インフィニットストラトス~抗い続ける復讐の戦鬼~   作:FEEL

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第8話「クラス代表決定戦1」

「織斑一夏、白式いきます!!」

 セシリアの駆るコバルトブルーの機体――ブルーティアーズが上空で待ち構える中、これから長らく共に戦う相棒を受け取った一夏はこれから起こる戦いに不安と少しの期待を持ちながら上空へと向けて発進した。そしてセシリアと向かいになる場所まで上がるとセシリアが笑みを浮かべた。

「私が実力の差というものを思い知らせてあげますわ!!」

「・・・俺だってタダではやられない」

「随分弱気ですわね、そんなことなら――」

 そこで一夏のISが警告を発する。

「すぐに決着をつけてあげますわ!!」

「――――うわ!!」

 一夏は咄嗟に身を翻しながらセシリアの持つレーザーライフル――スターライトmkIIIから打ち出される光速の弾を避ける。そしてセシリアは一夏の移動先を読みきりさらに光速の弾を撃ちつける、一夏は回避も間に合わず弾の直撃をもらい体勢を崩しながら地面へと降下していく。

「くっ・・・マズイ!」

 一夏は地面に落ちながらも何とかバランスを整え、すばやくまた空中へ再浮上する。

「そこですわ!」

 セシリアの声とともに光速の弾が襲来する、一夏は大きく左右に移動しながらその弾を避ける。

「くそ、思うように動かねぇ」

「隙だらけでしてよ!」

 しかし大きく左右に動くことでまたバランスを崩し、そこをセシリアに狙い撃たれる。

「(何か・・・何かないのか!?)」

 セシリアの攻撃を受け、目減りしたシールドエネルギーに焦りながら白式の武装を検索する。その間もセシリアの狙撃は止まらず大きく円を描くように回避しているがそれでも何発かは被弾してしまう。

「――あった!!これで!!」

 一夏は近接ブレードと表示されたものを選択し素早く展開し、セシリアへと一直線に突撃する。

「甘いですわ、まるで猪ですわね」

 しかしセシリアは一夏の上段構えからの斬撃を急速に側面へ逸れることで避ける。そして空振りした一夏の無防備な背中を撃ち抜く。

「舐めるなぁあああああああああ」

 その瞬間、一夏は弾の着弾位置を野生の勘とも言えるような感覚で理解し横方向へ回転することでギリギリ弾を避ける。そこでセシリアは攻撃の手を止めた。

「私のブルーティアーズを相手にしてここまで生き残れるとは思っていませんでしたわ、ですが――」

 そこでセシリアのブルーティアーズの左右3枚ずつある翼の先端が2つずつ分離し合計4機が展開された。

「これで終わりですわ!!」

 その4機が散開しながら一夏へビームでのオールレンジ攻撃を仕掛ける。

「くそ、逃げ場が!!」

「踊りなさい!!私、セシリア・オルコットが奏でる輪舞曲(ワルツ)を!!」

 一夏の死角をつくビーム攻撃を全感覚を総動員して回避し続ける。

「(ん?・・・妙だな)」

 BT(ブルーティアーズ)のオールレンジ攻撃を避けながらスターライトmkIIIからの狙撃はなく、セシリアもその場から動かないことに違和感を覚える。

「それが弱点っていうなら・・・見えてきたぜ!!」

 そこから一夏は体制を崩しながらも左右に大きく移動しながらBTの攻撃を避ける。そして一度地面に降下すると楕円を描くような動きで浮遊しているBTに向かって上空へと進路を定め、一気に切りかかる。

「(セシリアはBTを展開してる間は制御に集中するから動けない、なら!!)」

 一夏は確信めいた予感に基づいてBTの攻撃を白式の速度と不規則な動きで振り切りながら斬りかかる。

「くっ・・・」

 セシリアは弱点に気づかれたことに多少の動揺をしつつBTの制御を手放し、急いで一夏の斬撃を回避する。

「まさか・・・この短時間でここまで私に食らいつけるとは・・・素人にしては上出来ですわね」

 全速力で距離を取りながらセシリアは強気な笑みを浮かべる。

「そりゃ、どーも!!」

 空振りした瞬間を計らい距離を離された一夏はこの試合の光明が見えたことで少し気持ちに余裕を持ち、BTのオールレンジ攻撃を避け続けた集中力そのままにセシリアへと攻撃を仕掛ける。

「セシリア!!これで――」

 そして左右に大きく動き自分の動きを悟らせないようにしながら一気にセシリアへと距離をつめる。一夏自身が大きく動いているせいなのかセシリアの動きが意図的にお粗末になったことに気づかずに――。

「終わりですわ!!」

 そしてセシリアは計ったように腰に装着してある砲身を向け、素早く一夏へとミサイルを発射する。

「え!?」

 トップスピードに乗った一夏の白式はそのミサイルを避けることができず直撃する。そこで試合終了のコールがされた。

『勝者 セシリア・オルコット』

「・・・負けたか」

 一夏は地面へと寝転びながら呟く。するといささか穏やかな表情を浮かべたセシリアが降りてくる。

「正直言って驚きましたわ。私のBTを初見で見切ったことに」

 一夏はその言葉に少しだけうれしさを覚えるが悔しさがそれを上回る。そして手の甲で目を覆いながら呟く。

「いや、それでも俺の負けだ・・・」

 そこで一夏は立ち上がり笑顔を向ける。

「いい勝負だった!!また戦おうな」

 そして一夏は手を差し出す。セシリアもその手を握り返す。

「ええ、そのときも私が勝たせてもらいますわ」

 そこでセシリアは笑う、一夏も「次こそ勝つ」と言い笑った。

 

 

 セシリアと一夏の試合が行われている頃――

「ISのコアの初期化は完了しています」

「よし、外部装甲との接続は?」

「接続済みです、これから固定装備処理にはいります」

 IS学園の内部に存在する整備室で黒兎のマークが入った軍服の少女達の声が飛び交っていた。

「お願いします、タクマさん!ハイパーセンサーはどうですか?」

 ISとコアが完全に繋がっていないため、何の操作も出来ない組み上げただけのISとISのコアを専用のケーブルをつかい背中から直接接続した状態のタクマに指示を出している少女が聞く。

「視界良好、ハイパーセンサーに問題はない」

 ISの装甲を纏ったタクマはハイパーセンサーによって整備室内の奥まで知覚できるようになったことを確認しながら報告する。

「サキさん!コアネットワークはどうですか?」

 次に専用のソフトを立ち上げた状態でコアの情報処理能力と通信会話能力を確認していたサキに少女が聞く。

「情報処理、通信会話ともに問題ありません」

「分かりました、外部装甲との接続は――」

「只今終わりました、これから装備系統に入ります」

 その報告を聞いたタクマは会話に割り込む。

「ISとこちらの接続が完了している、装備系統は俺が担当するからPIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)の調整を頼む」

「分かりました、試運転の際にまた声をかけます」

「よろしく頼む」

 そこで会話が終了しお互いの仕事へとつく。タクマは電子モニターを自分の目の前に表示し、あらかじめサキによってインストールされている武器一覧から拡張領域に合うように装備を調整する。

「(シールドバリアーと絶対防御に裂かれる容量を引くと、初期状態で最も効率の良い装備はツインリニアガンと超振動ブレードだけか)」

 タクマは厳しい容量事情に頭を悩ませながら使用できる武器をその二つに限定した。

「(メーサービットは・・・一次移行(ファーストシフト)したときに使えるようにしておくか)」

 ISの武器の設定において初期状態から一次移行までは自分達で調節が可能であり、タクマはメーサービットと呼ばれる武器を容量の増加が見込まれる一次移行後に使用可能になるように設定した。

「こちらの設定は終わった。PICはどうだ?」

「こちらも今作業が終了しました、試運転しますか?」

 そこでタクマは様々なコードが入り乱れている状況である周りを見渡しながら「試運転しに行っても大丈夫か?」と聞く。

「接続されている機材を取り外して片付けるので15分ほど待ってください」

 指示を出している少女が答えた。

「分かった、それなら俺も手伝おう」

 そこでタクマはISを身体からはずし、機材に片づけを手伝い始めた。そして10分後、予想よりも早く片付けが終了し、整備室から通路を進んだ先にあるIS試運転場へと移動した。そこでタクマは再びISへ乗り込んだ。

「それじゃあ動かすぞ」

 タクマは高さから横幅までそこそこの広さを持つ試運転室内をISで軽く飛ぶ。まずは垂直に飛び次に試運転室の端から端を1周する。もとの位置に戻ってくると次は素早く左右に動きながら徐々に高度を上げ、天井に着きそうになると後方へ宙返りの容量で回転しながら高度を下げる。その動きはISにはじめて乗ったとは思えないほど洗練された動きだった。

「ISの操縦・・・うまいですね」

 ISの調整を手伝っていた少女の一人が呟く。その呟きにそのままの勢いで下降しながら勢いを徐々に殺し、完全に生き覆いを殺し切ったと同時に着地したタクマが応える。

「昔、空軍でパイロットをやっていたことがあってな、空中での動きは比較的イメージがしやすいんだ」

 ISはイメージと身体の動作を両立することではじめて効果的な動きが出来る。タクマは過去にTDFと呼ばれる地球防衛機構の操縦士だった経験と持ち前の身体能力を生かし複雑な空中移動を可能としていた。

「へぇ・・・じゃあ私もパイロットになったらISがうまくなれるんですね!!」

 少女は目を輝かせる。さすが国を代表する軍属部隊【シュヴァルツェ・ハーゼ】の一員だ、とタクマは思った。ISの操縦に関しての向上心は整備担当になっても忘れられないものらしい。

「タクマさん、あとは私達が調整しておくので自由に行動なさってくださって結構ですよ」

 指示を出していた少女がタクマに進言する。

「わかった、じゃあありがたく自由時間を使わせてもらう」

 そうしてタクマはサキを連れて整備室から出た。

 

「それにしても――シュヴァルツェ・ハーゼの整備員は作業効率がいいな」

 タクマはクラリッサがサービスと称して貸し出したシュヴァルツェ・ハーゼの整備員に感心していた。

「そうですね、私達だけではここまで早く終わることは出来なかったでしょう」

 サキも同意する。

「あとは・・・試合を待つだけか」

 タクマとサキは試合会場であるアリーナを目指して歩いている。

「本当に彼女らに任せてよかったんですね?」

 その途中サキは念押しするようにタクマに聞く、タクマは質問の意図をあえて無視し答える。

「あぁ、彼女たちも普段とは違うISを調整出来ていい勉強になるだろう」

 サキは「分かりました」とだけ返事した。そこからとりもとめない話を続けながらアリーナに到着した。そしてその光景に疑問を抱く。

「誰もいないな・・・」

 数百単位の人数を収容できるであろう観客席に誰もいない光景にタクマは少し物悲しさを感じた。そんな微妙な感情になっているタクマの横でサキは「すでに試合は終わったようですね」と冷静に状況を把握していた。

「次の試合開始時間分かるか?」

 タクマが聞くと、サキは20秒ほど目を瞑った。

「今現在17時54分、第1試合の終了時刻は17時40分頃、第2試合開始は18時からですね」

「ちなみに第1試合勝者は?」

「セシリア・オルコットさんです」

「やはりか・・・まぁそれよりもこれからの流れだな。時間的にはISの最終調整から出撃準備っていう流れか」

 タクマは半分予想通りでもあったため特に動揺もなくこれからの予定を確認した。

「そうですね、では彼女たちの仕上がりを見に行きましょう」

 サキがIS学園に付属する食堂へと向かって歩き出した。タクマもその後を追うように歩き出した。




今回でてきた、タクマのISの武装の詳しい説明は設定説明のところに加えて書くつもりです。(今のところいつ書くかが決まってませんが・・・)

そして次回、セシリアVSタクマの試合となります

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