インフィニットストラトス~抗い続ける復讐の戦鬼~ 作:FEEL
「これがISだ」
ラウラが不敵な笑みを浮かべながら舞い降りてくる。タクマとサキは軽く笑みを浮かべながら静かに拍手をする。そして「素晴らしい戦いでした」とサキが一言。
「隊長、この二人を本部へお連れください、私はあのISの始末をしておきます」
クラリッサはそう言うとISの元へと跳躍しながら向かった。ラウラも「ああ、頼む」と言うとタクマとサキをまたワイヤーで捕縛した。
「・・・結局はこうなるのか」
とタクマは苦笑いする。サキも「そうですね」と無表情ながら僅かに落胆の色が見えた。
「すまないな、私も本意ではないのだが様々なリスクを避けるためだ、少々我慢してほしい」
ラウラは先程までの不敵不遜な表情とは打って変わり少々柔らかい表情を見せた。タクマとサキはその表情に少し驚きつつも言うとおりにすることを決めた。
そしてワイヤーに揺られながら15分程ゆっくりと飛行すると間もなくしてドイツ軍本部――というには小さい建物へと着いた。
「・・・ここは?」
タクマが疑問をそのまま口にする。するとラウラはワイヤーを外しながら答える。
「ここは私が隊長を務めるIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』の本部だ」
「「・・・」」
予想外の答えにタクマだけではなくサキまでも固まる。そんな二人はお構いなしにラウラは「さぁ、入ってくれ」と勧める。
「「・・・失礼します」」
未だになぜドイツ軍本部じゃないのかを考えながら二人は勧めに従い建物に入ると迷彩色のような壁と近代的なオブジェが立ち並ぶ指令室のような空間が広がっておりさらに至る所眼帯をつけた女性が何人もいることに気が付く。
「君たちが何者か、あのロケットは何なのか、など聞きたいことは山々だが少々時間貰いたい、こちらの準備が出来次第尋問を始めさせてもらう。それまでは何も触らないという制限付きだが自由に過ごしてもらって構わない」
そう言うとラウラは一本道の通路へと歩いていきその先にある扉の中へと入っていった。
「随分と良心的な軍人だな」
タクマはラウラをそう評価する。
「ここでの行動次第で私たちが害ある人間かどうか見極めようとしているかもしれませんよ」
サキはタクマに忠告すると外から建物内に入ってすぐ横にある人3人ほどが座れそうなソファーに腰かけた。タクマも隣に腰掛けると、何個かの疑問を相談する。
「そういえばさっきの少女や女性・・・ここにいる人たちもそうだがなぜ眼帯をしているのだろうか」
「部隊としての共通装備以外に意味などあるのでしょうか?」
「部隊だから眼帯をつけたのか、眼帯をする原因が同じ人間での部隊なのか、眼帯自体に意味があるとは限らんよ」
そこで一息つきタクマは何気なく窓の外を見る。すると窓には薄く自分の顔が映った。――タクマはその姿に驚愕した。
「・・・俺、若返ってないか?」
そこに映っていたのは自分の記憶の中ではおよそ実年齢より10才ほど若返っている自分の顔であった。
「そうですね、私も地球に降下した後最初にタクマの顔を見た際には驚きました」
特に表情を変えずにサキは言う。
「そんなそぶり見えなかったが・・・」
タクマは少し笑いながら言う。そして「まぁ、いい」と続けた。
「それより具体的にはどれほどの年齢となっているんだ?」
サキは即座にタクマの生体スキャンを開始する。そして以前と現在のサキの持つデータの照合を行った。
「身体能力等はそのままですが顔自体は16歳の時のタクマのものです」
タクマは16歳という数字を聞いてこの現象につながるであろう一つの事柄に心当たりを覚えた。
「16歳か――あの
タクマは冷たい感情を覚えた。幼少の頃より父――迫水キイチの所属する部隊で軍人として育てられた経緯のあるタクマは子供でありながら数々の凄惨な現場を目撃し、体験してきた。しかしそれでも倫理観が崩壊せず正常な人間として成長していったのは暖かく大らかな軍人達に育てられたからだと自分自身で結論付けている。しかし16歳となった日の夜ゼファスからの洗脳を受けたことで正常な倫理観は崩壊し、混沌と破壊を求める残虐な人間へと変貌した。
「洗脳が解けたことで一時的に若返ったのでしょうか?」
タクマの表情から昔の経緯を思い出していることを察したサキは少し明るい声色で尋ねた。
「そうだといいな――」
タクマは洗脳を受けた翌日に起こった悲惨な出来事を思い返しながら、静かにそう返事した。
そこからは先程のラウラの戦闘の考察が始まり10分ほど議論しているとラウラが扉から出てくる。そして同時にクラリッサが外から帰ってきた。
「待たせたな、それでは尋問をする。クラリッサ例の部屋へ案内してくれ」
ラウラはタクマとサキを軍人の冷たさを持った表情で一瞥しながらクラリッサに指示を出す。
「了解しました――どうぞこちらへ」
そう言いクラリッサは自分の後へ続くよう促しながら先ほどラウラの入った扉へと入る。タクマとサキがそれに続き扉の中へ入ると少し進んだ先に下へと続く階段がありクラリッサはその階段を下りていく。
「(おいおい・・・大丈夫か?)」
地下での尋問という状況に非人道的な匂いを感じつつクラリッサに続いて階段を下りていく、意外にも階段の清掃は行き届いており歩くたびに埃が舞うこともなく下の階に着くとすぐそばの扉が開いていた。
「この部屋に入って待っていてほしい、少々狭いが我慢してくれ」
その言葉を聞きながらタクマとサキが部屋へはいると六畳程の大きさの部屋に椅子が二つ。そして透明な壁に仕切られて反対側にも同じ部屋があった。
「この部屋は取調室だ、先程、尋問とは言ったがこれから行うのはどちらかといえば事情聴取といういう方が適切だろう」
ほどなくして反対側の部屋に入ってきたクラリッサがそう説明しながら椅子に座る。とうとう尋問が始まった。
「それでは始めさせてもらう、これから行うのは質疑応答形式の簡単なものだ。君たちの知っている情報は極力教えてもらえるとありがたい」
そして何かファイルのようなものを開きながらクラリッサが話す。
「「分かりました」」
「あぁ――それとこの事情聴取の間に限っては自分の一番話しやすい言葉遣いにしてもらって構わない」
「分かった、じゃあ俺はここだけはタメ口で話させてもらう」
タクマがそう言うとサキは「私は敬語で結構です」と続いた。
「了解した、それではまず君たちの氏名年齢と職業を聞きたいのだが」
クラリッサがそう言うとタクマが少しだけ身を乗り出すようにして話し出した。
「俺から話そう。俺の名前は迫水タクマ、年齢は・・・16だ、TDFの空軍パイロットで階級は中尉だ」
タクマの自己紹介に引っかかるものを覚えたクラリッサは質問する。
「TDFとは何だ?」
その言葉にタクマは驚きながら聞き返す。
「TDFを知らないのか!?」
「あ、あぁ・・・」
タクマの勢いに気圧されながら答えると、タクマは一瞬考えるそぶりを見せ、そしてすぐ口を開いた。
「TDFとは
「・・・16で中尉とはずいぶん早い出世だな」
タクマの説明に違和感を覚えつつ、次の疑問へと移った。
「子供は親を選べないものさ、詳しいことは割愛させてもらうが16の誕生日に今までの功績を立場に変えてもらっただけだ」
その答えに悲惨な過去の影を垣間見た気がしたクラリッサはできるだけ態度が不自然に思われないように話題を変えた。
「そうか、ところでそちらの女性の指名年齢職業を聞いてもいいか?」
「ええ、構いませんよ。私の名前は宮島サキです、年齢は20歳で先程タクマの言ったTDFの整備班の班長をさせていただきました。」
「迫水とはどういった関係だ?」
「幼馴染です」
「そうか、それではあのロケットは何だ?」
「あれはTDFが極秘に開発した宇宙探査ロケットの試作型だ。人間の長期宇宙探査を目的としたこのロケットの活動時間と移住性の推移についての実験を行っていた最中に衝撃とともに地球に落下してドイツ領内で刺さってしまった。ちなみに開発班にはサキも携わっている」
「詳しい回答感謝する、それでは――」
そこからもクラリッサの質問をタクマやサキが答えるという質疑応答形式で進められた尋問は1時間ほどで終わった。
「フム・・・興味深い話もいくつかあったがとりあえず尋問は終了だ」
そういうと後ろの扉から出てもいいとクラリッサが促しタクマ達もそれに従い来た道を戻りもとの指令室のようなところへと戻った。そして入れ違いにラウラが地下へと向かっていった。
「ふぅ・・・」
タクマは息をつきながら尋問前に座っていたソファーに腰掛ける。するとサキは小声でタクマに話しかける。
「私たちの知っている地球とは別のようですね」
その言葉にタクマも小声で返す。
「そのようだ、それも俺たちの知っている地球よりも幾分と文化が発展している」
小声でお互いの意見を交換しているとラウラとクラリッサが扉から出てきてタクマとサキの前に立った。
「君たちは無害と判断された。尋問や捕縛など不愉快な思いをさせたことを詫びさせてもらう。だが軍本部からも許しが出た、これから開放しよう。あと君たちの乗ってきたロケットは申し訳ないが回収させてもらう」
ラウラはそう言うと同時にクラリッサが外への扉を開ける。タクマとサキはラウラに会釈した後扉から外へ出た。
「お気をつけて」
クラリッサの言葉に二人は会釈をし歩き出した。
かなり大幅に変えました
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