インフィニットストラトス~抗い続ける復讐の戦鬼~ 作:FEEL
タツヤがEATERになり2日が経った。迷彩服を着た男はタツヤのもっていた携帯電話を秘密裏に回収し、次のEATERの標的を決めていた。連絡先や今までのメールの記録などをさかのぼっていると「簑島カオリ」が友人以上の関係であると確信した。そしてそれは次のEATERの被験者を彼女に定めた瞬間でもあった。
一方、ナリタはEATERを完全に制御し人間としての姿とEATERを意識的に切り替えできるようになっていた。そのことを実感していると、後ろから白衣の男が話しかけてきた。
「これはEATERが完全に覚醒したと捉えてもいいのだろうか?」
「ああ、EATERとは細胞そのものを制御して初めてひとつの覚醒となる」
そう言うとナリタは第2のEATERを見ながら付け足した。
「ちなみに彼はEATERに呑まれ、今はまだ野生の1匹狼のように全てを敵だと認識している」
白衣の男は第2のEATERの姿を見た、恐竜を思わせる身体と蟲を思わせる顔・・・不気味でしかないと彼は思った。
「あまり警戒しないのだな?」
白衣の男が第2のEATERを見ながら聞いた。
「あの研究所のときにも今と同じ気配は感じていた、少なくとも無関係の人間ではないことは理解してる」
「だからといってもEATERについて簡単には話しすぎではないか?」
「研究所でのケージ開放や俺の様子を観察し、覚醒のことまで言われればお前があの取引相手であるということぐらいは察知する」
「そうか・・・」
白衣の男は一瞬考え口を開いた。
「なら話は早い、お前にいい話がある」
そこそこの胡散臭さはあれど、ヴォル細胞を提供してきたコイツを味方につければ強いとナリタは察知し、話を促した。
「その話とはなんだ?」
「EATERの被験者に最適な人物を見つけた、うまくいけば4人もの可能性のある人間を捕らえることができる」
それはナリタにとっては願っても見ない話だった。ナリタはEATERと相性のいい人間を街を破壊すると同時に捜し歩いていたが、どの人間もEATERの力が弱かったり、人間としての器が耐え切れず行動不能になったりと良い結果は得られてなかった。街を4つ破壊して初めて一人見つけた相性のいい人間がこのタツヤなのである。
「条件は?」
ナリタはその話の裏にある、条件を聞いた。
「我々の組織の下につき、EATERの研究を続けることだ」
ある意味ナリタにとってはこれ以上にないほどの都合いい条件だった。
「分かった、受けよう。詳しい情報を教えてくれ」
そして白衣の男はカオリの情報とその友人「日向サトル」とその妹の「ラン」、さらにはその恋人の「叶エイジ」の情報も教えた。
「情報は分かった。最後にアンタの名前と組織の名称を教えてくれ」
そう聞くと白衣の男は口元に軽い笑みを浮かべながら言った。
「私の名はアプファロン、組織の名称はナガーだ」
「ナガー・・・宇宙戦艦と同じ名前だな・・・成る程、2年前の真相の全ては俺に研究をさせるための嘘か」
そこでナリタはようやく合点がいった。それと同時に信用もするようになった、利用されているのを理解しながら・・・
簑島カオリは指定された場所まで来た。そこは以前は綺麗な街だったが今は荒廃した街へと変貌していた。
「なぜこんなことに・・・」
カオリは街を見ながらそうつぶやいた。そもそもこの街へ来た理由は恋人であるタツヤのためだった。先日タツヤの携帯から連絡がきたこと時のことだ。
「もしもし!!タツヤ!?」
タツヤと連絡が取れなくなってから4日が経ち。心配もピークになっているときに唐突に連絡がきたから、つい勢いよく出てしまった。
「残念ながら私はタツヤではない」
それは絶望と希望の可能性、どちらともとれる言葉だった。
「何ですか!?タツヤはどこにいるんですか!?」
焦る心を抑えられないカオリは矢継ぎ早に質問した。それに対する答えは簡単なものだった。
「今から言う番号にアクセスしろ、そこに示されている場所に来い」
「わかった・・・番号は?」
カオリは手元にあった紙にボールペンで番号を書き始めた。
「(そして示されたのがこの街ってことね)」
荒廃した街を歩いていると白衣の男が現れた。カオリはすぐさま質問した。
「あなたが電話の相手?」
白衣の男は無機質に答えた。
「そうだ」
「なら早くタツヤを渡して頂戴」
正直、カオリはある程度の対価は覚悟していた。しかし返答は意外なものだった
「ここで待っていろ、すぐに連れてきてやる」
そういい白衣の男は振り返り後ろの建物へと入っていった。そしてカオリは返答に拍子抜けしつつその後姿を眺めていた。
「―――ッ!?」
白衣の男を待っていると急に後ろから気配を感じ、振り返った。しかしなにもいない。カオリは少し安心しながら前を向くと目の前に異形の物体がいた。
「きゃあ!?」
カオリはあまりの衝撃に身動きが取れなくなった。その隙を逃すわけもなく化け物は脳に爪をさした。
「はぁ・・・あっ・・・アァ・・・」
脳から逆流していく感情、カオリはタツヤへの愛という感情が身体を包み新たなEATERへの変貌を始めた。
「カオリ!!」
物陰から男が飛び出してきた。それはナリタのターゲットの一人であるサトルだった。
「サ・・・ト・・・ル・・・?」
様々な感情が入り乱れる中、カオリは目の前に突然現れた男の名前をつぶやき意識を失った。
「カオリ!大丈夫か!」
意識を失ったカオリに対して叫ぶが反応はない。それどころか化け物の腕が目にも留まらぬ速さで伸び、サトルの首を絞めた。
「くっ・・・」
サトルは必死に手に爪を突き立てるがそんなものは効かないばかりか引き寄せられ、脚で踏まれ身動きが取れなくなったところで脳に爪を刺された。
「(こんな・・・ところで・・・死ぬのか!?)」
脳が様々な光景を映し出す。
サトルとカオリとタツヤは小学生時代からの幼馴染で高校に進学する際に離れ離れになったが交流は続いていた。休みの日にゲームをしにサトルの家へ行ったり、3人の中で一番家の大きいカオリの家でかくれんぼやおにごっこをした思い出。タツヤとともに町にいる不良を片っ端からしめて行ったのもあった。
様々な思い出が頭の中を駆け巡り、そしてこれからのことを考え最終的にひとつの決断へと至った。
「(カオリ・・・タツヤ・・・ラン・・・エイジ・・・こんなメンバーが揃うなら化け物になるのも悪くはない・・・)」
そこで意識を失う前に誓いを立てる。
「(俺が・・・全てを・・・護ってみせる・・・)」
建物からアプファロンがでてきながら口を開いた。
「うまくいったか?」
見れば分かるだろと思いながらナリタは報告した。
「女の方はまだ覚醒しないだろうが、この男の方ははっきり言って異常だ」
「というと?」
「爪をさした時にその宿主の意識が流れ込んでくるんだが、この男はおそらく―――」
そのとき爪に刺されていた男が動き出した。
「もう覚醒している・・・だろ?」
サトルは笑みを浮かべながら、言葉の続きを言った。ナリタは驚きながら質問した。
「お前はEATERになることはできるか?」
すると「EATER?」と疑問の声を上げたがナリタの姿を見て「あぁ」と合点がいったように返事した。
「完全ではないだろうがお見せしよう」
そういうと身体から鋭利な角のようなものが貫くように生え、そして地面を抉りながら姿が変わっていく。その様相はまるで地面から魔王がやってきたかのような錯覚に陥るほど存在感に溢れるものだった。そして変貌した姿は黒く悪魔のような印象を与え、第2EATERの恐竜のような脚と腕には一回り大きい装甲のようなものが付き全体的には棘のようなものが生えた。そして変貌する時にできた角は頭へと付いた。
「ほう、こんなことがあるのか・・・」
ナリタは、自身も理解不能な速度でEATERの覚醒をしたサトルに恐怖と同時に研究対象として興味を抱いた。
「(絶対に・・・護ってやるからな・・・)」
そして変貌したサトルは無感情な顔で空を仰いだ。
そんな中アプファロンはひとり邪悪な笑みを隠していた。
今回は駆け足で5人のうち3人目まで行きました!
後は主役の二人だけですね
正直サトルのEATERってゲッターに見えるんですよね・・・
いつか挿絵で説明できたらいいなと思っています
批評、誤字脱字の訂正、感想などありましたら気軽に書いていってください!
お待ちしています