インフィニットストラトス~抗い続ける復讐の戦鬼~   作:FEEL

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序章の最終話です


最終話「終末への死闘」

「叶エイジ起きたまえ」

 アプファロンはケージの中で横たわってるエイジに声をかける。しかし未だEATERへ覚醒した疲労が抜けないのか目は開けるが返事はない。

「これから君に来てほしいところがある、もちろん日向サトルの妹も一緒だ」

 サトルの妹――ランのことをさしてることを理解した瞬間、エイジは自らの使命感に従い余力を振り絞り立ち上がった。しかし足取りはおぼつかなく目の前もぐらぐらする。

「その状態では普通に話は出来そうにないな・・・なら」

 と、アプファロンは何かのケースを取り出した。そこから組み立てられたのは注射器だった。何か不穏なものを感じエイジはケージへと戻ろうと身体を翻した。しかしうまく回ることが出来ずその場に倒れてしまう。

「警戒することはない、ただの疲労回復薬だ――君に合うようにナリタ博士が改良を施した物だから効能は折り紙つきだと思うよ」

 そう言いながらエイジの首筋へ針を刺し、中の液体を注入する。すると一瞬頭の痛みと目の浄血をしたが身体の状態は目に見えて素早く回復していった。

「・・・・・・・?どうなってるんだ!?さっきまであんなにつらかったのに――」

 なんともない・・・という言葉を言うよりも前にアプファロンが言葉を挟みこんだ。

「体調が回復したなら行こうか、全員待っている」

 全員という言葉に疑問を持ったが、とりあえず優先すべきはランの安全の確保だった。そのためには余計なことは突っ込まない方が良いとエイジは判断した。

 

 

 

 アプファロンにつれられて歩いていると大広間に出た。どこにいるのかは分からないが500人ほどは収容できそうな広さで天井にはシャンデリア、赤いテーブルクロスの敷かれたテーブルと椅子6脚をワンセットにそれが幾多もある。そして隣には本棚が並んでいる。そしてその部屋の中心に一際大きいテーブルがありそこに見慣れた顔が座っていた。

「ラン!」

 エイジはランの顔を見つけた途端走り出した。先程まで死にそうな状態だったのが嘘のようだとアプファロンは思っていた。

「エイジ・・・」

 一方のランはあまり元気がない。それもそのはず、エイジほどではないにしろランも多少なり頭痛などの体調不良はあった。それはこの場所に来ても引きずっていた。

「おいおい兄を差し置いて妹へのちょっかいは見過ごせないな」

 サトルは軽く笑いながらエイジに言った。

「サトルさん!お久しぶりです。急に失踪して俺もランも心配したんですよ」

 エイジが椅子に座りながらそう言うとサトルは軽快に笑った。

「ははは、ごめんな迷惑かけて、無茶したい年頃なんだ」

「どんな年頃ですか・・・」

 エイジは溜息をつきながらサトルを見渡す。しかしサトルには特に変わった様子はなかった。そうして話していると先程アプファロンと共に入って来た扉が開き、二人の男女が入ってきた。その二人に気付くとエイジはすぐに挨拶をした。

「お久しぶりですカオリさん、タツヤさん」

 そうして挨拶するとカオリは口元に笑みを浮かべながら「久しぶりねエイジ君」と言い、タツヤは無表情に「ああ」と言った。そしてそれぞれが席に着いたのを確認すると一人の女性が自己紹介と共に話を始めた。

 

「私はアテファリナと申します。これからとても重要な話があります、この話は全員が理解していただくために随時質問を受け付けます。疑問に思うことがあれば手を上げてください、そのたびに質問の時間をとります」

 そう前置きしてから話し始めた。

「まずは今私達がいるこの場所ですが――宇宙船です。しかし宇宙へはまだでていません」

「へぇ・・・すごいな」

 エイジは周りを見渡しながら感心した声を上げる。

「そしてあなた達が集められた理由ですが――」

 そこからヴォル細胞やEATERのことについて細かい特性などは説明せず表面上分かりやすい部分だけを説明だけをした。ある程度エイジやランにも本能的に理解してる部分があったのか驚きは少なかった。しかしそれよりも気になるところがまだ説明されていなかった。

「あの・・・」

 エイジは疑問に思った瞬間おずおずと手を上げた。

「何か質問ですか?」

「はい、地球の現状は・・・今、どうなっているのですか?」

 エイジがそう聞くと、アテファリナは少し考えアプファロンの方を一瞥した後答えた。

「私から説明するより実際に見ていただいたほうがご理解しやすいでしょう――」

 そういうと壁が透けて外の様子が分かるようになる。そこには火の海に飲まれる最後の生き残りを乗せた戦艦があった。

「う・・・そだろ!?」

 エイジはあまりにも凄惨な光景に驚愕してしまう。ランもその光景に言葉を失ってしまっている。しかしサトルやカオリやタツヤはじっとその光景を見ていた。その表情はまるで興味の無いものを見せられているときのものだった。

「カオリさん!!タツヤさん!!お兄ちゃん!!なんでそんな平気な顔していられるの!?」

 今まで黙っていたランがとうとう堪えきれずに叫んだ。エイジも同じ気持ちだったためか特に何もせず3人の反論を待った。しかし返ってきた答えは予想外のものだった。

「EATERが街を破壊していた時点でいつか起こりうることだったしな、特に思うことはない」

 そういったのはサトルだ。

「私も同じだわ、街々がEATERの圧倒的な力によって壊滅させられていた以上、人類規模の問題になることは必至。そして結果的に人類は負けた――ただそれだけよ」

 今度はカオリだ。

「興味ない」

 そう言ったのはタツヤだ。

「そんな・・・」

 あまりの非情な態度にランはとうとう涙をこぼし始めた。エイジはそんな彼女の背中をさすりながら言葉を発した。

「貴方達はなんとも思わないんですか?」

 アテファリナやアプファロンへ向けて聞く。無表情かつ無言で答えはしなかったが、それこそが答えだった。

「分かりました・・・」

 そこでエイジはヴォル細胞の持つ思考能力の上昇の効果を一時的に発揮し、この後の会話を全て予想した上である決心を固めた。

「俺はあなた達にはついていけません」

 そう言うと立ち上がりながら赤い繭がエイジの体を包みEATERへと変身し、繭を引き裂いた。そしてそこから出て来たのは身体自体は人間の延長で筋力量が圧倒的に増えたもので、青と白を基調とした体色に赤い瞳と青と緑のまるで植物かのような口、そしてところどころ血管のように引かれている赤い線を伴ったその姿は悪魔のような禍々しさを表現していた。

「EATER――No4・・・ヴォルテックスか」

 その光景を見ていたアプファロンは呟いた。

 

 ヴォルテックスは腕を銃のように変形させ凄惨な光景を写してる壁へ向けビームを発射した。壁は一瞬で穴が開いた。

「いくぞ!!ラン」

 エイジは素早くランを抱えその穴から飛び降りた。

 

 そして残った3人は何事もなかったかのようにアテファリナの方へと向き直った。アテファリナは壊された穴のほうへ行きそれをすぐに修復した。

「説明に戻ります」

 アテファリナも何事もなかったかのように元の位置へ戻り、説明の続きを始めた。

 

 

 

 

 一方、上空から落ちながらヴォルテックスはかつての自分達の住んでいた場所の惨状を眺めていた。

「これはひどいな・・・」

 草木は枯れ、大地はうねりを上げながら噴火を続ける。海は地表の温度の上昇によって水蒸気となり消え果ていた。

「エイジ・・・あそこに危険な何かがいる」

 ランが小声で言う。なぜか「あそこ」の指してる場所も一瞬で理解できていた。そしてヴォルテックスは上空何千メートル上から落ちているが何の苦もなく着地する。地面に足が少しめり込むが着地の痛みよりも地表の熱のほうが異常に感じられた。

「あそこに元凶がいるのか――なら!!」

 ヴォルテックスはランの指し示した場所へと噴火による火球を避けながら一直線に向かって行った。

 

 

 

「ルシファード」

 ファディータが脱出ポットへ乗り込もうとするルシファードを止める。

「どうした?」

「強大な力を持った生物がこちらに向かって近づいてきます」

 それを聞いたルシファードは邪悪な笑みを浮かべながら脱出ポットから降りる。

「この状況でまだ生き残っていられる奴がいたか――楽しみだ」

 そして30秒とかからずに青と白の生物が近づいてきた。

「お前か!!俺達の星をこんなことにしたのは!!」

 ヴォルテックスは先程宇宙船に穴を開けた時のように腕を銃のように変形させ、ルシファード達を牽制しながら近くにあった脱出ポットにランを投げ入れ扉を閉めた。

「ルシファード、生態スキャンの結果――あれはEATERです」

「ほう、自我を持ったEATERとは珍しいな」

 そしてヴォルテックスは殺意に身を支配されながらルシファードのほうへ向いた。

「この命に代えてもお前は殺す――そしてあの船の連中も殺してやる!!」

 それに対しルシファードも殺意を撒く。

「全知全能のゼファス様に逆らおうというのか・・・さすがゴミのような惑星の民族――愚かだな」

 その言葉にヴォルテックスの怒りは頂点へと達した。

「一発で殺してやる」

 そういうとヴォルテックスの目から血の涙のようなものが流れ胸部が開きエネルギーが集中していく。

「なら俺も一発で殺してやろう・・・融機鋼、最大出力」

 ルシファードは右手を胸の前にかざし、そこへ重力エネルギーを集めていく。

「奴を喰らい尽くせ!!ヴォルテックスクライ」

 ヴォルテックスの胸部に溜まったエネルギーは稲妻を放つ暗黒の球体となりルシファードへ向かって発射される。

「唸れ!重力子の弾丸!!グラビティファントム」

 溜まったエネルギーは赤黒い球体となり左手で押し出すように持ち替え、左手からの火力も合わせて解き放つ。

 持てる全ての力を使った2つの球体は激しくぶつかり、その爆発的なパワーを相殺することなく放出してしまう。

 

 

 

 惑星の全てを破壊するほどの威力を持った爆発を起こすほどの死闘は惑星を終末へと導く。

      

 地球と呼ばれていた惑星はその姿を失い崩壊していった。




なんとか序章終了しました!!

次回からISの世界へと行きます!

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