日ノ本四重奏   作:黄昏翠玉

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第2話 結果発表

 

冬士は遅刻して授業に出た。

「どうしたんだ、影山?」

「通院ついでに陰陽局にレポート提出してきました」

「完成したのか、あれ」

「はい」

どんな内容なのかは烏丸は非常に気になるところである。

「どんな?」

「えーと…魔法を分解する術式ですね、詳しくは千夏に聞いたほうがいいですよ」

冬士はそう言って千夏を見る。千夏は少し頬を掻いた。

「どんな術なんだ?」

「…普通は、構成している属性の表現が違うので分かりづらいですけれど、風には木気をぶつけるじゃないですか。 あれを、風じゃなくて金気と木気って考えるんですよ。 そしたら火気と金気で勝てるってわかるじゃないですか。 でも火気を使うと金侮火されるんで、風化に強くするために土気と金気を使って相手の動きを封じるんです。 結界を作るんですよ。 ただし、相手を囲むんじゃなく身を守るために。 金気と土気だけで九字を切る感じです。 衝突して威力がダウンして、金気を含んだ木気が弱まったところで金気で木気をぶった切るんです。 この時金気を水気で守って風化浸食を防ぎます」

「…ぐ、いろいろな術式を相当組み込んだんじゃないのか?」

「はい、要は化学と地学です」

「お前その頭がありながらなんだあの点数は!!」

「烏丸先生、こいつ陰陽術と知識は結びつきますけどテストには一切結びつきませんよ」

冬士が苦笑いして言った。烏丸は息を吐いた。

「…まあ、あの点数なら文句はないが…」

「! そっか、もう点数張り出されてるんですよね。 見てこようよ!」

誰かが言えば皆で見に行ってしまう。

「アホかお前ら。 これから授業だろうが!」

烏丸が怒鳴ってしぶしぶ皆は席に戻った。

 

クラスの皆に辰巳のお披露目があった。

辰巳は特に変わらぬ態度でタメ口をきいて構わないと言った。あまり表情が動かないうえに背が高く、少し皆からすれば怖いイメージが付きそうだった辰巳もこれでクラスに溶け込んでしまった。

「…若いもんは適応が早いというか…」

「あんたほど適応が早い人を俺たちは知りませんよ」

烏丸が闇に言った。

授業が終わればあっという間に生徒たちが廊下の掲示板前に集まっていってしまった。

「…我々も移動しましょうか」

「そうじゃな」

烏丸と闇は辰巳を見る。辰巳はうなずいて、駆け足で教室を出て行った。

「あの子たちは来ると思いますか?」

「来るじゃろ。 冬士のように全部諦めるほどませてもおらんじゃろうし」

闇はそう言いつつ飛歩で移動した。烏丸は置いて行かれたことに気が付いて慌てて教室を出た。

 

皆で結果を見た生徒たちの反応。

「…不服だ」

吉岡がそう言った。

「…そうか?」

冬士が尋ねると当たり前だ、と吉岡は振り返った。

「…納得いかない…」

「そう?」

朱里もつぶやき、アレンに聞き返されてうなずいた。

「だって冬士はこんな低いわけない」

冬士はその結果を見て、ああ、なるほどなと思った。

結果は全員が張り出されるのだが、冬士の名は下から10番目ほどにあった。

まあ、こんなもんだろう。

そう思って冬士はさっさと立ち去ろうとした。

「冬士、これ…」

朱里が問いかけた。冬士は少し視線を戻す。

「…まあ、こんなもんだろ。 慣れてる」

「…」

朱里の表情がかすかにゆがんだ。

「…」

アレンはすっと目を細めた。冬士が歩いて行ってしまうと、アレンは朱里に断って冬士を追って行った。

「ちょっと、冬士」

「…」

冬士の表情は微かに暗かった。

「…朱里にあんな顔させないでくれる」

低く押し殺したような声でアレンが言った。冬士はうなずいた。

「わかってる。 慣れたは言いすぎたな」

冬士はそう言ってアレンに向き直った。

「…それはそうと、冬士。 あの点数で下から10番目って、どういうこと?」

疑問すぎる、とアレンは問うた。

「…実技教科の先生は覚えてるか?」

「うん。 Bクラスの担任でしょ?」

「あの先生エクソシストの免許持ってんだよ。 つーか、確かエクソシストだけじゃねえかな」

「…まさかとは思うけど…生成りは悪魔憑きとかほざいてる?」

「まあな」

冬士の答えにアレンが低くつぶやいた。

「…早くあの人来ないかな…」

「…あの人?」

「…うん、こっちの話。 ところであの点数さあ、4桁に見えてたんだけれど」

アレンがもう一つの問いを投げかけると、冬士は苦笑いした。

「ああ、あの点数はそのまんまだったと思うけどな」

「…もうちょっと頑張ってもよかったかな」

「お前が1500点台ってのはおかしいだろうよ」

冬士が肩をすくめた。

「…とりあえず、皆のとこに戻ろうよ。 俺朱里のとこに戻りたい~」

「…おう」

冬士はアレンについて皆のもとへ戻る。

すると、もうそこには吉岡や朱里はいなかった。千夏も勇子もいない。

「…朱里どこ行っちゃったの!?」

「職員室です」

そこに残っていた紫苑が言った。

「…お兄ちゃん」

「ん?」

「…この点数、あと100点は上乗せされると思う」

「…さすがにそれはねえだろ」

冬士の点数は1856点となっている。ちなみに一番上の支島という生徒は1897点である。

「…この点数だぜ? 俺皇帝になれるっての」

「お兄ちゃんはなってもおかしくない」

「自信過剰だぜ」

「お兄ちゃんは小学校のテストほとんど100点だったもん」

「小学校と高校は違うぜ?」

紫苑が冬士に抱きついた。冬士を折ることができなくて悔しいらしい。

「…冬士、職員室に行こう。 何かが変わるかもしれない」

「てかこれ明らかに先生たち仕組んでるだろ。 何したいんだまったく…」

冬士もそう言いつつ、紫苑を抱えたまま職員室に向かった。

 

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