真剣で君を守りたい!:re   作:ミスターキシドー

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今年の27時間TVも面白かった!
番組応募してみたけど・・・まぁ当たらないよね


第十一話 竜舌蘭

それはいつものように風間ファミリーのメンツと遊んでいた時のことだった

 

「なぁ、この草この前来た時よりもなんか伸びてないか?」

 

それを言い出したのはキャップだった

俺たちがいつも遊んでいる草っ原に生えている結構大きな草のようなものが前に来た時よりも大きくなっていたのだ

これは昔本で見たことがあるな・・・ダメだ、名前が出てこない

 

「すごいでかくなってるな、俺様よりもでかくなってるんじゃないか?」

 

「本当ね〜どこまででかくなるのかしら?」

 

ガクトとワン子の二人が草に近づいて行き見上げて言う

その様子を見た大和が喋り始める

 

「・・・ある日ワン子がいなくなりました、次の日ワン子の分だけ草の背丈が伸びてました」

 

「え!?な、何急に!?」

 

ワン子が大和の話に怯えはじめる

しかしそのまま大和は話を続ける

 

「次の日にガクトがいなくなった・・・そしてこの草の花にガクトの顔が!」

 

「ひぃ!ガクガクブルブル」

 

大和の話を聞いてワン子は涙目になって怯えてしまった

さらにそこに追い打ちが容赦なく来る

 

「ということはその草に近づいていると襲われるということですか?」

 

「ひぃぃぃ!!」

 

千影がそう言うとワン子は全速力で走って俺の後ろに隠れた

そして怯えた様子で大きな草の様子をうかがっている

仕方ないので俺がワン子を諭すことにする

 

「ワン子、全部大和の作り話だから怯えなくて大丈夫だ」

 

「ほ、本当・・・?」

 

そう言ってワン子は大和の方を向く

 

「あ、あぁ・・・まさかそこまで怖がるとは思わなかったんだ、ごめんなワン子」

 

「それなら良かったわ・・・本当に危ない植物なのかと思っちゃったわ」

 

そう言って俺の後ろから前に出てくるワン子

その表情は脅かされたことよりも話が嘘でホッとしたという色の方が強く見える

そんなやり取りをしているうちに俺はこの植物の名前を思い出した

 

「思い出した、この草の名前はリュウゼツラン…センチュリープラントの一つだ」

 

『竜舌蘭』

 

学名をAgave americanaと言い日本語で青の竜舌蘭と言いギリシャ語のAgaveが語源で意味は『高貴な』と言う意味だ

実は彼岸花の仲間で、センチュリープラントと言われるだけあって数十年に一度しか花を咲かさないのである

 

そのことを説明すると大和は竜舌蘭について知っていたようで

 

「これが…前に一度ニュースか何かで取り上げられていたな」

 

「そうなのか?俺は本で知ったからそのニュースは知らないが…」

 

そうこう話していると百代が鉄心さんを呼んでいたみたいだ

なんでもあの竜舌蘭がいつ頃咲くのか気になるという話を京とモロたちとしていた百代が鉄心さんを呼んだらしい

 

「まったく、うちのじゃじゃ馬はこれじゃから…それでこの花の咲く時期じゃな?」

 

そう言って鉄心さんが竜舌蘭に近づくとふむふむいいながらうなづいている

そしてわかったのかこっちに戻ってくる

 

「だいたいじゃが一週間くらいじゃの、その辺りには花が咲き満開になるはずじゃ」

 

「そうなのか!なぁ皆!この花が咲くところを一緒に見ようぜ!」

 

キャップがテンションを高くして提案する

それに対して皆の反応は良好のようだ

 

「そうね!そんなすごい花だったら是非見てみたいわ!」

 

「そうだね、僕もどんな花が咲くのか気になるよ」

 

「皆で集まって見るのは賛成だぜ!」

 

「そうだね、私もちょっと楽しみかも」

 

「ふふん、珍しいらしいしな!」

 

「そうだな、俺も賛成だよキャップ」

 

「私も…竜舌蘭なんて聞いたこともないですから興味あります」

 

皆が賛成の意見をいう

無論俺も賛成だ…だが

 

「俺も賛成だ…ただ一つ懸念事項がある」

 

「ん?なんだ隼人」

 

キャップが俺に聞き返してくる

 

「今週末、確か台風直撃だったはずだぞ?」

 

「え?まじかよ!」

 

そう言って驚くキャップ

やっぱり、天気予報をみていなかったか

 

「そういえば…ニュースで今年最大規模の台風が直撃するって言ってたな」

 

大和はニュースで見てはいたようだがどうやら忘れていたようだ

まぁ、俺もさっきまでは忘れていたから仕方がない

そうして俺逹は台風に対してどうするべきか対策を考えることにした

 

「何かで囲んで守るか?ビニールハウスか何かで」

 

大和がまずは提案する

大和はビニールハウスみたいに囲って台風の雨と風を防ごうという話だ

 

「そのビニールはどこから持って来るんだ?」

 

ガクトがそれに対しての疑問を言う

それを言われると大和もどうするべきかと悩んでしまったみたいだ

すると、それを聞いていた鉄心さんが話しかけてきた

 

「それならばわしが経営している学校の園芸部に掛け合ってみようかの、確か小さいビニールハウスが余っていたはずじゃ」

 

「いいんですか?」

 

俺は鉄心さんに聞く

それを聞いて笑いながら鉄心さんが言う

 

「ふぉっふぉっふぉ、子供が遠慮するもんじゃないぞい。わしに任せておきなさい」

 

そう言って髭を撫でながら笑う鉄心さん

どうやらなんとかなりそうだ…

俺たちはその日は解散して後日そのビニールハウスの設置を皆で手伝う約束をした

 

 

今の時間は午後の9時頃

俺は美雲師匠との個人鍛錬を行うために鍛錬場に向かっている

朝の鍛錬は千影、夜は俺と分けているのだがこれには訳がある

千影は夜寝るのが早いのだ

ゆえに夜に鍛錬するのは眠気が邪魔して集中できない

なので夜は俺の担当になったのだ

そして鍛錬場に着くと美雲師匠が月を見上げていた

その姿はまるで一枚の絵画のように絵になっていた

 

「…む?何をしている、こっちに来て鍛錬を始めるぞ」

 

「あ、す、すいません…今行きます」

 

さすがに見とれていたとは言えないからな…

だがこうして改めてみてみるとわかるがこ美雲師匠はとても綺麗だった

綺麗になびく黒髪、小さくも整っている顔立ち、出るところが出ている体

これで90代だというのだから不老長寿の法の神秘を感じる…

そうこう思っていると美雲師匠との鍛錬が始まった

 

まずは基礎の型を通してやってみせる

これは基本は問題が見つかることはないのだが、調子が悪かったりすると少しの差のズレが出るらしく

自分でもわからない程度の不調をここで見分けるために行っているのだ

そして問題なく終えると次は櫛灘流の技の熟練度を見分けるために師匠に技をかける

その際に手加減はしない、逆に変に手加減をすると危ないらしくしっかり技をかけると受身をするのが楽にできるのだ

それも終えると最後は一対一の試合形式の試合だ

ここで重要になってくるのは気を全く使わずに行うということだ

 

「ふっ!はっ!」

 

「ふむ、なかなか、技のキレが、疾くなったな」

 

そう言いながらも俺の技を軽くさばいていく師匠

それもそうだ、俺は今までに綺麗に師匠を投げれたことはない

それにこの人は今だに本気を出したこともない…

今まで教えてもらう以外でこの人が俺に奥義を見せてくれたことは未だかつてない

言ってしまえば俺に対してまだ、奥義を使うほどではない…そういうことなのだ

 

「ふっ!!」

 

俺は渾身の投げを繰り出す

しかし、重心移動によって完全に勢いを殺されてしまう

そしてそのまま隙ができてしまった俺を逆に投げる

俺は受身を取ってダメージをゼロにするが背中を地面につけられてしまった

この時点で俺はなす術をなくし負けを認めた

 

「参りました…」

 

「うむ、今のは受身よりも体制を整えて技を外すことを重視すべきであったな」

 

そう言って地面に倒れ伏している俺を起こしてくれる

俺はそのまま立ち上がると服についた砂埃を払う

そして今回の良い点と悪い点を聞く

 

「今回は技のキレが今までで一番良かったぞ、最後の技も柔術のマスタークラスでもない限りは避けることは叶わなかったであろう…だが逆をいえば柔術に長けていれば避けられていた、わしのようなタイプの武術家にかける技としては技のキレよりもタイミングを意識するべきであったな」

 

「はい、以後精進します」

 

そう言って返事をする

俺はその瞬間も技をかけるタイミング種類のシュミレートを頭の中で繰り替えしながらも師匠の話を聞く

いわゆるマルチタスクというものだ

その後も今回の良し悪しを聞きながらシュミレートを繰り返していった

 

そして終わり間際のことだった

 

「…以上だ、何か聞きたいことはあるか?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「そうか…隼人」

 

「はい?何ですか?」

 

美雲師匠は俺の目を覗き込んでくる

その目は黒く、とても深い……そして何もかも見透かしているように感じる

 

「お前は今、楽しいか?」

 

「……楽しいですよ、尊敬する師匠がいて、可愛い妹がいて…大切な仲間ができた、これを幸せと言わないならば何が幸せだっていうくらい…おそらく千影もそう思っているはずです」

 

そういうと美雲師匠の目は暖かな目に変わり優しく微笑んだ

 

「そうか、それならばいいんじゃ」

 

そう言って俺から目線を外し月を見上げる美雲師匠

その目はどことなく悲しげだ

 

「……少し昔話をしようか、私は昔闇の拳として活動していた時期があった」

 

そのまま空の月を見ながら話し出す美雲師匠

俺も月を見上げながらその話を聞くことにした

 

「昔の時代は今と違って命が軽かった、それは花びらをちぎるように簡単にな…しかもそれは弱き者から先に死んでいくのじゃ…わしも闇の拳とはいえ昔は若く、そして今よりはるかに未熟であった。今の隼人ほどになったのは18ほどの頃じゃったくらいだからの、しかし、櫛灘流はそれでも最強の柔術と言われていた…ゆえにわしは慢心をしていた、ただの武器を振り回すだけしか能のない者に負けるほど弱くはないと……だがその果てにあったのは孤独であった、強者の孤独というものだ。その果てにあったのはわしのまわりにいたものの死であった、わしは慢心のあまり自分のまわりを顧みることがなくなっていたのじゃ…わしはそれを期に闇から足を洗い、そして戒めとして殺人拳としての櫛灘流を封じた…かつての友と呼んでいたものたちの対して誓ってな」

 

そういうと目を閉じる美雲師匠

おそらく当時のことを思い出しているのだろう…昔の美雲師匠、俺には想像つかないな

何があったのか、そして何をしたのか…

 

「だが、わしは櫛灘流をついやすわけにいかない、ゆえに櫛灘流を活人拳として伝えるべきものを探した…そしてお前たちを見つけた」

 

そういうと俺の方を向く美雲師匠

その顔は慈悲に満ちていた

 

「わしはおぬしたちに会うのに大分時間を要してしまった、長かった…だがそれでも、それ相応の器を見つけた」

 

そう言ってお手に近づいて頭に手を置く師匠

その手は温かく、心地がいい

 

「わしは期待している、わしのように殺人拳を無理やり活人拳にしたわしとは違う、初めから活人拳としての櫛灘流を使うおぬしたちの未来をな・・・」

 

そう言って俺から手を離して俺に背を向ける

 

「少し長くなってしまったの……年を取ると話が長くなって仕方ない、今日はここまでじゃゆっくり寝ると良い」

 

そう言ってその場を離れていく美雲師匠

俺はそれを見送ってからもう一度月を見上げてつぶやく

 

「期待されたからにはそれに応えないとな…」

 

そう言って自分の拳を月に向けていう

 

「明日も頑張ろう」

 

そのまた明日も、その次もずっと……

俺はその日心に深く誓った

 

 




どうも、ミスターキシドーです!
今回はリュウゼツラン編の前編と美雲師匠との夜の鍛錬です!

前回アンケートをとりましたが、今の所なしの方がいいという意見が数多でした
詳しく知りたい方は前回のあとがきをみてください
それでですが、まだしばらくはアンケートは実施していますのでドシドシ意見をください

それと、いつも通り感想と評価を募集してせう!
作者の励みになりますのでどうかお願いします!

それではノシ
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