インフィニットストラトス~抗い続ける復讐の戦鬼~ 作:FEEL
エネルギー回復をすませたタクマは急いでアリーナへと向かい、クラス代表決定戦で使ったカタパルトデッキへと着いた。
「あれは・・・セシリアと一夏か」
そこでアリーナ上空にいたのは安定して飛んでいるセシリアと不安定な体勢で飛んでいる一夏であった。するとセシリアが急降下をはじめ地面にて停まった。
「ほう、着地せずに止まったのか、やるな・・・さて一夏は――なに!?」
そこでタクマの目に入ってきたのは不安定な体制のまま勢いをつけて地面まで降りようとしている一夏の姿だった。
「仕方ないか――っは!!」
一夏が百式の性能を最大限に生かした超速降下を始めたと同時にタクマがカタパルトから飛び降りた。
「あれ・・・?迫水君!?」
「嘘!?なんで!?」
下でセシリアと一夏の手本を見るために集まっているクラスメイトの一部がタクマに気が付き、驚きの声や悲鳴が上がる。
「槌雷――着装!!」
タクマは空中ですぐにISを装着し、一夏と交錯するポイントを予想して加速した。
「うわぁあああああああああああああああああああああああ!?」
自分の操作のきかないとてつもない速度に驚いた一夏の絶叫が響く。タクマの予想にISの修正が入り、地面5m手前で交錯することを確認したタクマはさらに速度を上げる。
「間に合わないか――いや、間に合わせる!!」
タクマは素早くスラスターユニットを起動させ一気に限界まで推進力を押し上げる。槌雷は第3世代機にも並ぶほどの推進力をもって加速した。
「間に合えぇええええええええええええええええええええええ!!」
一夏が地面に衝突する5m手前、タクマが横から一夏にタックルの要領で掴み掛る。――が、流石に垂直に落ちる力を受け止めきることはできずに落としかける。
「―ーっぐ!!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
しかし落としかけた百式を全身の力を総動員して持ち直しISとスラスターユニットの最大出力を身体を傾けることで微妙に方向転換しながら使い、無理やり進行方向を地面へ滑り込むような形に変えた。そしてタクマはまだ一度も使っていなかった兵装を使用する。
「Dシールド――起動!!」
タクマは自身の体を下にしてさらにそのすぐ下方に3m程の薄く青がかった色のついたシールドを展開した。そして一瞬の間の後、地面へと到達した。
「――っく!?」
「ぐわぁああああああああああああああああああ!?」
砂埃とともに轟音が鳴る。しかしタクマがとっさに展開したシールドとIS自身の持つ二重のシールドによって直撃によるダメージは最小限に留められたがそれでも衝撃は吸収しきれず、その衝撃に驚いた一夏が反射的に絶叫を上げた。心配したクラスメイトと千冬と真耶が落ちた所へと急いで見に行くと落下によってできたクレーターの中心に砂の汚れで茶色がかった百式とISが解除されたタクマが片膝をつけて座っていた。
「グラウンドに穴開けて申し訳ありません――」
片膝着いたタクマが力ない笑顔でそう言い残して倒れた。
「・・・ん?・・・ここは?」
タクマが目を覚ますと見知らぬ天井がそこにはあった。何の気なしに呟いた言葉に返答する声が聞こえた。聞き覚えのある優しい声だ。
「医務室です」
そこで首を声のする方向へ向けるとサキが優しい表情でタクマを見つめていた。
「医務・・・室?・・・俺は・・・」
まだ半分意識が覚醒していないせいか自分が医務室にいる原因がすぐに出てこなかった。
「一夏さんを助けた時の衝撃と蓄積された疲労で気絶なされたそうです」
「そうか・・・俺もまだまだだな、あのくらいの演習と衝撃で気絶とは・・・」
自分の状況を思い出したタクマが自分の身体に呆れながらつぶやく。すると医務室の扉が開き一夏、セシリア、箒、千冬、真耶が入ってきた。
「タクマ!!目が覚めたのか!?」
一夏が駆けながら身を乗り出してくる。するとすぐに千冬が一夏の頭に拳骨を浴びせる。
「静かにしろ織斑、怪我人を労われ」
頭を押さえながら涙目で「ごめんなさい・・・」と小声で言いながら一夏が引き下がる。
「タクマさん・・・お加減はいかがですか?」
セシリアが心配そうな表情を浮かべながら聞いてくる。タクマも心配させないように笑顔で答える。
「ああ、大丈夫だ。問題ない」
そう言うと「その言葉だとむしろ心配になりますわね・・・」と言いながらセシリアが引き下がる。
「一夏もセシリアも篠ノ之さんも山田先生も織斑先生もわざわざありがとうございます、俺はもう大丈夫です、ご心配おかけしました」
タクマがそう言うと千冬も「私達も対応が遅れて申し訳ない」と頭を下げた。
「タクマ・・・ごめん」
一夏も申し訳なさそうに頭を下げる。
「いいや一夏はIS乗ってまだ間もない、だからあの事故は仕方がないさ。だが流石にISの訓練はさせてもらうぞ――篠ノ之さんとセシリアも参加してもらってもいいか?」
「ああ・・・構わないぞ」
「構いませんわ――ところでタクマさん・・・この女性はどなたですの?」
セシリアが部屋に入った瞬間から抱いていた疑問をぶつける。見舞いに来た全員が同じ疑問を持っていたので誰も口をはさむこともなく返答を待つ。するとサキが口を開いた。
「私は宮島サキと申します、タクマのISのメンテナンスを担当させていただいています」
サキが言葉を終えると同時に次はタクマが口を開く。
「サキとは古くからの知り合いでな、今は俺が操縦士、サキが整備士として二人三脚で取り組んでいる」
タクマの意外な事実を知った全員はもう一つ別の疑問を抱いた。
「タクマ、あのIS――槌雷ってもしかして・・・・」
一夏が恐る恐るといった様子で口を開くと疑問を汲み取ったタクマが答える。
「ああ、俺とサキの二人で開発したISだ」
「――――」
絶句とはこのことである。
「それでも原型はあるからやってること自体はそこまで難しいことじゃない、あくまで交換ってところだ」
静まり返った空気を緩和するためフォローを入れる。しかしそれでも実践投入可能なレベルの新規武装を組み上げ、そして扱えるだけの技術力の高さは全員が理解するところであった。
「宮島さん――だったかな?」
今まで口を開かなかった千冬がサキに話しかける。サキも「はい」と言って千冬のほうへと向き直った。
「あの槌雷の武装プログラムや整備の腕、それを見込んでIS学園の講師としてあなたを推薦したい――どうだ?」
千冬は真面目な表情でサキを見つめる。サキは少し考えると「条件があります・・・」と口を開いた。
「まず、私は現在のタクマのISの整備士を退任するつもりはありません。なのでもしも学園の仕事とタクマのISの整備の2つの仕事がある場合は申し訳ないのですがISの整備を優先させていただきます。しかし非常勤として整備士としての仕事が問題ない時なら講師として参加することができるのでそれでも構わないでしょうか?」
「ああ、構わない」
サキの言葉を聞き千冬はすぐさま返答をする。その言葉を聞きサキは微笑んだ。
「ありがとうございます。それでは皆様これからよろしくお願い致します」
サキは腰かけていたパイプ椅子から立ち上がり淑女を思わせるかのような綺麗なお辞儀をした。
「おめでとうございます」
一夏が拍手をする。
「「おめでとうございます」」
一夏に続くようにセシリアと箒が拍手をする。
「おめでとう」
真耶も続くように拍手する。
「おめでとう」
千冬も拍手で続く。
「おめでとう――サキ」
タクマも寝ていたベッドから起き上がりながら拍手する。
「――ありがとうございます!」
微笑むサキに窓辺から夕日が差し込み、帰寮の時刻が近づいている事を告げていた。
サキが講師就任を祝福されている頃、IS学園の門前にツインテールをなびかせ佇む少女の姿があった。
「ここが・・・IS学園ね」
少女は敷地の広さや建造物に圧倒されながらも、これから会うであろう人物を思い浮かべ小さく笑みを浮かべる。
「待ってなさいよ・・・一夏」
その少女――
今回は鈴の顔見せ+サキとISメインキャラクター達の初邂逅という事で次回からはサキもIS学園に絡んでいきます。
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