取り下げて欲しいって影山先生に言ってよ親戚でしょ」

「悪いが今年会ったばっかりで親戚の自覚はこれっぽっちも…」

「わー! 見捨てないでええええ!!」

「冬士を頼るだとッ!? 100年早いわッ!!」

「朱里痛いってばあああ!!」

また呪符ホルダーで殴る朱里だった。

 

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