インフィニットストラトス~抗い続ける復讐の戦鬼~   作:FEEL

13 / 19
第6話「宣戦布告」

 放課後になり、タクマは割り当てられた部屋へと向かった、ちなみに同居者はいない。

「(昔ほどではないにしろ、中々ハードな生活になりそうだな)」

 タクマは部屋へと続く廊下を歩きながら今後の生活を想定しているととある部屋の扉のところで女子生徒3人が固まって中をのぞいていた。

「なにしてるん――」

 だ?と聞こうとした瞬間、部屋の中から「馬鹿だと!!」という声が聞こえてきた。中では昼間に一夏に誘いを入れていた長い黒髪のポニーテールの女子が一夏に木刀を振り下ろし、それを一夏が両手で受け止めている様子があった。

「篠ノ之さん大胆!!」

 部屋の前にいる女子の一人が興奮気味に叫ぶ。

「いや・・・危ないだけじゃないか?」

 それに対し呆れながらタクマは応答する。すると女子はその声に驚き振り返った。

『え?え?迫水君!?』

 あまりに予想外の人物がいたせいか女子は混乱しながら扉から少し離れ、こそこそと話をはじめていた。とりあえず部屋の中で鍛錬を繰り広げている二人を止めに行く。

「そこまでにしないか?お二人さん」

 その声に黒髪の女子はタクマのほうを向き木刀にこめていた力を抜く。

「タクマ・・・サンキュー・・・」

 一夏はぐったりと倒れこみながらお礼を言う。黒髪の女子は勢いがそがれたこととさっきの光景を見られたことの恥ずかしさが同時にこみ上げ、顔を赤くしながらタクマに背中を向ける。

「・・・いささか気恥ずかしい姿見せてしまったな」

 その言葉を言いながら気持ちを整えたのか、まだ軽く頬に赤みの残る顔でタクマのほうへと向き直った。

「昼間は一夏を連れ出してすまない、私は篠ノ之 箒、よろしく迫水君」

 そこで握手を求める手が差し出される。タクマは差し出された白くも細身のある女性的な手を握り返しながら応じる。

「いや、連れ出したかったらいつでも連れ出してくれてかまわない。よろしく篠ノ之さん」

 そこで2人は軽く笑みを浮かべながら握手を交わした。

 

「それで・・・なんであんな状況になってたんだ?」

 タクマは不可解な先程の状況に至る経緯を聞いた。すると一夏は困惑しながら、箒は怒りとも照れともいえない顔で説明した。

 ここまでの過程をざっくり説明するならば、『一夏が同居人の状況を確認せずに勝手に入室、シャワーを浴び終わった箒と鉢合わせる、木刀を持った箒の殺気から逃げるように扉の外へ、着替え終わった箒と向かい合い状況説明をする途中で箒から一夏へ「お前が私との同室を希望したのか?」と聞くとあっさりと「そんな馬鹿な」と言われた』とそこからはタクマがこの部屋の前を通りかかる所につながる。

「まぁ、簡単に言えば一夏の不法侵入からすべてが始まったわけか」

 そんなつぶやきをタクマが漏らすと、箒がすぐさま木刀を持った。

「そもそもこんな事態になったのは一夏!!お前が私の部屋に勝手に入ったのが原因じゃないか!!やはりここで成敗してくれる!!」

 箒は木刀を手に取り一夏へと詰め寄ろうとする、しかしタクマが箒の両手首を押さえることで木刀を振らせないように動きを抑制する。

「ちょっと待った!落ち着け箒」

 タクマは箒を止めつつ一夏にアイコンタクトで「謝った方がいいぞ、この場を収めるためにも」という意思を伝える。基本的に鈍感な一夏だが、この状況に限り一発でアイコンタクトが伝わった。

「本当にごめん!!箒!!」

 一夏は腰から背中を曲げながら頭を下げる。その一夏の態度にすこし冷静さを取り戻したのか、箒から力が抜ける。

「あ、ああ・・・」

 そしてタクマも抑制していた手首と肩から手を離し、一夏の傍により肩を叩く。

「まぁ、今回は俺が遅れたせいでもある。俺からも謝らせてくれ――すまない箒」

 そこでタクマも頭を下げる。箒自身もここまで謝られるとは思っていなかったのか、気まずさで髪を弄りながら「私もこんなことで熱くなってしまった申し訳ない」と謝った。

 

「一夏と箒ってどんな関係性なんだ?」

 タクマは先程の気まずさを打ち破るように二人へと聞いた。

「俺と箒は幼馴染なんだ、まぁ会ったのは6年ぶりだけどな」

 そう一夏が言うと箒も続いた。

「小学生の頃は一緒だったが、私のほうが引っ越したからな」

 それを聞いてタクマは「ほう」と意地の悪い笑みを浮かべた。

「っていうことは久しぶりの再会で前とは違う感情が生まれたりしたんじゃないか?」

 一夏へ向けてタクマは聞く。その言葉に箒はビクッと震え、おそるおそる一夏のほうを向いた。

「違う感情・・・あ」

「な・・・なんだ!?」

 何か合点のいった一夏に箒は詰め寄る。

「箒お前・・・ブラジャーつけるようになったんだな」

 その言葉を聞くと箒は顔をうつむけながら怒りに身を震わせていた。

「お前に期待した・・・」

 箒は呟きながらさりげなく竹刀を握る、タクマも今度は止めることなくその光景を見つめていた。

「え?」

 一夏は箒の雰囲気が変わったことに動揺すると同時に地雷を踏んだことを自覚した。

「私が馬鹿だったぁああああああああああああああああ!?」

 タクマはしばかれる一夏に合掌しながら心の中で謝った。

「(すまない一夏・・・これは振った俺の責任だ、あとで責任をもって手当てさせてもらう)」

 

 タクマは一夏が気絶したところを見計らって、竹刀を素手で受け止めることで箒の攻撃を止めた。

「何する!?」

「・・・やりすぎだ箒」

 そこで箒は気絶した一夏を見て「あ・・・」と気付いた。

 

 

 タクマは箒が救急箱をどこからか取ってくるまでの間に簡単な手当てだけを行っていた。すると箒は救急箱を片手にすぐにやってきた。

「一夏を任せてすまなかった」

 箒は到着早々、謝罪を入れる。それに対しタクマは「俺が発端を作ったんだから謝る必要はない」と返す。

「そうか・・・いや、やはり私がもう少し自分の感情をコントロールできてればこんなことにはなっていなかった」

 そう言いながら救急箱を開き手際よく手当てを始めた。

「まぁ、一夏の鈍感さも原因にはある。自分をあまり責めるな」

 箒はタクマの言葉を聞きながら一夏の手当てを進めていく。消毒液が染みるのか一夏はたまに苦悶の表情を受けべている。

「じゃあ、俺は部屋に戻る。おやすみ篠ノ之さん」

 そう言って出ていこうとするタクマを「迫水君」と箒が呼び止める。

「ん?」

 と扉の前で止まると

「一夏とのこと・・・たまに相談しに行ってもいいか?」

 という言葉が届いた。それに対し少しだけ笑いながら「かまわないよ」と言い残し部屋から出た。

 

 

 そしてタクマは自分の部屋の番号を確認しながら部屋を探し続け、ISの寮の中で一番遠い部屋にがタクマの部屋であることを確認した後、入り照明をつける。1DKだがベットと机が二つあり、クローゼットも大きいものがひとつ、トイレと浴室が別で洗濯機と冷蔵庫まで完備されている。

「まさか、あんないい部屋に泊まれるようになるとはな!!」

 タクマはIS学園の寮の環境の充実さに興奮してしまう。そして興奮そのままに部屋のシャワーを浴びる。

 

「(・・・そういえば俺のISないな)」

 そしてシャワーを浴び終わるとともにある事実を思い出していた。

「(例の件がうまくいってるなら問題はないはずだが・・・まぁうまくいくかはサキ次第だからまだ俺は知りえないか)」

 ちなみに例の件とはサキの情報探査能力を生かしてISを調べ、自分達でISを作り上げようとする計画の第一段階のIS調査の件のことだ。

「(まぁ、もしもISを使うことになったらこの学校にある【打鉄(うちがね)】ってのを使わせてもらうとしよう)」

 タクマはそんなことを考えながら歯を磨き、そして磨き終わるとすぐにベッドへと入り睡眠をとった。ちなみに時刻は22時を過ぎた頃であった。

――翌朝

 早朝4時、顔を洗いジャージに着替えたタクマはランニングをするべく外へ出ようと寮の中を歩いていた、そして一夏の部屋の前を通ろうとすると扉が少し空いていることに気が付き、何の気なしに部屋の中を見ると手当てが終わった一夏とその一夏の腹部に頭を預けながら静かな寝息を立てている箒の姿があった。

「(・・・純粋な寝顔だな)」

 タクマは遠目からでも仲のいい兄妹のように無邪気に眠る二人を見ながら少しだけ優しい目をする。そして起こすのも忍びないと思い、ゆっくりと音が鳴らないように注意しながら扉を閉めた。

 そして寮から出た所で入念な準備体操とストレッチの後、学校の敷地内をランニングし始めた。

 

 

 

 

 

「昨日は申し訳ない」

 ランニングを終えシャワーを浴びてから食堂に来たタクマを迎えたのは顔を赤くした箒と一夏だった。そして箒はタクマを見つけるなりすぐに謝る。

「いやいや気にしなくていい、今度もし俺が困ったら箒を頼らせてもらうからそれでチャラってことで」

「ああ、わかった。私にどれだけ手助けが出来るかはわからないが出来る限りの手助けはしよう」

 そしてタクマ、一夏、箒という並びでテーブルにつき朝食を食べる。そして朝食を食べ終わり食器を片付けて各々の部屋に戻ろうとしたとき、上下白を基調としたジャージを着た千冬が残っている生徒に告げる。

「朝食は速く効率的に取れ、授業に遅れたものは校庭10週だ」

 タクマは食事を迅速に取ることに懐かしさを覚えながら食堂を出た。箒が「一夏、すまない先に部屋に行っててくれ」と言ってそこで一度別れ、箒が見えなくなったところで一夏が口を開く。

「昨日はありがとな」

「いや、かまわない【困った時はお互い様】ってやつだ」

「そうか、なら困ったことがあったら言ってくれよ」

「ああ分かった」

 そして一夏の部屋に着くと、そこで一夏とは別れた。一瞬扉の空いた部分から部屋の中が見えたが綺麗に整理されていてやはり根はしっかり者らしいとタクマは自分の中の箒の人物像を更新する。そして一度部屋に戻り準備をしてから学校へ向かった。

 

 

 

 初日とは違い、ほぼめぼしい事件もなくこの日が過ぎていく。そんな平和な時間を打ち破ったのは最後の時間に割り振られていたHR(ホームルーム)の時間での出来事だった。

「これからクラス対抗戦に出る代表者を決める、これは生徒会が主催する会議の出席や代表者のみで構成される委員会の参加などクラス長としての役割も担っている。希望者もしくは推薦があるものは挙手して発表しろ」

 そこで一息つけ、千冬はクラスを見渡す。するとすぐに手が挙がる。

「私、織斑君がいいと思います」

 女子生徒が声をあげ、それにつられて周りの女子も「それいいね」「私も織斑君がいいと思う」との声が上がった。

「私は迫水君がいいと思います」

 今度は違う名前が挙がった。そして先ほど声をあげてない女子から「私も迫水君がいい」「私も迫水君派」という声が上がった。

「他にはいないか?いないならこの二人の二者択一で決めるが――」

 千冬が話を進めようとするとセシリアが立ち上がった。

「納得いきませんわ!!」

 そこでクラス中がセシリアを見る、セシリアはその視線に臆することなく自分の意見を告げる。

「男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!だいたい・・・日本なんていう「俺からはセシリア・オルコットさんをクラス代表に推薦したいと思います」味わえとって――え?」

 セシリアが国家代表候補生としてとんでもない発言をしそうだったところに被せてタクマが意見する。ちゃんと聞こえてない人も多いと判断し、立ち上がって自分の意見を告げる。

「クラス代表ということなのでISの操縦時間や知識など他の生徒よりISについて理解していて国家代表候補生でもあるセシリア・オルコットさんがクラス代表になるべきだと俺は思います」

 そのタクマの意見にセシリアは誇らしげになる。タクマはさっきの遮ったセシリアのセリフを唇の動きから理解してしまっていたため、セシリアを推薦するセリフとは裏腹に心中には不信感が渦巻いていた。

「それでは織斑、迫水、オルコットの3名がクラス代表の候補となったわけだが、何か決める方法は――」

 と千冬が選定方法の意見を求めようとすると、誰よりも先に立ち上がった人間がいた。

「決闘ですわ!!」

 セシリアだった。一夏も「おお、いいぜ」とその誘いに乗る。

「・・・でハンデは――」

「俺はどうしたらいいんだ?」

 一夏が何か爆弾発言をしそうだとタクマは直感的に悟り、一夏が言おうとした言葉を遮りながら立ち上がって発言する。

「もちろん貴方も参加ですわよ!!日本の男に私の強さというものを知らしめてあげますわ!!」

 セシリアはタクマを指差しながら高らかに告げる。

「ああ・・・そう・・・」

 タクマはがっくりとうな垂れながら座る。

「話はまとまったな、勝負は来週の月曜に行う。対戦順はオルコット対織斑、勝者が迫水と戦う。いいな?」

「よろしくてよ」

「ああ、いいぜ」

 セシリアと一夏はお互いすぐさま返事する。

「俺は――」

「では決定だ。ここからの異論は一切認めん。いいな迫水?」

「はい・・・」

 そして次の月曜日にクラス代表決定戦が行われることが決定となった。




タイトル回収の遅さと序盤の長さが気になりますね・・・

まぁそれでもこのペースで更新できればいいなと思ってます。

批評、誤字脱字の訂正、感想などありましたら気軽に書いていってください!
お待ちしています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。